Top40 New Entries June.2000-July 2000

Where I Wanna Be / Donell Jones (Untouchable/LaFace)

ベビーフェイスのラフェイスレーベルと契約したのが95年、そして今回のアルバム「Where I Wanna Be」がまだ2枚目というんだから、どういう契約内容だか知らないけどかなりVIPな扱いを受けているドネル・ジョーンズ。実は今回のアルバムも発売されたのは去年の6月だし、1年たってやっとアルバムタイトル曲を第2弾シングルカット。 瞬く間に消費されていくヒップホップ系アーティストとは異なりラフェイスは大事に本格的R&Bアーティストを育てていきましょう、ということなのでしょうか?でも大騒ぎしたトニ・ブラクストンとの一件やTLCとのことを見て、そうとも思えないんだけど・・・。そもそも彼はアッシャー、シルク、ブラウンストーン、702などに曲を提供したりプロデューサーとしての手腕を発揮していて、その能力をベビーフェイスに高く買われて契約したのだそうです。もしかしたらベビーフェイスは是非とも自分の懐刀として彼を欲したのかも知れませんね。ところが今回の曲の歌詞はちょっと何かを暗示しているようです。幼い時から一緒にいた男と女の話なんだけれども、男が真剣に自分の人生を考え始め、女の元を離れようとするストーリー。こりゃあ、懐刀どころか諸刃の剣かも・・ううむラフェイスはまたひと波乱あるかもしれません。(田鍋)

(Hot S**t) Country Grammar / Nelly (Fo'Reel)

問題です。ネリーとクリスティーナ・アギレラの共通点は?正解はルックスがいいこと。じゃなくて、父親が米軍関係者なので、幼い頃に父について世界を転々としていたこと。テキサス生まれのネリーは、スペインなどに住んでたりもしたが、物心ついた頃にはセントルイスに落ち着いていた。93年頃から本格的にラップに興味を持ち始め、高校のクラスメート5人とセント・ルナティクス(St.Lunatics)というラップグループを結成する。このメンバーで12インチシングルを初レコーディングするが、これが地元セントルイスのヒップホップ専門ラジオ局のチャートでナンバー1となるなど大成功。メンバーたちはネリーの才能をリスペクトし「お前はもっと注目されていいはずだ」とソロ活動を勧める。と、とんとん拍子に大手ユニヴァーサル(の傘下のレーベル)との契約をゲットしてしまった。99年にリリースされたこのシングル、じわじわと支持層を広げ半年以上かけてようやくTOP40入り。そればかりか、なんとデビューアルバムが発売第1週で25万枚以上を売ってアルバムチャートで初登場3位!! リル・キムやケリー・プライスの新作よりも売れてしまったばかりか、その後しばらく上位に居座るという大ヒットとなった。普通、ラップ系のアルバムが突然ぽーんと売れる場合、一般レベルではあまり知名度がなくても、熱心なラップファンの間では以前からよく知られていた、というケースが多い。しかしネリーの場合全然そういう感じではないのが異色で、ヒップホップ専門雑誌でもまだ情報不足のためか、簡単なバイオを紹介する程度の記事しか見掛けない。“I'm rappin' the blues. I like to think of my music as jazz side of hip-hop”などといかにも自分の音楽性が渋いものであるかのように言っているネリーだが、実態は何のことはない、単なるバウンシー系南部ラップである。バウンスはここ1年ぐらいの新しいムーヴメントで、かつての南部ラップの代名詞だったベース・サウンドに“南部色を取りいれたNYの音”であるスウィズ・ビーツ系や、マニー・フレッシュ(CA$H MONEY)系の音をミックスしたような音。ベース物はビートが一本調子なのに対し、バウンスはその名の通りちょっとハネる感じで、ややファンク色があるのが特徴。ミラクルの「Bounce」がこの分野の代表曲か。で、タイトルの「Country Grammar」って何?オフィシャルホームページ( http://www.nelly.net/) にその答がある。「セントルイスってのは田舎だからね。しゃべり方も、行動も、ファッションもみんな田舎風なんだ。でも俺はアメリカ中にセントルイスをrepresentしたいんだ。そのうち俺は自分のレーベルを持って、地元のアーティストをどんどん紹介していくつもりだ。もうこれ以上田舎者扱いされないぜ」ちょっと質問と答えがずれてる気がしないでもないが、デビューしたばかりの20歳の田舎者ラッパーにしては頼もしいお言葉。ユニヴァーサルもかなり力を入れてプッシュしてるようだし、見る人が見ればルックスもかなりイケてるようなので、これで一気に人気者になるのだろうか。同じユニヴァーサルがプッシュしているラッパー、ミラクルはミスティカル系のガナりラップで、音を聴いてる分にはこっちのほうがずっと面白いので、併せて注目。(しんかい)

Let's Get Married / Jagged Edge (So So Def)

ジャーメイン・デュプリが「俺もボーイズIIメンみたいなグループを作りたい!」と言ったかどうだか知らないが、彼の燃えるプロデュース魂が入りまくり、ジャギッド・エッジの第2弾アルバム「J.E. Heartbreak」からの季節物シングルカット第2弾はこの「結婚しようよ」。当然ジューン・ブライド狙いで4月末くらいからプロモ盤が出回りはじめ、コマーシャル・シングル発売に向け着々と計画は進行。6月頃にチャートの上位に食い込んだとみるや、最高のタイミングでシングルカットし爆発的ヒット!ああ、笑いが止まらない!!と皮算用した関係者は多かったはず。しかし意外にも6月のエアプレイはそれ程でもなく、あれ、おかしいな?とモタモタしているうちに月が明けてしまったので7月にMaxiシングルを急遽リリース。や、やばい・・こんなはずでは・・・。如何にも、なところが独身DJ達に嫌われてエアプレイが伸びなかったのでしょうか。しかし遅れはしたものの、シングルカットしてみるとすごいジャンプアップで現在11位(7月29日付チャート)。終わり良ければ全て良し。普通にCDを購入する大衆はやっぱり飛びついてくれたようです。変にエアプレイ作戦なんかしないで素直に4月頃にCDシングル発売すりゃよかったんだよ。もう。(田鍋)

Absolutely (Story Of A Girl) / Nine Days (550 Music)

7月22日付のシングルチャートでは、何とロックバンドがTOP10に4組もチャートイン。いつの間にか世の中バンドブームである。アイドルブームの反動か今年に入って急激に増殖している"歌えるロック"、そのうちの一組ナイン・デイズ(本当に最近は数字のついたバンドが目立つ)は、活動停止中のセリーヌ・ディオンの空白を埋めるべく550ミュージックが送り出したロングアイランド出身の5人組。人気TVドラマ「ドーソンズ・クリーク」のエピソードに「Absolutely」が用いられてブレイクのきっかけとなったが、これはシックスペンス・ナン・ザ・リッチャーやジェシカ・シンプソンと同じパターン。日本では当たり前だが、今後はドラマとのタイアップがヒットに大きく関わってくるかもしれない。さてバンド自体の音楽性はシンプルなギターバンド。80年代のバンドが持っていたフックを目指しているとメンバーはコメントしているが、確かにコーラスを強調した構成は覚えやすく歌いやすい(しかし飽きやすい)。最近では一部のインダストリアル系以外には用いられなくなった80'sニューウェイヴ的なシンセサイザー(っぽい音色)はギターバンドとしては珍しく、この曲のアクセントとしてよく機能している。キーボーディストのジェレミー・ディーンはシンセだけでなくハモンドやメロトロンも駆使するらしいが、アルバムではそれほど弾きまくっていないのがちょっと残念。(松本)

She's More / Andy Griggs (RCA (Nashville))

カントリー界では今や美しい女性たちが大活躍。「ああ、僕のシャナイア!フェイス・ヒル!!」と音楽とは別次元で彼女たちを渇望する男性ファンも多いだろう。当然ながら、同じような女性ファンもいるはずである。だが彼女達の面前に現れる男性カントリーアーティストは、皆どこかむさ苦しいテンガロン・ハットの小太りシンガーばかり・・。理想とは程遠い・・・。ところが、そんな不毛な西部の荒地のような状態に白馬の王子がさっそうと現れたのだ。「きゃーアンディ様!!」グランジ系ロック風の憂いの漂う悩めるブラウンの瞳が、君をとらえて離さない。ああ、OK牧場での午後のアバンチュール・・。彼の第3弾シングルを聞いてくれ。「俺はいろいろと理想の女性を夢見ていた。彼女は夢描いていた女とは違うが・・彼女は・・俺の理想以上の女だ・・・。」ああ、なんと罪深き殺し文句よ。ギターコードG-D-G-Dの循環があなたを夢心地へと誘い、そしてしっとりとした曲調が彼の甘い口元とセクシーな喉仏から奏でるヴォイスと相俟ってドリーミーな気分を演出する。昨年はアラン・ジャクソン、ウィリー・ネルソン、ハンク・ウィリアムスJr.と一緒にツアーを行い彼のバンド、ワード8と演奏することの喜びを改めて味わったアンディ。今夏は一回り成長しついに単独ツアー「The Lonely Tour」を決行。この夏アンディがア・ツ・イ。(田鍋)

The Chain Of Love / Clay Walker (Giant (Nashville))

人材の有無、層の厚さ薄さを問わず、エンターテインメントの世界ではどの分野でもアイドル的存在が求められる。暑苦しいオヤジどもの巣窟のようなカントリー界もまた然り。90年代半ば以降、かの地でこのような役割を果たしてきたのは、ブライアン・ホワイト、やや後参だがケニー・チェズニー、そしてこのクレイ・ウォーカーなど“昭和40年代前半”組。元々カントリー界は絶世の美男であるかどうかよりも音楽性を重視する傾向があるようなので、明らかにルックス狙い、といったアーティストがヒットチャートで成功することは稀であった。しかし時代は変わる。特にここ1〜2年、これまでのカントリーアーティストのイメージとはかなり異なる、アイドル性を持った青年たちが徐々にカントリーチャートへの進出を始めている。アンディ・グリッグス、ブラッド・ペイズリーといった“才色兼備系”、遂にブレイクしてしまったラスカル・フラットのような“ボーイズバンド系”、更に“少年版リアン・ライムス”のようなビリー・ギルマンまで。このような変化を受け、まずブライアン・ホワイトはチャートの上位から縁遠くなってしまった。ケニー・チェズニーはよりベタなサウンドを強調していくことになるだろう。で、残るクレイ・ウォーカーは?この原稿を書くにあたり、インターネットで彼のファンサイトをいくつも調べて回ったが、その多くが更新停止状態。ファンは確実に醒めてきているみたい。どうするウォーカー。同世代のアーティストの中にはティム・マグロウのようにカントリー界を背負って立とうかという存在まで出てきている中、のんびりやってるとあっという間に置いてかれるぞ。この曲が彼最後のTOP40ヒットにならないこと、これを切に願っている。(八亀)

The One / Backstreet Boys (Jive)

イン・シンクのバカ売れ状態に押されてやや影が薄くなった感のある昨今のバックス。とはいえクオリティの高さで広く評価されたアルバム「Millennium」からはまだまだシングルカットできる曲が盛り沢山。今回の「The One」はおなじみマックス・マーティンに加えメンバーのブライアンもソングライターとして名前を連ねる極上ポップチューン。コンサートでの映像が大々的にフィーチャーされたビデオクリップからも会場の盛り上がりぶりが伝わってくる。ブライアンは先日デビューしたドン・フィリップにも曲を提供、マンディ・ムーアに曲を提供したハウィーD同様マルチな才能を見せている。先月メンバーのケヴィンが正式にディズニーランドのお兄さん時代からの恋人と結婚したが、ブライアンも6歳年上の女優と婚約しており(先日ファンに盗まれた子犬は新居の大事なペット)、近いうちにウェディングベルを鳴らすはず。一方A.J.は遂にソロとして「Johnny No Name」ツアーを敢行。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンからコモドアーズまで幅広い選曲で新たな一面を見せている。ハウィーDも姉とル−パス病(彼らの姉はこの病気で死亡)患者のための基金を設立、チャリティのステージに2人で登場。残るメンバーのニックはキッズスターとしておなじみの弟アーロンに続き、14歳の妹レスリー・カーターのデビューが決まり、スター一家の長男として(母親がマネージメント手掛けるガールグループも売り出し間近)ますます期待が高まっている。(なかむら)

Wifey / Next (Arista)

ミネアポリス出身のトゥイーティ、T-ロウ兄弟とR.Lの3人によるR&Bグループ、ネクストの3年弱ぶりのニューアルバム『Welcome II Nextacy』からのファーストシングル。デビュー『Rated Next』は98年の年間ナンバー1シングル「Too Close」を始め3曲のヒットが出たおかげで大成功。で、ファンは当然新作も期待してしまうわけで、アルバムを買ってまずは「Too Close」のようなノリノリのソウル・ミュージックがないかと探す。と、いやでもこの曲のイントロが耳に残る・・と。実際、ちょっとアダルトな感じになっているとはいえ、曲そのものは結構「Too Close」っぽい。プロデューサーは前作に引き続きグループの産みの親、ノーティ・バイ・ネイチャーのケイジーで、途中R.Lと絶妙な掛け合いを見せているのはリル・モー。都会的なメロディに似合わず歌詞はひたすら自分の妻をホメまくるという“奥さん賛歌”である。確かメンバーはみな独身のはずなので想像の世界には違いないのだろうが、こういうのが苦手な日本のお父さん達にはぜひ見習って欲しいものだ。(高野)

Cry Baby / Mariah Carey feat. Snoop Dogg (Columbia)

缶コーヒーのCMに出演したり6月に日本公開された映画「プロポーズ」では一瞬の登場で銀幕デビューを飾ったり、日本でのお茶の間人気は安定しているマライア。11年連続のシングルチャート1位も無事達成となった「Thank God...」に続くシングルはその名もずばり「Can't Take That Away (Mariah's Theme)」とこれまた勘違い路線大驀進中のアートワークのジャケで発売。ところがこの曲よりもB面に収録された「Cry Baby」のほうが好評で結局チャートインは後者名義。いつの間にかマライアも単独でのヒットができない人になりつつあるとか?「マライアのテーマ」はダイアン・ウォーレンのペンによる楽曲をジャム&ルイスが感動的に仕上げた王道ナンバーなのに対し、「Cry Baby」は万人受けとは言いがたいダークなグルーヴを持つチャレンジ曲。とはいえ「Heartbreaker」も「Thank God...」も前にもこんな曲やってたような・・・というマンネリ感があっただけに今回の低音&メアリーJ風のむせぶような歌唱は新鮮かも。アルバム発売当初よりガイの「Peace of My Love」使いが話題となってこの曲、今回のヒップホップ人選では遂に大御所スヌ−プ様の登場。独自の浮遊感を持つフロウがここでも光る好演ぶり。かつてのGファンクを思わせるぴーひょろ音も聞こえてくる。アルバムでは他にもマスターPが無駄に吠えまくる曲などヒップホップ畑の客演が目立っているが、つい先日はウェストライフとのレコーディングを行ったようで若い男の子たちも大好きなマライア。ラテンシンガーで彼氏のルイス・ミゲルとは共演しないのかな?(なかむら)

Jumpin, Jumpin / Destiny's Child (Columbia)

「Don't Wanna Fallin' Love〜、イェイイェイ〜」なんてジェーン・チャイルドが歌ってたあの時代からちょうど10年。同じチャイルドでも世を席捲しているのは何でもない女の子4人組だったりする。なぜそこまで売れるんだ、デスチャ??デスティニーズ・チャイルド、略してデスチャ(間違ってもデスモンド・チャイルドではない。あれはオジさん。)2枚目のアルバム「The Writing's On The Wall」からはファースト「Bills Bills Bills(1位)」セカンド「Bug A Boo(33位)」サード「Say My Name(1位)」がすでにヒットしているが、さらに4枚目である「Jumpin' Jumpin'」をカットしてきた。エアプレイだけでTOP10入りを果たしているところにこのたびCDマキシが発売、このフリペが出ている頃にはTOP3には入っていることだろう。デスチャ・ソングの醍醐味は女性上位の攻撃的な歌詞、それに負けない攻撃的なアレンジのトラック(特にサビ前になってトラック数が急に増えたり、ドラムが連打されたりとか)、そして「No, No, No」や「Bug A Boo」に代表される音速をも超えたといわれる超早口メロにある。さらに忘れてはいけないのが極端にやる気のなくなるサビ。この曲でも、やけにテンションの高いAメロ部、さらにスリリングなBメロ部を迎えて来るぞ、来るぞ、と思わせておいて一気に「はふぅ〜」と気が抜けるサビへ持ってくという起承転(結なし)な構成は実に見事だ。「あんたの男って冷たいんでしょ?そんなヤツほっといてクラブ行っていい男探しなよ」っていう曲の内容もいかにもデスチャらしい。CDマキシにはその他リル・バウ・ワウ、JD、ダ・ブラットと声に特徴のあるソー・ソー・デフの3ラッパーを迎えたリミックスや、全米のVH1の「ディーヴァズ 2000」で披露されたダイアナ・ロスのカバー「Upside Down」も収録されておりかなりファン仕様。あとMLやメルマガでも報告されてるように2月新加入の新メンバーの一人ファーラが脱退しました。結成当初である小学校時代からのメンバーはビヨンセとケリーだけだが、やっぱ幼馴染の輪の中には入れなかったのか?それともビヨンセにいじめられたとか??真相は謎のまま......。(はまべ)

Desert Rose / Sting feat. Cheb Mami (A&M)

TOP40ヒットは94年12月17日付の「When We Dance」以来5年7ヶ月振り、TOP20ヒットとなると単独ソロ名義では(間に強力サントラトリオによる「All For Love」を挟む)「If I Ever Lose My Faith In You」以来6年2ヶ月ぶりというスティング久々の大ヒット。近年ではアルバムアーティストの印象もあるし、この曲もカットされてからすぐに火がついたわけではない。ライヴ映像による本人出演のCF(ジャガー:自動車)の効果が大きい。曲自体も従来の彼の作風とは異なり、フレンチ・アルジェリアンの人気歌手シェブ・マミがフィーチャーされ、これがアラベスクというかエキゾチックな雰囲気と心地よい緊張感をもたらし、乾いた空気と奥行のあるこの曲を効果的に彩っている。サウンドは熱く、どこまでも続く中近東の砂漠をイメージさせ、主人公はそこに咲く一輪のバラを見る。それは幻or蜃気楼なのか、手の届かない意中の人なのか、はたまた未だ出会えぬ真実の愛なのか・・。独り、身を焦がしながら、迷いながらひたすらに歩きつづける。どことなく浮遊感を漂わせ、スティングのワールド・ヴォヤージは続く。10月の来日公演も楽しみだ。(小松)

I Hope You Dance / Lee Ann Womack with Sons Of The Desert (MCA Nashville)

レコード業界の再編成により閉鎖されてしまったカントリーの名門レーベル、デッカ。結果的にその“最後の看板アーティスト”となってしまったのが、前作「Some Things I Know」からのヒット曲がブレイクアウトでも好評を博したリー・アン・ウォマック。若手アーティストの中でも“トラッド派”として認識されている彼女は、今後も地道にオーソドックスな作品を発表し続けていくのだろう・・とカントリーファンを含め皆がそう考えていた。しかし新作「I Hope You Dance」では予想を裏切り大幅にオルタナ・カントリー色を導入、多くのファンの度肝を抜いた。アルバム後半には流石にトラディショナルな雰囲気が復活するが、そこに至るまでのジュエルさえ思い起こさせるサウンドと透明な歌声はこれまでとは違ったファン層にアピールしたようで、アルバムはポップチャートでも初登場17位と大健闘、この曲もカントリーチャートでナンバー1を獲得する好成績を収めている。なおこの曲にフィーチャーされている“砂漠の息子達”は97年デビューのオルタナ・カントリーバンド。先日ニューアルバム「Changes」を発表している。(八亀)

Doesn't Really Matter / Janet (Def Soul)

97年に「The Velvet Rope」をリリースして以来、ブラックストリートやバスタ・ライムスらの曲への客演ぐらいでしかその声を聴けなかったジャネット・ジャクソン。久しぶりの新曲は、自らも準主役級で出演している映画「Nutty Professor II - The Klumps」サントラから。プロデュースはジャム&ルイス、ソングライターはそれにジャネットを加えた3人、ということで、彼女の一連の大ヒットを生み出した黄金メンバー。サウンドのほうもいかにもこの顔ぶれが作りそうな可愛らしい軽いポップ・チューン。やや地味な感じで、もうちょっと色気を出しても良かった気はするが、まあこのぐらいで抑えたほうが嫌味にならなくていいのかも。可愛くてポップなんだけど地味な曲という意味では95年のベスト盤からの新曲「Runaway」に通じるものがあるかな。先頃「Together Again」などのソングライターに名を連ねていたレネ・エリゾンドと「実は人知れず9年も前に結婚してたんだけど、別れた」ことを発表したばかりのジャネットだが、この曲のヒットをきっかけにシンガーとして一線に復活して、もう一発ぐらいシングルヒット連発の大ヒットアルバムを出して欲しいところ。とりあえず新作のレコーディングを進めてはいるようです。しかし彼女の公式サイト( http://www.janet-jackson.com/) を見ると、未だに3年前の「The Velvet Rope」の頃のイメージのまんまで放ったらかしになってて、やる気のなさバリバリなのがちょっと心配。なお、ちゃんとした情報が欲しければファンクラブのサイト( http://miss-janet.com/) を見たほうがいいでしょう。ちなみにレネのほうは自分が「この8年ぐらいの彼女のヒット曲には殆ど全て、ソングライターとして参加している」と権利を主張し始めているので、これが変な抗争に発展しないことを祈るばかり。なお「Nutty Professor II」サントラ、“この夏最大の話題”を狙うだけあってかなり豪華な顔ぶれで、今数えたら全米TOP10アルバムを出してる人が14組も参加している。アルバム本編が終った後も8月リリースのLLクールJの新作の予告編が延々と入ってて、なかなか終らないのが笑える。(しんかい)

The Next Episode / Dr. Dre feat. Snoop Dogg (Aftermath)

エミネムの大成功で再び勢いに乗るドレ周辺。「Still D.R.E.」では盟友スヌープと組んで完全復活を宣言、「Forgot About Dre」ではエミネムをフィーチャーして陰でディスする奴らを一蹴した。続くシングルは、やはりスヌープと息のあったところを見せるこの曲。Gファンク全盛期にはびよ〜んとしたキーボード音が特徴だったドレだが、昨年の年末に発売されたアルバム「Dr. Dre 2001」で特徴的に見られるのは伸びない撥音調の音でつくられるメロディライン。ここでも西海岸的チープネスが感じられるぺこぺこ音をループしているのが耳に残る。今年の夏は「Last Meal」ツアー(奴等が俺に喰いつくのもこれで最後だぜ、ということでこのツアー名)で全米を巡回する。スヌープの登場部分は控えめだが、9月に発売される自身の新作でのドレとのタッグに期待。プライベートのドレは結婚して3年になるインテリアデザイナーの奥様(90年の「No More Lies」のヒットで知られるドレの元婚約者、ミッシェルレは結局ムショ入り中のデス・ロウ社長シュグ・ナイトと獄中結婚。デス・ロウに残った彼女は一昨年にアルバムをリリースしている)と5歳になる子供と暮らし、ドレのレーベルであるアフターマスの配給元、インタースコープの社長とビジネス談義に勤しむ静寂な日々。その充実感がトラックでのクオリティに反映されているのかも。(なかむら)

No More / Ruff Endz (Epic)

ここのところアンジー・ストーンやディアンジェロの新譜のように、正統派R&Bの何たるかを見せつけてくれるような作品が相次いでリリースされて、ソウルファンとしては楽しい限りですが、ここにきてカール・トーマスと並んで2000年の正統派ブラックのニューフェイスとして注目すべきデュオが登場。それもエピックというメジャーから出てくるのが嬉しい。デビュー曲の「No More」があれよあれよという間にTOP20入りし、好調なスタートを切ってるのが、ボルチモア出身のデイヴィッド“ダヴィンチ”チャンスとダンテ“チャイ”ジョーダンの二人によるユニット、ラフ・エンズ。マーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーに強い影響を受けたというだけあって、力強いダンテ君のバリトンと、デイヴィッド君のテナーが微妙に絡み合って、クラシックな雰囲気も漂う直球ど真ん中のソウルを聴かせてくれます。ボルチモアと言えば今や「そん・そん」男として一気に名を挙げた(どんなんや)シスコ率いるドゥルー・ヒルもここの出身ですが、ラフ・エンズの二人はドゥルー・ヒルとはボルチモアを2分する実力派で鳴らしていたとか。今回リリースされた彼らのデビューアルバム『Love Crimes』でもドゥルー・ヒルのノキオがプロデュースした曲が収録されるなど、一足先にスターダムを手にした同郷の士とも交流しながら、早くもシーンにその存在感を示しつつあるこの2人、しばらく注目でしょう。ケーシー&ジョジョほどのスケールの大きさにはまだやや欠けますが、今後楽しみ、という感じです。(阿多)

Simple Kind Of Love / No Doubt (Trauma)

前作「Tragic Kingdom」が史上空前の大ヒットとなった上、ファンの為とじっくり妥協せずに創り込んだという実に5年振りとなる新作「Return Of Saturn」を4月に発表したばかりの、グウェン・ステファニ率いるノー・ダウト。アルバムの発売に先駆けての3月24日からのワールドツアーでは、何処の国もチケット馬鹿売れという好評振りだそうだ。そしてアメリカではインストア・イヴェント等でも発売早々から新曲が大合唱という好評振りが伝えられているが、何故かビルボードのチャートアクション的には前作の勢いが感じられないのが不思議でならない。俺としては発売時こそ「駄作だ」と何処かで言い切ってしまったものの、今となっては「このアルバム名盤かも知れんぞ!」と思い始めているので、一寸都合良すぎるかもしれないが、改めて内容の素晴らしさを伝えたいのと同時に、商業的な成功を願って止まないのである。さてこの曲、ファーストカットで、ややヒップ・ホップテイストの感じられた「Ex-Girlfriend」とは対照的に、悲しげな雰囲気を誘う仕上がりになっている。ライヴではグウェンが「この曲を貴方達と分かち合えるのはとても気持ちいいわ!」というMCで会場を盛り上げるそうで、リリック的にも彼女の強い思い入れがある模様。英語に堪能な方はじっくり歌詞の世界も味わってみると良さそうだ。で、音の方だが、これが凄く良い!歌唱力と表現力が一段と増した感のある彼女の成長振りも見所だが、ギターの奏法(やや乱暴なピッキング)やエフェクトの使用法(ブライアン・アダムスの「Into The Fire」あたりを彷彿させる仕上がり)や、4つの弦を完全に使い切る流石にスカを心得ただけの事はあるベース、そしてスネアドラムが複数あると思われる、どんなセットなのか不思議なドラムス。その全ての楽器陣の充実っぷりと、悲しいアレンジ(曲の最後は、あのシンディ・ローパーの「Time After Time」を思い起こさせる「Simple Kind Of Life....」の繰り返し)という構成美!という具合にお見事なのである。だから必聴っす!さてそんな彼女達は、社会問題や環境問題にも熱心に取り組んでおり、今回のワールドツアーの収益金の一部を「サーフライダー・ファウンデーション」や「レインコースト・コンサベーション・ソサエティ」といった環境保護団体に、そして「オレンジ・カウンティ児童虐待防止センター」や「児童癌研究所」といった団体にも寄付しているという側面もあり、アーチストとしてのメセナ的活動も行っているようだ。ただし、最近解散説が急浮上しており(具体的な情報は乏しい)、今後の彼女達の行く末はどのようなものなのかが、心配を伴いながらも興味深い。(奥村)

Purest Of Pain (A Puro Dolor) / Son By Four (Sony Discos/Columbia)

昨年夏より一向にやむ様子のないアメリカのラテンブーム。ラテン・エリア出身のアーティストまたはラテンミュージックに影響を受けた楽曲が約一年間途切れることなくTOP40の上位に居座り続けたわけだが、その顔触れを思い返してみると、斬り込み隊長のリッキー・マーティンをはじめ、エンリケ・イグレシアス、ジェニファー・ロペス、マーク・アンソニー、クリスティーナ・アギレラ、復活サンタナ、変わり種ルー・ベガと、既に各界で確固とした地位を築いている人または別にラテンが注目されなくてもTOP40に入ってきたであろう人ばかりで、ラテン・ミュージックの新しい波を感じさせる存在はこれまで見当たらなかった。今回TOP40に初登場したサン・バイ・フォーはプエルト・リコ出身の4人組。親族3人に既にソロデビューを果たしていた1人が加わって結成されたグループは、デビューから2年でトロピカル・ミュージックのトップグループに。この「A Puro Dolor」はラテンチャートで10週間トップを独走、そのエアプレイポイントでスペイン語曲としては珍しくHOT100の下位に顔を出すほどの人気を得た。その後、この新しいラテンヒーローを更に幅広いマーケットに紹介するため、レコード会社はこの曲の英語バージョンのリリースを決定。幾多のボーイズバンドの中でも突出してソフトな(ナヨい?)作風がウケたのか、見事TOP40入りを果たした。幾分迎合主義な印象もあるが、ポップチャートにおけるラテンアーティストの層が厚くなるのは大歓迎。今後、より独自な作風のヒット曲の登場を期待したい。(八亀)

Kryptonite / 3 Doors Down (Republic)

90年代で本当に絶滅するんじゃないかと思ったメインストリームロック。しかし最後の砦クリードの頑張りで市場は持ち直し、今年に入って勢いを取り戻しつつある。3ドアーズ・ダウンはミシシッピー出身の4人組。無名時代に全米中をツアーしていたときのこと、ライブが終わり会場を出て振り返ると、建物に掲げられた文字は一部が抜け落ちてしまい「DOORS DOWN」と読めた。当時3人組だったバンドは自嘲気味に自分たちを「3 Doors Down」と呼び、それがそのままバンド名になった。そして長い下積み時代の後話題のリパブリックと契約し、アルバム『The Better Life』を昨年リリース。今年に入ってクリードのツアーのサポートを勤めたことで人気が急上昇、アルバムは早くもTOP10入りでプラチナ認定。シングル「Kryptonite」はモダンロックとメインストリームロックの両チャートを制覇した。この2つのチャートで1位になった曲はHOT100集計方法改正後すべてTOP40ヒットとなっているが、彼らもその法則に基づき無事にTOP40入りを果たした。メタリカ風の重いイントロから一転して軽快に盛り上がり、コーラスでは“Superman”フレーズが耳に残るキャッチーな曲。この曲に限らずアルバム全編で聴けるライトメタルとポスト・グランジを行き来するような音楽性は“80年代と90年代のロックの差違”という不毛な議論を一瞬のうちに風化させる。ちなみにタイトルはスーパーマンが苦手とする鉱物の名前だが、日常会話でこの単語が使われるときはバイクに付けるU字ロックを指すことが多い。(松本)

Dance Tonight / Lucy Pearl (Overbrook/Pookie)

直近ではディアンジェロの新作『Voodoo』でシングル「Untitled (How Does It Feel)」を共作するなど、トニトニトニのグループ活動そっちのけのソロ活動全開のラファエル・サディーク。その彼が、元アン・ヴォーグのドーン・ロビンソン(vo)、元トライブ・コールド・クウェストのアリ・シャヒード・ムハマド(vo, DJ)の二人と結成したサイド・プロジェクトがルーシー・パール。実力派のグループを代表する実力満点の3人が結集したこのスーパーグループ、音もその期待に違わずビシッと一本筋の通った骨太のR&Bに滑らかなグルーヴがひたすら快感の二重丸。但し唯一ちょっと意外なのは前面に出てボーカルを取っているのはドーン姐御ではなく、やさ男のラファエルだということ。3人の共作によるこのミディアム・ナンバーも、ラファエルのたゆとうようなボーカルにバックコーラスでドーンのパンチの効いた声が絡み、思わず体を動かさずにはいられない感じ。新進気鋭のジーナ・プリンス監督によるブラック青春映画『Love & Basketball』のサントラにも収録されていたこの曲を含む彼らのアルバムも全曲粒ぞろいなんで、真夏のけだるい午後なんかに体を任せるのにはもってこいのおすすめ盤です。先頃NYのアーヴィング・プラザ(オンエア・イーストくらいのハコ)でやったライヴでも、この曲はしっかりアンコールに使われて会場全体の熱気たるやすごいもんでした。ジミヘンばりのディストーションでギターをかき鳴らしながら登場した彼ら、いきなりそのギター・サウンドを利用してアン・ヴォーグの「Don't Let Go (Love)」に突入、そこからトニーズの「Feels Good」、トライブの「Award Tour」などいきなりヒットメドレーになだれ込んだ後、自らのアルバムの曲を次々にぶちかましてました。ファンクマスター・フレックスのDJ(ちなみにこれがオールドスクール全開の超有名曲連発のミックス・プレーでこれだけで筆者は昇天ものでしたが)でオープンしたこのショウ、ヴィレッジという場所柄か意外と白人の若い衆が大挙して盛り上がっており、彼らの支持層の広さを実感したもんです。しかしグループから離れた2人はともかく、ラファエルには早くトニーズの新作をドロップして欲しいものですなあ。(阿多)

I Think I'm In Love With You / Jessica Simpson (Columbia)

デビュー曲「I Wanna Love You Forever」はセールスチャートの1位を記録したものの、セカンドシングルの「Where You Are」がTOP40入りすらせず苦戦を強いられたジェシカ。実生活でのボーイフレンドである98°のニック・ラシェイとのデュエットで本格的バラードというのが重すぎたのか?今回はそんな反省のもととびきり爽やかなアップチューンで勝負。日本では今年前半にファーストシングルとしてラジオオンエアも好調だったこの曲、ジョン・クーガー・メレンキャンプの「Jack And Diane」のサンプリングで幅広いリスナーに大好評。マライアやメアリーJとの仕事で知られるコーリー・ルーニーのペンによるこの曲、ジェシカとしても「憧れのマライアと仕事をしてきたコーリーとの作業は夢だった」と気合い満点。実はこの曲アルバムがマスタリングを終えて完成間近というところになってから急遽追加収録が決まり、発売日を延期してまでレコーディングした経緯があるが、このエピソードもマライアの「Love Takes Time」収録時と同じ。この曲では「彼のことを考えると落ちつかないの、これってきっと恋なのね」とのびのびと歌いこなし、他アイドルに比べ芸能界ずれせずに純真に音楽に取り組むジェシカのキャラともぴったり。「結婚するまでvirgin宣言」で親安心ブランド印アイドルの代表格となったジェシカ、最近迎えた20歳の誕生日ではクリームでデカい口のまわりをベタベタにしながらケーキに食らいつく自然体ならではの豪快ショットも見せてくれた。豹柄が好きでツアーバスからキャンドルまでレオパードづくし、グレープフルーツには塩をかけて食べるのが好き、などファニーな素顔の反面、最新号「Teen Style」誌ではグラム風メイクで表紙を飾ったり9月に創刊される「Teen Vogue」にもグラビア掲載が決定するなど他アイドルに負けずにファッションリーダーとしての活躍も期待できそう。(なかむら)

What'Chu Like / Da Brat feat. Tyrese (So So Def)

ジャーメイン・デュプリに見いだされて「Funkdafied(1994年6位)」の大ヒットで華々しくデビューして以来、もうキャリアは随分長くなって、どちらかというとヒップホップ界では既に中堅プレイヤーとしてのポジションをしっかり持っているダ・ブラット嬢。とはいうもののここ2年ばかしはリル・キム「Not Tonight」、ジャッギド・エッジ「The Way That You Talk」、ミッシー「Sock It 2 Me」(このビデオでのダ・ブラットの怪演はなかなかでした)、そして大将JDの「The Party Continues」と、“フィーチャリング”クセがついてしまっていて今ひとつキャラ立ちが今一だった彼女、今回は久々に主役で登場、おまけに見栄えもいいモデルのタイリース君を従えて帰って来ました。相変わらず“ヒップホップ界の跳ね返り娘”の面目躍如で、ブチブチとしたファンクグルーヴたっぷりのトラックに乗って力の入ったフロウを展開するダ・ブラット嬢に要所要所でバックコーラスで絡みながら、ブリッジの歌部分をこなすタイリース君との取り合わせが結構笑えます。この曲もともとは「That's What I'm Looking For」という曲の12インチシングルのB面だったんですが、R&Bステーションのエアプレイが、どうもこの活きのいい方の曲に集まったらしく、再度チャート入り、ヒットにつながったというわけ。最近ヒップホップ系のシングルは12インチのB面の方がヒットする例が結構ありますが(最近ではジェイZの「Big Pimpin'(「Anything」のB面)」がそう)、フロアでは別にA面B面関係ないというわけですな。これをきっかけにダ・ブラット嬢もまたどんどん活躍してくれることを期待したいもんです。(阿多)

I Wanna Be With You / Mandy Moore (550 Music)

90年代はアメリカ、そして日本ともに“アイドル冬の時代”であったといえるだろう。80年代における“いき過ぎ”への反発もあったのか、消費者の求める音楽はよりホンモノ志向(うわべだけのものではあったが)となり、かつての能天気な“アイドル”は、ごく限られたマニアたちの慰みものへと堕してしまった。とはいえ、レコード会社側が送り出す商品がそうガラっと変わるはずもなく、何となくホンモノっぽいイメージを付加されたバブルガム(実態があるんだかどうだかわからないバンド、ビデオでしか見ることの出来ない“アーティスト”、日本でいえば“ガールポップ”とか“J-R&B”などの気が滅入ってくるようなレッテル、あと言い訳としての“本業は俳優”)が上っ面なシリアスさを売りにヒットチャートを跋扈していた。この状態が暫く続くとなると、不毛なイメージ戦略も幾分説得力を持ってくるようで、後年登場してきたアイドルたち、例えばアギレラなどは「“アイドル”ではなく“ディーヴァ”です。」的なイメージを前面に出そうとするし、ブリトニーも鍛え上げたアスリート的な体型に変貌して“ホンモノの”エンターテイナー風のステージを披露しようとしたりと“ホンモノ・コンプレックス”に陥ってしまう。で、そこでマンディである。アイドル量産地フロリダのオーランドで育った彼女は現在16歳。写真を見てお判りのとおりそのマット・デイモンの妹のようなルックスは決して美人とはいえない。歌だって別に上手くはない。しかし彼女の持つ雰囲気(特に同性にアピールしそうな感じ)はなんとなく「10代のアイドルではこの娘が一番可愛いかも・・。」と思わせる何かがあるし、積極的なメディア露出が功を奏してか、アメリカで彼女はブリトニー、アギレラに続くアイドル三番手としての認識(場合によっては彼女たちと並記されることもある)が確立されている様子も見うけられる。デビューシングル「Candy」は50万枚を超えるセールスを記録したにもかかわらず最高位41位と今一つの結果に終わってしまったが、その後もこの曲は粘り強く売れ続け、この好感触を受けてソニー・レコードは新曲を追加したデビューアルバムのリニューアル版を発売。シングルカットされたこの「I Wanna 〜」は見事念願のTOP40入りを果たした。明快なダンスポップ「Candy」に対し、こちらは幾分しっとり系のミドルナンバー。アイドル王道路線で勝負をかけるマンディ、彼女のような存在が成功を収めてこそ、はじめてポップス界は“冬の時代”の終焉を宣言することが出来るはず。(八亀)

Wonderful / Everclear (Capitol)

93年デビューのエヴァークリアは、95年のセカンドアルバム「Sparkle And Fade」から「Santa Monica (Watch The World Die)」が、97年のサードアルバム「So Much For The Afterglow」から「I Will Buy You A New Life」がそれぞれエアプレイチャートでTOP40入りしており、これらを含めればこれが3曲めのTOP40ヒットとなる。が、HOT100的にはこれが初のTOP40ヒット!おめでとう!シンガー兼メイン・ソングライターのアート・アレクサキス率いるこのバンドは3人ともアメリカ人だが、私はキンクスに通じるセンスを感じる。ちょっとホロッとさせる、ほろ苦くて一見皮肉っぽいんだけど実は優しさに満ちた歌の世界は絶品。単にメロディラインに響きのいい適当な言葉をのっけるのではなく「言いたいことがあるから音楽を作る」という真摯な姿勢がしっかりと伝わってくる、とってもいいバンドです。音楽的には初期のグランジ〜パンクっぽさがだんだん薄れてきて、もともとアートのソロ作となる予定だったという今回のアルバム「Songs From An American Movie Vol.1: Learning How To Smile」はかなり音数の整理されたすっきりした仕上がり。これでまたキンクスの世界に一歩近づいた。この歌の主人公は、夫婦喧嘩の絶えない家庭で育つ子供。「目を閉じて10数えたら、すべてがwonderfulになってたらいいのに」っていうのは、やっぱりアート自身の体験から出てきた歌詞だろう。社会派と言うほど堅くもないけど、単なる使い捨てポップソングには終らない味わい深さを出してるところが流石。なお、秋には続編となるアルバム「Songs From An American Movie Vol.2」がリリースされる予定。(しんかい)

What About Now / Lonestar (BNA)

ナンバー1ヒット「Amazed」はリリースから1年を経過して未だチャートイン中。最早カントリー界で最もホットなバンドとなってしまった感のあるローンスター。念願のヘッドライナー・ツアーも決まった彼らは、早くもクリスマスアルバム&次作の制作のためにスタジオを出入りしているという。レコード会社は2001年後半まで次作リリースの予定はないとしているにも拘わらず。「曲やサウンドが思いついたら、形に残しておこうと思っているんだ。だから今度のアルバムの制作期間は結構長くなると思うよ。」一年以上も先のアルバムのためにスタジオがとれるなんて、彼らも随分我が儘を聞いてもらえるようになったものだ。これも“ホットなバンド”の為せるわざか。さて、アルバム「Lonely Grill」からの第3弾カットはバラードが続いた前2曲から方向転換、非常に聴き易いポップロック路線。スティールギターの音色さえ気にしなければ、80年代ロック好きの耳には大変耳馴染みのいい曲調だと思う。現在の彼らの勢いを考えれば当然なのかもしれないが、この曲もカントリーチャートの1位を獲得。今後のヒット曲、そして自らメインのツアーによってローンスターはバンドとして最初の正念場を迎えることとなる。ここで成果を形に残せれば、彼らは2000年代最初のビッグバンドとして、この先10年カントリーシーンに君臨することになるのではないかと思う。まさに正念場、今後1年間の彼らの動向を見守りたい。(八亀)

I Will Love Again / Lara Fabian (Columbia)

71年ベルギー生まれ。ベルギー人の父親とシチリア島生まれのイタリア人の母親を持つ。全米チャートとしてはやや遅咲きとも言えるデビューを果たしたララ・ファビアン初の英語アルバムからのカット。5歳の時から歌手になることを夢見て、自分の可能性(=シンガー・ソング・ライターとしての)を見出しにカナダに渡りアルバムデビュー。フランス語で歌われた3枚のアルバムはカナダのみならずフランスでも火がつき、その圧倒的な歌唱力とダイナミックなステージを再現した2枚組のライヴアルバムはフランスで初登場1位を獲得。そのステージを観たトミー・モトーラに惚れ込まれ、今回の英語アルバムの発売と世界進出を果たす。もともと自作曲を中心としているが、このワールドデビュー曲は、シェールの「Believe」を作ったコンビ、ポール・バリーとマーク・タイラーの作品。まさに「Believe」を髣髴させるメロディだが、伸びのある、また声量豊かでパワフルな歌声は、かの英米ナンバー1曲を遥かに凌ぐ、圧倒的なナンバー。セリーヌ・ディオン不在の現在、彼女に取って代われる唯一の逸材とも言える。上手い、凄い。(小松)

 


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