Gloria Estefan (& Miami Sound Machine)
Biography

 名義をグロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシンとしたアルバム「Let It Loose ('87)」から、ナンバー1を含む4曲のTOP10を出し、さらに大きな存在となった彼女らは、この年のアルバム「Cuts Both Ways」から、遂に名義が彼女のみになり今に至る。バンドの顔である紅一点のボーカルの彼女の存在がより強調された、バラードヒットの比重が高まる中、この"改称"は、ある種必然のことだろう。実際「Cuts Both Ways」からもバラードを2曲TOP10に送り込みつつ、彼女らの原点であるラテンサウンドを強調した曲は残念ながらTOP10入りを逃している。さて90年代の彼女は、90年3月にツアーバスの事故で重傷という災難を克服して、翌年「Coming Out Of The Dark」のナンバー1で見事に復活、その後はヒット規模は小粒になったが、ラテンマーケットを意識したスペイン語アルバムも含め、コンスタントに新作を発表。アトランタ五輪のテーマ曲や、昨年イン・シンクと組んでサントラに提供した曲の話題も記憶に新しい。そう、彼女らも、今日の一大ラテン・ブームの土壌を10年以上かけて育ててきた功労者なのである。(窪田)


Hit List

'89 #1 Don't Wanna Lose You
 前作の大ヒットをうけ、相当期待された新譜「Cuts Both Ways」からのファーストシングルで、89年7月に登場し彼女2曲めのナンバー1を記録。山谷を越えつつ何とかやってきた男女が、さらに先に進むか否かの分岐点に立ち、互いへの気持ちを見つめ直す。女は男への気持ちを再認識し、男に求愛するといった内容の詞と、押さえ気味で始まりサビで一気に盛り上がるロマンチックなメロディが見事にマッチし、夏の終わりにピッタリの雰囲気をもった佳曲。ラテンバンドのリードボーカルという域を超え、"AOR女性シンガー"とか"愛を歌う女"としてのグロリアの本領発揮という感じ。筆者には悲運の名曲というか、2位止まりで終わりそうな印象がすごく強かった曲で、実際同時期にリチャード・マークス、ポーラ・アブドゥール、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、ミリ・バニリ等、この年の顔だった連中のナンバー1ヒットとだいぶもみ合っていて「リリース時期がずれてれば..」なんて思ってたら、見事に9月半ばに間隙をぬうように、1週だけナンバー1を獲得しホッとしたことを妙に覚えている。

'89 #11 Get On Your Feet
 セカンドシングルは一転して「Bad boy」「1,2,3」あたりの流れをくむ軽快なダンスポップ。ラテンフレーバーは多少抑え気味で、ギターのカッティング、ブラスのキメ、間奏のサックスソロ、要所要所で耳にはいるポリシンセ等々の音が、ほんとに当時のわかりやすく洗練されたシティポップ然としており、彼女らがラテン系以外にも幅広い支持を獲得していたことがよくわかる。それでも、間奏の後で「Oo Yho」とラテン風のかけ声がはいってくるのは御愛敬。当時の彼女らの勢いからすれば余裕でTOP10かと思われたが、惜しくも後一歩で届かず、同アルバムからの2曲めのTOP10ヒットの座は、サードシングルでまたしても登場したバラードに譲ることになる。



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