Weekly Column
2001/5/26


Lateralus / Tool

トゥールの4年半ぶりの新作。
その、4年半前の96年秋に、こんなチャートが展開されていた。
96/10/19付 Aenima / Tool 初登場2位
96/10/26付 Antichrist Superstar / Marilyn Manson 初登場3位
96/11/2付 Life Is Peachy / KoRn 初登場3位
それより半年早いが、 96/5/4付 Evil Empire / Rage Against The Machine 初登場1位
というのもあった。いずれのバンドにとってもセカンドアルバムで(マリマン、トゥールはミニアルバムを含めると3作目)、いずれにも共通しているのが「ファーストはチャートで上位にはランクされなかったが、じわじわとロングセラーを続けて評判を高め、その評判が充分に広まったところでリリースされたセカンドで初めてブレイクした」ということ。
レイジはちょっと時期がずれているが、96年10月に、その後の5年間のロックシーンを背負っていくことになる3バンドが相次いでブレイクしたのは、非常に印象深い出来事だ。

しかし。レイジは「The Battle Of Los Angeles」がNo.1になってメディアからも「最強のロックバンド」として認められるが、フロントマンのザック・デ・ラ・ロッチャが脱退したことで先行きが不安視されている(最新情報では元サウンドガーデンのクリス・コーネルが参加するとか)。マリマンはその後98年の「Mechanical Animals」をNo.1に送り込んでピークを極めた後、既に商業的には落ち目になっていて、その後のライヴ盤や、昨年の「Holy Wood」は芳しい成績を残していない。KoRnは98年の「Follow The Leader」、99年の「Issues」を相次いでNo.1にさせ、Family Valuesツアーを成功させて、ここ数年の流行の先駆けとなり、同ツアーをきっかけに、リンプ・ビズキットを筆頭とする子分格のバンドを次々にブレイクさせ...と、間違いなくこの5年間のアメリカでの最重要ロックバンドの地位を担ってきた。既にKoRnの子分であるリンプの、そのまた子分のステインドが(来週)ブレイクする(予定)など、地位としては「おじいちゃん」である(←謎)。
その間、トゥールは何をしていたか。
何もしていなかった。前作発売後のツアーが長かったのと、レーベル移籍をめぐる法廷闘争に時間をとられていたという事情はあるものの、同期バンドが華やかに活動する中、彼らの存在は地味で、かつミステリアスだった。
昨年、ようやく動きが始まった。トゥールのフロントマンであるメイナードが別バンド、ア・パーフェクト・サークルとしてデビュー作を大ヒットさせ、年末にはトゥール名義でライヴ映像+ビデオクリップのDVD+CDという、やや上級ファン向けの作品「Salival」を発売。そして、2001年になってようやく、この作品が届けられた。今まではほぼアメリカだけでのカリスマ的人気だったが、流石に音楽シーンも変わったし、これだけ評判になってれば海外メディアも注目せざるを得ない、ということで今回は日本でもかなり大きく取り上げられている。なんとオリコンチャートでも28位に初登場してたりする
いわゆる「ヘヴィロック」の中に分類されながらも、彼らの音を表現するのによく「プログレ」という言葉が使われるように、有り体な表現を使ってしまえば「難解」な音。曲展開が複雑で、1曲が長くて、暗くて、歌詞も何言ってるかよくわからない(バンドのポリシーにより日本盤にも対訳はおろか原詞もつかない)。こういうバンドがこれだけ売れるのは凄いと思うが、多くの人を惹きつけるだけの圧倒的なパワーとカリスマ性があるのも確かだ。
ヘヴィロックの最新進化形にして、化石のようなプログレしか聴けない、いちばん最近買った新譜はクリムゾンの未発表音源とかいうオヤジが「今の音楽」に触れるためのきっかけにも成り得る。13曲で80分近い大作。ブックレットなどの全体的なアートワークの凝り方も、さすが。
Reveal / R.E.M.

1980年に結成されたR.E.M.、98年の「Up」以来となる久しぶりのアルバム。インディーで活動し、カレッジ・ラジオ受けするバンド、という印象だった80年代前半から、「The One I Love」のヒットをきっかけにメインストリームに登場し、80年代末にはアメリカを代表するロックバンドにまで成長した彼ら。さすがにここ数年はアメリカでの商業的なピークは過ぎてしまった感があるが、イギリスではこの通り初登場No.1。
アメリカではトゥール、ミッシー・エリオット、ウィーザーに上位を譲り、同じ週に初登場した中では四番手に終わっている。アメリカの音楽誌「Rolling Stone」ではこのアルバムの評価は4つ星だが、イギリスの「Q」誌では5つ星の最高評価が与えられている。アメリカのカレッジ音楽シーンを伝える「CMJ」では本作は「Reveal is an album made for the arena」とか言われてしまって、もはや自分たちの音楽ではない、と言われてしまっている。といった具合に、今回に限らず、最近のR.E.M.はアメリカよりイギリスでの評価が高い。従ってイギリスに従う傾向がある日本の洋楽メディアでも評価が高い(オリコンチャートでも20位)。
まあ、そもそも、R.E.M.というのはメインストリームの中核に居座るのが似合うバンドではなかったし、今ようやく彼らが迎えられるべき正しい態度で迎えられるようになった、とも言えるのかもしれない。

(以上・しんかい kaz@meantime-jp.com



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