Weekly Column
2001/7/7


Songs In A Minor / Alicia Keys

これは凄いかも。新人のデビュー作が初登場1位になることは、それほど珍しいこと でもなくなったけど、まだシングルさえもヒットしてないし、誰かのヒット曲に フィーチャーされてたわけでもない、完全な新人としては異例の大ヒット。
ジャーメイン・デュプリに育てられた20歳のR&B系女性シンガー・ソングライター。 今彼女を全面バックアップするのはクライヴ・デイヴィス。ということで本作が 晴れてクライヴのJレコード初のNo.1ヒットアルバムとなりました。
とてもキレイな人なのでアイドルっぽく売り出し てるのかと思ってしまいますが本人は作曲や楽器の演奏も自分で手掛ける本格的な ミュージシャンで、何よりもしっかり歌えます。わたしゃ「どうせ半分アイドル だろ」とナメてかかったのでこの歌いっぷりにはマジで驚きました。 まったく恐るべき逸材。
随所で70年代ソウル〜ファンク風味を感じさせて、「Rock Wit U」という曲では アイザック・ヘイズをサンプリング...かと思ったらヘイズ本人を迎えた再演だ そうで。やっぱり超大物がバックについてると何でもアリだなあ。全体的にかなり 渋めの作りなので、シングルヒット連発ってわけにはいかないだろうし、聴いても ピンと来ない、という人は多いでしょうが、とにかく「二十歳の新人のデビュー作」 にしては凄いということは誰もが実感できるでしょう。
こういう凄い人の噂があっという間に広まって、デビュー作がいきなり売れまくる んだから、アメリカ市場も変わりました。
The Invisible Band / Travis

トラヴィスの3作目、初登場以来3週目の1位をキープ。イギリスではデビュー作もそこそこヒッ トしましたが、前作「The Man Who」の成功は別格。この1枚で彼らはステレオフォ ニックスらと共に「今のUKでいちばんビッグなロックバンド」としての認知度を高め たと言えるでしょう。 ただ、それはあくまでも、ロックが好きな若者の間での話。イギリスでごく一般の消 費者にアンケートをとったら、トラヴィスの音楽そのものは認知度が高かったもの の、「トラヴィス」という名前はシンガーの個人名で、こいつらがバンドだとは知ら なかった、という人が異様に多い、という結果が出ました。今回のタイトル 「Invisibile Band」ってのは、その辺の意味を含んでるんでしょう。アンケートの エピソードは単なる一例で、彼らは日頃から「バンドはいつかいなくなっても、音楽 は残る」といった発言をしてることだし。 で、今回。ううむ。前作と同じプロデューサーで、基本的には前作の路線を踏襲して ますが... ちょっと泣きが入りすぎというか、作りすぎ、意識しすぎ、という感じ がします。「The Man Who」のような淡々としたアルバムの中だったからこそ 「Turn」の叙情的なメロディは美しく映えたわけで、今回のアルバムの中では 「Sing」は歌謡曲に聴こえてしまいます。一般消費者は「わかりやすい」ってことで 本作を推すかもしれませんが、前作に惚れた人間にとっては今回は「作り過ぎ」が偽 らざる感想。「Sing」が好きな人はこのアルバムも気に入るでしょうし、 「Driftwood」のような瑞々しく繊細な美しさを求める人には、ちょっとToo Muchで しょう。
以上、聴き始めてから3日目ぐらいの感想でしたが、その後何度か聴いて「そんなに悪く もないかも。やっぱいいバンドだね。でも前作にはやっぱり及ばない」と考え到る ようになりました。
(以上・しんかい kaz@meantime-jp.com



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