2005年も終盤を迎え、忘年会続きの毎日に忙しい思いをしたり、そんな“慣例”に惑わされず相変わらずのんびりと日常を送ったり、それどころじゃなく仕事に忙殺されたり。。そんな生活のBGMにオールディーズを!ということで年末の雰囲気にピッタリな“新録”2枚をご紹介。
まず一枚目は「ジャージー・ボーイズ」のサントラ。これは茨城県潮来市を舞台に、ジャージ姿の青年たちが大暴れする宮藤官九郎脚本の新ドラマ・・ではなく、今年中野ではない方のブロードウェイで上演されたミュージカルのサウンドトラック。近年60〜70年代に成功を収めたアーティストのヒット曲をふんだんに盛り込んだミュージカルが人気を呼んでいるようで、日本でもアバの「Mama Mia」だとかクイーンの「We Will Rock You(音楽はよかったが、脚本が酷く幼稚なのに閉口した)」などが上演されているが、「Jersey Boys」はニュージャージー出身のボーカル・グループ「フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ」がモデルとなっている。彼らのキャリアを1950年代の下積み時代から成功に至るまで、往年のヒット曲をBGMにたどっていく・・というのがミュージカルのストーリー。
オリジナル・フォー・シーズンズの4人役には若手の俳優が配されており、となるとどうしても気になるのがリードボーカルのフランキー・ヴァリ、彼の特徴的なファルセットを再現するのは誰か??という点になるのだがそこが流石はアメリカ、ちゃんとピッタリな人材がキャストされていて、ここではジョン・ロイド・ヤングというシンガー兼アクターがその大役を務めている。オリジナル・メンバーの一人ボブ・ゴーディオが制作/監修を担当しているこのストーリーの冒頭を飾るのは意外にもフランス語の「Ces Soirées-la」、これは彼らの「December 1963 (Oh, What A Night)」を元ネタにしたラップ・ナンバーで、2000年にパリでナンバー1を記録したのだとか(本当かね?)。現在も世界中で愛され続ける音楽を生み出した彼らのキャリアのそもそもの始まりは・・?というナレーションと共に、舞台は1950年代へ。
ここから暫く彼らがブレイクする前の時代の曲がメドレーで披露されるが、この選曲がなかなかマニアックで最初の聴きどころになっている。彼らのプロデューサーであるボブ・クリューが最初に生み出した大ヒット、レイズの「Shilhouettes」をはじめとするドゥ・ワップ・クラシックに混じって、彼らの熱心なファンであれば思わずニヤリとしてしまう「You're The Apple Of My Eye」や「My Mother's Eyes」なんて初期のレアな曲が登場したり、ボブ・ゴーディオがフォー・シーズンズに加入する前に放ったヒット、ロイヤル・ティーンズの「Short Shorts」がチラッと演奏されるなど、非常に楽しい雰囲気で劇は進行。そんな中で彼らは出逢い、類い稀な歌声の持ち主であるヴァリを中心にグループが結成されることとなって1962年のナンバー1ヒット「Sherry」が生まれ、そこから先はヒットに次ぐヒットへ。
その後はお馴染みの曲ばかりが続くので、曲目を眺めていただけば雰囲気はわかると思う。彼らは60年代に全盛期を過ごした後70年代半ばに再ブレイクを果たしているが、その時期のヒットも上手い具合に60年代のストーリーに織り込まれている。例えば1976年のナンバー1ヒット「December 1963」はその名の通り1963年12月のシーンで、1975年の「My Eyes Adored You(瞳の面影)」は恋人と愛を語るシーンで、といった具合。物語は実際に起った順番が多少前後しつつも60年代後半まで続き、ヴァリがソロで「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」をヒットさせる場面をクライマックスに時代は一気に80年代、彼らが「R&Rの殿堂」入りを果たすところまで飛んで大団円。陽気なヒット曲ばかりで純粋にアルバムとして聴いても楽しめるし、時折入るナレーションで物語の大筋がわかるので彼らのサクセス・ストーリーのおさらいとしても楽しめる。大ヒットばかりをつなげながら途中殆どダレることなくエンディングまで持っていってしまうところは流石だ。
ミュージカルの評判はなかなかいいらしく、ジョン・ロイド・ヤングは今年のブロードウェイでもっとも印象的な人物の一人に選ばれるなど、かなりの高評価を得ている。出来れば日本での上演も望みたいが「We Will Rock You」でさえ客の入りはあんな感じだったから、まず無理なんでしょうね・・。来年渡米するチャンスに恵まれたら、是非ともニューヨークで観たい一作である。で、もう一枚の紹介は、恐らく現役では最高のドゥ・ワップグループであるケニー・ヴァンスとプラノトーンズの新作。彼らは数年前に日本でも公開された素晴らしい映画「Lookimg For An Echo(奇跡の歌)」に於いて、影武者として歌の部分を担当したことで知られているが、現在もニューヨークを拠点にライブ活動を行っており、時折オリジナル・アルバムも発表し続けている。今回は50年代のドゥ・ワップクラシックを彼ら流の味つけで甦らせた好企画盤で、一曲目がいきなりスカイライナーズの隠れた名曲「Lonely Way」という点でもうマニアはノック・アウト。収録曲は殆どがバラードで、悪くいえばワンパターンだが、それが彼らの持ち味だし最大の魅力だから、只々その世界に浸り静かな夜を過ごしたい・・なんて気になってくる佳作である。
ケニー・ヴァンスとプラノトーンズは僕もずーっと来日公演を待ち望んでいるグループの一つで、実際に招聘に動いているところもあると思うのだが、あまりにも日本と現地の評価が違い過ぎるので条件面が折り合わないのだろう、未だ実現しないままとなっている(ケニー・ヴァンスは無名時代のスティーリー・ダンの音源を持っていて、それを巡って彼らと係争したこともある人なので、恐らく金銭面は相当シビアなんだと思う)。最近「コットン・クラブ」なんて洒落たライブ・スポットも東京には出来たので、是非とも呼んで欲しいところだけど・・。これも次回渡米時の課題とするか。
収録曲等詳細(発売元のサイト)
Jersey Boys - Original Broadway Cast Recording
Lovers Island - Kenny Vance & The Planotones