ここのところメルマガ「Flashback」では1960〜70年代のUKチャートを紹介していて、その関係もあって当時イギリスで活躍したアーティストのCDを気をつけて聴くようにしている。勿論好みもあってブリティッシュ・ビート系のグループであればまずサーチャーズ、あとジェリーとペースメーカーズ。「あれはブリティッシュじゃないよ。」と言われそうだがチャド&ジェレミーはCDで出たアルバムは全て持っている。
で、本当は好きなんだけどなかなか人に言えないのがデイブ・ディー、ドジー、ビーキー、ミック&ティック、日本で言うところの“デイブ・ディー・グループ”。60年代半ばから後半にかけてイギリスで10数曲のヒットを放ち、日本でもGSにカバーされた「オーケイ!」や「キサナドゥの伝説」などで知られる彼ら、でも“作られたグループ”というイメージが強いのと、アメリカでヒットらしいヒットがない(HOT100入りしたのは「Zabadak」のみで、68年に最高52位を記録)ことが災いしてか、これまでまともに再評価されたことがなく、ベスト盤こそヨーロッパで何種類も出されているが、オリジナルアルバムのCD化が遅れていた。
その“念願の”CDがこれらで、昨年末にヨーロッパの再発レーベルRepertoireから1〜3作目がボーナストラックをゴッソリ追加して発売された。彼らが“作られた”イメージがあるのは、シングル曲のほとんど全てをソングライター/プロデューサーのケン・ハワードとアラン・ブレイクリーが手がけているからで、感じはアメリカでいえばモンキーズが一番近いだろうか。但しデイブ・ディーたちはそれなりにキャリアを積んだライブバンドだったそうだが。
各々のアルバムの内容に移ろう。まずグループ名が冠されたファーストはおどけた調子でメンバーを紹介するナンバーから始まる(さすがアイドル!)。「Hold Tight」の大ヒット(66年英4位)に合わせて急遽制作されたのか、ハワードとブレイクリー以外の作品も3分の1ほど収録されているが、それらも含め非常にキャッチ−でポップな曲揃い。“アイドル歌謡”としてはほぼ完璧なアルバムだと思うので、まず買うとしたらこれをお薦め。ボーナストラックには彼らが発表したシングル最初の6枚分と、66年のEPの音源を収録。売れなかったファーストシングルは別として、どれも耳を捕える佳曲ばかり
続く2作目「If Music Be The Food Of Love」も前作を引き継いでポップなビートナンバーが並ぶ。今のバンドがカバーしても結構イケそうな曲が幾つもあって、あと見過ごされがちだがコーラスもなかなかいい。ボーナスには「オーケイ!」をはじめとする彼ら中期のシングル4枚分の音源をモノラルとステレオ両方で収録。そして3作目「If No One Sang」は68年という時代背景を反映して、コンセプト・アルバム的体裁になっている。エスニック風味も少々。“ソフトロック”という聴き方をするならこれが一番しっくりくるかも知れないが、彼らの持ち味であるポップさはやや後退。但し「キサナドゥの伝説」と「ザバダック」の二大ヒットがここに収録されているので、これはこれで無視できないアルバムなのだが。ボーナスには彼らが68年に発表したシングルとEP音源、そして「Zabadak」「Save Me」のイタリア語バージョンを収録。彼らなりに新しいロックの流れに追い付いていこうという気概が感じられる。
その後彼らは69年にシングルをあと何枚かと、デイヴ・ディーが独立し“D.B.M and T”名義で発表した作品があるので、CDもう一枚分くらい音源がありそうなのだが、そこまではさすがに出さないか・・。もし出ても僕は買わないかも知れない。このリリースを機会に、これまであまり注目されることのなかった彼らの“ブリット・ポップ”が再評価されることを願ってやまない。
収録曲等詳細(All Music Guide)
Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich
If Music Be The Food Of Love
If No One Sang