1986年のデビュー作『Licensed To Ill』で鮮烈なインパクトをマーケットに与え、ヒップホップを一気にマスマーケットのコンテクストで語れる位置に押し上げたビースティーズが3年ぶりのセカンド『Paul's Boutique 』をリリースしたのがこの年。1作目の大ヒット後、ブレイクに一役買った仕掛け人、デフ・ジャム・レーベル社長のリック・ルービンとの訴訟などの騒ぎがきっかけでキャピトルに移籍、1作目のヘビメタとパンクとヒップホップが物理的合体をした、という程度だった感じから、様々?音楽要素と色んな音楽ジャンルからのサンプリングをベースにあらゆるポップ・カルチャーへの言及で渦巻くいかにもビースティーズ臭いライムを乗せたこのアルバム、後の『Check Your Head (1992)』『Ill Communications (1994)』や最新オリジナル作の『Hello Nasty (1998)』といった混沌とした音世界の原型が完成した記念すべきアルバムといえる。つまりこの時期ビースティーズは彼らの勝ちパターンの音作りを確立した時期にいたのであった。(阿多)