PART4
DE LA SOUL (M.Ata)

De La Soulとはフランス語で「魂の」「魂から」という意味。彼らはまさに自分のソウルから出てくる言葉をライムとして繰り出している。De La Soulを構成しているのはPosdnous(略称Pos、1969年生まれ、本名:Kelvin Mercer 〜 一番色が黒くて、眼鏡かけてる奴)、Trugoy the Dove(1968年生まれ、本名:David Jolicoeur)、そしてMase(1970年生まれ、本名:Vincent Mason, Jr.)の3人。メインMCはPosとTrugoyの二人だが、曲によってはDJのMaseもラップする。彼らのセンスというか発想はきわめてユニークで、だいたい名飾からしてPosは "Sounds Op[erator]" の逆スペル、Trugoyはヨーグルト [Yogurt] の逆スペルから命名したというくらい。3人はニューヨークはロングアイランドのアミティビル(ホラー映画の舞台となったことで一躍有名になった町でもある)の同じ高校の出であり、サマースクールでたまたま知り合ってチームを組んだのが始まりという。彼らは早くも1988年にはトミーボーイ・レーベルと契約し、その半年後には傑作ファーストアルバム「3 Feet High And Rising」を出し、当時のヒップホップシーンに大きな波紋を投げかけた。

彼らもまたA Tribe Called Questと同じいわゆるNative Tongueと呼ばれる一派に属しており(何やらマル暴みたいですが)、フリーソウル・タッチのグルーヴに乗せてどうということのない日常や、自分たちについての描写的ライムを、ある時はゲーム番組風に、ある時はマンガのストーリー風に、特に下手なメッセージものっけずに軽快なフロウにのせて繰り出してくる、という感じ。そう、彼らの場合何でもありで、しかもパロディ精神旺盛なので、一聴するとかなりとっちらかった印象が残る。あの爆発的にドウプとしか言い様のないほどPファンクを昇華した「Me Myself & I」とHall & Oatesをサンブルするという(当時としては)大胆なアイデアにノックアウトされた「Say No Go」を含むファーストは強力であり、ヒップホップファンに限らず、個性的な音を好む人であれば、このアルバムは絶対必携だろう。

De Laの音作りは、ジャズ系ミュージシャンや70年代R&Bのサンプリングを多用するなど、A Tribe Called Questの音の世界と非常に似通ったものがあるが(TribeのQ-Tipsもひんぱんに参加している)、決定的に違うのは、その織りなす世界がTribeに比ベポップ(パロディとはいえ、セカンドではあのFrankie Valliの「Grease」をサンプリングしている!)で、アップビートなことである。TribeがクールならDe Laはサブカルチャーの臭いをぷんぷんさせたなまあたたかい音の固まり、という感じ。ところが、アルバムを追うごとに、ファーストのひたすら明るいアップビートさが若干屈折気味のうねりのあるグルーヴヘと変化を遂げているような気がする。ファーストの頃は "It's a Daisy Age(ひな菊時代だ!)" なんてヒッピーまがいのリリックで、ひたすらネアカだったのが、最新作の「The Stakes Is High」ではこんな調子だ。

"西には親父が俺の種を育てながら住んでる俺の土地がある
ニガともよく聞きな、お前ら神じゃなく熱い棒を崇めてる
ヴェルサーチなんか着てピエロのようにポッツィーみたいにジョークを飛ばし
(「ハッピーデイズ」っていつまでやってたっけ?)
問題から逃げるのにハッパ燃やしてるが問題は解決しない
でかい目標ででかい成功をってのが俺のモットー
お前らあっちに行って宝くじでもやってな
(中略)
金が人間を狂わせるなら
俺たちがそれをなんとかしなきゃ
世界を動かしてるのは何なのか
もし愛が法に触れるなら(よく分からないが)
そんな状態を変えていかなきゃ

イッツソウイージー、今年の夏は暑くなるぜ
イッツソウイージー、うんと暑くなる"
(「Itzsoweezee (Hot)」より)

そもそもメッセージ色が極端に簿く、profanity level(つまり、f**kとかbitchとかその手の言葉の使用頻度)が限りなくゼロに近く、某業界紙に言わせれば「君のおばあちゃんでも聴ける」(笑)とか言われた彼らが、随分とマイルドとはいえ、このようなリリックを作り出すに至るまでに変化した原因は?一説によると、ファーストのスタイルのあまりのユニークさと、突然売れてしまったことに対して周囲からいろいろな批判・中傷・攻撃があったらしく、それが彼らの作品作りに大きく影響を与えてしまったとの観測がある。セカンドの「De La Soul Is Dead」(タイトルからしてファーストとえらいトーンが違うが)がファーストから2年もかかったのもその辺が理由のようだ。とはいえ、相変わらずクリエイティヴな音作りと独特のライムで最新作ではいくつかのメッセージをオーディエンスに発し始めたDe La Soul、今後更にメッセージ的内容に傾斜していくのか、はたまた再度ポップでドウプな世界に回帰していくのかは判然としないが、少なくとも変わらず独特のセンスのサンプリングやネタ便いをべ一スに「おもしろ気持ちいい」サウンドをがんがん提供し続けて欲しいもんである。

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