とにかくね、この人は一生懸命なんです、いつも。うおおおお、という感じが体育会系というかスタミナ定食というか。でも見る者が不思議にニッコリしてしまう当たりが得してるよね。
これがこの曲の収録された2003年のアルバム『Wolf』。よく見ると結構アップに耐えるハンサム顔だったりする。なりはいつも汚いけどね。
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"Tear It Up" - Andrew W.K.
Hot 100 Singles Sales Chart No. 26 (8/2/2003)
2003 (Island)
あああ。前回で「4か月もあいてみっともない」なんて言ってたのに、あっという間にまた4か月経っちゃって。せっかく前回で「過ぎし夏のパワープレイ」なんてお題まで作ったのに、あっという間に夏どころか秋も過ぎて今やNYは毎日零下の極寒の冬だよ。どうするおい。
といっても始まらないので、ここは一つ開き直って、お題も「過ぎし『年』のパワープレイ」ということにしてもらってとにかくコラムをアップすることにしました。皆さんすいません。あと、このお題も今回で最後にして次回からはあまり構えずに気楽にアップしていくことにしますのでよろしく。
で、今回取り上げるのは以前からしんかい君もデビュー作の時に結構評価していたアンドリューW.K.。彼がやってるのは簡単明瞭、70〜80年代アリーナ・ロックの音、曲、そしてあの頃のロックが純粋だった頃のノリを一人で再現している。これが結構潔いし、我々オジサンには妙に気持ちよかったりする。ひたすらダウンストロークのギターリフで始まるこの曲なんかも、キッスとかボンジョヴィとかあの手の重厚ポップ・ハードロックバンドのスタイルをそのままに、ひたすらアンドリューががなりながらカタルシスを盛り上げるという趣向。こいつに結構去年の夏から秋は私、はまりました。常にこ汚いジーンズと汗まみれ(みたいに見える)Tシャツをまとい、獅子舞みたいな長髪を振り乱しながらひたすらがなる彼のスタイルのあまりのストレートさにほだされるロックファンは僕だけじゃなくて意外と多いに違いない。
このシングルは2003年秋にリリースされたセカンドアルバム『Wolf』の先行シングルとしてリリースされたものだが、アンドリューの偉いのはこのシングルCDに何とボーナスDVDをセットしていること。最近アルバムにDVDをセットするのは半ば定番のようになりつつあるけど(ハウイー・デイなんていう新人シンガーソングライターや、クリス・ロビンソン(元ブラック・クロウズのボーカルでケイト・ハドソンの旦那)のソロなんている地味なアルバムにすらDVDがセットされるんだからね)、シングルCDにDVDがカップリングされたなんてのは、他にあまり例がないと思う。で、そのDVDには彼のファーストアルバム『I Get Wet』の中から「Party Hard」「She Is Beautiful」「We Want Fun」の3曲のビデオクリップが収録されている他、彼がライヴで「Party Hard」を演奏している様子がおさめられたビデオが収録されている。
ひたすら夜の街をボーカルマイクのコードを延々と延ばしながら徘徊しつつ、例の調子でロックするアンドリューが楽しい「She Is Beautiful」のビデオクリップもケッサクだが、このライヴの様子を納めたビデオの内容が、いかにもアンドリューのファンとの距離感(というか距離感のなさ、というか)みたいなものを如実に捉えられていて結構興味深い。例の調子でヘッドバンギングしながら演奏するアンドリューは「Party Hard」をがなりながら次第に観客たちを自分のグルーヴのうねりに巻き込んで、会場全体を巨大なモッシュピットと化してしまうのだが、そのモッシュに参加するファンの結構多くが、何となくロックおたくというか、ちょっとひ弱いけど黒のヘビメタ仕様のTシャツかなんか着てて、ロックライヴ会場や仲間たちと一緒でない時は、いつも学校とかでいじめられてそうな、そんな情けないロックファンなのが面白い。中には車椅子のファンなんてなのもいて、いつもは周りからつまはじきにされているけど、アンドリューのライヴに来ればみんな仲間だ!アンドリューは僕らを解放してくれる!といったような、一種新興宗教にも似たような盛り上がり方を見せていて結構唖然としてしまう。当のアンドリューもそんな雰囲気を楽しみながら、ひたすらガンガンロックしてるのが見てて実に爽快だ。とにかくこのシングルはお値打ちもんなので、ひょっとしてレコファンの100円コーナーなんかで見つけたら迷わず買うことをおすすめする。
アンドリューもシングルのライナーで「このシングルを楽しんでくれることを祈る。新作もすげえから絶対聴いてくれよな!君の友達、アンドリューW.K.」とあり、彼自身もファンとの一体感を楽しんでいるのが判る。アルバム自体はこのシングル曲とあと数曲はなかなか気持ちいいのだが、他はやや抜けが足りない、という感じだったが、いいのだ。ファンを「友達」と呼ぶロックミュージシャンなんてそうそう今時いないから、それだけでもこいつを応援してやりたいと僕なんかは思ってしまう。
(2004/1/31)
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