'89 #2 Girl You Know It's True
これがデビュー曲であり、ここからミリ・ヴァニリ伝説が始まる。まずプロデューサー、F.フェーリアンの活動の拠点だった西ドイツから火がつきヨーロッパを制覇した後、彼がボニーMでは成し得なかったUSでの成功をももたらした。ヨーロッパ経由の雰囲気をたたえたラップと誰もが口ずさめそうなコマーシャルなサビがジャスト89年サウンドといったところ。ポップに味付けされた胡散臭そうな打ち込みサウンドはサウンドエフェクトにボビー・ブラウンの「Don't Be Cruel」まで使ってしまう節操のなさ。ユニークな2人のルックスもインパクトがあった。両者とも濃い目のモデル風顔立ちでロングのブレイドヘア(三つ編みはほどかずに週1で洗うとのこと)、ファッションもドレスシャツにサイクリングパンツを合わせるなど個性的。そういえばTVパフォーマンスの際にサポーターをはかずにピチピチのサイクリングパンツであらわれ、視聴者からクレームが殺到した時「うっかり履き忘れた」なーんてぬけぬけとコメントしてたが2人同時に忘れるかっつーの!
'89 #1 Baby Don't Forget My Number
3曲連続チャート1位となるのはここから。思えば80年代にデビューアルバムから3曲のナンバー1ヒットを送り込んだのはホイットニー、ポーラ、そしてこのミニ・ヴァニリの3組のみ(ジョージ・マイケルもワム!時代を除けばここに加わる)なのだから当時の勢いがわかるはず。さてこのセカンドシングルもラップ+ポップの楽しい展開。エフェクトかけたブリッジのチープさもご愛敬。とはいえコーラス部でのメロディーは結構気持ちよく聞けてしまったりする。「Girl You Know〜」同様ひたすら彼女を口説く歌だが「俺の電話番号忘れんなよ」ってなタイトルからこちらはさらに軟派かも。そしてこれまたサビが歌いやすいメロディなのもポイント高し。気がつけばここに挙げたミリ・ヴァニリの4曲のヒットはすべて5語タイトル。そしてサビの部分ではタイトルを連呼しているので、タイトルを知っていればサビを歌えてしまう、または1度サビを聞けばタイトルを覚えられてしまうという仕組みになっている。これってマーケティング戦略?
'89 #1 Girl I'm Gonna Miss You
ここでは前2曲のダンスナンバーから一転、心温まるバラードチューン。サックスにはキング・クリムゾンのメル・コリンズが参加なんて隠し技もあり。ラップ部もこれまでよりずっとセンシティヴな調子で囁かれる。女性コーラスのとり入れ方も効果的で、それぞれが離ればなれになってからも過ぎ去った恋の風景を同時に思い出しているように聞こえる。そういえばこの翌年M.C.ハマーが発表した「Have You Seen Her?」のカバーも似たテイストに仕上がっていたが、この曲をヒントにしたのか?さらに99年にメルキー・セデックというワイクリフの弟&妹デュオが日本盤アルバムボーナストラックとして「Tragedy」のタイトルでゴスペル調にこの曲をカバーしているのも聞きもの。なかなかファンの多い曲のようで。
'89 #1 Blame It On The Rain
ミリ・ヴァニリは欧州先行でヒットしたため、デビューアルバムもヨーロッパ盤とアメリカ盤が存在する。前者は「All Or Nothing」というタイトルでよりラップを全面に出したアプローチ、後者は「Girl You Know It's True」というタイトルでよりR&Bらしさを強調している(最近だと同じくアリスタのエイス・オブ・ベイスがサードアルバムで同じように欧盤と米盤の編集/タイトルを変えた例がある)。この曲はアメリカ盤用に用意された新曲で、ソングライターは何とダイアン・ウォーレン。89年は特に彼女作ヒットの多かった時期で、この曲と同時に彼女のペンによるバッド・イングリッシュの「When I See You Smile」がヒット、2曲が1&2位を独占した週も。さてミニ・ヴァニリのこの曲、彼女に酷いことしちゃったのが悔やまれてならないけど、プライドが邪魔して謝れない、だったら雨のせいにしちゃえ、という前向きなのかいーかげんなのかよくわからない内容。たださすがに曲構成は見事な出来映え。これまでと違いラップ部を一切入れず、コーラスのリフレインで盛り上がっていくところは他のD.ウォーレン作に全くひけをとらない。