序章

第1章 歴史

第2章 作品紹介(1)

    作品紹介(2)

    作品紹介(3)

第3章 サントラ紹介(1)

    サントラ紹介(2)

    サントラ紹介(3)

    サントラ紹介(4)

    サントラ紹介(5)

    サントラ紹介(6)

    サントラ紹介(7)

written by
Kazuyuki Shinkai,
Oct.1995

第3章 Black Soundtrax(その6)

Poetic Justice (1993)
Artists : TLC, Mista Grimm, Babyface, Usher Raymond, Tony! Toni! Tone!, Pete Rock & C.L.Smooth, Cultural Revolution, Naughty By Nature, Terri & Monica, Dogg Pound, 2 Pac, Chaka Demus & Pliers, Nice & Smooth, Stevie Wonder, Stanley Clarke

【全体観】
TLC、Babyface、Naughty By Nature、Tony! Toni! Tone!といった、ヒットを出せそうなメンツを揃えてはいるのだが、今ひとつぱっとしなかった。主演のJanet Jacksonが自ら花を添えるとかしてセールスポイントにすればもうちょっと何とかなっただろうになぁ。何しろ、「売り物」がない。先述のようなアーティストが参加してはいるが、曲そのものが決していい出来ではないし、アルバム全体を見るとあまりにも各曲がバラバラでとっ散らかった印象しか受けない。Chaka Demus & Pliersの「I Wanna Be Your Man」、Pete Rock & CL Smoothの「One In A Million」などそれなりに聴ける曲もあるが、全体としては低調。

The Show (1995)
Artists : Kid Creole, Slick Rick, 2 Pac, Suga, Method Man, Redman, Dr.Dre, Bone Thugs-N-Harmony, Mary J.Blige, The Notorious B.I.G., Isaac 2 Isaac, Domino, The Dove Shack, Treach, South Central Cartel Productions, Jayo Felony, Tray D, Snoop Doggy Dogg, Warren G, L.L.Cool J, A Tribe Called Quest, Russell Simmons, Kali Ranks, Stanley Clarke

【全体観】
「DEF JAM創業10周年記念事業」(?)のひとつである「初のラップドキュメンタリー」のサントラ。DEF JAM所属に限らず、レーベルを超えて旬のラッパーが多く参加している。
まず、曲目リストを見ると、そのあまりの豪華さに驚く。Dr.Dre、Snoop Doggy Dogg、2Pac、Method Man、Bone Thugs-N-Harmony、The Notorious B.I.G.、Treach (of Naughty By Nature)、Mary J.Blige... といった感じで、有名ラッパー(シンガー)がすべて名を連ねているのだ。ところが、このうちちゃんと「曲」を提供してるのはそのおよそ半分だけで、残りはおそらく映画から抜粋されたのであろう「コメント」、つまり単なる喋りなのだ。それもそれぞれ3秒とか5秒とか...

【聴きどころ】
内容を非常に象徴しているのがアルバムからのセカンドシングルとしてBillboardでトップ20に入るヒットとなったRedman & Method Manの「How High」だ。セールスを中心に凄い勢いでチャートを駆け登ったが、一体この曲の何がいいのやらさっぱりわからんという人は多いだろう。メロディらしきものはないし、キャッチーなサビのフレーズもないし、印象的なサンプリングがあるわけでもないし、思わず体でリズムをとってしまうようなわかりやすいノリもない。ただ、シンプルなビートに乗って二人の男が勝手気ままに吠えるだけ。15年前のラップ創生期よりも更にプリミティブな作りである。それでも、この音がたまんねぇ、という人種は確実に存在する。とくに日本のブラック系をメインに扱うメディアは、このアルバムを紹介するにあたって、この曲を取り上げてはほとんど手放しで絶賛している。ところがアルバム全体を支配するのは、西のG-Funkの雰囲気。ニューヨークの老舗・DEF JAMの誇りは何処へ... それともG-Funkってのはもう西だの東だのってのは関係ないぐらいに一般化してしまったということなんだろうか。
数少ない歌ものでは、Warren G人脈らしいThe Dove Shackの「Summertime In The LBC」がボーカルの貧弱さにさえ目をつぶれば、なかなかいい出来。G-Funkの延長線上にはあるのだが、非常に爽やかな感じで、これはちょっと新しい。
旬のアーティスト以外にもDEF JAMの古顔としてL.L.Cool Jが参加しているが、DEF JAMとの関係が険悪になって、公の場で批判し合うまでになってしまったPublic Enemyら、DEF JAMを10年間支えてきた人たちの不参加は寂しい。

South Central (1992)
Artists : Vaughan Mason, Ronnie Hudson, One Way, Lakeside, Slave, Cameo, Scarface, Hi-C, Spectrum City, Boo-Yaa T.R.I.B.E., Classic Example

【全体観】
昔のヒット曲の寄せ集め(+いくつかの新曲)、というのは手っ取り早くヒットサントラを作る有効手段である。古くは「American Graffitti」や「Saturday Night Fever」に遡り、最近では「Forrest Gump」も一発当てた。ブラック系のサントラでは、ベトナムでの黒人兵たちを描いた「The Walking Dead」が70年代のヒット曲で固めていた(これは全然売れなかったけど)。この「South Central」も同じような作り方だが、雰囲気はまったく違う。なにしろこっちには1曲もヒット曲が収録されていない(笑)。まぁ正確に言えばHOT100ではヒットしていないということで、R&B方面ではそれなりにメジャーな曲 / アーティストが並ぶ。

【聴きどころ】
基本的に70年代末〜80年代初頭のファンクである。前半にこういった「古い曲」を固め、後半はラップの新録モノ。その10〜15年の時代差を感じさせないほど、両者の雰囲気は近い。今さらではあるが、ラップという音楽が「突然変異」とか「異端」とか「革命」みたいな存在では決してないということが実感できる。
ちなみにSpectrum CityというのはPublic Enemy結成前のChuck Dのグループで、おそらくここ以外ではまず耳にすることのできないレア音源。

Street Fighter (1994)
Artists : Ice Cube, Ahmad / Ras Kass / Saafir, Nas, The Pharcyde, Paris, Rally Ral, The B.U.M.s, L.L.Cool J, Craig Mack, Hammer / Deion Sanders, Public Enemy (Chuck D) introducing The Wreck League, Anotha Level, Angelique Kidjo, Chage & Aska

【全体観】
スーパーマリオに続く日本製ゲームの映画化。たぶん中高生とかそのぐらいの若造がメインターゲットになってるだけあって、サントラもラップが中心。
Ice Cube、Public Enemy、L.L.Cool JといったビッグネームからCraig Mack、Ahmadといったあの頃の人気ラッパー、Nas、Pharcyde、Parisといった通受けまで一通りを網羅していて、前評判は異様に高かったが、権利関係のごたごた(Def Jam所属アーティストの作品の権利関係がクリアにされていないうちに発売されてしまったため、一時は回収騒ぎになった)のせいもあってか、商業的にはまったく奮わなかった。まあ確かに収録アーティストは豪華だが、作品そのもののクオリティは総じて低調だ。
しかしヒップホップ一色の中で、ラストはチャゲ&飛鳥がしっかりJourneyみたいな産業ポップバラードで締めてるのはやっぱり日本資本の為せる力技か(一応ちゃんと英語で歌ってる)。

Trespass (1992)
Artists : Ice-T & Ice Cube, Public Enemy, Ice-T feat. Daddy Nitro, Sir Mix-A-Lot, Penthouse Players Clique, Black Sheep, AMG, Gang Starr, Lord Finesse, Donald D, W.C. And The Maad Circle, Ry Cooder & Jim Keltner

【全体観】
前評判がめちゃめちゃ高かった割には空振った感じ。まぁ、封切り直前にLA暴動が起きてしまって、さらにそれを煽ってしまう恐れがあるということでタイトルを変更させられた上に公開を延期させられるという不運なアクシデントもあったわけだが、ことサントラだけに限って言えば、確かに「こけおどし感」は拭えない。 映画の主役でもあるIce Cube & Ice Tの初共演、Publie EnemyやSir Mix-A-Lotの新曲なんていう一応売り物になるネタを抱えながらも、どこか不完全燃焼なのだ。ほぼ全編ラップで統一されてはいるが、これはちょっと何度も聴くのは厳しいな。

Whoユs The Man ? (1993)
Artists : Big, Jodeci, Pete Rock & C.L.Smooth, Mary J.Blige, Erick Sermon, Heavy D & Buju Banton, House Of Pain, Crystal J.Johnson, Father M.C., Spark 950 & Timbo King, 3rd Eye & The Group Home

【全体観】
MTVのラップ専門番組「Yo! MTV Raps」の司会者コンビ、Doctor Dre & Ed Lover主演のポリスコメディー。よく誤解されるが、このDoctor DreはあのDr.Dreとは別人。ただし、こっちのDreも自らラップをやったりするからややこしい。まぁ、そういう作品だから、やっぱりサントラはラップがメイン。歌物もJodeciとMary J.Bligeという極めてヒップホップ系に近い人たちだ。しかしこう言うのも何だが、ほとんどの曲はつまんないので無視してもよい。ただ1曲だけ注目していいのが、Bigという奴の「Party And Bullshit」だ。鋭い人は分かったかもしれないが、これこそ今やビッグスターのThe Notorious B.I.G.のアルバムデビュー前の作品だ。今と比べると妙に元気溌剌なのがおかしい。



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