Deon Estus
Biography

 デトロイト出身のデオン・エスタスは、1970年代後半からベーシストとしてのキャリアをスタートさせている。とりわけマーヴィン・ゲイのバックを務めたことで注目された彼は、テキサスのブルースシンガー、ジョニー“ギター”ワトソンの『What The Hell Is This (79年)』をはじめとして、トレーシー・ウルマンの『You Caught Me Out (84年)」やエルトン・ジョンの『Ice on Fire (85年)』などのヒットアルバムでその演奏を知られるようになっていった。またソングライターとしても、著名なジャズドラマー、ハーヴィー・メイソンに「We Can Start Tonight」や「Spell」(後にセルフカバー)などを提供したりしていた。しかし彼が表舞台に現れてくるのは80年代後半、ワム! のレコーディング&ツアーメンバーとしてジョージ・マイケルに出逢ってからである。ソロになったジョージの 『Faith (87年)』に参加した後、人気絶頂だったジョージが彼とのコラボレーションを申し出、「Heaven Help Me」を共作することになった。この曲を含んだアルバム『Spell 』は、当時メリサ・マンチェスターなどが在籍していたMIKAレーベルから発売され、そこそこのヒットとなった(POP 89位、BLACK 44位。このアルバムではジョージの他、クライミー・フィシャーのサイモン・クライミーとも共作している)。しかし、このヒットの要因はジョージ人気に負うところが多く、次のシングル「Spell」はHOT100の100位に入ることもできなかった(ADULT11位、BLACK 74位)。その後、同レーベルから『False Start 』を発売するも、ほとんど話題にされることなく、ソロアルバムはその2枚にとどまっているようだ。

 とはいうものの、ベースプレイヤーとしての彼の活躍は順調に進み、ジョージの『Listen Without Prejudice, Vol. 1 (93年、バッキングボーカルでも参加)』、エルトン・ジョンの 『Duets(93年)』、アーロン・ネヴィルの『To Make Me Who I Am (97年)』などに顔を見せている。また、最近ではマーヴィン・ゲイのドキュメンタリー「The Legend」に登場してコメントを寄せたり、自らのスタジオでエンジニアとして活躍しながら後進を育成したりしている。なお、95年には地元デトロイトのR&Bグループ 、ブレインストーム(70年代後半にタブー・レーベルからいくつかのR&Bヒットを記録したグループが、まだ存在するらしい) に参加、アルバム『Journey To The Light』では曲を提供し、自らボーカルも取っている。(山田)


Hit List

'89 #5 Heaven Help Me (with George Michael)
 ジョージ・マイケルのプロデュースによる“ソウルフルなトロピカル調のバラード(当時の解説より)”。トロピカルかどうかはともかく、浮遊感のあるサウンドは、確かに当時耳に残った(ADULT3位、BLACK 3位)。前述のとおり、フィーチャーされていたジョージの声が聞こえるということで話題になりヒットしたもので、当時のほとんどのメディアの紹介もジョージを中心とするものだった。そういうこともあってか、一般の音楽ファンにはいまいち記憶の薄いデオンだが、ワム時代からのバックメンバーであったことで現在のジョージ・マイケルファンの間では、デオンは真の(?)ワム・ファミリーの一員として認知されており、この曲はジョージのレアアイテムと化しているそうである。

 ところでジョージ・マイケルがデオンの楽曲に手を貸したのはこれが唯一ではなく「Me Or The Rumours」のリミックスも担当してもいる(『Spell 』CD盤のみ収録)。ただ、デオン名義の作品にジョージが関わったのはこれらのみで、以降ソロシンガーとしてのデオンは話題に上ることなく、ヒットとは無縁である。ちなみにこの曲は、Album Version (4'40'')のほか、7" Version/Single Edit (4'05'')が存在する。



copyright (c) 1997-2004 by meantime, all rights reserved.
無断転載を固く禁じます。