Weekly Column
2000/4/4


●Billboard アルバム・チャート ニューエントリー全作品紹介

No.1 New Entry: No Strings Attached / 'N Sync
発売第1週に2,415,859枚を売って(←この数字、どこまで正確なんだか)、新記録を樹立してしまった*N SYNCの3作目のアルバム(2作目はクリスマスアルバムなのでそれをカウントせずに、これを2作目と呼ぶほうが一般的)。91年に現在のSoundScanという集計方法が導入されて以来、1週間で100万枚売れたアルバムは、3枚しかありません。ホイットニー・ヒューストンがメインとなる「The Bodygurad」のサントラ(これだけは初登場の週ではない)、98年末のガース・ブルックスの「Double Live」、そして昨年のバックストリート・ボーイズの「Millennium」。この中でもトップの成績だったのが「Millennium」で、発売第1週に113万枚を売っていました。
で、今回インシンクが242万枚。発売初日だけで110万枚を突破し、あっさりとBSBの記録を抜いてしまいました。中にはこの速報ベースの数字を根拠に「1週間で400万枚を越えるのでは?」などという憶測を流すメディアさえありました。やっぱりアイドルだけに、若者たちが今春休み中、ってのがこの圧倒的な瞬発力の主要因でしょう。ブリトニーは5月、BSBは秋に新作が出るようですが、それぞれ学校の長期休暇中ではないので、インシンクに匹敵する瞬間最大セールスを記録するのは相当難しいでしょう。

で、記録絡みはこんなもんで、内容ですが... 私にこれを誉めろというのは酷ですねえ (^^; 何だかもう、聴いてて、全然自分なんかターゲットにされてないな、とありありと分ってしまうのが辛いです。BSBの「Millennium」はすごく素直に楽しめて、非常に良く出来たアルバムだと感心しましたが、これはダメでした。女性リスナーからのご感想をお待ちしています(面白ければここに載せます)。

ところでこのタイトルとジャケの絵(更にビデオクリップ)って、「俺達はあやつり人形じゃないぜ」っていう主張なんですか?最初「Strings」を楽器のストリングス(弦楽器群)のことだと勘違いしていた私は「そうか、ストリングスを使わずに全部アップテンポのダンス・ナンバーなのかな」などと思い込みつつ試聴機に向ったので、1曲目のイントロでいきなりストリングスが流れてきて「思いっきり使っとるやんけ!」と勝手に怒ってました (^^;

No.3 New Entry: War & Peace Vol.2 - The Peace Disk / Ice Cube
98年末の「Vol.1」に続く、二部作の完結編。ラッパーとしては人気が下り坂でだんだん現役感がなくなってきていたアイス・キューブですが、何か最近復活してますね。
Dr.ドレが復活したことで最近西海岸ラップが再び活気付いてるようで、今月号のSOURCEの表紙はドレ、スヌープ、キューブの揃い踏み。で、単に周りが盛り上ってるだけじゃなくて、みんなそれ相応の質の高い作品を出してます。ドレの「Chronic 2001」はやたら売れてるし、SOURCEが実に的確に表現していたように「ドレのラップを除けば完璧なアルバム」だし、スヌープの「No Limit Top Dogg」もアルバム全体としては今いちながら、ドレとコラボレートした曲などは、まだまだこいつはやってくれそうな予感を感じさせるに充分でした。
そして、この3人の中でいちばん「終ってる」感の強かったキューブ。制作から出演まで全面的に手がけた映画「Friday」が大ヒットし、その続編「Next Friday」も興行的には成功しました。が、映画界での成功と反比例する形でラッパーとしての活動が質・量ともに低下し、時々サントラに提供する新曲がえらいカッコ悪い曲でがっかりさせられる、なんてことがこの5年ぐらい続いてました。
しかし、こないだのヒット「You Can Do It」が久しぶりにまともな曲だったのに続いて、このアルバムもかなり聴ける内容に仕上りました。とんがってる印象のあるキューブと、メロウなイメージのクレイジー・ボーンとの共演なんてのも実にいい感じに仕上がってます。

No.4 New Entry: Reinventing The Steel / Pantera
中堅ヘヴィメタルバンド、久々の新作。メタルとは言っても次々に転調する曲展開、叫びまくるボーカルなど、いわゆる従来のヘヴィメタルのイメージとはだいぶ違いますが。
94年ぐらいから急に大物感が漂いはじめ、この世界では確固たる存在感を築きましたが、このところ沈黙していたので勝手にもう人気も落ち目なのかと思い込んでました。しかしこの音でこの大ヒットってのは見事ですねえ。好き嫌いは別として、誰がどう聴いても売れる音楽じゃないでしょう。前作は突然「うぎゃー!!!どかどかどか」((c)けい氏)と始まる、初心者を思いっきり引かせるのに充分な激しいオープニングだったんですが、今回は案外普通なオープニング。最近ヘヴィロックがよく売れてることもあるし、俺もこういう音に免疫がついたかな、と聴き手に思わせておいて、1分ぐらい経つとやっぱり「うぎゃー!!!」が出ます。KoRnとかじゃ物足りない人向け。

No.8 New Entry: World Wrestling Federation - Aggression / Various
割と最近「WWF4」を出したばかりのWWFから、ちょっと変則的なアルバムが登場。まず、WWFというのはバンド名でもミュージシャンの名前でもありませんし、このアルバムにも音楽的な貢献は何もしてません。タイトルにある通りWorld Wrestling Federation - プロレス団体です。
で、今までの「WWF4」とかは各レスラーの入場テーマ曲集だったんですが、今回のはそのテーマ曲をベースにヒップホップ系アーティストが一人一曲ずつ担当し、アレンジしたもの。単に元となる曲のフレーズを部分的にサンプリングしてるだけのが多いので、WWFのファンよりは参加してるラッパーのファンが聴くべきものですね。私は両方のファンなので選択の余地なしで「買い」ですが。
しかし参加してるラッパーは、日頃からヒップホップを好んで聴いてる人なら馴染みのある名前が多いですが、あんまり「超一流揃い」という感じでもないので「面子買い」するにはちょっとキツいかも。


No.15 New Entry: Irv Gotti Presents The Murderers
アーヴ・ゴッティってのはジャ・ルールなどを手がけたプロデューサー。で、そのジャ・ルールなど男女5人組がマーダラーズ。言わばラフ・ライダーズとかホット・ボーイズみたいな「軍団モノ」ですね。
何しろグループ名が酷いの各方面からの圧力があったらしく、何度も発売延期を繰返した末、ようやく発売されました。当人たちは「圧力をかけられて発売延期を余儀なくされた」ことを逆に売り物にしていて、最新の雑誌広告でも、発売予定日が何度も塗り替えられて、ようやく発売!俺達は圧力に屈しなかったぜ!みたいな書きぶりです。
ジャ・ルールのヒット「Holla Holla」もサビで「〜It's Murder」とか言ってるし、アーヴ&ジャがゲスト参加したメンフィス・ブリークの曲もMurderなんたらとかいう曲だし、この連中はやたら「Murder」にこだわるので、非常にコケ脅し感が強いんですよねえ。本人たちはそれが硬派でカッコいいことだと思ってるんでしょうが、ハタから見ればMurder、Murderと言って騒いでるのは相当頭悪く見えて逆効果だと思うんですが。

No.33 New Entry: The Baddest B***h / Trina
タイトルの伏字はもちろん「Bitch」。リル・キムを越えたとも言われる最悪のダーティ・ライムで評判になってる女性ラッパー。で、これが、なんとまた、トリック・ダディをヒットさせたSlip-N-Slideレーベルから。J-シンがヒットしたときは冗談半分で書いたんだけど、本当にブレイクしてますね、このレーベル。マイアミのインディ・レーベルとしてはLuke (Skyywalker)以来の成功でしょう。
で、南部の田舎インディレーベルだとナメてると大間違いで、このアルバムからカットされた曲のビデオクリップはめちゃめちゃ金かかってます。トリーナが元彼氏に復讐するという設定で、彼の家にある高級品を片っ端からぶっ壊すんだけど、モノが壊れるたびにそのモノの値段が画面の下のほうに表示されるのが笑えます。まあCG使ったりするよりはよっぽど安上りなんでしょうけど、「金かけてるなあ」と思わせるには充分ですね (^^)
しかしライムの凄さでリル・キムに勝てても、こいつはルックスが悪いのでリル・キムみたいなセンセーショナルな存在にはならず、アングラな存在感のまま行くものと思われます。

なお、このトリーナは、トリック・ダディの「Nann Nigga」にフィーチャーされてた奴とは同一人物ですが、昨年ヒットを出したトリーナ&タマラ(通称・鳥玉)のトリーナとは別人です。

No.46 New Entry: Purpose By Design / Fred Hammond & Radical For Christ
やっぱりこれはグループ名から判断してコンテンポラリー・クリスチャン系のバンドなんでしょう。いつも思いますが「クリスチャン」などというジャンルが存在してしまうこと、音楽のタイプに関係なく色んなバンドがそのジャンルの中に一まとめにされてしまうことなど、日本では全然実感が湧きませんね。特に無宗教人の私にとって不思議なのは、キリスト教ネタだけでそんなに何曲も歌詞が書けるのか?ということ。まあ牧師が説教に使うネタみたいなもんでしょうか。クリスチャン系バンドと言えども、持ち歌が全曲キリスト教絡みってわけじゃないでしょうけどね。シックスペンス・ナン・ザ・リッチャーの「There She Goes」カバーの件もあるし(←実はこの歌詞って相当問題あり)。

No.81 New Entry: Latter Days - The Best Of Led Zeppelin Volume Two / Led Zeppelin
何を今更、のレッド・ツェッペリンのベスト盤第2弾。まあ、確かに今まで彼らはボックスセットを出したり、そのダイジェスト版の2枚組を出したりはしてきたものの、1枚モノのベストはなかったので、「初のベスト盤」と言えなくはないですが、今回も結局2枚に分けただけなので、前に出た2枚組と何が違うかと言うと...。
しかしZEPは音楽性が幅広いし、後期は長い曲が多いのでベスト盤とかにすると曲数が少なくなっちゃうし、収録曲数を増やすために長い曲を削るとZEPの神髄はわからないし、各アルバムごとにカラーがあるのでそれをベスト盤としてごっちゃにすると雰囲気がわからなくなっちゃうし...ということで、オリジナルアルバムで聴くべきでしょう、やっぱり。私は1stと「Houses Of The Holy」が非常に好きですが、一般的には「II」「IV」が基本アイテムでしょうね。後期ではやっぱり「Presence」?「Presence」と言えば、あのジャケの絵にはいったい何の意味があるんでしょうか。あのジャケを知って以来10年以上も謎のままなんですが。

で、その後知ったのですが、このアルバムは「未発表映像」が入ってるのが売りらしいです。「Kashimir」のライヴ映像でしたっけ?曲は忘れました。これは既に全作品を持ってるマニアも買わざるを得ないですねえ。ズルい商売ですねえ。

No.82 New Entry: Aquarius / Aqua
「Barbie Girl」で鮮烈にデビューしたアクアの2nd。前作が「Aquarium」で今回が「Aquarius」と、グループ名にちなんだタイトルをつけてきてますが、これで思い出すのはエイジア(Asia)。「Asia」「Alpha」「Astra」...と、「Aで始まりAで終る一単語」のシリーズ物でした。「Aqua〜」という単語は数が限られてるのでネタ的には苦しいですが、どうせグループそのものがそんなに長続きしないでしょうから余計な心配は無用でしょう(←暴言)。

今回もシングル「Cartoon Heroes」はポップないい曲だし男のボーカルは相変らず頭の悪さ全開だし、前作があんなにヒットしたのに今回は82位?という感じがしますが、ロクセットにしろエイス・オブ・ベースにしろ、ポップ・バンド(しかもアメリカ人ではないと尚更)というのは一旦飽きられると、どんなにいい曲と作ろうとも後は下り坂を転がり落ちるだけ、という宿命にあるので、少なくともアメリカのチャート上では今回で彼らとお別れでしょう。日本は非常に義理堅くこういうバンドを支持し続けてあげる傾向にあるので、まだしばらく名前を聞くでしょうけど。

No.89 New Entry: Both Sides Now / Joni Mitchell
ベテラン・シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの新作。70年代前半にフォーク的な音楽をやってた頃はトップ5に入るようなアルバムを何枚も出してましたが、80年代以降は地味になりました。それでもコンスタントに活動を続けていて、近年また高い評価を得るアルバムを出したりしてます。まあ、最近はあくまでも「評論家受け」であって、セールスは相変らず地味ですが。
今回のタイトル「Both Sides Now」は実は彼女の初期の代表曲と同じ名前で、やっぱりそれなりに気合の入った作品なんだろうと感じさせます。
...と、すっかり純粋な新作だと思い込んでいたのですが、オーケストラをバックに自分の昔の曲やカバーなども歌った企画モノだそうです。



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