序章

第1章 歴史

第2章 作品紹介(1)

    作品紹介(2)

    作品紹介(3)

第3章 サントラ紹介(1)

    サントラ紹介(2)

    サントラ紹介(3)

    サントラ紹介(4)

    サントラ紹介(5)

    サントラ紹介(6)

    サントラ紹介(7)

written by
Kazuyuki Shinkai,
Oct.1995

第3章 Black Soundtrax(その1)

A Low Down Dirty Shame (1994)
Artists : Nuttin' NYCe, Zhane, Silk, R.Kelly, Raja-Nee, Changing Faces, Aaliyah, Tevin Campbell, Hi-Five, Souls Of Mischief, Fu-Schnickens, Casual, Keith Murray, Organized Konfusion, Smooth, UGK's, Extra Prolific, Mr.Kilo

【全体観】
この手のサントラには必ず旬のアーティストが起用される。絶頂期にあったR.Kelly色が前面に出ているのがこのサントラ。ただ、彼本人とChanging Facesは既発表曲のリミックスで、R.Kelly絡みの新曲はAaliyahに提供した曲のみ。しかし彼が直接手がけた作品ではなくても、何となく雰囲気的にR.Kellyサウンドの影響を受けたものが多く、実際以上に彼のアルバムだという印象が残る。

【聴きどころ】
何と言っても目玉はZhaneがディスコ・クラシックを蘇らせた「Shame」のカバー(オリジナルはEvelyn "Champagne" King、78年9位)。最近のヒップホップではマイナーコードの重く沈むビートがもてはやされるが、これはポジティブな感じのする弾むビートで、何というか、聴いててうきうきするようなタイプのサウンド。たしかにチャートがこのテの曲で占拠されたらそれはそれで嫌だろうが、今のチャートの中にぽっとこういう曲が混じっていると、妙に光って見える。Nuttin' NYCeの「Down 4 Whateva」やSilkのディープなバラード「I Can Go Deep」などは出来がいいが、やっぱりアルバム全体としては玉石混合。

Above The Rim (1994)
Artists : SWV, Sweet Sable, H-Town, The Dogg Pound Gangstas, 2nd II None, D.J.Rogers, Nate Dogg & Warren G, Thug Life feat. 2Pac, Jewell & Aaron Hall, The Lady Of Rage, CPO-Boss Hog, Paradise, Al B.Sure!, D.F.T.B., Rhythm & Knowledge, B.Rezell

【全体観】
92年のDr.Dre「The Chronic」、93年末のSnoop Doggy Dogg「Doggy Style」、そしてこのサントラがDeath Row3部作とされる。いずれもDr.Dreを中心としたいわゆるG-Funkを一気に世に広め、3作合計で世界で2000万枚を売ったそうだ。そうやって商業的に成功しただけでなく、ヒップホップの世界で最も影響力のある雑誌「The Source」で年間ベストアルバムに選ばれているように、コアなリスナーの支持も得ている。
すべての作品を直接彼が手がけているわけではないが、とにかくDr.Dreがやりたいように好き勝手に作った作品で、勢いのある奴がその勢いに任せて一気に作ったら自分の想像していた以上のものができてしまった、一種化け物のようなアルバムである。

【聴きどころ】
当然内容はぴ〜ひょろ〜というキーボード入りの典型的G-Funkがメインで、「Regulate」という大ヒットも生まれた。他、Thug Lifeという、この映画にも出演している2Pacが一時的に結成したグループの「Pour Out A Little Liquor」は黒人の同胞意識みたいなものをみせてくれる、ちょっと切ない作品。The Lady Of Rageの「Afro Puffs」は非常に評判が良くて、Snoopの次はこいつだ!と言われていたのだが、どうもこれ以来音沙汰がない。ちなみにこいつはDr.Dre & Snoop Doggy Doggの来日公演に密かに同行し、この曲を披露して異様に盛り上がった。アルバム出せば初登場No.1は堅いと言われてたんだが、もうすっかり時期を逸してしまったようで残念。それから美しい歌メロをサビに使ったParadiseの「Hoochies Need Love Too」、強者同士が火花を散らすデュエット、Aaron Hall & Jewellの「Gonna Give It To Ya」なんてのが聴き物。

Addams Family Values (1993)
Artists : H-Town, Portrait, Roger & Fu-Schnickens, RuPaul, Shabba Ranks feat. Patra & Terry & Monica, Brian McKnight, Charles and Eddie, R.Kelly & Mad Cobra, Guru, P.M.Dawn, Tag Team

【全体観】
映画としては全然ブラックムービーではないが、サントラの方は全編ブラックアーティストによる70年代のR&Bヒットのカバーということで、真っ黒な内容である。

【聴きどころ】
...といっても唯一チャートに入ったのが先行シングルであるTag Teamの「Addams Family (Whoomp!)」なんだよな。これを聴いてあまりの情けなさに泣きそうになった人も多いことだろうけど、この曲のイメージでサントラ全体を見てしまってはいけない。Shabba Ranksによる「Family Affair」とか、Guru (Gang Starrの人)の「Do It Any Way You Wanna (It's On You)」(オリジナルはPeople's Choice、75年11位)なんてのは文句なしにかっこいい。あのR.KellyがMad Cobraと組んでレゲエしちゃっている「Do Your Thing (Love On)」(オリジナルはWatt's 103rd Street Rhythm Band、69年11位)という珍品もある。全体的に超メジャー曲ではないけどR&Bでは軒並みNo.1級のヒットで、ファンク色が強い作品が多く選ばれている。
その中にあってなぜかJulian Lennonの「Too Late For Goodbyes」なんぞをサンプリングしてひとり浮きまくっているのがP.M.Dawnだってのもハマりすぎてて笑える。
Portraitの「Be Thankful For What You Got」(オリジナルはWilliam DeVaughn、74年4位)みたいな、派手さはないけど堅実によく作ってある曲もあり、ヒットしなかったのは残念だ。やっぱりこういう企画モノは超目玉になる1曲がないと辛いのかな。しかし映画とサントラにここまで関連性が希薄なのも、ちょっとサギくさいよな。

Boomerang (1992)
Artists : Babyface, Toni Braxton, Aaron Hall feat. Charlie Wilson, Keith Washington, P.M.Dawn, Grace Jones, Boyz II Men, The LaFace Cartel, Johnny Gill, Shanice, Kenny Vaughan & The Art Of Love, A Tribe Called Quest

【全体観】
一言で言うと、Babyfaceのサントラ。Babyface本人やToni Braxtonの参加、Boyz II Menの「End Of The Road」(Babyface作曲)なんてのが収録されていて、全12曲中7曲で彼が絡んでいる。といっても、同時期に出た「Mo'Money」のサントラは最大のライバル(と言われる)Jam & Lewisが全編をびしっとプロデュースしているので、こちらはちょっと作り込みが中途半端という印象も残る。
全体的にはアルバムとしてのトータルな印象は薄いが、個々の作品は非常に充実している。その辺がまたいかにもBabyfaceらしい。

【聴きどころ】
やっぱりシングルヒットした「Give U My Heart」「End Of The Road」「Love Shoulda Brought You Home」の3曲が出色の出来。いずれもBabyfaceの代表的な作品として挙げてもいいぐらいの充実した作品だ。「Give U My Heart」なんて、これから3年経った95年でさえまだアップテンポではこれを超える作品を生み出せていないぐらいだ。「End Of The Road」はあまりにも売れすぎたからと毛嫌いしてる人も多いだろうけど、何年後かに聞き返せば絶対「やっぱいい曲だよな」と思える曲だと思う。
他にP.M.Dawnの「I'd Die Without You」も大ヒットしてるけど、あれはどうしてもいい曲とは思えない。ヒット曲以外では、Babyfaceは関与してない作品だけど「鉄の喉」Aaron Hallと、その師匠と言ってもいいCharlie Wilson (元Gap Band) のデュエットである「It's Gonna Be Alright」での壮絶なバトルが凄い。
Babyfaceってのは、冷静な目で見て、非常に優れたソングライターであることは疑いようがない。どういうわけかその彼の曲を歌う機会に恵まれるのは比較的シンガーとして貧弱な奴が多いのだが、ここではKeith WashingtonやJohnny Gillなんていう真の実力派が思う存分歌いまくっていて、けっこう聴かせてくれる。

Boyz N The Hood (1991)
Artists : Ice Cube, Tevin Campbell, Yo-Yo,Compton's Most Wanted, Main Source, Tony! Toni! Tone!, Monie Love, Kam, Hi-Five, 2 Live Crew, Too Short, Force One Network, Quincy Jones, Stanley Clarke

【全体観】
そこそこヒットしそうな面子を揃えてはいるが、ヒットは生み出せなかった。流石に映画の雰囲気に合わせた殺伐した雰囲気のギャングスタ・ラップ風のものが多い。

【聴きどころ】
テーマ曲という感じでオープニングに配置されたIce Cubeの「How To Survive In South Central」は相変わらずのP-Funkネタだが、"Only the strong survive? Shit! Even the strong die in South Central." というライムが印象的だ(彼自身が映画中でそういう役を自ら演じている)。
それにしても、1曲目がIce Cubeによるメインテーマ、中をTevin Campbell、Tony! Toni! Tone!、Hi-Fiveといったシンガー、ラップではToo Short、2 Live Crewの「そこそこの曲」を適当に散りばめ、ラストはStanley Clarkeによるインスト、というのは以後の典型的なブラックサントラの基本形である。各サントラの参加アーティストの欄を見てもらえばわかると思うが、このわずか数年の間に何十というブラックサントラが出ているのだから、当然いくつものサントラに参加する連中がたくさん出てくるし、そうなるとどのサントラもみんな同じような感じになってしまう。いわば、このアルバムが、最初にその定番パターンを作った作品だと言えるだろう。



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