序章
第1章 歴史
第2章 作品紹介(1)
作品紹介(2)
作品紹介(3)
第3章 サントラ紹介(1)
サントラ紹介(2)
サントラ紹介(3)
サントラ紹介(4)
サントラ紹介(5)
サントラ紹介(6)
サントラ紹介(7)
written by
Kazuyuki Shinkai,
Oct.1995
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第3章 Black Soundtrax(その4)
Juice (1991)
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Artists : Naughty By Nature, Eric B. & Rakim, Teddy Riley feat. Tammy Lucas, M.C.Pooh, Big Daddy Kane, Too Short, EPMD, Aaron Hall, Salt-N-Pepa, Cypress Hill Crew, Juvinile Committee, Son Of Bazerk, Raheim, The Brand New Heavies deat. N'Dea Davaenport
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【全体観】
時期的には「New Jack City」にやや遅れをとったものの、現在まで続くブラックムービー&サントラブームの中で、最初の完成形と言えるのがこの作品である。
まず、映画の内容に合わせて収録曲の大半をラップにしたのが、ストリートらしい雰囲気の演出という点で正解だった。今では別にそれがどうということはないが、この時期としてはこれは割と新鮮な手法だったのだ。
【聴きどころ】
アルバム全体のプロデュースをPublic Enemyの一連の傑作を手がけたことで有名なBomb Squadが手がけている。Publie Enemyが急速にシーンの最先端から後退してしまったように、ラップというのは非常に流行の移り変わりが早いだけに、わずか4年前のこの作品でも、すでに多少風化して聴こえてしまう部分もある。しかし、重量感とスピード感を併せ持つ彼等のサウンドは、流行云々とは関係なしに今聴いてもかっこいい。それぞれの作品の質がおしなべて高く、かつ全体をきちんと仕切るプロデューサーがついたために、ラップも歌ものも違和感なく統一された雰囲気でまとめられている(曲調がどれも一緒だというのと、雰囲気が統一されているというのは全く別のことである)。個々の曲がキャッチーで分かりやすく作られているせいもあり、ラップを聴かない人でも聴き易く、作品の魅力も伝わりやすいと思う。Eric B & Rakim、Big Daddy Kane、Naughty By Natureあたりが絶好調。
Malcolm X (1992)
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Artists : Arrested Development, Joe Turner, Lionel Hampton, The Ink Spots, Billie Holiday, Erskine Hawkins, Louis Jordan, Ella Fitzgerald, John Coltrane, Ray Charles, Duke Ellington, Jr.Walker & The All Stars, Aretha Franklin
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【全体観】
若い頃をいちばん華やかだった時代のハーレムで過ごし、数々の大スターたちと交友関係にあったマルコムXは、大の音楽好きだった。映画の中でも、自宅でスピーチの原稿を書きながらも机の隅ではポータブル・ラジオがずっと鳴っている、というシーンがある。このサントラは、最初と最後に納められた2曲と、映画中彼の暗殺直前のシーンで印象的に使われる60年代の大ヒット「Shotgun」を除き、マルコムが愛した40年代の大ヒット曲で固められている。Billie Holiday、Louis Jordan、Ella Fitzgerald、Duke Ellington、Ink Spots、Lionel Hamptonといった錚々たる顔ぶれである。
【聴きどころ】
ただ、ロック世代の我々にはこういう音楽は物珍しくはあっても10曲も立て続けに聴くのはつらいし、逆に日頃からこういう音楽が好きな人にとっては、「今更こんな大メジャー曲ばかり...」とどちらからも敬遠されてしまいがちな中途半端な位置にある。もちろん、そもそもサントラってのは映画の副産物なんだからこれが正しい姿ではあるのだが、「一個の独立した作品」として楽しめるサントラが多い中にあって、これをそれらと同等に比較するのはちょっと辛い。
ヒットには至らなかったが、強烈に民族意識を喚起するArrested Developmentの「Revolution」、そしてDonny Hathawayの名曲中の名曲「Someday We'll All Be Free」をAretha Franklinがゴスペル調でカバーしたエンディングテーマ、新録2曲はともにクオリティが高い。この作品にもっともふさわしい曲であり、映画のクライマックスで使われるSam Cookeの「A Change Is Gonna Come」未収録は残念(たぶん版権の問題。Sam Cookeの作品はろくにCD化さえされていない)。
Menace II Society (1993)
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Artists : Spice 1, MC Eiht, Kenya Gruv, Ant Banks, Too Short, Smooth, Da Lench Mob, Pete Rock & C.L.Smooth, Mz.Kilo, Hi-Five, Boogie Down Productions, U.G.K.
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【全体観】
ラップという音楽が地域密着型であることが大いに関係するが、ラップ専門(中心)レーベルってのはそれぞれが独自のカラーを持っていて、まったくの新人でもだいたい音楽性の見当はついたりする。このサントラはJiveのアーティストで固められているが、どうもJive系のラッパーというのは日本では「二流」と認識されがちだ。そのいい例がToo Shortだ。本国ではアルバムを出せば必ずチャートのトップ10に顔を出すのに、日本ではブラックミュージック専門雑誌に於いてさえ彼の名前を見かけることはほとんどない。私自身はこいつはかなり好きなので正確な理由は分からないけど、向こうでToo Shortが評論家にまでウケがいいのはその歌詞にあると言われるので、確かにそうであれば日本人には辛いのかな。サウンド的には乾いたファンク。虚無感というか、無常観というか、もう行き着くところまで行っちゃって達観してしまったかのような諦め。私がToo Shortを「世紀末ラップの帝王」と呼ぶ所以である(一方でエロネタも大得意なんだけど)。
【聴きどころ】
全体的に、収録されているラップはそういう雰囲気だ。しかし歌物になるとこれが一変して徹底的に甘美なのだ。Tony! Toni! Tone!のメンバーが作曲・プロデュースで参加したKenya Gruvの「Top Of The World」の気持ちよさは尋常ではない。そして、何かをしながら聴き流していても、イントロのコーラスが流れた瞬間に思わずはっと顔をあげてしまう、清々しく切ないHi-Fiveの「Unconditional Love」。殺伐としたギャングスタ・ラップの中で、この2曲が非常に効果的なアクセントとして配されている。しかしこの「殺伐」と「甘美」は、決して相対するものではない。ハードロックにしてもファンクにしても、各時代の「とんがった音楽」というのは実は一方では大甘のバラードが得意だったりする。それには当てはまらないパンクやインダストリアルが「既製の音楽スタイル(概念)を破壊した」とか言われるわけで、一般論から言えばギャングスタ・ラップと甘いバラードというのはくっついても不思議じゃない間柄なのである。実際、最近はラップとともに「Slow Jams」や「Smooth Grooves」というバラードばかりを集めたオムニバスがR&B市場でやたらと売れている。
ラップについては好き嫌いが分かれてしまうだろうが、全体の構成、各曲のクオリティ(とくに歌モノ)、サントラとしての機能、どれをとっても一級品である。誰が聴いても納得するとは決して思ってないけど、私は本作がブラックサントラの最高傑作だと思っている。
The Meteor Man (1993)
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Artists : Shanice, Lisa Taylor, Hi-Five, Ahmad!, Frank McComb & Daryl Coley, Howard Hewett, Keith Washington, Elaine Stepter, Big Hat Ray Ray
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【全体観】
全体的に「普通」な雰囲気なのがいい。飛び抜けたビッグネームはいないし、これといった名作はないし、大きなシングルヒットも出ていない。しかし駄曲もない。何か、向こうのブラック専門ラジオをかけっ放しにしてるような、自然な雰囲気がよくて、とくにどの曲が聴きたいという目当てもなしについかけてしまうような作品。
と、こう好意的に書いてしまえるのも最近のブラック物が好きだからこそであって、ブラックなんかどうでもええという人には何も聴き物はないということでもある。
MoユMoney (1992)
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Artists : Mo'Money All Stars, Luther Vandross & Janet Jackson with BBD & Ralph Tresvant, MC Lyte, Johnny Gill, Caron Wheeler, Publie Enemy feat. Flavor Flav, Color Me Badd, Ralph Tresvant, Krush, Sounds Of Blackness, Jam & Lewis, Big Daddy Kane with Lo-Key?, Mint Condition, The Harlem Yacht Club
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【全体観】
複数アーティストの曲を寄せ集めたオムニバス形式のサントラで、これほどプロデューサーがアルバムの隅々までびしっと自分の作風でまとめている作品は滅多にないだろう。なぜか1曲だけPublic Enemyの作品が入ってるのが何かの手違いではないかとさえ思えてしまう。それ以外は全編にJam & Lewisがプロデューサー / ソングライターとして名を連ねる。
【聴きどころ】
ヒット曲は「The Best Things In Life Are Free」「Forever Love」の2曲で、いずれも大ヒットには至らなかったが、とくに後者はJam & Lewisの必殺大甘メロ全開の名作だ。しかし「The Best〜」の正式クレジットはLuther Vandross & Janet Jackson with Special Guests BBD & Ralph Tresvantなんだけど、Ralph Tresvantってほんの一言合いの手を入れてるだけなんだけど...
同時期に出たBabyfaceプロデュースのサントラ「Boomerang」と比較するとこの作品の特徴が際立つのだが、徹底してクラブサウンドなのだ。何曲かのバラードと、他はすべてダンスナンバー。それだけに時代の流れとともに風化しやすいサウンドであるのも事実で、今聴くとちょっと辛いものも中にはある。ずばり「The New Style」と名付けられた、おそらく気合いたっぷりに作られたであろう初のJam & Lewis名義作品が、今聴くとめちゃめちゃ空振ってるのが、けっこう笑うに笑えない。
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