Fine Young Cannibals
Biography

 1960年のロバート・ワグナー&ナタリー・ウッド主演の映画からグループ名をとったファイン・ヤング・カニバルズは85年にUKでデビュー。元々70年代末のUKツー・トーンブームの担い手となったスカバンド「ザ・ビート」のメンバーだったギターのアンディ・コックスとベースのデヴィッド・スティールに、ヴォーカルのローランド・ギフトを加えて結成された。ちなみにザ・ビートのもう一方のメンバーはジェネラル・パブリックを結成した。さて、85年にUKで「Johnny Come Home」が初ヒットとなったFYCは、同年セルフタイトルのデビューアルバムを発表。そして89年のセカンドアルバムでUKはもちろん、全米でも大ヒットを記録。アルバムチャートではマドンナとの首位争いとなるほどだった。結果的に今回紹介する3曲のほかにもアルバムからは「I'm Not The Man I Used To Be」「Tell Me What」などがシングルカットされたが、典型的アルバム1枚屋に終わり、96年にベスト盤「The Finest」を残し今は何処へ?(なかむら)


Hit List

'89 #1 She Drives Me Crazy
 近年になってジョディ・フォスターが登場する車のCMにも使われたので若いmeantime読者にもお馴染みであろうこのナンバー。セカンドアルバム「The Raw & The Cooked」からのファーストシングルとなる。プリンスのスタジオであるペイズリー・パークで収録されたというこの曲、やはりメンバー一同「スタジオ全体がパープルなんでびびった」なんて感想をもらしている。ヴァース部分は全て裏声で歌われ、サビで地声になるというちょっと変わった構成は、ローランドがシャワー中にふざけて裏声で歌ってて思いついたアイデアだとか。さらに注目したいのは不思議なつくりのビデオクリップ。意味なく繰り返されるかえる飛びがファニーな雰囲気を醸し出し、無表情に歌うローランドとのコントラストが印象深い名作。

'89 #1 Good Thing
 続いての大ヒットとなったこの曲は映画「ティンメン/事の起こりはキャデラック」のサントラにも使われた。彼らのルーツを感じさせるツー・トーン風の音使いが心地よいナンバー。ここで歌われている「Good Thing」とは愛する彼女のこと。突然自分の元を去っていき散々心を乱されたあとに何事もなかったように帰ってくる彼女の気まぐれにふりまわされてしまう歌。ところでヴォーカルのローランドは俳優でもあり、「サミー&ロージー」などの映画に出演。当時“最もセクシーな男性”に選出されるほど(!)人気があったが、そんな彼も「Good Thing」にふりまわされたりしたことあったのか?

'89 #11 Don't Look Back
 サードシングルとなったこの曲はストレートな音作りが爽快な気分にさせてくれるポップチューン。お互いいろいろ辛い時期があったけど一緒に前向きに行こう、というメッセージにも好感がもてる。さてここで紹介した歌はいずれも軽快なラヴ・ソングだが、素顔の彼らはかなり政治的主張の強いシニカルなイギリス人。タブロイド誌「サン」を読んでいたという理由だけでレコーディングメンバーだった女性を解雇したりする一面も。アルバムジャケットでも当時気鋭の新進フォトグラファーだったエレン・フォン・アンワースによるニヒルな笑みを浮かべた3人がたたずんでいるが、「過去を振り返るな」というのはFYCにおける基本理念だったりするのかも。



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