マイアミ出身のR&Bシンガー/ソングライター/プロデューサー、スティーヴィーB.は、歴史的に見るとディスコ時代のマイアミサウンドと、その後隆盛するマイアミベースの間のギャップを、宅録センスによって橋渡し役を務めたアーティスト、という評価ができるだろう。車洗いやファーストフードのアルバイトなどで食いつなぎながらプロのシンガーになることを夢見ていた彼は、87年のデビュー曲「Party Your Body」のスマッシュヒットでダンスシーンで認知され、翌88年のアルバム「In My Eyes」から下記のヒット曲を連発してブレイク。90年のナンバー1ヒット「Because I Love You」は日本でもCMソングに使われるなど一時期かなりの人気を呼んだ。この手のアーティストにしては彼はしぶとくヒットを出し続け、95年の「Dream About You」と「Funky Melody」のカップリングが現在のところの最新TOP40ヒット。その後もマイナーながらダンス系のレコードを制作し続ける一方で、地元南フロリダでヴィンテージ・ギターショップやバーベキューチェーンを経営するなど、実業家としても頑張っているらしい。特に“スティーヴィーB.のBBQ”はシカゴにも支店を出しているようなので、機会があったら是非とも立ち寄ってみたいもの。なお僕がミーンタイム人脈を出入りし始めた数年前、飲み会で出逢ったスティーヴィーB.フリークの仲間君(現在はチャート道から足を洗い農業に従事)に「ジョエル・ホイットバーンのチャート本のバイオで“Self-Taught Musician(自己流ミュージシャン?)”と紹介されているのは、彼とプリンスだけなんですよー」と誇らしげに語られ、「東大ビル研にはおかしな人がいるなぁ。。」と思ったことを今でも鮮明に覚えている。(八亀)
Hit List
'89 #32 I Wanna Be The One
や、安い!このチープな打ち込みリズムとシンセ・サウンドは、当時学生だった僕に、ときたま遊びに行っていたディスコの安い感じ(スモークの臭い、薄〜いモスコミュールの味、食べ放題のマズ〜いナポリタン)をすぐさま想起させるものがある。歌っている内容は一言「君の彼氏になりたい。」だけというシンプルの極致。今聴いてみるとあの頃以降の日本のポップスにも非常によく似たサウンドの曲があることに気づかされ、そのやや哀愁を帯びたメロディと共に“ルーツ・オブJ-POP”的な評価もできるのかな?などと考えてしまう今日この頃。
'89 #37 In My Eyes
彼特有のチープ感は好調に持続、音のミニマムぶりは更に増幅している。歌っている内容も「君の瞳に映る男になりたい」という前曲と何ら変わらないメッセージ・ソング(?)。サウンド的には後のInojやサミーなどとの関連性がそこかしこに見られ「流石は元祖マイアミ系」とも思うが、スイング感の決定的な欠除は如何ともし難い。この課題はその後10年かけて、後続の若手プロデューサーたちによって解決されていくことになるのだが。曲の隠し味として極めて遠慮がちにクラーベ感が取り入れられており、それが評価されてか現在この曲はラティーノ系のコンピレーションに収録されることが多いようである。
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