The Beach Boys
Biography

 1970年代半ばに“アン・アメリカン・バンド(≒偉大なるオールディーズ・バンド)”として人気を回復した彼らは、以降中クラスのヒットを時折飛ばしながら、精力的な全国ツアーを廻る日々を送った。グループの中心人物であったブライアン・ウィルソンは相変わらず精神状態が安定せずアルバムに参加したりしなかったり。強力なオリジナル曲は作れなかったが“オールディーズ・バンド”としての営業は順調であった。

 70年代末には一時期グループを離れていたブルース・ジョンストンが復帰、サウンドも安定してクリーンなイメージのビーチ・ボーイズ像が確立されつつあったが、そんな83年にグループのワイルドな面を受け持っていたドラマーのデニス・ウィルソンが泥酔状態でヨットから海に飛び込んで溺死。彼らの活動は数年間の休止を余儀なくされる。

 85年にようやく活動を再開した彼らは同年の「ライブ・エイド」にも出演。しかしようやく創作活動への意欲が戻りつつあったブライアンは、精神科医のユージン・ランディの介入によりグループとの溝を深め、ついにはグループから離脱してしまう。その後「ココモ」のサプライズ・ヒットやブライアンの娘たちが結成したウィルソン・フィリップスの成功、革新的なロック・バンドとしての彼らの再評価などいいニュースもあったが、ブライアン抜きのグループは安定したレコード契約を獲得することが出来ず、90年代に入ると各々のメンバーが「ビーチ・ボーイズ」の看板で思い思いに活動するようになり、グループは徐々に崩壊していった。(八亀)

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Hit List

'81 #12 The Beach Boys Medley
 考えてみれば70年代に彼らの人気が復活したきっかけは「Surfin' U.S.A.」の再ヒットとベスト盤「Endless Summer」だった訳だが、80年代の彼らも過去のレパートリーに救われた形になった。折しも“メドレー・ブーム”のまっただ中、ビーチ・ボーイズも往年のヒット曲を再編集してシングルをリリース。見事ヒットとなったが、これが他のメドレーものと違ったのは、本人たちがメディアに登場してメドレーのプロモーションに一役かった点。彼らのこだわりのなさがよく表れたエピソードだと思う。シングルとは別にメドレーのロング・バージョンも制作され、それは「バラード・メドレー」とともにマキシ・シングルとしてリリースされている。


'81 #18 Come Go With Me
 メドレーの成功で復活した彼らが続いてリリースしたのが、過去10年間の活動をまとめたベスト盤「Ten Years Of Harmony」のリリース(また過去のレパートリーに頼るっ!)。そこからカットされたのがデル・ヴァイキングス1957年のヒット(最高4位)のカバー。この曲は1978年発表の「M.I.U. Album」にも収録されていたが、こちらはそれを録音し直したバージョンで、サウンドを大幅にシンプルにして彼らのコーラスを前面に押し出した仕上がりになっている。余談になるがベスト盤のタイトルは80年に発表されたアルバム「Keepin' The Summer Alive」収録の「Endless Harmony」から取られているが、これは70年代の一時期グループを離れていたブルース・ジョンストンが別プロジェクトでリリースしたビーチ・ボーイズ賛歌のカバー。80年代の彼らの活動は、最大の理解者にして業界のプロフェッショナルであるジョンストンの活躍抜きには語れない。


'85 #26 Getcha Back
 デニスの死を乗り越え、約5年ぶりに発表されたオリジナル・アルバム、その名も「The Beach Boys」からのファースト・カットは、レコード会社の強力なプロモーションもあって見事TOP40入り。勝負作ということで当然ブライアンの作品かと思うとさにあらず、マイク・ラヴとブルー・ジョンストンのかつての盟友、プロデューサー/ソングライターのテリー・メルチャーの共作。当時ブライアンが作った曲には必ず共作者としてユージン・ランディの名前がクレジットされており、それがグループ的には面白くなかったのでは?などと勘ぐってしまう。マイクがブルース・スプリングスティーンの「Hungry Heart」を聴き感銘を受けて作ったというだけあって、そのまんまの作風。派手なドラム・サウンドとコーラスが印象的な、1985年夏のテーマ曲。


'88 #1 Kokomo
 トム・クルーズ主演の大ヒット映画「カクテル」主題歌。前年にソロ・アルバムを発表したブライアンはプロモーション・ビデオにすら登場しておらず、作曲のクレジットはマイクとメルチャーに加え、元ママス&パパスのジョン・フィリップスと再編ママパパに参加していたスコット・マッケンジーという面々。南国ムードのほんわかした雰囲気に突然割り込んでくるカール・ウィルソンのハイ・テンションな歌声にハッとさせられる瞬間がある(彼にはキンクスにおけるデイヴ・デイヴィス的なものを感じることがある)。これだけのヒットを放ったにもかかわらず彼らがその後リリースしたアルバムは既発サントラ曲の寄せ集めである「Still Cruisin'」で、グループとしての創造性はこの時点で既に限界にきていたのかも知れない。



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