85年にグループ名から“ジェファーソン”の冠号が取れ、ただのスターシップになってしまった彼らだが、チャート的には「We Built This City」「Sara」「Nothing's Gonna Stop Us Now」の3曲のナンバー1(ちなみに80年代のバンド/グループでこの記録を持っているのは全部で7つだけ)を始め数々のヒット曲を放ち、3たび全盛期を迎えたかのようだった。が、89年に状況は一変する。88年10月に行なわれたセッションをきっかけにジェファーソン・エアプレインが再結成され、当時からのメンバーで唯一スターシップに残っていたグレース・スリックがエアプレインに走ってしまったのである。グレースとミッキー・トーマスのツイン・ボーカルがこのバンドの看板だっただけにこのショックは大きかったらしく、ブレット・ブルームフィールド(B)とマーク・モルガン(kb)という“男前(某チャート番組のVJ談)”2人を新メンバーに迎えてアルバム「Love Among The Cannibals」を制作したものの、求心力が低下してしまったバンドは翌年にはあっけなく解散してしまった。その後92年に一度は再結成の動きはあったものの、その時はレコード会社と契約しただけで結局アルバムは制作できず、95年に一度セッションの機会があっただけ(会場はマイアミのヌーディスト・パークだったらしい)でバンドは現在も解散状態である。ミッキーはソロとして、残りのメンバーはそれぞれ自分達のバンドや、テレビ・映画音楽の分野でそれぞれ活動しているらしい。一方のジェファーソン・エアプレインはスターシップの解散に伴いバンド名を再びジェファーソン・スターシップに変え(スリックは引退)、昨年もアルバム「Windows Of Heaven」をリリース、来日も果たし健在ぶりを示している。(高野)
Hit List
'89 #12 It's Not Enough
アルバム「Love Among The Cannibals」からのファーストシングル。バンドの中心メンバーであり“双頭の竜”の片方の頭であるグレースが抜けてしまった以上、バンド自体がミッキーのハイトーンボイスを前面に押し出した形になるのは当然の帰結で、この曲でもミッキーの澄み切ったボーカルが冴えわたっている。音自体もギターを前面に押し出した骨太な仕上がりで、イントロでのギターの入り、キャッチャーなサビ、エンディングのボーカルワークなど聴き所も多く、私のお気に入りの1曲だったが、曲そのものが地味目だったのが災いしてか、チャートの動きもTOP10入りを目前で逃すなどファーストシングルにしては一歩な成績に終わった。
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