20年近く(!)の長い下積みの末に、87年の「Hunger」からの2曲のスマッシュヒットでブレイクのきっかけをつかんだ彼は、89年の「Soul Provider」で遂に大ブレイクを果たす。今回とりあえず下記の2曲を含め、実に計5曲のTOP40ヒットを生んだこのアルバムは、それ自体もチャートを200週以上滞在、600万枚超の大ベストセラーとなった。その後の彼の活躍ぶりは周知のとおり、ナンバー1アルバムになった「Time, Love And Tenderness」「Timeless」など相次いで大ヒット作をリリース、「男が女を愛する時」のカバーをオリジナルに続きナンバー1にするなどTOP40ヒットを量産、90年代前半はまさに男性ボーカルの頂点に君臨した。が徐々に失速し、96年以降のヒットは20位台に終わったディズニー映画主題歌1曲のみ、97年の久々の新譜「All That Matters」も惨敗、昨年末に手堅さ狙い?で出した「Timeless」の続編のカバー集も殆ど黙殺状態。音楽自体は、まあ殆ど変わりないことをやり続けている結果がこれなわけで、全く流行り廃りとは恐いもの。長い下積みで培った粘りに期待し、何とかしぶとく復活してほしいが...(窪田)
Hit List
'89 #17 Soul Provider
ファーストシングルはアルバムタイトル曲にしてアルバムの冒頭曲。だから多分本人にとってはかなりの自信曲なのだろうが、そのわりにはアルバムの中でもだいぶ地味な曲。かといって出来が悪いわけではなく、このアルバムが、AOR色の強い目鼻だちのはっきりしたタイトな曲が多いせいなのだが。彼が好んでカバーする60年代のR&Bヒット風の、ゆったりしたリズムにほのぼのしたボーカルがのった曲で、一応彼のオリジナル。ケニーGがサックスソロで登場している。直前のヒットが「The Dock Of The Bay」のカバーだったので、まずはその線の曲を続けて印象を残そうという作戦か。ただ、その線の継続だけではそれ以上大きな成果は望めないと認識したのか、彼は次の曲でAOR方面に勝負を賭け、そして大勝ちする。
'89 #1 How Am I Supposed To Live Without You
続くセカンドシングルは3週連続ナンバー1に輝き、まさに彼の人気やステータスを決定づけ、その後の彼の快進撃の呼び水ともなった希代の名曲。もともとはローラ・ブラニガンに提供し、スマッシュヒット(83年12位)した曲のセルフカバー。自分をふった恋人に「君なしでどうしたらいい??!」と未練がましく切々と訴える女々しい歌と言ってしまえばそれまでだが、流行歌における普遍的なテーマともいうべきこの詞に、心の底からしぼりだす叫びのような彼の声質が、見事にマッチ(まさに迫真の演技)。またサウンド面でも、よく歌うエレピのイントロとバッキングに、タイトなリズム隊、間奏ではディストーションのほどよくきいたギターが伸びのあるソロを展開といった、典型的なAORサウンドを、プロデュースとキーボードにマイケル・オマーティアン(ピーター・セテラの「Glory of love」やクリストファー・クロスの一連のヒットで名高い)、ギターにマイケル・ランドーといった超強力な布陣が極めて良質に構築。これらがあいまって見事、上記のような大ヒットに。尚、彼はこの曲でグラミーの最優秀男性ポップボーカルも獲得した。個人的にはソング・オブ・ジ・イヤーもあげたかった曲。
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