Weekly Column
2000/7/11


●Billboard アルバム・チャート ニューエントリー全作品紹介

No.3 New Entry: Country Grammar / Nelly
リル・キムを上回る順位で、もうちょっとでブリトニーを破るセールスでいきなり初登場してきたネリー。誰それ? 正解はセントルイス出身の20歳のラッパー。ノー・リミット軍団、キャッシュ・マネー軍団がニューオーリンズ出身で、ダラス・オースティンらがアトランタ勢を続々とチャートに送り込み、他にもリル・トロイ、トリック・ダディなど南部ラッパーが次々にチャートに登場していますが、彼もその一人。セントルイスは実際には「南部」とは見なされてないようですが、音楽的には南部ラップの影響がいちばん強いそうで、ネリーの音もそれ風。最近「バウンス」と呼ばれてる系統の音に近いですね(ミラクルの「Bounce」がその代表曲)。
もともとセント・ルナティクスというグループの一員としてローカルで人気を確立し、今でもこのグループのメンバーではあるそうで、本人曰く「まあホット・ボーイズみたいなもんだ」とのこと(グループとソロ活動を平行してるという意味)。今後グループとしてのアルバムも出すようです。
シングルチャートでは一足早く「(Hot S**t) Country Grammar」がヒットしてましたが、こんなのシングルが一曲売れるだけで消えていく馬の骨だろうと思ってたので、このアルバムのヒットぶりには驚きました。なお、タイトルの「Country Grammar」とは、彼の地元であるセントルイスについて「セントルイスってのは田舎で、都会とはしゃべり方も、行動も、ファッションも違う。それが俺達のやり方だ」というのをrepresentしたかったそうです。

No.4 New Entry: Notorious KIM / Lil' Kim
リル・キムの2作目。1年ぐらい前から発売が予告されては延期を繰返し、とうとう1年も延びてしまいました。ラップではこういう「発売延期」って日常的なことですが、ここまで延びたのは珍しいですね、最近の人だったら1年あれば次のアルバム出しちゃいますからね。
ダーティなライムのビッチ・ラッパーとして名高い彼女は今回もビッチぶり全開で、この物怖じしない堂々たる態度は既に大物の風格を漂わせています。
ただ、キャラクター的には面白いんだけど、音楽的にはそんなに面白いわけでもないので、何百万というセールスの大ヒットにはならないでしょう。
アルバムタイトルはもちろん、彼女の親分であり、元恋人であったノトーリアスB.I.G.を意識したもの。ビギーはアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーとしても、パフ・ダディ、リル・キム本人と並んでクレジットされてます。

No.5 New Entry: Mirror Mirror / Kelly Price
R&Bシンガー、ケリー・プライスの2作目。バックアップ・シンガーとしてキャリアを積んだ後ソロデビューし、その歌いっぷりとルックスから早々と「本格派」として受入れられてました。
アルバム先行シングルとなった(実際にはサントラからのカットで、このアルバムではボーナストラック扱い)大勢のゲストを迎えたオールスターキャストのシングルが全然ヒットしなかったので、この人もセールス的には一発屋で終っちゃうのかな、と思ってたんですが、余計な心配でしたね。R&B系ラジオでは既に次の曲「As We Lay」がヒット中。そう、あのザップ・ファミリーの、シャーリー・マードックのカバー。そうかー、久しく聴いてませんが、いいシンガーだったなあ、シャーリー・マードック。「As We Lay」が入ってるやつの次のアルバムは名作ですよね。どのアルバムも質は高いですが。
ケリー・プライスは、アップの曲でもシャーリー・マードックほどの軽快さが表現できないところがちょっと弱いですが、スローな曲での表現力ではシャーリーに並ぶレベルかも。しかし今回は減量に成功したのがよほど嬉しいのか、ジャケからブックレットの中に至るまで、やたら顔のアップの写真が多いのが印象的。「顔のアップにしておけば体は写らないで済む」作戦だとの説も有り。

No.45 New Entry: Layzie Bone Presents Mo Thugs III - The Mothership
モー・サグス・ファミリーとは、ボーン・サグスン・ハーモニーのメンバーとその子分たち。で、いくつかのグループを寄せ集めて、どちらかというとその子分たちを前面に出してやってるのがこのコンピレーション。ボンサグ自身がイージーEに世に出してもらったことをすごく感謝する発言を繰返しているので、こうやって無名グループを世に紹介しようというコンピをコンスタントに出してくるのは、何か微笑ましいですね。
しかし実はボンサグ本体はけっこうガタガタしてるようで、今回もタイトルに「Layzie Bone Presents」と謳われて彼の単独行動ということになってるし、ビジー・ボーンはすっかり他のメンバーとの亀裂が深まってるみたいだし、こないだのアルバムもそんなに悪い内容じゃないのに全然売れなかったし(初登場順位は高かったけど全然売れ続けなかった)、そろそろ解散の危機でしょうか。全米No.1シングル&全米No.1アルバムをもつ数少ないラップグループなんですけどねえ。いや、というか、今考えてみたんですが、他にはクリス・クロスだけ?

No.53 New Entry: Def Squad Presents Eric Onasis
デフ・スクワッド名義である上にエリック・オナシスという変名を使ってますが、要はエリック・サーモンのソロアルバム。EPMDの二度目の解散を経て再びソロになったエリック・サーモンは自分のレーベルを立ち上げたものの、自分はアーティストとしてはDef Jamと契約しているので、Def Jam以外から出すレコードには「エリック・サーモン」という名前は使えないという契約条項を逃れるために「エリック・オナシス」という変名を使ったそうです。ただ、同じく本来は契約上使えないはずの「デフ・スクワッド」という名前は特別に使っても良いとラッセル・シモンズの了解を得られたので、こういう名義になったそうで。
何だか拍子抜けするぐらい印象に残らないアルバムなので感想を書こうにも、何も書くネタが思いつきません。昔のEPMDはめちゃかっこよかったんだけどなあ。

No.63 New Entry: Fortress / Sister Hazel
90年代にシングルをヒットさせ、アルバムはあまり売れなかったロックバンドというのは、ほとんどが次作でセールス的に惨敗して消えて行きますね。ディッシュワラとかセヴン・マリー・スリーとかスペースホッグとかヴァーヴ・パイプとか今何してるんでしょう。
今挙げたバンドよりはだいぶ土臭い系の音で、レコード契約がなくても、いつまででも細々と全米ツアーを続けてそうなのが、このバンド。97年のセカンドアルバム「Somewhere More Familiar」からシングル「All For You」がかなりロングセラーのヒットになりましたがアルバムはたいして売れず、その後のヒット曲も続きませんでした。いわゆる一発屋という奴ですね。
しかし今回のジャケやタイトルは今までのイメージとは随分違う感じ。音のほうはどうなってるんでしょう?

No.65 New Entry: High Society / Kottonmouth Kings
カリフォルニア出身の白人ラップ・グループ。で、なんと、全曲がマリファナネタらしい。サイプレス・ヒルも2作目ぐらいでかなり徹底してマリファナ賛歌をやってたけど、アルバム全曲がこのネタで占められるってのは凄い。
ラッパー3人+DJという編成で、「白人でまともにラップできるのはエミネムだけじゃないぜ!」という感じでけっこう熱い支持の声が多い。サイプレス・ヒルのセン・ドッグやインセイン・クラウン・ポッセがゲスト賛歌。

No.65 New Entry: EBK4 / Brotha Lynch Hung
「Season Of Da Siccness」というアルバムがかなり評判が高かった西海岸のラップグループ。今回は既発表曲が6曲ぐらい入ってる中途半端な作り故にあまり評判はよくないようです。
いわゆる「ホラー・コア」というかなりニッチなジャンルに入るグループで、「彼らはラップ界のエドガー・アラン・ポーだ」とかいう凄い褒め言葉を見たことがあります。



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