序章
第1章 歴史
第2章 作品紹介(1)
作品紹介(2)
作品紹介(3)
第3章 サントラ紹介(1)
サントラ紹介(2)
サントラ紹介(3)
サントラ紹介(4)
サントラ紹介(5)
サントラ紹介(6)
サントラ紹介(7)
written by
Kazuyuki Shinkai,
Oct.1995
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第3章 Black Soundtrax(その5)
Murder Was The Case (1994)
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Artists : Snoop Doggy Dogg, Dr.Dre & Ice Cube, The Dogg Pound, Snoop Doggy Gogg & Tray Deee, Nate Dogg, Jewell, Danny Boy, Sam Sneed, Jodeci, DJ Quik, Slip Capone & CPO, B-Rezell, Young Soldiers
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【全体観】
Snoop Doggy Doggの同名曲を題材にしたDr.Dre初監督映画。本編わずか30分程度のミニ映画だが、そのサントラが70分ってんだから笑っちゃうよな。まあこれはサントラだと思わずに、Dr.Dreを頂点とするDeath Rowレーベルのショーケースだと思った方が現実に近いだろう。しかしここまでやられちゃうと、サントラって一体何だろう、とか思っちゃうよなぁ。
【聴きどころ】
それはさておき、当然のようにアルバムチャートで初登場No.1になった本作の聴きどころは、意外にもDreやSnoopのラップではなく、Jewellという女性シンガーのソウルフルな歌声である。豪快でありながら同時にきめ細やか。男をめぐる女同士の喧嘩という攻撃的な内容の歌詞だが、どこか優しさも漂う。一見相反するような要素を見事に歌い込めた「Woman To Woman」は素晴らしい。文句なしの絶品(オリジナルはShirley Brown, 74年22位、R&Bでは1位)。JodeciがDogg Poundと共演した「Come Up To My Room」もけっこうぞくぞくさせられる格好いい仕上がり。ちなみにDogg PoundというのはSnoop Doggy Dogg、Nate Doggらから成るグループ。
アルバム発売前からDr.DreとIce Cubeのリユニオン(元NWA)が実現しているという情報が伝わり、もっぱらその作品が期待されていたが、いざ発売されてみると誰もその曲には触れないのが笑えた。まぁ、それほどどうってことない曲だということね。
相変わらずバカ売れしたが、しかしどうもこのアルバムは煮えきらない。Dr.DreのG-Funkはたしかに一世を風靡し、彼は一躍時代の嬰児になったが、しかし世の中にイミテーターが溢れてしまった。今度は自らがG-Funkを捨てて一歩先へ進まないと、飽きられてトレンドをリードする存在から後退してしまう。Dreはたぶんそれがわかっていて、G-Funkの「次」を探っている。しかしこのアルバムの段階ではまだどういう路線に進むべきかを決めかねている。だから、単純にやりたいことを好きなようにやった「Above The Rim」のときのような開き直った勢い、一貫性が感じられないのだ。まぁどうせ彼のことだから次もどうにか売れるものを作ってくるんだろうけど、これはちょうど過渡期の作品という感じがする。
New Jack City (1991)
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Artists : Ice-T, Keith Sweat, Christopher Williams, Johnny Gill, 2 Live Crew, F.S.Effect, Essence, Color Me Badd, Danny Madden, Troop / Levert feat. Queen Latifah, Guy
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【全体観】
最近のブラックムービーサントラブームの火付け役となった作品。R&BではNo.1アルバム、全米チャートでも2位まで上がる大ヒットとなった。しかしだからといってずば抜けて質が高いわけではないんだけど。
【聴きどころ】
何といってもColor Me Baddの全米2位、R&B1位の大ヒット「I Wanna Sex You Up」に尽きるだろう(しかし残念ながらこれが天にも昇るような気持ちよさのシングルバージョンではない)。全米チャートを賑わせたのはこの1曲だけだったが、R&Bではもう1曲Christopher Williamsの「I'm Dreamin'」がNo.1になり、Troop / Levert / Queen Latifahによる「For The Love Of Money / Living For The City」のカバー・メドレー、Johnny Gillの「I'm Still Waiting」、Ice Tの「New Jack Hustler」と、ヒットを量産した。とくに「For The〜」のメドレーは原曲の持つある種の冷酷さをうまく際立たせた、なかなかの佳作だ。ちなみに「For The Love Of Money」のオリジナルはO'Jaysで、歌の内容はタイトル通り金の亡者について、「Living For The City」はStevie Wonderのオリジナルで都会のゲットーに暮らす厳しさを歌ったものである。なにしろ原曲がかっこいいのでそれだけで品質保証されてるようなもんだが、タイプが異なり、かつ一級の実力を持つ3者が競演することで緊張感のある仕上がりになっている。映画の内容を考えれば、実質的にはこの曲が映画のメイン・テーマである。
こういう優れた作品がある一方でどうでもいい曲も入ってたりして、アルバム全体を見渡すととくに優れたアルバムというわけでもなく、オムニバス式サントラにありがちな「寄せ集め」感は拭えない。
New Jersey Drive (1995)
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Artists : Ill Al Skratch, Redman, Black Panta, Sabelle, Young Lay feat. Mac Mall 8 Ray Luv, Total feat. The Notorious B.I.G., Lords Of The Underground, Poets Of Darkness, Undacova, Outkast, Heavy D, Queen Latifah, Keith Murray, MC Eiht, Coolio, Maze feat. Frankie Beverly, Smooth
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【全体観】
ラップのサンプリングネタの定番には、流行がある。初期はJBとZappだった。それがKool & The Gangになり、P-Funkになり、Isley Brothersになった。で、次は? となると、Maze あたりが来るのではないかという説がある。豪華メンツにょる全曲新曲の中で唯一の既発表曲として収録されているMazeの「Before I Let Go」は、そんなことを匂わせている。
サントラはVol.1とVol.2の2枚に分かれ、Vol.1には17曲も入ってるのにVol.2は8曲、で、目玉作品はしっかり両方に分散させるというなかなか嫌な奴である。やはり今が旬のThe Notorious B.I.G. が、ゲスト参加という形ながらも完全に主役を食ってしまっている「Can't You See」(Total feat. The Notorious B.I.G.)なんかが聴き物だが、全体的に比較的水準の高い曲が並ぶ。
New York Undercover (1995)
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Artists : Mary J.Blige, Guy, Al B.Sure!, Tyme, Little Shawn, Monifa, Lost Boyz, Anthony Hamilton feat. Terry Robinson, K-Ci & JoJo - The Hailey Brothers, Mavis Staples, Gladys Knight, Chante Moore, James Mtume
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【全体観】
これは映画ではなく、テレビの連続シリーズのサントラ。「Jason's Lyric」のサントラでK-Ci Haily (of Jodeci)をプロデュースしたJames Mtume(「Juicy Fruit」をヒットさせたMtumeの中心人物)が、本作ではアルバム全体をプロデュースして本格的に復活。
【聴きどころ】
Queen of Hip Hop Soulと称され、その「新しさ」ばかりが評価されるMary J.Bligeの、「(You Make Me Feel Like A) Natural Woman」の超正当派カバーで幕を開ける。Carole Kingの曲だが、もちろんお手本とされたのはAretha Franklinのバージョンだ。Arethaはやたらたくさんカバーをヒットさせているが、Otis Reddingの「Respect」をはじめ、彼女が歌った途端に「彼女の曲」にしてしまう天才的な才能の持ち主である。Mary Jも「Arethaに『あの小娘が台無しにしてくれたわ』なんて言われないように一生懸命やった」なんて言ってるように、黒人にとってはこれはArethaの曲なのである。ちなみにこの曲は「Panther」のサントラでもFemaleというグループにカバーされており、そっちも非常に出来が良い。
このところサントラ絡みでソロ活動が目立つJodeciから、今回はJoJoとK-CiのHeily兄弟が参加。今でこそ彼らは自分たちで何でもこなしているが、そもそもデビュー当初はAl B.Sure! にかなり世話になっていた。ここで歌っている熱唱ソウルバラードも久々のAl B.Sure! 作・プロデュース。とにかく、こいつらは稀代のボーカリストだ。巧いだけでなく、実に味がある。
Guyの(おそらく一時的な)再結成が実現したのはファンには大きな喜びだが、しかし曲がつまらないのが悲しい。Mavis Staples(The Staple Singersのリードシンガー)による「I'll Take You There」のセルフカバーなんてのもあるが、オリジナル(72年1位)に忠実なようでいて、やっぱりあの躍動感は再現できていない。ここに挙げた以外のアーティストはほとんどが無名/新人だが、全体的に質は高い。それにしてもたかがテレビシリーズのためにこれだけのサントラを用意してしまうってのは、やっぱり日本とは文化の根本的な基盤が違うよね。
Panther (1995)
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Artists : Joe, Blackstreet, Funkadelic feat. George Clinton, Monica & Usher, Bobby Brown, Aaron Hall, Da Lench Mob, Shanice feat. Female, The Sounds Of Blackness feat. Black Sheep, Female, Hodge, Tony! Toni! Tone!, The Last Poets, Brian McKnight & The Boys Choir Of Harlem, Stanley Clarke, Many Female Vocalists As Various Artists, Many Rappers As Various Artists
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【全体観】
95年春に続々と発売されたブラック・ムービーのサントラの中でいちばん当たったのは「Friday」だったが、R&Bファンにいちばん注目された作品といえばこの「Panther」だろう。
こういう複数アーティストが集うオムニバス式のサントラ盤には、映画には実際には使われていない曲だとか、どこで使われているのかと思ったら何の必然性もなくいきなり映画の中に本人が出てきて歌ってるだけとか、映画本編とは関連性の希薄な曲が多すぎると感じているのは私だけではないだろう。そんな中、このサントラは映画のテーマを非常によく考えて選曲されている。
【聴きどころ】
先行シングルとなった「Freedom (Theme From Panther)」は、先に「Jason's Lyric」のサントラのために若手男性シンガーが大集合した「U Will Know」(B.M.U.名義)に向こうを張るかのように若手女性シンガーが大集合した。Aaliyah、En Vogue、Jade、Karyn White、Mary J.Blige、Salt-N-Pepa、SWV、TLC、Vanessa Williams、Xscape、Zhane...といった感じで思い当たる面子をすべてかき集め、作曲・プロデュースはDallas Austinという万全の布陣だ。しかしどういうわけかこんな重大な場面でD.Austinは彼の過去の(あまり出来がいいとも思えない)作品をそのまんま流用するという手抜き仕事をやってしまった。で、ご存じのようにこの曲は全くヒットせず仕舞い。
オールスターというにはちょっと弱いけど、The Notorious B.I.G.、Coolio、Bone Thugs N Harmony、Redmanといったラッパーたちが集まった「The Points」という曲もあり、こっちの方がむしろ聴きものだ。
やはり60〜70年代に活動したBlack Pantherを描く映画のサントラだけあって、過去のヒット曲の焼き直しが多い。Monica & Usherによる「Let's Straighten It Out」(オリジナルはLatimore、74年31位)と、Da Lench Mobの「The World Is A Ghetto」(オリジナルはWar、73年7位)の2作品は非常にいいカバーだ。そして同じカバーでもなんとBrian McKnightは大胆にも「Star Spangled Banner」、そう、国歌である。もちろん「Panther」のサントラであるからして、毎年スーパーボウルの開会式で大スターたちが歌うあれ(Whitney Houstonの91年のシングルはここでのライヴ録音)とはまったく意味が違う。これはぜひ、音だけでなくて、実際の映画の中でどう使われているのか聴いてみたいところ。それから、そのBrian McKnight作曲に歌はAaron Hallの大らかで優しいエンディングテーマ「Stand (You Got To)」なんか感動的ですらある。それぞれ、「Panther」という映画で使われているからこそ、という付加価値によるものではあるが、この辺の曲は出来が抜群にいい。
うまくすればこのサントラの目玉になることもできたBobby Brownの久々の新曲が、気鋭Jermaine Dupriを採用しながらもずばぬけてつまらない曲になってしまったというのも時代の流れを感じさせる。やっぱりこの動きの早いシーンの中で5年のブランク(しかもその間本人は成長なし)は命取りだった。
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