Weekly Column
2001/6/23


Take Off Your Pants And Jackets / Blink 182

おー、いいじゃんいいじゃん。前作「Enema Of The State」でブレイクしたポップ・ パンク・バンド、昨年末のライヴ盤を経て、オリジナルアルバムはこれが4作目。 曲が非常に明解でポップな上に、中学生、高校生ぐらいが喜びそうな下ネタ、アホネ タ満載。かといって「単なるアホ」と切り捨てられることがないのは、やっぱり「そ うは言っても、聴いてて楽しい」音楽だからでしょう。何にも中身のない使い捨て音 楽だと批判することは簡単ですが、そんなことしたって何の意味もないわけで。やっ ぱりステインドとかよりも、こういう音楽が売れてるほうがアメリカには似合ってま す。 で、このアルバム。いいですよ。駄曲がない。昨年のグリーン・デイのアルバムも、 すごく楽曲が充実したいいアルバムでしたが、あれに比較し得る充実作。 しかし、このジャケや全体的なアートワークはUKのバンドみたいですね。どういう狙 いなんだろう。著名ポルノ女優をどーんとジャケに出した前作は、ジャケだけで話題 をかっさらえていたことを思えば、もっとバカ全開で派手派手にしたほうがよかった のに。
The Invisible Band / Travis

トラヴィスの3作目が初登場1位をゲット。イギリスではデビュー作もそこそこヒッ トしましたが、前作「The Man Who」の成功は別格。この1枚で彼らはステレオフォ ニックスらと共に「今のUKでいちばんビッグなロックバンド」としての認知度を高め たと言えるでしょう。 ただ、それはあくまでも、ロックが好きな若者の間での話。イギリスでごく一般の消 費者にアンケートをとったら、トラヴィスの音楽そのものは認知度が高かったもの の、「トラヴィス」という名前はシンガーの個人名で、こいつらがバンドだとは知ら なかった、という人が異様に多い、という結果が出ました。今回のタイトル 「Invisibile Band」ってのは、その辺の意味を含んでるんでしょう。アンケートの エピソードは単なる一例で、彼らは日頃から「バンドはいつかいなくなっても、音楽 は残る」といった発言をしてることだし。 で、今回。ううむ。前作と同じプロデューサーで、基本的には前作の路線を踏襲して ますが... ちょっと泣きが入りすぎというか、作りすぎ、意識しすぎ、という感じ がします。「The Man Who」のような淡々としたアルバムの中だったからこそ 「Turn」の叙情的なメロディは美しく映えたわけで、今回のアルバムの中では 「Sing」は歌謡曲に聴こえてしまいます。一般消費者は「わかりやすい」ってことで 本作を推すかもしれませんが、前作に惚れた人間にとっては今回は「作り過ぎ」が偽 らざる感想。「Sing」が好きな人はこのアルバムも気に入るでしょうし、 「Driftwood」のような瑞々しく繊細な美しさを求める人には、ちょっとToo Muchで しょう。



No.9 New Entry (USA) : Young & Thuggin' / Turk
久々にCA$H MONEY勢がトップ10内に登場。出せば確実にゴールドディスクぐらいには なっていた彼らですが、トップ10ヒットは随分久しぶり。で、これは、凄いことなん です。
ジュヴニール、B.G.、リル・ウェイン、タークが、ホット・ボーイズのメンバー。 タークは今回がソロデビューですが、他はみんな既にソロデビュー済みで、それぞれ がトップ10アルバムを出しています(順に「400 Degreez」「Chopper City In The Ghetto」「Tha Block Is Hot」そしてグループ名義の「Guerilla Warfare」)。で、 今回タークのソロも見事にトップ10ヒットになったということで、彼らはグループ名 義+グループのソロ全員がそれぞれトップ10ヒットアルバムを出すという超レアな記 録を樹立したのです。
90年代前半にドクター・ドレ、イージーE、アイス・キューブ、MCレンが活躍したこ とでN.W.A.がこれに近い記録を作りましたが、グループ全員がきっちりヒットを出し たのは、チャートの歴史上、ビートルズとCSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッ シュ&ヤング)以外に例がないと思います。まあ、グループの人数が少なければ少な いほど簡単な記録になってしまうので、ここはひとまず「4人組以上」と限定してお きましょう(3人組だと、マスターP3兄弟のTRUがこの記録を樹立済み)。
で、「そんなに凄い記録を作ったグループなのに全然聴いたことがない」という人は 多いでしょう。ニューオーリンズ産の南部ラップで、ルックスも訛りも強烈で、日本 人の好きなヒップホップ像とはかなり違うので、これまで日本では一部のマニアの支 持に留まってきました。この1年ぐらいでかなり状況は改善された気はしますが、ま あ、大手輸入盤CD屋のラップコーナーでさえ、平積みで置かれることはまず有り得な い...という程度の受け方でしょう。
CA$H MONEYレーベルの作品はすべてマニー・フレッシュというプロデューサーが全部 一人で音を作ってるので、基本的にどのラッパーのどのアルバムを聴いても雰囲気は 同じ。ってことで今回の大記録をきっかけにCA$H MONEYを何か聴いてみたいという方 は、このあたりを入門盤にどうぞ↓
Non Stop "Bling Bling" Master Mix / Cash Money Millionaires
Guerilla Warfare / Hot Boys
I Got That Work / Big Tymers
Tha Block Is Hot / Lil Wayne

で、このアルバム、内容もかなり充実。私はマニー・フレッシュは天才だと言い続けて 丸2年ほどになるが、未だにそう思わせてくれるのは相当凄いことだ。 タークのラップはちょっと没個性にしたリル・ウェインという感じで、やや青臭さの 残る声で、ライムのセンスはけっこういい。ただ、あの癖ありまくり&スキルありまくり のホット・ボーイズの中に入ってしまうと、やっぱりちょっと弱いか。
マニー・フレッシュもそんなことを思ったか、他のキャッシュ・マネー作品に比べると ゲスト依存率が非常に低く、タークが主役としてちゃんと前面に出されている。 そして、この見事なまでに充実したトラック群。半年以上も延期を繰り返した末、ようやく 来月出る模様のジュヴニールの新作に超期待。