Weekly Column
2000/8/15


●Billboard アルバム・チャート ニューエントリー全作品紹介

No.13 New Entry: The Big Picture / Big L
ニューヨーク・ブルックリン出身のラッパー。売れたのはこれが初めてですが、残念ながらもう故人です(逆に、亡くなったから売れたんでしょうが)。
ショウビズ&AG、バックワイルド、O.C.、ファット・ジョーなど、ニューヨークのかなり玄人受け/マニア受け系ラップ集団・D.I.T.C.(Diggin In The Crates)のメンバーだったビッグL。D.I.T.C.のメンバーの作品にゲスト参加してきたのが主な活動歴。ソロアルバムも1枚出してますが、商業的にはまったく売れず、99年にジェイZのRoc-A-Fellaと契約したことで、ようやくこれから売れるかな、と思われた矢先でした。
今年の2月に地元ブルックリンで9発の銃弾を浴びて死亡。D.I.T.C.による追悼ライヴが行われ、日本ではライヴ盤がリリースされていました。
D.I.T.C.はアメリカのラップファンよりも日本でのほうが人気、知名度ともに高いのではないかと思えるぐらい、日本のヒップホップファンの間では崇められている存在。日本でしか出てないアルバムもあるし、日本先行発売は当り前。派手なサンプリングとか全然使わず、あくまでも正統派でドープな音作りを追求する職人的な姿勢(とその実力)がウケて、ギャングスター(DJプレミア)とファン層が重なるんだろうと思います。
初めてこの手のを聴くにはちょっとつらいアルバムかもしれませんが、かと言ってこの辺の音で入門盤向きというのもあまり思い付かないので、興味のある人は聴いてみましょう。私は結構気に入りました。

No.19 New Entry: Burn / Jo Dee Messina
女性カントリーシンガー、ジョ・ディー・メッシーナの3作目。前作からは「おいおいまだ出るか」というぐらいカントリーチャートで延々とヒット曲を出し続けて、若手とは言えかなりのステータスを築いていたはず。更に、いわゆるカントリーよりはかなりロック/ポップ色が強くて、カントリー・ファン以外にも聴き易いということもあるので、今回はかなり売れるんじゃないかと予想したんですが...それほどでもなかったですね。
この人のバックには今やカントリーのトップ・スターであるティム・マグロウがついていて、今回もプロデューサーとして絡んでます。
実際アルバムを聴いてみると、そんなに大ヒットするような作品とは思えず、ちょっとこの順位に納得。でもまた(カントリーチャートでは)シングルヒットを連発するのかな。ちなみにタイトル曲はディープ・パープルのカバーではありません (^^;

No.61 New Entry: Coyote Ugly / Soundtrack
何と言ってもリアン・ライムスの新曲4曲ってのが目玉。これが全曲ダイアン・ウォーレン作ということで、この戦略が吉と出るか凶と出るか。しかし凄いのはそれ以外の収録曲で、SNAPの「The Power」とかEMFの「Unbelievable」とか、インエクセスの「Need You Tonight」とか。ドン・ヘンリーが入ってると思ったらよりによって「All She Wants To Do Is Dance」だし。10年前のダンス系ポップ/ロック。映画の時代設定が10年前なのか、当時を懐かしむような内容なのか。10年前を象徴する曲が「The Power」ってのも情けない限りですが、まあ確かにそういう時代だったからなあ。
ちなみにリアンもちょい役で出てるという映画のほうは「Coyote Ugly」という名前の、女の子ばかりが店員のバーで繰広げられる物語?のようです。

No.63 New Entry: Vavoom! / The Brian Setzer Orchestra
2〜3年前のスウィング・ブームってどこ行っちゃったんでしょうねえ。チェリー・ポッピン・ダディーズとかスクイーレル・ナット・ジッパーズとか全然ヒットが続かないし。アルバムをトップ10入りさせて、当時のスウィング系バンドではいちばん売れた感のあるブライアン・セッツァー・オーケストラも、随分長い間沈黙してたこともあって、すっかりブームが跡形も無く消え去った頃に新作が登場。で、案の定売れませんでした。日本には昔からストレイ・キャッツ〜ブライアン・セッツァーの固定ファンが多いので、前作がヒットしたかどうかに関係なく、今回も売れたんでしょうけど、アメリカではこの手の音って単なる一過性のブームだと思われてるんでしょうね。

No.68 New Entry: Rancid
エピタフ所属のパンクバンドの5作目。非常にキャッチーな楽曲やヨレヨレのボーカルがクラッシュにそっくりで、更に3作目、4作目でぐっと音楽性を拡張させて色んなことに果敢に挑戦しはじめたので、ますます「London Calling」から「Sandinista!」の頃のクラッシュを彷彿とさせる存在でした。あくまでもサウンドだけの話で、バンドに政治色は皆無だし、歌詞もランシドのほうは大したことは歌ってませんが。
しかし今回は初心に戻りました。タイトルもファーストアルバムと同じく、シンプルにバンド名だけをつけて、内容的にも速くて短くてストレートなパンク・ナンバーばかり。22曲収録で約40分。色んなことをやってみて、また基本に戻ってくるというところは、「Combat Rock」以降迷走しまくったクラッシュの二の轍を踏まなかったという意味で偉いです。こういういいバンドが生延びていく教訓を得たんだから、クラッシュも無駄死にじゃなかった、と。
ブレイク作となった3作目「...And Out Come The Wolves」、4作目「Life Won't Wait」に比べるとメロディアスなところがやや後退し、曲調もスピード感のあるパンク・ナンバーばかりということで「聴き易さ」ではかなり後退したかも。このバンドにハードコアなところを求める人にはいいアルバムでしょうが、日頃もっとポップなのを聴いてる人には、ちょっとキツいアルバムかも。そういえばメンバーはインタビューでやたら自分たちの今回の音を「ハードコア」だと表現してました。それにしても、日本では随分売れてるみたいですねえ。

No.112 -> No.96 : No Angel / Dido
今ちょっと静かなブームになっている人。大都市とか、ネット通販とかではアメリカでもけっこう売れてます。
イギリスの女性シンガー。クラシック音楽をちゃんと勉強してきた人のようです。自分のアルバムはこれが初めてですが、一昨年イギリスのプレスで非常に高い評価を得たフェイスレスのアルバム「Sunday 8:00 PM」にシンガーとしてフィーチャーされてました。実はフェイスレスのメンバーの妹(姉?)なんだそうで。
で、発見。実はこの人、エミネムのアルバムに参加してました。「The Marshall Mathers LP」の、6分半に渡って静かに狂気が渦巻くアルバムのベストトラック「Stan」で、ちょっと物憂いボーカルを聴かせていた人。これはおいしいなあ。いいお披露目だわ。



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