John Cougar Mellencamp
Biography

 89年はジョン・(クーガー・)メレンキャンプの地味化元年である。82年の大ブレイク以来シングルもアルバムを大ヒットを連発し、大統領選挙のキャンペーンソングに使われるような「国民的シンガー」の域にまで達していた。しかし85年の「Scarecrow」で歌詞がぐっと社会性を帯び、87年の「Lonesome Jubilee」で音作りまで渋くなり、89年の「Big Daddy」ではもはや世俗を捨ててしまった。当然ながらチャート上では人気は下り坂になり、90年代にもぽつぽつとヒットは続いたものの、80年代のような勢いはなくなってしまった。89年は、まさに彼にとってのターニングポイントだった。(しんかい)


Hit List

'89 #15 Pop Singer
 しかし、売れなくなることは彼にとっては全然落胆するべきことではなかった。彼はこの曲で宣言した「Never want to be no pop singer / Never want to write no pop song」と。これまでもずっと、彼には陰があり、メインストリームには居心地の悪さを感じている風だった。しかし社会のメインストリームに対して反骨精神をむき出しにする様は、庶民、もっと言えば社会の底辺にいる人々にとってのヒーローに成り得た。実際彼はそうして極めて庶民的なヒーローとして、何百万ものファンの心をつかんできた。だが、この曲は、多くのファンの心には届かなかった。曲に、メロディに、彼の曲にいつも感じられた人なつっこさがない。それほど本気で「ポップシンガーにはなりたくない」と言いたいのだろうけど、これは表現者としての自由を一歩踏み越えて「プロとしてやってはいけないこと」の領域に踏み込んでしまったように思えてならない。

 90年代以降、彼の作る作品は決してつまらなくなっているわけではない。だが時代は変わり、彼自身も変わった。そしてだんだん仙人化が進み、ヒットチャートから遠ざかり、彼が言うところの「ポップシンガーにはなりたくない」は成就されることになる。でも彼はそれで本当に満足なのだろうか?売れなくなることはニアリー・イコール、ファンを失うことだと気付いているのだろうか?



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