Weekly Column
2000/9/12


●Billboard アルバム・チャート ニューエントリー全作品紹介

No.9 New Entry: Trapped In Crime - C-Murder
マスターP、シルク・ザ・ショッカーを兄にもち、その2人と一緒にTRUという名義でもヒットを出しているCマーダーこと島田。98年のソロデビュー作は3位と、好調な出だし。まあ、アルバム自体はいつものNo Limitという感じで、島田自身のキャラも何だかよくわからないままの、全然印象に残らない作品でした。しかし99年のセカンドはあと一歩でNo.1(2位)という売れ方をしたばかりか、内容的にも充実した作品で、これは実はMiller3兄弟の中でいちばん音楽的才能があるのはこいつではないかと思わされました。
しかし、その後色々ありました。何よりも大きいのはNo Limit帝国の没落。スヌープ、ミスティカルというレーベル内で最高の人気と実力を兼ね備えたラッパーを失ってしまった他、中堅メンバーが次々にレーベルを離脱。しかも今までNo Limitのサウンド作りを手懸けていたハウス・プロデュース・チーム、ビーツ・バイ・ザ・パウンドまで解体してしまって音作りにも一貫性がなくなり、もともと高かったとは言えない音楽的な質は、ますます落ちる一方。で、当然ながらもういい加減飽きられてますから、アーティストが自力で固定ファンをつかんでるのを除くと誰も見向きもしない状況になりつつあります。
という極めて厳しい状態でのリリースなので、前作を大きく下回る順位ながら、9位初登場というのは立派な成績でしょう。

しかし売上げだけでなく内容の充実度も前作より大きく後退しており、今回はデビュー作同様「いつものNo Limit」としか言いようのない凡庸な作品。他のNo Limit作品に比べるとレーベル外から多くゲストを迎えているので幾分華やかですが、主役の影の薄さは如何ともし難いですな。
今回、自分で(No Limit傘下に?)レーベルを立ち上げて、これがその第1弾作品となるようですが、実に厳しい船出となりました。
10月には兄貴たち、シルク・ザ・ショッカー、マスターPのソロ作が相次いでリリースされますが、果してどうなることやら。

No.19 New Entry: The Paper Route - Mack 10
何がそんなに不満なんだ、マック10。いっつもぶすーっとした表情。先ごろ結婚したばかりのT-ボズ(TLC)とのツーショット写真でも、T-ボズが満面の笑みなのに対し、マック10は相変らずぶすーっとしてる。そのくせインタビューではノロケまくってたり。これが彼なりのイメージ作りで、意識的にやってるんだとしたら、かなり笑えますが。
LA郊外出身のマック10、これが4作目。アイス・キューブらと共にウエストサイド・コネクションというサイドプロジェクトで活動したり、セカンドぐらいからぽつぽつとヒット曲も出し始めて、そこそこの知名度はあるんですが、シングルもアルバムも大きなヒットはないし、たいして評判にもなってないし、彼独自のライムのスタイルや音楽性があるわけでもないので、いつまでも「そこそこの知名度」のままで来ている感じでしょうか。
この「チャートの下のほうにちょろっと顔を出すだけ」という存在感と、アイス・キューブらの影に隠れがちなところ、そしてあのイジケたような表情が融合して見事に「小物感」を漂わせています。けっこう顔は広いようで色んなところに顔を出してますが、マスターPの最初の映画「I'm Bout It」への唐突な出演には笑いました。全然本編の筋の流れとは関係ない役で登場し、どう考えても後からとってつけたようなシーンになってるのは、単に製作者の編集が垢抜けてないせいだけじゃないでしょう。

サウンド的には説明がちょっと難しいですね。西海岸ラップはだいたいキーボードとか入ったメロディアス系(ドレとかボンサグとか)、トゥ・ショートやDJクイックなんかの生音ファンク系、アイス・キューブ(サー・ジンクス)なんかの打込みファンク系、と大雑把に分類できると思うのですが、その中ではやっぱりキューブに近い感じでしょう。
しかしこのジャケの髪型はいったい...

No.49 New Entry: Crystal Clear - Jaci Velasquez
先ごろの第1回ラテン・グラミー賞でベスト女性ポップ・ボーカルを受賞した人。読み方はジャッキー・ヴェラスケでいいんでしょうか。スペイン語系の名前は読み慣れないのでわかりません。で、ここ数年盛り上がってるラテン系ではあるようなのですが、同時にクリスチャン系でもあるようで、その系統の賞であるDoveアウォードも受賞してたりします。タイトルから判断するに英語作品みたいですが、とりあえずこの人のことはよく知らないので補足情報求む。

No.63 New Entry: Platinum Hits 2000 / Various
「NOW」シリーズがアメリカに進出し、第4弾で遂にNo.1の座を獲得するという大成功を収め、他社も続々とこの手のコンピに追随してますが、Columbia系のコンピがこれ。全体的にR&B系、ダンス系の曲でほぼ固められているという意味で統一感はありますが、時期的にはけっこうバラバラで、最新ヒットから2年ぐらい前の曲までが混在してます。これで何が「Platinum Hits 2000」なんだかよくわかりません。
この手のコンピを買う人って、細かく収録曲を見比べて、どれがベストかを判断して選ぶ人はむしろ少数派で、店頭に並んでるから何となく手にとってみた、という一般人のほうが圧倒的に多いと思います。だから、いかにプロモーションされ、一般に広く知られてるかが勝負。「NOW」はテレビCMで宣伝攻勢をかけたようなのであれだけの成功に結びつき、あまり宣伝されてないこれは全然売れない、という差に現れるんでしょう。ヒット曲コンピってのは収録されてるアーティストの知名度やヒット度合で決まるのではない(ある一定の基準をクリアしてることが前提)ということは、コンピを作り慣れてるイギリスのレコード会社はよぅくわかってるはずですが、アメリカのレーベルはまだこういうのを作り慣れないので、ただ単にヒット曲満載の豪華なコンピを作ればそれでOKと勘違いしてるんでしょう。
収録曲は:

1. Say My Name (Maurice's Bass 2000 Mix) - Destiny's Child
2. Maria (Spanglish Radio Edit) - Ricky Martin
3. Doo Wop (That Thing) (Radio Edit) - Lauryn Hill
4. Freakin' It - Will Smith
5. You Sang To Me (Radio Edit) - Marc Anthony
6. Fortunate (The Naked Uncut Remix) - Maxwell
7. I Wanna Love You Forever (Soul Solution Remix Radio Edit) - Jessica Simpson
8. Crash And Burn (Radio Edit) - Savage Garden
9. Bring It All To Me (Main Version) - Blaque
10. Bounce With Me - Lil Bow Wow
11. Let's Get Married - Jagged Edge
12. Shackles (Praise You) - Mary Mary
13. Don't Call Me Baby (Original Mix 7") - Madison Avenue
14. A Puro Dolor (Version Balada) - Son By 4
15. Lullaby - Shawn Mullins
16. I Think God Can Explain (Radio Version) - Splender
17. Don't Give Up (Original Radio Edit) - Chicane Featuring Bryan Adams

全体的にシングルバージョンが多いので、まあそういう意味ではちょっと便利かな。



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