八亀's Picks - February 2004

過去の八亀's Picks

2.28 Sock It To 'Em Soul: 60's Club Soul Classics - VA
2.28 Creme De La Creme: Philly Soul Classics and Rarities - VA
2.23 The Complete The Chi-Lites On Brunswick Records
2.12 Crazy 'Bout An Automobile - VA
2.09 The R&B Hits of 1953 - VA
2.07 映画「ハリウッド的殺人事件」

60's Club Soul Classics

Philly Soul Classics


Sock It To 'Em Soul: 60's Club Soul Classics 1963-1968
Creme De La Creme: Philly Soul Classics and Rarities 1972-1976
(Warner Special Marketing)



 以前モータウンのコンピレーションを紹介したことがあったが、個人的にそれ以上に好きなR&Bレーベルが「アトランティック」。高校生当時、それまでオールディーズといっても白人ポップス一辺倒だった僕がR&Bにも目を向けていくようになったきっかけが「アトランティックの歴史」シリーズ7組14枚(当然アナログ)で、1940年代後半から70年代半ば、音楽的にいえばジャンプ・ブルースからニュー・ソウルまでR&Bメインストリームの一角を占め続けた同レーベルのヒットが200曲近くギッシリ詰まったこの“一抱え”を手に入れるため、必死にバイト代をはたいていたあの頃が懐かしい(遠い目)。

 アトランティックは非常に大きいレーベルで、しかも各地のマイナー・レーベルから作品をどんどん買い上げて全国配給していたため制作者はそれこそまちまちでモータウンのような統一感はまったくないのだが、それでも45回転盤に「アトランティック」のロゴが貼られると、どれも一定以上のクオリティを持つ「品質保証付き」というイメージのある不思議なレーベルであった。このレーベルを通じて発売された数々のソウル・クラシックをテーマ別にコンパイルしたものとしては、イギリスのエイス・レコードが数年前まで出していた「Where It's At」シリーズというのがあったが(僕は殆ど持ってます)、最近は代わって英アトランティックの親会社、ワーナー・ブラザーズが色々と手の込んだコンピレーションを出し始めている。数年前日本でも出されたレア・グルーブ集「Right On!」シリーズなどをレコード屋で見かけたことのある方もいるかもしれない。

 今回紹介するのはまず60年代のクラブ向けR&B集「Sock It To 'Em Soul」。“Sock It To Me!”は60年代後半に流行ったかけ声だが、その時代、“ソウル・ミュージック”が一番熱かった時代に生まれた作品がヒット曲を中心にコンパイルされている。CD冒頭を飾るのはレックス・ガーヴィンの如何にもクラブ向けなインスト「Sock It To 'Em J.B.」で、ここでいう“J.B.”とはジェームス・ブラウンではなくジェームス・ボンドのこと。「ドクター・ノー」「サンダーボール」といった作品名に因んだかけ声が非常に楽しい。その後はひたすらヒット曲の連続、ジョー・テックス、ドン・コヴェイ、エディ・フロイドなど、文句のつけようのないメジャー・アーティストが並ぶ。

 比較的名前を知られていないアーティストの中ではグージー・ルネ・コンボ(?)の「Smokey Joe's La La(66年R&B35位)」が面白い。ラムゼイ・ルイスをより猥雑にしたようなインストで、これはちょっとした掘出し物。あとダレル・バンクスの「Open The Door To Your Heart(66年R&B2位/POP27位)」は非常に感じのいいノーザン・ソウルで、これだけの大ヒットなのにこれまで聴いたことがなかった自分が恥ずかしい。CD前半はビートの効いたクラブ・ソウル、後半“モータウンの歌姫”メリー・ウェルズがアトランティックに移籍して放ったヒット「Dear Lover(この曲大好きだ!)」以降はグっとチルアウトした“ビーチ・ミュージック”風という曲編成も素晴らしく、この時代のR&Bの魅力をたっぷりと楽しむことができる。

 で、もう一つレコード屋で見かけるとつい手が伸びてしまうキーワードが「フィリー・ソウル」。特にフィラデルフィア・インターナショナル発足以前の通称「アーリー・フィラデルフィア」なんて言葉がタイトルについていたら、僕はまず間違いなく購入。昨年後半に出された「Creme De La Creme」のテーマは“アトランティック・レコードのフィリー・ソウル集”で、こんなCDの存在を知ったら収録曲リストも見ずに即発注、といった感じ。60年代後半〜70年代前半に新しいR&Bサウンドの発信地として注目を集め始めたフィラデルフィアで、アトランティックはいち早くプロデューサーチーム、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフを起用、ウィルソン・ピケットやダスティ・スプリングフィールドを当地に送り込んで「〜イン・フィラデルフィア」の名のアルバムが生み出されている。

 このCDにはギャンブル&ハフと並んでフィリー・ソウルを支えた人々、トム・ベル、彼の弟トニー・ベルがいた“ヤング・プロフェッショナルズ”、MFSBの中心メンバーであるノーマン・ハリスやボビー・イーライ、レーベル「フィリー・グルーヴ」を立ち上げたスタン“ザ・マン”ワトソンなどが手がけた作品がぎっしり詰まっている。ヒットを記録したものは比較的少ないが、それでもスピナーズの「I'll Be Around」、ブルー・マジックの「Sideshow」、メジャー・ハリス必殺の「Love Won't Let Me Wait」などお馴染みのR&Bナンバー1ヒットも収録、フィラデルフィア・インターナショナルだけではないフィリー・ソウルの“アナザー・サイド”をたっぷり堪能できる内容に。サウンドは勿論例の“フィリー印”なので、品質は保証付き。

 こういうCDが手に入ると、本当にR&Bファンをやっていてよかったと思う。その邦題のため日本人にとってフィリー・ソウルの代表的存在であるスピナーズの「フィラデルフィアより愛をこめて(Could It Be I'm Falling In Love)」が入っていないのは残念だが、これはMDに落とす時、個人的に追加することにしよう。

収録曲:
Sock It To 'Em Soul: 60's Club Soul Classics
Creme De La Creme: Philly Soul Classics and Rarities

(2004/2/28)

Complete The Chi-Lites Vol.1

Complete The Chi-Lites Vol.2


The Complete The Chi-Lites On Brunswick Records Vol.1 & 2
(Edsel)



 毎年恒例の年間投票が無事発表となり“一山越えた”感のあるmeantimeホームページ。その年間投票で大健闘(TOP40ヒット部門2位)したビヨンセの「Crazy In Love」で印象的にサンプルされていたのが、シカゴのボーカルグループ、シャイ・ライツが1971年に放ったヒット(POP72位/R&B8位)「Are You My Woman? (Tell Me So)」。そのシャイ・ライツが70年代にブランズウィック・レコードに残した作品をコンプリートに集めたCD(2枚組×2)がイギリスで発売された。

 ちょっとしたクラシックR&Bファンであればシャイ・ライツのCDは既にお持ちのことと思うけれども“コンプリート”という言葉の響き(これさえ入手すれば彼らのCDは一生買わずに済むという誘惑)、しかも彼らのように“どれを聴いても悪いはずがない”グループであれば、持っている曲と多少ダブりがあろうともCD4枚くらい買ってしまってもいいかな、という気になってくる。

 彼らの売りはなんといっても「Have You Seen Her?(71年POP3位/R&B1位)」「Oh Girl(72年POP1位/R&B1位)」といった甘口のバラードだが、その初期はもっと社会性のあるメッセージを歌った“ニュー・ソウル”なグループでもあった。『ビヨンセの「Crazy In Love」でサンプルされた「Are You My Woman?」が収録されてます。』という非常に現金なステッカーが貼られている「Vol.1」は、そういったファンキーなサウンドが楽しめる上に「Have You Seen Her?」「Oh Girl」も入っているというお徳盤。作品の密度からいったら、こちらの方に軍配は上がるだろう。

 一方後期の作品を集めた「Vol.2」はより甘口の作品が中心で、更にディスコ・サウンドにも挑戦・・といった感じ。彼らは70年代半ば以降本国よりイギリスで人気が高かったようなので、イギリスでは意外にこっちのCDの方がよく売れているのかも。通常のベスト盤からは漏れがちなマイナーヒット(だからといって決して質は低くない)がたくさん収録されていて、個人的にはそこが有り難い。曲によってはシングル・バージョンとアルバム・バージョン両方が収録されている。

 シャイ・ライツが同時代の他のボーカルグループと違うのは、リーダーのユージン・レコードが殆どのヒット曲を書いている点。「Oh Girl」はそのカバー録音も含め、数年前アメリカで発表された「ラジオ史上最も多くの回数エアプレイされた曲」リストの上位にランクインする程の人気曲で、現在グループを離れて悠悠自適のリタイア生活を送っているらしいレコード氏は、毎月振込まれる巨額の印税管理に追われる毎日なのかもしれない。70年代ソウルの基本、値段もそんなに高くないので、高純度のスイート・ソウルをたっぷり楽しめるこの2組、入門編として現役ヒットチャートファンに是非とも聴いてみていただきたい。

 あとこのコーナーを始めていつも思うのだが、ヨーロッパのレーベルは不親切なところが多く、CDにどんな曲が入っているのかをWEBサイトに載せていないケースが多すぎる。例によって“私が”シャイ・ライツ70年代のヒット曲及び収録CDリストを作ったので、下のリンクをご覧ください。

The Chi-Lites Chartgraphy on Brunswick Records 1969-1976

(2004/2/23)

Crazy 'Bout An Automobile

Crazy 'Bout An Automobile - VA
(Ace)



 イギリスのエイス・レコードが出すオールディーズのコンピレーションはどれもテーマがユニークで、月に一枚は買わされてしまっているような気がする。今月発売された新コンピのテーマは「車」。これまた型どおりでないユニークな選曲となっている。

Rocket 88 オールディーズの世界で車がテーマの音楽というと、60年代の半ばに流行した「ホットロッド」と呼ばれるジャンルが真っ先に思い浮かぶ。ビーチ・ボーイズの「409」、ロニーとデイトナスの「G.T.O.」、ジャンとディーンの「ホットロッド・シティ」など。しかし「カー・ソング」はホットロッドが専売特許という訳ではなくて、1950年代から歴代ロックンローラーたちはずっと車について歌い続けている。なにしろR&R史でごく初期のヒットの一つとされるジャッキー・プレンストンの「Rocket 88(1951年R&Bチャート1位)」からして、車について歌ったものなのだから。

 このCDではR&Rの誕生期から60年代後半までに生まれた「カー・ソング」を25曲集めている。勿論ビーチ・ボーイズ風のコーラスに彩られたホットロッド・ソングも何曲か収録されており、ブルース&テリー、P.F.スローン&スティーヴ・バリといった後の音楽シーンを支えていく人材の若き日の録音を聴くことが出来る、というのは結構当たり前なので割愛。選曲の中心となっているのはそれ以前のR&B。ブルースやその音楽性を受け継いだ音楽の世界でも成功の象徴として車は度々歌に登場していて(ブルース狂のエルヴィスがレコード会社から最初に貰ったボーナスでキャディラックを買ったのは、非常にブルース・マナーに適ったおこないなのだ)中でもチャック・ベリーは10代の少年達の車への憧れを巧みに歌いこんだ「You Can't Catch Me(俺に追いつけやしないぜ)」「Jaguar And The Thunderbird(そのものズバリ!)」といったR&Rクラシックを生んでいる。

 系統別に収録曲をいくつか紹介してみよう。アルバムのタイトルとしてフィーチャーされているのはアメリカ南部のR&Rシンガー、アル・ヴァンスが1965年に吹き込んだ「Every Woman I Know (Is Crazy 'Bout An Automobile)」。「どんな女も車にゃ弱い。」なんて、自信満々のこの曲はライ・クーダー1980年のアルバム「Borderline」でのカバーで聴いたことがある方もいるかもしれない。このオリジナルはやはり南部で活躍したブルースマン、ビリー“ザ・キッド”エマーソンで、彼は「恋は激しく」「レッド・ホット」といったR&R重要レパートリーのオリジネイターでもある。

 他にも各地のインディR&Bレーベルからチョイスされている曲はどれもちょっとノヴェルティがかっていて楽しい曲調のものが多く、印象としては西海岸系が多い気がする、のはこれが後の「ホットロッド」に多大な影響を与えているからなのでは?という強引な仮説に持っていきたいから(笑)。そういった流れの中でジャンとディーンが“ノヴェルティ系R&B”と後の“ホットロッド”両方の作風で収録されているのは、西海岸のロック史における彼らの重要性を再認識させてくれるような気が・・、とこれまた強引な推論。例外的に唯一イギリスからエントリーしているヴィンス・テイラーの「Brand New Cadillac」は、後にクラッシュに取り上げられて新しい世代のロック・スタンダードとなっている。

 チャートマニアにはチャーリー・ライアン「Hot Rod Lincoln(1960年33位)」の初CD化も嬉しいこのアルバム、ホットロッド以前のR&Rシーンにこれだけの「カーキチ」がおり、ユニークなカー・ソングがあれこれ作られてきたことを知ることが出来る楽しい1枚。ドライブのBGMには相当マニアックなのでお奨めはしないが、50年代派を自認する方ならかなりイケそうな気が。お試しあれ。

収録曲等詳細(発売元のサイト)

(2004/2/12)

The R&B Hits of 1953

The R&B Hits of 1953 - VA
(Indigo)



 ヨーロッパには「著作権50年ルール」というものがあるようで、曲の発表から50年以上経過した作品の著作権・使用許諾が「パブリック・ドメイン」化し、物凄い曲数と詳細なライナーノーツ、でも物凄い廉価というボックスセットが次々とリリースされている。2004年に入り、その“50年ルール”が1953年発表分まで適用されるということで、早速このようなCDが発売された。

 イギリスのインディゴ・レコードが、アメリカのR&Bチャートがスタートした1942年以降のヒット曲を年毎に(1942〜45年は1つにまとめられているが)集めた「The R&B Hits」シリーズは、ここ何年かその“50年ルール”が明ける年頭のお約束リリースになっているが、これはそのシリーズ9作目。年を追う毎にボリュームがどんどん増えてきていて、前回1952年編はそれまでの2枚組から3枚組(75曲入り!)になってずいぶん驚いたものだったが、今回も同様に3枚組、曲数は86曲(!!)までに膨れ上がってのリリースとなった。

 音楽史的にいうと1953年は「R&R実質的スタートの年」で、この年チャートのトップに立った曲(全11曲すべてがこのCDで聴ける)を聴いてみるとその多くが既にR&R、ドゥワップといった体裁を整えたものであることがわかる。5ロイヤルズ、オリオールズ、ドリフターズといったボーカルグループ、ビッグママ・ソーントンの「Hound Dog」、ジョー・ターナーの「Honey Hush」など後のR&Rスタンダードとなるもの・・。大ヒット以外でもその後エルヴィスが取り上げて有名になった「Mystery Train」「Tiger Man」といった作品も収録されていて、エルヴィス少年が当時浴びるように聴いたであろうR&Rのスタート地点のサウンドをたっぷりと確認することができる。

 一方でそれ以前からの流れ、ジャンプ・ブルースやクラシックなスタイルのブルースも満載。発売元のサイトが更新を怠けているので収録曲リストを私が作ってしまったが、全86曲中R&Bチャートに登場したのが約半分、残りは選曲を担当し、ライナーを書いているニール・スレイヴン(この人はR&Bのリサーチャーだけでなく、フランク・ザッパの伝記本なども書いているらしい)が重要と判断したノン・ヒットが多数。顔ぶれを見ると確かに妥当な人選で、その後ブレイクする者、一時代前に活躍したがこの時期はヒットに恵まれなかった者など、より深い“学習”向けといった感じ。

R&B Hits Of 1950 R&B Hits Of 1951 R&B Hits Of 1952 

 R&R時代以前のR&Bを知るのに最適なこのシリーズ、値段も安いので勉強熱心な方は是非とも過去のシリーズも併せてチェックし、聴いてみていただきたい。このシリーズさえ持っていれば、R&Bの凡その流れはカバーできると考えていいので。で、この「R&B Hits」が出ると、お次は「POP Hits」が出るのが毎年恒例となっているのだが、そちらもCDが入手出来次第紹介することとしたい

収録曲等詳細(発売元のサイト)

(2004/2/9)

ハリウッド的殺人事件

映画「ハリウッド的殺人事件」
(Buena Vista International Japan)



  仕事帰りに時折出来るだけ頭を使わなくてすむタイプの映画を観に行くことがある。話の筋などははっきり言ってどうでもよくて、ドカーンと火柱が上がって、キレイに話がまとまってくれたりしてると最高。この話のまとまりぶりが結構重要で、後味が悪かったり「なんでこんな終わり方??」なんて映画だとその後の酒の会話が弾まないので、作品の選定はそれなりに慎重に行う。

 で、先日観たのが「ハリウッド的殺人事件(Hollywood Homicide)」。ハリウッドを舞台にした刑事ものアクション・コメディ。選定的には完璧。実際観たら期待通りの「いつもどおりにハッピーに終わる刑事もの」だったのでそれはそれでよかったのだが、これをわざわざ「Editor's Pick」で取り上げるのは、ここmeantimeのサイトを出入りしているような方にはうってつけな音楽ネタ満載の映画だったから。

 ここでは主演の2人(ハリソン・フォードとジョシュ・ハートネット)についての言及は殆どしない。そこら辺は熱心な映画ファンサイトにお任せして(なのでここは映画評のマナーである“ネタばれ”も気にしない)そこかしこで見られる細かい音楽ネタを取り上げてみようと思う。

  • まず2人の刑事の世代設定を携帯の着メロで現わしている。フォードの着メロはテンプテーションズの「My Girl(65年米1位)」で、色々あった60年代に少年時代を過ごしたことを匂わせている。彼は家に帰るとミラクルズの曲をかけて独り(相当カッコ悪く)踊ってしまうような“モータウン・マニア”で、この設定は後のストーリーに効いてくることに。一方ハートネットの着メロは「Funky Town」。リップスInc.1980年のナンバー1ヒットだが、1978年生まれのハートネット世代だと少年時代にスード・エコーのバージョン(87年米6位)で踊り狂った、という感じか。
  • この映画の中心となるのは、ハリウッドのレコード・レーベル(Hip Hop系)の契約にまつわる殺人事件。簡単に言ってしまうと他のレーベルに移籍しようとするアーティストをレーベルの社長(ルックス的にはパフ・ダディをイメージしている感じだが、設定上は純粋にビジネスとしてレーベルを運営している(彼はラップをしない)ということになっている)が用心棒を雇って次々と始末していくというもの。ここで犠牲になる(楽屋口で全員射殺される)「H2OKlick」を演じるのがノー・リミットの新編成「504 Boyz」。個人的にメンバーの「チョッパ」というヤンキー丸出しなネーミングが以前から非常に気になっていたので、動く彼が見れる(しかも死ぬところまで!)のは非常に嬉しい。更に彼らが出演していたクラブのオーナーを演じるのが他でもないマスターP。彼は不動産屋を兼業しているフォードに「600万ドルで買える屋敷を探してくれ。」と依頼し、珍クライアントとして映画の最後まで登場し続ける。
  • 事件は連続殺人に発展していて、この件の前に犠牲になったアーティストは「クラプト」ということになっているのだが、実際のクラプトは「H2OKlick」のソングライター、K・ロー役で映画に登場、事件の目撃者(その場を生き延びる)として警察に追われることに。で、そのユニークな本名(勿論設定上の)から“モータウン・マニア”のフォードは彼が60年代タミー・テリルのバックシンガーを務めていた女性の息子であると推理、ロサンゼルス市内(モータウンは60年代後半から制作拠点をデトロイトからロサンゼルスに移し始めており、この設定は無理がない)の彼女の家に乗り込んで、フォードは挨拶代わりに一言「君はタミーより歌が上手かったよ」。で、そこで“元バックシンガー”役で登場するのがグラディス・ナイト。歌が上手いのは当たり前だ。
  • 事件は佳境に入りお約束のカーチェイスへ。ここでのフォードの不恰好ぶりは相当なもので、「随分思い切ってやったなぁ」と思う反面「離婚の慰謝料、そんなに重いのかな。」という気も。その中でフォードにタクシーを乗っ取られる運転手としてスモーキー・ロビンソンが登場。助手席に座った彼は追跡中メーターを倒し、フォードが車を降りるときに運賃10ドルを請求する。
  • で、レーベル社長に雇われ、契約アーティストを次々と片付けていく“真犯人”がカントリー界の伊達男ドゥワイト・ヨーカム!!いやー、これは最後のクレジットを見るまで気がつかなかった。まさかあの小男の元刑事が・・。しかもいつも被ってるカウボーイ・ハットの中があんな風になっているなんて・・・。これはこの映画一番のショックだった。
 あまりにも色々と出てくるので映画が終わった後プログラムを買って、それで確認しながらこの文章を書いているのだが、他にもドクター・ドレやアウトキャストのメンバーなど、色々と出ていた様子。この文章がサイトにのる頃には、もう日本上映は終わっているのかもしれないが、DVDが出たら音楽ファンは是非週末の暇つぶしにご覧になっていただきたいと思う。あとこの手のお遊びが一杯の映画を観るたび思うのだが、チョイ役として登場する有名人が誰なのか判る判らないの違いで、随分その映画の楽しめ方が違うような気がする。野暮を承知で言うが、日本版DVDが出る際には、チョイ役有名人が登場するたび名前が出るとか、そういう機能を追加で付けてもらえないだろうか。元モンティ・パイソンのエリック・アイドルが警察に連行される大物俳優として登場しても、殆どのの観客は彼の顔を(しかも数十年たった現在の彼の顔を)知らないし、楽しめないだろうから。

映画公式サイト

(2004/2/7)