オリジナルバージョンのあの特徴的なサンプリング(Sylvia Striplinの「You Can't Turn Me Away」の「へい、へい、おほほん」)がすっかり取っ払われ、代わりにネタに使われているのが元TemptationsのDennis Edwardsの「Don't Look Any Further」(84年、R&Bチャートでは2位まであがる大ヒット。まったくの余談だけどバックコーラスはあのSiedah Garrett)。ラップ自体も全部録り直し、サビのフレーズまで作りなおして、原曲の雰囲気はまったく残さず、だいぶ渋い感じになっている。なおBone Thugs-N-Harmoyの「Tha Crossrods」同様、あまりにもリミックスの度が過ぎたという自覚のためか(?)曲名も「Gettin' Money」と微妙に変えている。
Kissin' You / Oh Honey - Total (1996)
この元曲はここ数年BabyfaceなどがさかんにやっているアコギをフィーチャーしたアコースティックR&Bで、プロデュースはTony Toni ToneのRaphael Saadiq(PuffyはExecutive ProducerとAdditional Productionにクレジットされる)。で、これももう全く別の曲。バックのサウンドもボーカルも、曲のメロディも全部作りなおし。元曲との共通点は歌詞(の一部分)だけ、という徹底的なリミックス。Delegationの「Oh Honey」(79年45位)がベース。元バージョンがどちらかというとちょっと寂しげな秋っぽい雰囲気だったのに対し、これは春っぽくて爽やかで、めちゃめちゃ気持ちいい!これは必聴ですぜ。
Cold Rock A Party (Bad Boy Remix) - MC Lyte (1996)
元のアルバムバージョンでは、ちょっとヒットは期待できない非常に地味などうってことのない曲だったのだが、Puffyらが手がけたBad Boy RemixはDiana Rossの「Upside Down」(80年1位)という大ネタを使ってものすごくわかりやすいパーティチューンに仕上げた。しかもPuffyともMC Lyteとも特に親しいという感じでもないんだけど、大ブレイク直前のMissy "Misdemenor" Elliottを大胆にフィーチャーしてるあたり、やっぱり目の付け所は鋭い。
Fantasy - Mariah Carey (1995)
Bad Boy関係のリミックスが3バージョン収録されていて、いずれも元曲の雰囲気を最大限に残している、PuffyのRemixにしては珍しいパターン。まあそれだけこの曲では「Genius Of Love」のサンプリングが命ということなんだけど。"Bad Boy with O.D.B."はその名の通りウータン・クランの奇人・Ol' Dirty Bastardを迎えた「美女と野獣リミックス」。「大スター相手だから」と気張らずに完全に遊んじゃってるのがPuffyらしい。
Can't Nobody Hold Me Down - Puff Daddy (1997)
元バージョンではラップの古典であるGrandmaster Flashの「The Message」をあまりにも何の工夫もなく使っていたので、バカ売れする一方でかなり風当たりも強かったこの曲。「じゃあThe Message使わねえでやってみせようか」という意図かどうかは知らないけど、例によってリミックスは全然違う曲になった。「The Message」も使ってないし、サビでMatthew Wilderの「Break My Stride」のメロディを拝借してる部分もない。かなり渋い仕上がりで、これ単独ではあの爆発的ヒットにはならなかっただろうけど。