八亀's Picks - November 2004

過去の八亀's Picks

11.27 Philadelphia Roots Vol.2 - VA
11.21 SMiLE (UK Limited Edition) - Brian Wilson
11.20 Number Ones - The Bee Gees
11.20 The Songs Of The Bee Gees - VA
11.03 Roaring Twenties: Hits of '23 - VA

Philadelphia Roots Vol.2

Philadelphia Roots Vol.2: Funk, Soul and
The Roots of Disco 1965-73 (Soul Jazz)



Philadelphia Roots 以前書いたことがあるけど(このパターン多いな)フィリー・ソウル、特に60年代後半の“アーリー・フィラデルフィア”と呼ばれる類いの音楽が大好きで。かなり出所の怪しい音源も含め見かけるとチョコチョコ購入するようにしている。勿論期待外れのものもあるんだけどたまには感動的なコンピレーションに出っくわすこともあって、その代表的なものが一昨年イギリスの「ソウル・ジャズ」レーベルからリリースされた「Philadelphia Roots」。これはギャンブル&ハフが「フィラデルフィア・インターナショナル」を設立する以前に制作した音源や、その他のプロデューサーたちが同じような時期に作り出した“フィリー・ソウル”のプロト・タイプ的な音楽をコンパイルしたもので、これは大変勉強になったし、これまで聴きたくても聴けなかったR&Bヒットがようやく聴けたりと、大変有り難い1枚だった。今回はその第2集が発売されたので、張り切ってご紹介したい。

 前作同様R&Bが“ソウル・ミュージック”の時代に移行しつつあった1965年から、ギャンブル&ハフが「フィラデルフィア・インターナショナル」で一時代を築く1973年までの作品が集められているこのCD、今回はよりレアな作品を中心に選曲されていて、またクラブ・ユースも重視したのか(なにしろこのCDを出しているのは「ソウル・ジャズ」レーベルなので)インスト曲の比重が増している。まず当時ヒットを記録したものを挙げてみると、フージーズが「Ready Or Not(96年)」で歌い込んで若い世代にも知られるようになったデルフォニックスの「Ready Or Not Here I Come (Can't Hide From Love)(69年POP35位/R&B14位)」、何故かイギリスのコンピレーションに頻繁に収録されるファースト・チョイスの大ヒット「Armed And Extremely Dangerous(73年POP28位/R&B11位)」くらい。これらはサービス収録といった感じか。残りはより深い世界に突き進む。

 かなり力の入ったライナーノーツやインタビューがブックレットに掲載されているにも関わらず、収録曲のオリジナル・リリース情報が抜けているため前後感覚が判り辛いのだが、印象に残った収録曲ではまずギャンブル&ハフ制作曲が4曲、スリー・ディグリーズの初期作品2曲に“シルキー・ソウル”シンガーとして成功を収める以前のフランキー・ビヴァリーが男臭く歌う「Love (Your Pain Goes Deep)」、ケニー・ギャンブル本人の「Ain't It Baby」がそれ。ギャンブルの曲にしても、同じくこのCDに収録されているアンバサダーズの「I Can't Believe You Love Me(タミー・テリルのカバー)」にしても、モータウンの強い影響下から次第に独自のサウンドを創り上げていった様子が興味深い。

 クラブ・プレイ向きのインスト曲ではほぼ完成された“フィリー・サウンド”が聴けるフィラデルフィア・ソサエティの「100 South Of Broadway」とファミリー・アフェアの「Nation Time」、“ザ・ファミリー”によってジャズ・ファンク調に料理されたスライ&ファミリー・ストーンの「Family Affair」、ザ・フィリー・フォー(この手の名前がつけられたグループは、殆どがスタジオ・ミュージシャンの集合体なのだろう)の南部っぽい変則ビート「Elephant」、パニック・ボタンズの仕掛けたっぷりのファンク・ナンバー「Come Out Smokin'」、ルビー&パーティ・ギャングの猥雑な「Hey Ruby, Shut Your Mouth(71年R&B29位)」などなどがたっぷり。音楽史的な知識がなくてもここら辺は“ソッコー使える”感じで聴けると思うので、このCDの入手に理論武装は必要ない。

 余談になるけれども以前これの第1集を人が集まるところでかけたことがあって、ある曲で「このベース、ホソノさんそっくりだよね。」と指摘された。なるほど確かに。“ルーツ・オブ・キャラメル・ママ”、そして我が国で“シティ・ポップス”と呼ばれたタイプの音楽に多大なるヒントをもたらした録音群としての資料価値もあるのかも知れない。知られざるフィリー・ソウルの源流を発掘してくれる企画として「Philadelphia Roots」には今後もリリースを続けて欲しいところ。あと“学習派”的にはギャンブル&ハフが「フィラデルフィア・インターナショナル」以前に立ち上げ、アーティスト・制作陣ともに既に黄金期のメンバーを揃えていた2つのレーベル「ギャンブル」と「ネプチューン」の作品集なんてのもそろそろ何処かが出してくれるといいと思っているのだが。これは2005年のお楽しみとして(実現するかどうかは別として)とっておくことにするか。

収録曲等詳細(発売元のサイト)

(2004/11/27)

こちらは米国通常盤です

SMiLE (UK Limited Edition) - Brian Wilson
(Nonesuch)



 2004年はオールディーズ・ファンにとって記念すべき年となった、ってのは大袈裟か。ビーチ・ボーイズの「スマイル」が新録という形であるにしろブライアン・ウィルソンの手によって37年越しの完成を見たのだから。

 このコーナーをご覧になっていて「Smile」をご存じない、なんて方がいるとは思わないが、一応ご説明。現在では「ロック史上有数の傑作」と呼ばれるようになった「Pet Sounds(66年)」に続いてブライアン・ウィルソンがビーチ・ボーイズのニューアルバムとして制作したのが「Smile」。「Pet Sounds」録音時から制作を始めていたシングル「Good Vibrations」が難解な曲調であるにもかかわらず全米ナンバー1を獲得し、お膳立ては万全だったのだが、創作の源であるブライアンの構想が広がり過ぎて収拾がつかなくなり完成は遅れに遅れ、彼のドラッグ禍もあって結局は制作中止。“ライバル”ビートルズが「サージェント・ペパーズ」を大成功させ、ロック・シーンが新しい時代に移り変わろうとしている時期にビーチ・ボーイズは中心人物が半リタイア状態となってしまったことにより勢いを失い、ヒットチャートの最前線から後退する。

 その後ブライアンは約30年に亘ってひき籠りと一時復帰を繰り返す生活を送り、グループの方は紆余曲折の末70年代半ば以降“オールディーズ・バンド”として生きる道を見い出した。そして「Smile」はグループが小出しに発表した当時の楽曲や流出したセッション・テープのユニークさがファンの妄想を呼び“この世に存在しない最高のロック名盤(??)”としての評価(???)を高めることに。80年代後半にグループと袂を分ったブライアンは友人や家族の助けを得てリハビリ作を何枚か発表した後、90年代末に「ワンダーミンツ」という才能と献身性を持ち合わせた若者たちと出逢い、彼らを中心にツアーバンドを結成。英米を廻ったツアーは絶賛をもって迎えられ、その感動のシーンは99年7月に実現した来日公演で僕も目の当たりにすることが出来た。ようやく逢えたブライアンは声の衰えが激しく、歌もところどころヌケがち。しかしバックバンド全員(!)のコーラスがそれを補い、名曲の数々を見事に蘇らせていた。

 1988年、日本における彼らの再評価に大きな影響を及ぼした「レコード・コレクターズ」誌ビーチ・ボーイズ特集で大瀧詠一がブライアンの初ソロアルバムを評してこう書いていた。“元JR(国鉄)の400勝投手、金田正一が再びユニフォームを着て、現在の巨人を相手に投げ、三振は一個もとれなかったが9回を投げきり、点数は沢山取られたが、味方がそれ以上の点を取ったので、結果的には勝利となった。”当時僕はこれを読んでピンとこなかったのだが、ライブを観て「あー、このことを言っていたのか。」と10年以上の時を経て実感した。強力なバックアップを得たブライアンは続いて2002年に「Pet Sounds」をライブで完全に再現するという恐るべきツアーをやってのけ「次は何が出るのか?」とマニアたちが注目する中昨年発表されたのが「2004年は幻の『Smile』の楽曲をライブで再現してしまいます!」というとんでもない予告。吃驚しましたね。なにしろこれだけ長期間に亘って多くの人々の妄想を膨らませ続けたアルバムを、ここにきて完成型として発表してしまおうというんだから。しかもブライアンはかつてのブライアンではない訳だし。

 そんな訳で期待半分、危惧半分といった感じで続報を待ち続けた「Smile」はまず2月のイギリス公演でお披露目され、これが期待を遥かに上回る出来との評判が耳(ネットだから目か)に入ってくる。続いてCD版が発売され、これを恐る恐る聴いてみると、僕もそれほど研究熱心ではないものの、海賊盤等の情報により自分なりの「Smile」のイメージが頭の中にあるにもかかわらず“ガッカリさせられなかった”ことにちょっと驚いた。完成度が高く、よくまとまっている。このアルバムには当然のことながら賛否両論(賛が圧倒的に多いようだが)あって、否定的な意見は、ブライアンの声が当時とはすっかり変わってしまっている点と“ビーチ・ボーイズのコーラスじゃない”点に集中しているようである。僕はブライアンと現在のバンドが醸し出す“空気感”に耳が馴染んでいる、というかかなり好きなので、その点は全然気にならなかったのだが。アルバムの詳細なレビューは、1月の来日公演をしっかり堪能した上で、いずれこのコーナーか何処かに掲載したいと思う。

こんなフィギュア付きだったら欲しいでしょ?

 で、今回の本題はアルバムの内容ではなくて、この発売に合わせてアマゾンUKオンリーで売り出された限定版。CDのブックレット真ん中のページには各収録曲をテーマに作られたオブジェを並べた写真が掲載されていて、これをフィギュアとして復刻し箱入りで発売、しかも何組かに一つはブライアンのサインが入っているかも???なんて甘い言葉に誘われて、1万円近い値段にもかかわらずついついオーダーしてしまった。だって、こんなフィギュアあったら可愛いよね!?上掲ジャケットの「スマイル・ショップ」の店長にでもなった気分で、フィギュアを並べてニンマリしよう・・などと考えながら到着を楽しみにしてて、届いた小包をワクワクしながら開いたらその“フィギュア”がなんと厚紙に写真を貼付けたようなシロモノ!!騙されたーっ!!!当然ブライアンのサインもなし。一変して単なる置き場所に困る小箱(その様はハワイ土産の定番マカデミアン・ナッツにさも似たり)と化してしまったこのCDを、とりあえずCDプレーヤーの上に飾りながらこのレビューを書いている次第。。

 このフィギュア、何処かで本当に作ってもらえないもんでしょうかね?1万円くらいだったら、本気で欲しいんですけど。

「Brian Wilson presents SMiLE」試聴サイト

(2004/11/21)

The Bee Gees Number Ones

Maybe Someone Is Digging Underground


Number Ones - The Bee Gees (Universal)
Maybe Someone Is Digging Underground:
The Songs Of The Bee Gees (Castle)



 再発市場(?)もクリスマス商戦に突入ということで、このところ大型商品のリリースが相次いでいるが、中で結構レコード会社の力が入っているな、と思わせるのがビー・ジーズのナンバー1ヒットを集めたこのCD。アメリカで9曲、イギリスで5曲のナンバー1ヒットを放っているばかりでなく、彼らは世界各国でヒット曲を持っているのでリストを見ると意外な曲が収められているのが面白い。日頃英米のチャート記録を見なれている方には「おやっ?」と思われるであろう収録曲のナンバー1獲得状況を列記しておくと

Words('68 ドイツ、オランダ、スイス)
World('67 ドイツ、オランダ)
I Started A Joke('68 ニュージーランド)
Don't Forget To Remember('69 オランダ、南アフリカ、ニュージーランド)

 といった感じ。彼らのナンバー1ヒットというと、どうしても70年代後半に偏ってしまうのでこの収録は歓迎すべきだろう。曲の紹介はあまりにもお馴染みのものばかりなので省略するとして、このCDはアメリカ盤とイギリス盤(及び日本盤)では収録曲が違う、というお話を。簡単にいえばイギリス盤はアメリカ盤よりボーナスが3曲多く、逆にイギリス盤には70年にキャッシュボックス誌で1位になった「Lonely Days」が入っていないということなのだが、ボーナスの3曲はサントラ「Saturday Night Fever」に収録されたタヴァレスのバージョンがヒットした「More Than A Woman」、ケニー・ロジャースとドリー・パートンにより83年に全米ナンバー1を記録した「Islands In The Stream」、そしてセリーヌ・ディオンと共演した「Immortality」で、いらないといえばいらないという気も・・。その代わりアメリカ盤には初回プレス限定で、生前のモーリスが参加しているスタジオ・ライブ5曲が収められたDVDがついているので、どちらを買うかはビー・ジーズに対する思い入れとか、歌詞カードが付いていた方がいいとか、イギリスのアーティストはイギリス盤で揃えたいとか、各々に理屈をつけて決心していただけばいいと思う。

 あと一点米・英盤ともに共通しているのが、昨年亡くなった“次男坊”モーリスに捧げられた「Man In The Middle」の最終トラック収録。これは3人による最後のアルバムになってしまった2001年の「This Is Where I Came In」に収められていた曲で、バリーとロビンがその喪失を乗り越え、今後どのような活動を展開していくのか興味をそそられる終わり方になっている。ビー・ジーズのヒット曲をちゃんと聴くとしたら最低でも2枚組(ディスコ以前とディスコ以降)にはなると思うので、このCDが入門編として最適、というつもりはない。むしろ既に彼らのCDをそれなりに持っているけど、最新のマスタリングで代表曲を手軽に聴いてみたい、という気持ちで買うのが一番かも。

 で、もう一枚は、彼らの作品を60年代後半〜70年代前半に他のアーティストがカバーした録音を集めたもの。このコーナーでも何回か紹介しているイギリスの再発レーベル、キャッスル・コミュニケーションズが熱心に枚数を重ねている企画の一つに「The Songs Of 〜」シリーズというのがあって、テーマによりコンピレーションの出来不出来にばらつきがあるためどれもお薦めとは言えないのだが、シリーズ最新盤である“ビー・ジーズ編”は、彼らのファンだったらこんなCDが欲しかったでしょう、といえる内容になっている。

 マンチェスター生まれのバリー、モーリス、ロビンのギブ3兄弟に友人が加わった“B.G(Brothers Gibb)S”はまず幼少期に移住したオーストラリアでレコード・デビューを果たし、成功を収めた後凱旋という形でイギリスで「New York Mining Disaster 1941(ニューヨーク炭坑の悲劇)」をリリースすることになるのだが、このイギリス再上陸の際マネージャーのロバート・スティグウッド(後にレーベル「RSO」を設立し、ビー・ジーズ全盛期を謳歌する)はギブ兄弟のソングライターとしての才能を売り込むためオーストラリアで制作されたデモ録音を業界にばらまき、その中から幾つかの作品が取り上げられレコード化が実現している。

 CDに収録されている22曲のうち、ビー・ジーズ自身によりヒットした曲は3分の1程度、残りはアルバム収録曲か、純粋な“提供曲”ということで、あの実り多い時代に彼らが如何に幅広く活躍していたか、オリジナル・アルバムを聴いただけでは判らない部分を知ることができる。登場するアーティストはまず最近TVCMに使用されてやたらと耳にする「Spicks & Specks」のステイタス・クオー版に始まり、「Top Hat」のモンタナス、「Butterfly」のマーマレードといった当時のライバル(というかフォロワー)、更に元ジェリー&ペースメーカーズのジェリー・マースデン「Gilbert Green」、ビリーJ.クレーマーの「Town Of Tuxley Toymaker」、元マンフレッド・マンのポール・ジョーンズ「And The Sun Will Shine」、アダム・フェイスの「Cowman Milk Your Cow」など彼らより一世代前のアーティスト、その他泡沫系等幅広い。中にはモーリスの覆面プロジェクト“ファット”によるビートルズのパロディ曲「Have You Heard The Word」なんて珍品もある。あ、あとCDの一番最後にシークレットでメチャクチャ音痴な「Stayin' Alive」が入っているので、そちらもお聴き逃しなく(誰が歌ってるの??)。

 どれもまずまずの水準の作品ばかり、当時の流行を巧みに取り入れたソフト・サイケ作品集として十分聴き応えのある内容になっているので、ビー・ジーズの熱心なファンばかりでなく、ソフト・ロックファン、60年代のブリティッシュ・ポップスファンだったら入手すべきコンピレーションだと思う。何故か不当に低い“ソフト・ロック界”における彼らの評価も、このCDや12月に一気に日本盤がリリースされるというオリジナル・アルバムによって見直しが為されることを願いたい。

収録曲等詳細
Bee Gees Number Ones
Maybe Someone Is Digging Underground: The Songs Of The Bee Gees

(2004/11/20)

Hits of '23

Roaring Twenties: Hits of '23 - Dreamy Melody
(ASV/Living Era)



 以前アメリカのArcheophoneというレーベルから出されている20世紀初頭のヒット曲を集めたコンピレーションを紹介したことがあったけれども、同じく20世紀前半の音楽をイギリスで精力的に発掘しているのがASV/Living Eraというレーベル。ここの一番の人気シリーズは1930年代から50年代にかけての年別ヒット曲集で、これも何ヶ月か前に取り上げたがこれまでに1930〜53年の24枚が出されている。で、それに飽き足らなくなった同社は今度は「1920年代のヒット曲集」シリーズを開始し、その第4集としてリリースされたのがこの「Hits of '23」。

 Archeophoneも20年代のヒット曲集をこれまでに何枚か発売していて、その内容の徹底ぶりに比べるとASV盤は企画として少々弱いのだが、とにかく安くて気軽にこの時代の音楽を聴くには最適なので、僕はニューリリースの知らせが届く度に購入している。1923年というと和歴に直せば大正12年、関東大震災があった年(!)。このCDではその年のナンバー1ヒット全13曲中10曲を収録しているので、まずはそちらから。

 まずはこの時代のトップ・シンガーたち、アル・ジョルスンの「Toot, Toot, Tootsie (Goo'bye)」、ビリー・マレイの「That Old Gang Of Mine」、俳優/タレントとしても大成したエディ・キャンターの「No, No, Nora」などのショー・チューンがあり、そして1930年代に花開くビッグバンドの前身的存在の“スイート・バンド”と呼ばれる楽団の数々、アイシャム・ジョーンズの「Swingin' Down The Lane」やヴァイオリニストがリーダーであるアート・ランドリー楽団の「Dreamy Melody」などなど。そしてジョルスンやキャンターに通じる“芸人系”のアーティスト、ヴァン&シェンクの「Carolina In The Morning」、ビリー・ジョーンズが南方からの移民たちの辿々しい英語を面白可笑しく歌った「Yes, We Have No Bananas」など、当時の雰囲気がビシビシ伝わってくるヒット曲がずらり。

 更に、1920年代のヒットチャートというと忘れてはいけないのがポール・ホワイトマン楽団。後に「King Of Jazz」という映画に出演し、それが彼の称号となるが、この時期の彼は他を寄せつけないほどのヒットメーカーで、20年代の10年間に記録に残されているヒットの数がなんと160曲!またそのいずれの年でもナンバー1を記録していて、これは米国ポップ音楽100年以上の歴史の中で、他に90年代のマライア・キャリーのみが達成している大記録。CDにはこの年に放ったナンバー1ヒット3曲のうち2曲が収録されていて「The Parade Of The Wooden Soldiers」は「おもちゃの兵隊のマーチ」として、そしてTVの長寿番組「3分クッキング」のテーマとして現在も日常的に耳にする曲。もう1曲「Bambalina」はミュージカル「Wildflower」からのナンバー。

 あと1曲重要なナンバー1ヒットはベッシー・スミスの初録音にしてミリオン・セラーを記録した「Downhearted Blues」で、これは詳しく確認していないが黒人女性がヒットチャートのトップに立ったごく初期の記録だと思う。その他のヒットで気になるところでは、キング・オリバーの「Dippermouth Blues」は恐らくルイ・アームストロングが初めてヒットチャートに登場した録音だし、伝説的なバラード・シンガー、ヘンリー・バーの「Faded Love Letter」や「Just A Girl That Men Forget」で聴けるなんとも言えない哀愁味も心にしみる・・。

Hits of '20 Hits of '21 Hits of '22  Chart-Toppers of the Twenties 

 現在も頻繁に耳にするタイプの楽曲が少ないので、どうしてもこの手の音楽に馴染みのない耳では“お勉強”という感じで聴くことになってしまうかも知れないけれど、これが一旦ハマると本当に味わい深くて楽しいものになるんです。選曲や音源選びは結構しっかりしているし、Amazonで買えば1枚\1,500もしない安さなので、興味のある方は気軽に入手して聴いてみていただきたいと思う。1920年代シリーズはこの前に3枚出ている他に、20年代に5週間以上1位を記録したヒット25曲を集めた「Chart-Toppers of the 20's」というのも発売されているので、まずは1枚となれば、こちらをお薦めしたい。

曲目等詳細(発売元のサイト)

(2004/11/3)