American Popular Music on Japanese 78 rpm Record 1927-1958
メルマガの「FLASHBACK」で様々な時代のヒットチャートを紹介するにあたって、空いている時間を利用して方々で(主に国会図書館で)当時の音楽に関する文献を調べているのだが、毎度痛感するのが我が国の洋楽に関する資料の不備。歴史的に「後世に残そう」という意図で編まれている文献が殆ど存在しないのだ。
そんな中、出逢ってしまった凄い一冊がこれ。1927年から1958年にかけて我が国で発売されたアメリカのポピュラー音楽のSPをほぼコンプリートにリストアップしたという、作業にかかる手間を思えば大変なものが埼玉の山田さんという方の手により自費出版された。
リストの対象となっているのは、アメリカのポピュラー音楽、アメリカのアーティストが海外で吹込んだレコード、逆に欧州などのアーティストがアメリカで吹込んだレコード等の日本盤7,000種超。勿論我が国の洋楽シーンを考える上ではラテン音楽やシャンソンなど、決して無視できない分野の音楽がカバーされていないという点でこれは“我が国の洋楽史”とイコールでないが、コンプリートを目指すにあたってこの割り切りは充分納得できるし、そこら辺の分野はまた別にリスト化されるべきであるとも思う(ってもうされてる?)。
現在調べている分野の関係で、まだ1950年代分しか細かく見れてないが、これだけのリストを作成するのは似たようなことをやっている人間の実感として本当に大変なこと。戦前のものをちらっと見ただけでも、昭和10年代の前半にこれだけの数のアメリカン・ポップスのレコードが発売されているんだー、と、妙に感心してしまったり。エクセルで作成された表をプリントアウトし、それを製本した“だけ”もの(300頁弱)が\7,000で売られているということに「高いー!」と思う人もいるかも知れないが、アナタ、これだけの元資料を国会図書館からコピーしてくるだけで、とてもそんな金額では済まないんだから。更にその後の手間を考えたらなおさら。
ひとまずこれでこの分野に関しては、誰かがこれ以上苦労をする必要がない、という意味で非常に有り難い一冊。勿論我が国の文化的にも非常に有意義な一冊。実はこれの“ドーナツ盤版”を作れないものかと、ここ何年かシングルコレクターの方にお会いする度に嗾しているのだが、対象が膨大なのと、コレクションがあくまでも個人的なものであることがネックになってなかなか実現しない。いつか有志を集めてリスト化したいんですけどね。この面倒な作業に参加したいという方、是非とも編集部宛ご一報ください。お待ちしています。
なおこの本を購入するには“山田さん”に直接連絡するのがいいらしいが、さすがにここに電話番号をのせる訳にはいかないので、この本の依託販売を請け負っている神保町の「富士レコード社」のホームページを。こちらにお問い合わせください。