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Weekly Column 2000/10/10 |
| No.1 New Entry: Let's Get Ready / Mystikal | |
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実は人知れず苦労人、ミスティカル。その、早口で激しく怒鳴るラップスタイルのあまりの強烈さに打たれた私は彼を「人間核兵器」と親しみを込めて呼んでいたんですが、実は彼、湾岸戦争に従軍していた本物のソルジャーだったんですね。関係ないですがドルフ・ラングレンって「人間核弾頭」でしたっけ。 もともとJIVEレーベル所属だった彼、ブレイク作となった「Unpredictable」はマスターP率いるNo Limitからのリリースでした。軍団の数々の作品に客演してすっかりNo Limit軍団の一員としてのイメージが出来上っていましたが、実は、No LimitとしてはJIVEからミスティカルを「借りてた」ような状態だったみたいですね。今までもミスティカルの作品だけはNo Limitのロゴと並んで、資本関係はないはずのJIVEのロゴも載ってました。いわばJIVEからNo Limitに期間限定で出向してたようなもの。で、出向期間が終れば、母体に呼び戻されるのがサラリーマンの性。今回、世話になったマスターPとの別れを惜しみつつ、ミスティカルは「JIVEの人」に戻りました。実は私は今、別会社に出向している身なので、妙にミスティカルの境遇が身にしみて伝わってきて、泣けるんだよなあ。私と年齢がほとんど変わんないことも最近判明したので親近感は増すばかり(もうすぐ30だって)。 さて今回のアルバム。プロデューサーは、No Limit以前からつるんでる昔馴染みであるKLC(No Limitのメイン・プロデュース・チームであるビーツ・バイ・ザ・パウンドの一員であり、現在はNo Limitから離れてメディシン・メンという名義で活動中)と、ノリエガやODBを手懸けたことで知られるネプチューンズがメイン、どちらも一流とも、今の流行とも呼べない存在だけに、今いちの仕上がりになってます。ラッパーとしては個性も実力も一流の逸材なのに、サウンドプロダクションのショボさ故にずっとくすぶってるのはかわいそうだよなあ。 先行シングル「Shake Ya Ass」(クリーンバージョンは「Shake It Fast」)はR&Bチャートで3位まで、HOT100でもトップ10間近まで上昇する大ヒットになっているが、これは何でヒットするのかミスティカル本人でさえ不思議に思うような代物。ラップ系ではアルバムから先行シングルでカットするのはファン向けのけっこうコアな曲を12インチのみで発売して、その後一般向けの割と売れ線の曲を第2弾シングルとしてカットするのが通例。ミスティカルとしても「Shake Ya Ass」は第1弾シングルとして軽く出したつもりだったのに予想外に売れてしまったので「困ってんだよ。次のシングルが出せねえじゃん」と本人が戸惑いのコメントを出すほど。 アルバムもNo.1は初めてだし、正直なところアーティストとしてはちょっとピークを過ぎてしまった感のあるミスティカルも、商業的にはここでピークを迎えている。まあ、売れて然るべき実力とスタイルをもった人なので、ファンとしてはうだうだ言わずに大ヒットを素直に喜びべきなんでしょうね。 |
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| No.2 New Entry: Revelation / 98 Degrees | |
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このアルバムの発売直前、アメリカでは一部業界筋で「これってインシンクより売れるんじゃん」という読みがあったようです。ずっとアメリカ市場の動向を追っている身としては信じ難い読みですが、逆に言えば、「アイドルなんてみんな一緒」だと思っているような人にとっては「インシンクも98も同じようなもの」という認識がある→一般的な知名度では98もインシンクに負けてない、ということになります。どちらかと言えば98はスローなヒット曲が多くて、アダルト系ラジオでもよくかかってるでしょうから、もしかすると全然状況のわかってないオトナの間では、98のほうがインシンクより大物という認識があるのかもしれませんね。まあ、そうだとしても、バックスのほうが更に大物、ということになるんでしょうが。 クリスマスアルバムを含めると早くも4作目となる今回のアルバム。どうもインシンクやバックスと比べると二流に見てしまうので私に言わせれば「思ってたより遥かに売れた」ということになるんですが、先に書いたようなハイプもあったため、案外「もっと売れてもよかった」と見なしてもらってるようですね。 先行シングル「Give Me Just One Night (Una Noche)」はラテン風味を取り入れたアップテンポの曲で、けっこう大ヒットになってますが、アルバムはアップ系とスローが交互に登場するような作り。プロデュースやソングライターに特に大物が絡んでいるわけでもなく、特に目立つ派手な曲や出来のいい曲があるわけでもなく、「そこそこ」の曲が延々と並ぶ作り。まあ、これをもって98が「一流」の仲間入りをすることはまずないでしょう。 |
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| No.5 New Entry: Shyne | |
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99年のクリスマス。パーティーでパフ・ダディとジェニロペが、いつものように(?)わけのわからん奴からいちゃもんをつけられていた。ボディガードが割って入るが、そこにどこからともなく現れ、いきなり銃をぶっ放した男。それが社員。いやシャイン。パフ・ダディのBad Boyレーベルと契約して2年、ブラック・ロブやカール・トーマス同様、充分に温めた末でのデビュー。しかしそういう事件を起してしまった(3人が負傷)ため、来年早々には裁判が行われる。当然懲役刑は免れられないだろうと思うんだけど...。だから、これが最初で最後のアルバム?まあアメリカの裁判制度はよくわかんないので、来年の今頃また平然と新作出したりしてるかも知れませんが。 で、デビュー前から殺人(傷害)容疑がかけられてて話題になったといえばスヌープ・ドギー・ドッグですが、こいつ、声とラップスタイルはノトーリアスBIGそっくりなんですよ。ビギー亡き後のパフ・ダディが契約した当時は「単なるビギーの代わり」としてパフィもシャインもバッシングされてましたが、すっかり悪い評判も出尽くした(というか既にその存在が忘れられた?)頃にようやく正式デビュー。 実はサウンド的にはかなりレゲエの影響を受けてたり、ビギーそっくりそのまんまというわけでは決してないんだけど、やっぱりこの声はビギーのことをついつい思い出してしまうのが普通の反応でしょう。 |
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| No.8 New Entry: Beware Of Dog / Lil' Bow Wow | |
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何故か最近妙に多い「Lil」系ラッパー。たいていは本当に小さいとか若いとかなんだけど、こいつの場合は子供。ときどき何が「Lil」なのかわかんない奴もいますが。リル・トロイとか。 なんと6歳にしてスヌープ・ドギー・ドッグにその実力を認められ、今回13歳でジャーメイン・デュプリの全面バックアップを受けてのデビュー。ジャーメイン・デュプリと言えばやっぱり強烈に印象に残ってるのはクリス・クロス。メンバーが当時13歳で、そのプロデューサーであるJDが当時19歳ということで当時かなり話題になりました。で、それから8年を経て、またまた子供ラッパーを連れ出してきました。また13歳。どうもJDは「13歳の男の子」にときめきがちなようです。 リル・バウワウ君は、まあ確かにうまいです。しかし13歳という年齢である以上しょうがいないんですが、声がガキで、ちょっと舌っ足らずっぽさが残ってるので、普通のラップとして聴くのはキツいですね。サウンド的には今時の南部ラップ風で、適度にバウンシー、適度にベースっぽさもあり。なんか、こんなに売れるようなもんでは全然ないと思うんですが、どうもネリーが大ヒットして以来、アメリカの一般大衆の間でようやく南部ラップのブームが始まったような気がします。それも、前から南部の地元で人気を確立してきてるような実力派ではなく、レコード会社がちょっとプロモーションに力を入れれば、それがひょこっとそのまんま売れてしまう、かなりいい加減なブーム。言ってしまえばネリーが売れたのも大手のUniversalがプッシュしたお陰だし、これもJDという大物がバックについてるからヒットしただけでしょう。別に巷の「チャイルドもの」より特に優れてるとかいうわけではないです。 |
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| No.13 New Entry: Greatest Hits / Kenny Chesney | |
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おお。これは意外な健闘。カントリーシンガー、ケニー・チェズニーの初のベスト盤がこんな位置に登場。ポップチャートで特別大きなヒットを出したわけでもないのに、これだけ売れるのは凄いですね。95年でビューで、まだオリジナルアルバムは4枚ですから随分早いベストだという気がします。17曲収録で、いわゆる「ベスト盤」部分は11曲。2曲が過去の作品の再録で、新曲が4曲。 ところでこのジャケはやっぱり「カントリー界のアイドル」ということなんでしょうか... |
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| No.15 New Entry: Brand New Me / John Michael Montgomery | |
| 92年のデビュー以来ほぼ毎年新作を出して、これで8作目の中堅カントリーシンガー。90年代半ばはこのチャートでもかなり上位にアルバムを送り込み、ジョージ・ストレイトやティム・マグロウなんかと並ぶトップ・アーティストという感じがしていたんですが、作品を重ねるごとにじわじわと初登場順位を下げて、最近はトップ10にも入らなくなっちゃってますねえ。 |
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| No.16 New Entry: Aaron's Party (Come Get It) / Aaron Carter | |
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ああ、なんか見てはいけないものを見てしまった気分。アーロン・カーター、16位ですか...。バックスのニック・カーターの弟。12歳。イギリスでは既に何曲かヒットを出して、そこそこ知名度のあるアイドルとして活躍中。 と、プロフィールを書き連ねただけだと、それほど酷いものだという気はしないんですよねえ。やっぱこの声を聞かないと。半端じゃない子供声。昔から小学生ぐらいの子供シンガーってたくさん出てきてますが、こんなに声が「モロに子供」ってあんまりいなかった気がします。インシンクとかバックスとかブリトニーに夢中になっている世代にさえも「子供っぽい」と思われてしまう、ある意味「次世代」のアイドルですね。 そういう意味で、これを買うのは小学生か、せいぜい中学生までだろうと思うので、それだけ限られた購買層にも関らず16位というのは、相当凄いことなんですよ。世代別チャートを作るとしたら、小学生部門とかではぶっちぎり1位でしょう。ルックス的には確かにかわいいので人気があるのはわかるんですが、音楽的にどうのこうの言うような代物ではないということで。 |
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| No.32 New Entry: Primitive / Soulfly | |
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元セパルトゥラのマックス・キャヴァレラが結成したバンドの2作目。セパルトゥラも、このソウルフライもヘヴィメタルに分類される音楽ですが、こいつらが決定的に他のバンドと違うのはそのリズム感覚。ブラジル出身という、この世界ではあまり有利ではない事実を逆手にとって、彼らにしか出せないサウンドに活かしてきてます。 If KoRn is Metallica with a more rhythmic bass player, then Soulfly is KoRn with a more rhythmic drummer. というレビューを見たことがありますが、この表現はうまいです。まあ、KoRnよりはずっとヘヴィメタルに近いと思いますが。 今回も基本的に今までのファンの期待通りの作品でしょうし、逆に、これをきっかけに今まで縁のなかったリスナーをファンに取り込めるということもないでしょう。ヘヴィにゴリ押しするだけじゃなく、リズムを工夫してたり、アコースティックな音使いに気を使ってたり、きちんと丁寧に作ってるのはよく分かるんですが、ブレイクするにはもうちょっと「何か」が欲しいところ。 |
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| No.60 New Entry: Sailing To Philadelphia / Mark Knopfler | |
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元ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーのソロ2作目。知名度は充分にある人だとは思いますが、アメリカでは最後に(ダイアー・ストレイツとして)ヒット曲を出してから15年経ってるわけですから売れないのはしょうがないですね。もともとイギリスを始めとするヨーロッパでの受け方に比べればアメリカでそれほどウケのいい人ってわけでもないし。 基本的には「バンドとしての音の厚みのないダイアー・ストレイツ」といった感じ。←これは全然けなしてるつもりはないです。あの歌声も、ギターの音色も、美しく繊細なメロディも健在。なんか、意外なほど衰えてないので嬉しくなっちゃったりします。もともと若々しくはなかったルックスが、ダイアー・ストレイツより更に顕著に老化が進んでいるのでちょっと危惧しましたが、まあそもそもやってた音楽がオヤジくさかったから、やってた音楽に年齢が追い付いて、やっと年齢相応の音になったというんでしょうか。そのぐらい、何の違和感もなく、しっくり来ます。ダイアー・ストレイツ時代と変わらない上品で繊細な楽曲を、あの頃と変わらないスタイルでやってても見事にハマってる。あれから15年、20年経ってるのに。これはけっこうお勧め。 |
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| No.67 New Entry: Bridging The Gap / Black Eyed Peas | |
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98年デビューの3人組ラップグループの2作目。タイプとしてはトライブ、デラ、ファーサイドあたりに近い感じ。ライムのスタイルがとくに個性的なわけでもなく、サウンド的にも別に新鮮味はないですが、トライブあたりが好きな人ならまず大抵は気に入るでしょう。 プロデュースにDJプレミアやジュラシック5のチャーリ・ツナが、ゲストにワイクリフ、メイシー・グレイ、デラ、モス・デフなんかが参加。 |
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| No.92 New Entry: De Paisano A Paisano / Los Tigres Del Norte | |
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前作もこのぐらいの順位のヒットになった、ラテン系のバンド。このチャートに入ってくるラテン系の人はたいてい、多かれ少なかれアイドル的な要素が人気に結びついた結果売れてる人々ですが、このバンドはアイドル色とは完全に無縁な、ムサいオヤジ軍団6人組。 音は、表現が難しいなあ。ルーツ系と言うほど渋くもないけど、ラテン・ポップと呼ぶにはちょっと癖が強いというか。たぶんこれがチャートインしてきたのって、英語圏の人々も聴いてるから、というよりは、スペイン語圏の人々の間であまりにも圧倒的な人気があるから、その人たちの間でヒットしただけなのにチャートに入ってきてしまった、というのが実態でしょう。 ラテン・ポップと呼ばれるものだけじゃなく、ワールドミュージック的なものまで楽しめる自信があれば、聴いてみてもいいかもしれません。気に入らなかったとしても、チャートに入ってる他の作品とは明らかに毛色が違うので、こういうのも売れてるんだという社会勉強にはなるでしょう。 |
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