しんかい's Picks - January 2004

Backnumber
December 2003

1.19 100 Popular Classics (CD)
1.8 Coverage / Mandy Moore (CD+DVD)
1.4 Moulin Rouge (Movie)





100 Popular Classics (CD)


 私はクラシック音楽には全然造詣が深くない。昔から、きちんと聴いてみようという意志はあって、一時期は図書館で盛んにCDを借りたりもしていたけど、別にポピュラー音楽を捨ててまでも聴こうという程の熱意はないので、どうしても時間と金の制約上、いつも“後回し”にしてきてしまっている。

本当のクラシックのファンからは笑われてしまうだろうが、そんな私が好んで聴いているのが、このコンピ。クラシックのおいしいどこ取りで100曲がCD5枚に収められたコンピ。これが、普通の新品CD1枚程度の値段なのだ(1/19時点amazon.co.jp価格で1788円)。

収録曲目などは左のリンク先で見てもらうとして(ジャケはイギリスのamazonに、その下のロゴは日本のamazonにリンクします)。
この手のクラシックのコンピは色々種類が出てるし、通販でもよく売っているので、私のように中途半端に聴きたいという人の需要はやはり多いのだろうと思う。しかし問題は値段なのだ。

クラシックの楽曲というのは既に楽曲の著作権料が発生しないので、ポピュラーのCDよりも相対的に値段は安い。よくクラシックは何十枚組というものすごいボリュームのボックスセットが数千円で売られていてびっくりすることがあるが、ここでご紹介するこのコンピもそのパターンだ。日本でよく売れてる「ever!」シリーズが2枚組で2600円とかなので、その安さは圧倒的だ。

 たぶんmeantimeのサイトを見てるような人々にはクラシックにめちゃめちゃ詳しいという人はあまりいないだろうということもあり、もし、私みたいに“クラシックも聴いてみたいんだけどあんまり真面目に聞いてる時間も金もない”という人にはこれをお勧めしておく。

なおkono

Castle Musicというレーベルからは更にもう100曲収録した「Volume Two」もあるほか、「100 Piano Classics」とか「100 Heavenly Classics」とか、続編シリーズがめちゃめちゃいっぱい出ているので、深入りしたい人はそれらもどうぞ。詳細はレーベルのサイトで。

http://www.castlemusic.com/

(2004/1/19)


↑このジャケは通常版だけどリンク先はDVD付版


Coverage / Mandy Moore (CD+DVD)


 なんだか、やけに気になるアルバムなのだ。

現在、meantimeでは年間投票の受付中。私も現在は選考モードで、意識して2003年に気に入ってよく聴いたアルバムを改めて聴き返している。そんな中で、改めて気になった作品。

マンディ・ムーアのカバー集。発売当初私がメルマガでやたらと持ち上げていたことを覚えている人もいるだろう。
正直言って、すごく質の高い作品というわけではない。1曲目からXTCの「Sences Working Overtime」(1982年UK10位)という選曲センスは悶絶モノだが、やたらとがちゃがちゃしたアレンジなど、音のセンスは決してよくない。

2曲目、ウォーターボーイズの「The Whole Of The Moon」(元は1985年、1991年にリエントリーでUK3位)。これも素晴らしい選曲だが、原曲のもっていた繊細さが表現できていない。しょせん、アメリカ人のアレンジなのだ。

3曲目トッド・ラングレンの「Can We Still Be Friends」(1978年US29位)。このアルバムで取り上げられてる曲は80年代ニューウェーヴ(NW)系と、70年代シンガーソングライター(SSW)系に大別できるが、ここでSSW系選曲が登場。これはオリジナルに近いアレンジで、透明感のある多重コーラスを全編に配してることもあって好感。選曲はちょっと普通だけどね。

4曲目はこのアルバムで取り上げている曲ではいちばん有名な曲か?キャロル・キングの「I Feel The Earth Move」(1971年シングルB面としてUS1位)。これもまあ、取り立ててどうこう言うほどのない出来。選曲も直球だしね。

やっぱり1984年生まれの女の子が70年代の曲を選べば超有名曲になっちゃうよな、当たり前だよな、とナメていると、5曲目でやられる。エルトン・ジョンの「Mona Lisa And Mad Hatters」。1972年のアルバム収録曲でシングルヒットはしていない。改めて名曲だと騒ぐほどの曲でもないのだが、だからと言って欠点も見つからない。さりげなく、地味な存在でありつつ、人に“へえ、いい曲じゃん”と言わせしめる曲。人にオムニバステープを作ってあげるときに(今ならMD? CD?)「どうだ、こんな曲知らないだろ(でもいい曲でしょ?)」と隠し球として使いたい、奥の手。そんなマニア心理をくすぐる、たまらない選曲センスだ。

そして6曲目。楽曲そのものの出来、アレンジの良さともにこのアルバム中ベスト候補であるジョーン・アーマトレイディングの「Drop The Pilot」(1983年UK11位)。そもそもジョーン・アーマトレイディングという人が渋いが(イギリスの黒人女性シンガーソングライター)、よくぞこんな埋もれた名曲を発掘した。偉い。溌剌とした、伸びやかな歌とアレンジも好感。オリジナルとほとんど同じアレンジなのだが、こっちのほうが躍動感があるのと、ジョーンほどの歌唱力・表現力がないことが逆に幸いし、軽さ・爽やかさを強調したマンムー・バージョンは素晴らしい出来映えとなった。

続く7曲も珠玉の作品。キャット・スティーブンスの「Moon Shadow」(1972年US30位)。雪に閉ざされた北国の、たまに晴れた冬の朝の澄んだ空気のような透明感。繊細。これ以外の言葉はいらないかもしれない。

続く8曲目で雰囲気は一変、ブロンディの「One Way Or Another」(1978年US24位)。ブロンディで普通この曲か?と思うし、曲のタイプからしてすっかりアルバムの中で浮いているのだが、不思議と聴き慣れてくると悪くない。比較的おとなしくお上品にしていることが多い他の曲に比べ、崩し気味に歌うこの曲のほうが“20歳の女の子”らしさが感じられるのがいいのかも。とか書くとものすごいエロジジイみたいだな。やだな。

9曲目、これはやや安直か。ジョー・ジャクソンの「Breaking Us In Two」(1982年US18位)。アレンジもオリジナル通りだし、曲も有名だし、あまり面白みはない。

10曲目はカーリー・サイモンの「Anticipation」(1972年US13位)。これはヒット曲ではあるけど、5曲目のエルトンの曲にちょっと近い“隠れた佳曲”の感触。

11曲目がある意味アルバムの目玉。ジョニ・ミッチェルの「Help Me」(1974年US7位)。ジョニ・ミッチェルの曲なんて簡単にカバーできるはずはないのだが、やっぱりこうして他の曲と並べてみるとこの曲が圧倒的に難易度が高い。それを、マンムーは健気に完コピで歌う。もちろん言われるまでもなく、どんなにオリジナルに似せて歌ったところで、やっぱオリジナルのほうがいいのだ。ジョニ・ミッチェルの表現力にマンムーごときの小娘が敵うはずがない。しかし何と言うか、この難しい曲を完璧にこなして得意げになってるところが、何とも微笑ましいのだ。ああいかんまたオヤジな発言だ。しょせんこのアルバムは単なるオヤジキラーなのではないかと言う気もしてきた。

そしてラスト12曲目は、ジョン・ハイアット。ああ。もういい、全部許す。「Have A Little Faith In Me」は1987年のアルバム収録で、ヒット曲ではない。というかジョン・ハイアットにはそもそもヒット曲がないので知る人ぞ知る存在だが、ブルース・スプリングスティーンなど同世代シンガーソングライターからも敬愛される偉大な人だ。本当にたくさんの名曲を生み出している人の、名曲のひとつ。と言っても、やっぱりジョン・ハイアットの代表曲というほどでもない、絶妙な選曲だ。
この曲はゆったりしてるから歌えるだろうとこないだSmash Hitsでカラオケで歌ってみたのだが、いや難しい難しい。ほとんど即興ででたらめに歌ってしまった。よりによってこの曲を第1弾シングルに選んだのはまったく見上げた根性だ。

と、結局のところ単にオヤジ心くすぐられまくりの作品なんだと発覚してしまったが、ならばそれはそれで70年代に洋楽を聴いて育ち、80年代半ばで挫折した(人が多いであろう)オヤジは必聴。

ブリトニーやアギレラと真っ正面からは勝負できないマンムーが“オヤジ受け”というニッチ市場で生き残ることを狙ったのだと言えなくはない。が、例えばブリトニーの「(I Can't Get No) Satisfaction」や「I Love Rock N'Roll」といったカバーのしょうもなさを考えると、やっぱマンムーは才能あるのかも、とか思えてきたり。

おまけDVDではマンムー自ら取り上げた曲の解説をしてたりするので、今から買うならぜひDVD付のほうを探しましょう。

(2004/1/8)




Moulin Rouge (Movie)


 ムーラン・ルージュをようやく観た。いや別に何か特別なネタがあるわけではなく、単にWOWOWで放送したのを録画しておいて、今になってようやく観たというだけなんだけど。

この映画はミュージカル仕立てなんだけど、バズ・ラーマン監督の特徴として、そこに使われてる曲がいかにもミュージカルっぽい曲ではなく、既存のポピュラーな曲をアレンジして使っていることが挙げられる。

この映画でもエルトン・ジョンの「Your Song」が随所で印象的に使われるほか、「Up Where We Belong」やら「Like A Virgin」やら、無数のポピュラー・ヒットが部分的に引用され、新たな意味を与えられている。それがいちいち妙に説得力があるのが、とても面白かった。

もう一つ面白かったのは、この娯楽大作が“アメリカ抜き”で作られたことだ。もちろん映画会社とかスタッフなどアメリカが絡んでないはずはないんだけど、監督はオーストラリア人、主演女優のニコール・キッドマンもオーストラリア人、主演男優ユワン・マクレガーはイギリス人、舞台のムーラン・ルージュはフランス、と主要な要素にアメリカが絡んでない。オーストラリアの映画界がアメリカに対抗するのに苦労してるという話が新聞に載っていたけど、映画の世界は音楽よりも更にアメリカ文化の力が強いと思うので、いやー大変だろうなあ、と思う。

フランスや韓国のように外国の文化の流入を政府が介入して制限している国もあるけど、もはや文化も商品であると割り切れば、商品の輸出入に制約を設けるのは当然のことかもしれない。“知”という、概念的なものの扱いに戸惑っているうちに、巨大企業は虎視眈々と将来の権利料収入を目当てにその権利を買い漁っている。守るべきものを本気で守るためには、外から見ると多少攻撃的なぐらいの姿勢が必要なのかな、と思う。特に、我々アジア人が欧米を相手にする場合は。

話があらぬ方向に進んだけど、ムーラン・ルージュに戻って、カイリー・ミノーグのカメオ出演はわかりやすかったけど、オジー・オズボーンってどこに出てたの?(エンドクレジットで初めて気がついた)

(2004/1/4)



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