Weekly Column
2001/11/17




2001/11/24付け

No.1 of the Week: Britney / Britney Spears (New Entry)
 ブリトニーが1位ってこと自体は誰でも予想できた、当り前の出来事なのですが 約75万というセールスをどう評価するかが、難しいですねえ。
この何週かお伝えしてきている通り、最近のアメリカは流石にちょっと元気がな く、全体的なCDの売上げが低迷しています。ジェイZやDMXといった大物でさ え前作に比べてぐんとセールスを落しており、今回のブリトニーも苦戦が予想さ れました。
また、このアルバムからの先行シングル「I'm A Slave 4 U」ではネプチューン ズを起用するという大胆な手に出たため、アイドル的なサウンドを期待する人を 思いっきり引かせてしまいました。 「...Baby One More Time」「Oops! ...I Did It Again」と続いた思わせぶり なタイトルも、今回「I'm A Slave 4 U」ってのはちょっと冗談にならないし親 は子供にこんなの聴かせたくないでしょう。 この1年ぐらい何かと「脱ぎすぎ」が指摘され続けたブリトニーですが、ついに 曲までエロ路線に行ってしまったか、と受止められている節がありますね。
と、今回はいろいろと不利な要素が重なりましたが、それでも75万枚売れたの だから凄い、と評すべきだと思います。 何だかんだ言ってマイケル・ジャクソンやジェイZが全然比較の相手にならない ぐらい売れてるんですから。
しかも、今回のアルバム、出来がいい!かったるいバラードもありますが、アッ プの曲が総じて良く出来てます。「I'm A Slave 4 U」を聴いた時から、これは ジャネットを意識してるな、と思ってましたが、アルバム全体もジャネットが好 きな人ならイケると思います。逆に今までの「Sometimes」「Lucky」みたいな 胸キュン路線がないのがちょっと寂しいですが。
No.2 New Entry: Echos: The Best Of Pink Floyd
 2位に登場するのが、1位のブリトニーとは対極に位置するような作品。 ピンク・フロイドのベスト盤。新曲などの入っていない、純粋な過去音源がこ れだけヒットした例はあまりないでしょう。まあ、ちょうど1年前にはビート ルズの「1」がありましたけどね。
ピンク・フロイドについて解説しだすと際限がなくなるのでやめておき ますが、このアルバムは、彼らの名前だけ知ってて、今まで興味はあったんだけ ど、聴いたことがなかった、という初心者向けの入門盤というよりは、彼らの アルバムを何枚か持ってるけど初期はあまり聴いたことがない、とか、昔はよく 聴いたけど、もう20年も聴いてなかった、なんていう人向けのアイテムのよう な気がします。
ご承知の通り「プログレ」というジャンルに属するこの音楽は、アルバム1枚 全体を通してコンセプトがあり、その中の1曲だけを切り出して聴くのと、アル バムの中の全体の流れの中で聴くのでは、その曲のもつ意味やインパクトが違う ことが多々あります。ピンク・フロイドの作品は明らかにオリジナル・アルバム で、その流れの中で聴くべき種類ものです。
だから「流れ」を無視したこういう寄せ集め作品で最初に聴いてしまうのは良く ないので、むしろ初心者には私はお勧めしません。やっぱりありきたりですが、 少なくとも「狂気」と「ザ・ウォール」ぐらいは聴いてからにしましょう。
No.9 New Entry: The Road Less Traveled / George Strait
今週のトップ10内初登場3作品はそれぞれ全然関連のない、バラバラな顔 ぶれなのが面白いですね。9位に登場するのがカントリーのトップ・スター、 ジョージ・ストレイト。
とにかく新作を出せば確実にトップ10入りする、非常に人気の安定した人です。 20年以上もコンスタントに活動していますが、ポップ市場での商業的なピー クは90年代半ば。97年の「Carrying Your Love With Me」が1位、98年 「One Step At A Time」が2位に、そして昨年はベスト盤が2位という大ヒッ トになっています(それ以外にも毎年アルバムを出していてみんなトップ10 入りはしている)。
どのアルバムもみんな同じ、という批判がある一方で、誰も変化なんか求めて ないんだからいいじゃないか、と擁護もされる存在ですが、今回はちょっと違う ぞ、という意見をよく目にしますね。 スローな曲は特に、メロディがわかりやすくて、非カントリーリスナーにも 充分楽しめそうな作品です。
No.13 New Entry: Diary Of A Sinner: 1st Entry / Petey Pablo
ピーティ・パブロは、ノース・キャロライナという、これまたラップ僻地 から登場したラッパー。ティンバランド製作曲がヒット中ですが、ティンバの 全面バックアップというわけでもないです。本人は自分の音を表現するのに「 俺はヒップホップのマイケル・ジャクソンだ。プリンスだ。ここにはメロディが ある。俺のは“音楽”なんだ」と言ってます。刑務所で6年を過した後、20代 後半になってからのデビュー。このたった1枚のアルバムのためにJIVEは100 万ドルの契約金を払ったと言われています。...ってこの程度のヒットでモトは 取れるのか?
No.14 New Entry: Faithfully / Faith Evans
女性R&Bシンガー、フェイス・エヴァンスの3作目。まあ強力な新作 が多いこの時期なら、このぐらいの順位が妥当ですかね。本人周辺はもうちょっ と上を狙ってたと思いますが。
この人は確かに歌はうまいんだけど、メアリーJほどキャラがはっきりしてる わけでもないし、もう少し何か「売り」を前面に出していかないと、これから 差し掛かる「中堅」の峠を越えられない気がします。
No.19 New Entry: The Wash / Soundtrack
「The Wash」サントラ。Dr.ドレとスヌープがジャケに写ってますが、 映画自体もこの2人が主役の模様。となると映画のほうは期待できませんが (^^; サントラのほうはもっと大ヒットしても良さそうなものでした。つい先頃スヌー プは自身が主演する映画「Bones」サントラを出し、こちらも全然大したヒットに なってません。どうもこの2人、このところ非常に活発に活動しているのはいい んですが、かえって有難みがなくなって、売れなくなってきてる気がしないでも ありません。
No.22 New Entry: Mahogany Soul / Angie Stone
99年のソロデビュー作「Black Diamonds」が各方面で絶賛されたR &Bシンガー、アンジー・ストーン。実は80年代から活躍するベテランですが ルックスも感性も若々しい人です。
No.31 New Entry: Come Together / Third Day
サード・デイは、これまた日本では馴染みの薄いクリスチャン系バンド。 日本でもクリスチャンの人はこういうバンドを聴いたりしてるんでしょうか?
No.50 New Entry: Playin' With My Friends: Bennett Sings The Blues / Tony Bennett
超ベテランのトニー・ベネット。1950年代前半が全盛期だったジャ ズ系のシンガーですが、今回のアルバムはダイアナ・クラール、シェリル・クロ ウ、スティービー・ワンダー、ビリー・ジョエルといったゲスト達に助けられた 感が強いですねえ。故シナトラの「Duets」みたいなもんでしょうか。
No.100 New Entry: Novokane / Outlawz
故トゥパックとつるんでた連中で、トゥパック と一緒の名義のアルバムはトップ10ヒットになってましたが、単独名義では こんなもんでした。なお、本作にもトゥパックは登場してるようです。




2001/11/10付け

No.1 of the Week: Gold / Steps (3rd Wk)
単なるポップグループを越えて、いつの間にか国民的な人気グループになっていたステップス。そのベスト盤は一旦マイケル・ジャクソンに首位を譲りましたが、また返り咲きました。もともとアメリカに比べてイギリスはベスト盤が売れやすい土壌で、特に年末はそれが顕著になりがちです。今年はマドンナ、バックス、グリーン・デイといった日本受けのするアーティストのベスト盤が相次いでリリースされているので、数あるベスト盤の中でステップスがいちばん売れてるってのは、日本では理解しにくいですがね。
No.2 New Entry: Echos - The Best Of Pink Floyd
see US chart
No.3 Re-Entry: Tapestry / Carole King
うわー。これは凄い。たしかにこの「つづれおり」はポップス史上に燦然と輝く名作として、どんな名作ガイドの類にも載っている、誰にも文句のつけようのない名作です。で、今回ボーナストラック2曲を加えて再発したら、この大ヒット。しかしねえ、ブリトニーの新作より売れちゃうってのは、ちょっと半端じゃないですよ。というか私はこの結果は俄には信じ難いぐらいびびってます。なんかキャンペーンとかやった?CMとかTV番組でキャロキン使ったりしてる?
No.4 New Entry: Britney / Britney Spears
see US chart
No.6 New Entry: The Best Of The Corrs
日本ではとっくに発売済+ヒット済のベスト盤がようやくUKで登場。それぞれのオリジナルアルバムが充分に売れてるので、改めてベスト盤を買おうという人は案外あまりいなかった、という結果ですね、これは。イギリスでは明らかにセカンドの頃が人気の頂点で、今はもう下り坂という印象もあるのかも。
No.11 New Entry: Wanted / Cliff Richard
クリフ・リチャード。まったくいつまで売れ続けるんでしょう。1950年代からずっと現役でヒットを出し続けるのは本当に凄いんですが、この人のどこにそんな人気の秘密があるのか、いまいち分らなかったりします。
ちょっとこういう存在感の人って日本にも、アメリカにも見当りませんね。強いて言えばアメリカでのバーブラ・ストライザンドが、近いのかなあ。
No.15 New Entry: White Lilies Island / Natalie Imbruglia
ナタリー・インブルーリアといえば「Torn」。一生このイメージは消えないでしょう。meantimeの年間投票でも堂々第1位に選出されたこの曲の印象が、それだけ鮮烈だったということでしょうが、やっぱりこれは本人にとってはあまり有り難くないイメージなんでしょうね。
一応彼女はシンガーソングライターという分類に入れられるようですが、やっぱりどんな外部ライターが参加してるかに話題が集ってしまうのは仕方のないところ。で、それが何と今回はゲイリー・クラークなんだそうですよ。何が「何と」なのか理解できない人が大半でしょうが、80年代末に存在したダニー・ウィルソンというグループ、この中心人物がゲイリー・クラーク。ダニー・ウィルソンというのは「Mary's Prayer」という曲の一発屋として一般には認知されてますが、実は彼らが残した2枚のアルバムは地味ながらも名作として一部の人の間では非常に評価を確立しているのです。
結局ゲイリー・クラークが全面的に手懸けた後で、フィル・ソーナリーが手直ししたそうなので、手直し前は地味地味な作品だったんでしょう。私もまだ聴いてませんがかなり楽しみにしてます。でも第二の「Torn」を求めている多くのファンにどう受止められるかは、ちょっと心配。
No.16 New Entry: Songs For The Front Row - The Best Of Ocean Colour Scene
もうベスト盤を出すようなグループになったんですねえ。ファーストは大したヒットではありませんでしたがセカンド「Mosley Shoals」が大ヒットし、一時は兄貴分であるオアシスと比較されるまでになってました。その後もコンスタントに新作を出しているものの、だんだん勢いがなくなってきてる感は否めません。私は「Mosley Shoals」に夢中になったクチで、当時なぜあれほどUKプレスから叩かれまくるのか納得できずに腹立たしい思いをしてました。最近はちょっといい子っぽいところが鼻について、どちらかというと嫌いなバンドになっちゃってますが... でもこうやってベスト盤を出されると、ちょっと聴いてみようかなという気になりますね。最近真面目に聴いてなかっただけに。
No.18 New Entry: All Hits / All Saints
解散してしまったオール・セインツのベスト盤。なんかこれ、ジャケがめちゃ地味(というか手抜き)で、20年前のバンドの版権がフリーになったので零細企業が一山当てようと目論んで出したベスト盤、みたいな装丁になってるのがヤな感じです。せっかく麗しい人たちなんだから、もうちょっと美しいアートワークにするだけで、かなりセールスは改善されたと思いますが。
流石にヒット曲が多く、アルバム2枚しか出してない割にはなんとかアルバム1枚埋めているのは立派です。解散後のメンバーたちの活動計画は早々に伝わってきたのですが、その後みんなちゃんと真面目に働いてるのでしょうか。実は最初にソロ作として世に出たメルの作品(アートフル・ドジャーのフィーチャリング・シンガーとして)もここに収録されてます。シャズネイ+ガイ・チャンバーズはかなり期待してるんですが。
で、それはいいんですが、これ、実はDVD付きの2枚組バージョンが存在します。アリーヤ、ジャネットなんかが最近やってたのと同じで、ビデオクリップ集がメインコンテンツですが、amazon.co.ukでの売値が15ポンド(2800円ぐらい)なので、この値段ならかなりお得。まあ日本の店頭にこの値段で並ぶことはあり得ないでしょうが。


以上・しんかい (kaz@meantime-jp.com)



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