[ May ]

阿多's Picks - September 2003
[過ぎし夏のパワープレイ - 1]

9.20 Such Great Heights - The Postal Service (CDS)



 これがシングルのジャケ。何だか昔の漫画雑誌『ガロ』から抜け出て来たような雰囲気が非アメリカ的でいいでしょ。このタッチ、あきらかにジブリの影響あると見た。アイス落として泣いてる子の雰囲気なんか日本的だよなあ。


 こちらは先ほどの街角を裏から描写した格好。アイスクリーム移動販売カーや道端に放置してあるスーパーのカートなんかはいかにもアメリカ的だけど、手前の電信柱が何とも日本風情を醸し出してます。何か無国籍だなあ。


 はい、そしてこれがエレクトロポップの張本人たち、ポスタル・サーヴィスのお二人。どっちがベン君でどっちがジミー君かは不明。


"Such Great Heights" - The Postal Service  
Hot 100 Singles Sales Chart No.21 (2/15/2003)
2003 (Sub Pop)


何かこの前このEditors' Pickを更新してから何やかやと野暮用が立て込んだり、日本に帰ったりとかしてて、そろそろ更新しなきゃいけないな、とこの間覗いたら「ゲッ」前回からもう4か月も経ってるじゃない。しかも他のメンバーは順調に更新してるから自分の亀ぶりが余計目立ってしょぼいこと。ああ恥ずかし。とうとうこの間嫁さんから「みっともないから早く更新したら」と言われちゃって(笑)。いい加減更新させて頂きます。皆さんお待たせしました(おいおい)。


で、前回もお届けしたセールスチャートのみヒットシングルのシリーズの第2弾ですが、同時にもう過ぎてしまったこの夏、よく聴いた「2003年過ぎし夏のパワープレイ」シリーズということでいくつかご紹介したいと思います。何せ今通勤が車で、しかも片道55マイル(=90キロ)でほぼ1時間強、という環境なんで毎朝CDをガンガン大音量で鳴らしながら通勤、という考えようによっちゃ結構贅沢なことをやってるんだけど、夏の間そういうシチュエーションでよく聴いた曲の一つが、今日紹介するポスタル・サーヴィスの「Such Great Heights」。グループ名からして「郵便サービス」だから最近ありがちのふざけたバンド名(ほら、Yeah Yeah YeahsとかWatashi Waとかそのたぐい)に比べると何かぬるいネーミングなんだけど、こいつらはあのサブポップ所属というところがまず曲者。「サブポップ」といっても今最前線洋楽ファン世代あたりだとひょっとしてもう知らなかったりするのかしら。ううむ。

サブポップってのは、1980年代末〜1990年代初頭にシアトルをベースにアンダーグラウンドなロックバンドを多く抱えたインディーレーベルで、『Nevermind』でブレイクする前のニルヴァーナ(どうでもいいけどこの呼称個人的には大嫌い。英語のバンドなのにどうして英語読みにせんのじゃあ!ナヴァーナだろうが)とか結成当時のサウンドガーデンとかいったバンドが所属、シアトルベースのグランジ・ブームを巻き起こしたカルトなレーベルだ(既に良く知ってる人、くどくてゴメン)。そのサブポップが最近また頑張ってるんだな、と思いながらCDプレイヤにこのポスタル・サーヴィスの「Such Great Heights」を落とすと....おお気持ちの良いシーケンサーっぽいシンセの雨音のような音!エレクトロっぽいんだけど極めてポップ、といういわばイレイジャーみたいなサウンド(でも“キッチュ”といった形容詞は当たらない)が一発で気に行ってしまった。


実はジャケもいい。何か宮崎駿男とつげ義春(うーんティーネイジャー、判るかな)を足して2で割ったようなポップ感覚のイラストと音のギャップがまたたまらない。これきっとUKシンセポップ・バンドが全盛の時に洋楽の洗礼を浴びた80年代洋楽ファンには凄く受けるのではないかと思うのだが、なぜかどこに行ってもこの連中の名前はきかない。連中といってもこのポスタル・サーヴィス、Dntel(インテルのパロディだろう)、フィギュリンといったバンドにいたジミー・タンボレロ君とデス・キャブ・フォー・キューティーというバンドにいたベン・ギバードがもっぱら手紙とテープの郵送でアイディアを交換しながら曲づくりをしていった結果(これが名前の由来らしい)できたデュオ・チーム。

アルバム『Give Up』はまだ聴いてないが、このシングル、もう一曲「There's Never Enough Time」というこっちももろイレイジャーかヤズーかといった感じのエレポップ・サウンドなんできっと全面こういう調子なんだろう。面白いのはこの「Such Great Heights」ともう一曲「We Will Become Silhouettes」というPSの曲を別のバンドがアコースティック・カバーしてるトラックがこのシングルには入っていて、これも結構楽しめる。アコギとかで演奏すると曲の骨格がはっきりして楽曲の善し悪しが目立つものだが、彼等の曲は楽曲としても充分そうしたテストに耐えうる出来だと思う。是非このシングルゲットして、夜の高速を爆走しながら聴いて昇天して下さい。僕はこの夏何度もイキました。

(2003/9/19)