| 4. 3曲以上TOP40 | |
さて、いよいよ本章と次章で、筆者が抽出した複数同時TOP10の全ケースと、3曲以上同時TOP40の全ケースを披露しよう。両者とも、つい最近(03年4月)の50 Centの記録まで、反映済である。今回、TOP10の方は、過去48年分、約2500週を全て一応ひととおりチェックした。が、TOP40の方は、全週チェックは流石に辛く、調査対象を、基本的には、先に抽出した複数TOP10絡みの曲に絞った。そのくらいの大ヒット集中やロングセラーでもないと、3曲以上TOP40は難しかろうという仮説からだ。その仮説には何の根拠もないので、この調査には当然漏れがありうる旨、ご理解いただくと共に、漏れにお気づきの節は、ぜひお知らせいただきたい(当記事にも反映予定)。 尚、実際、既に自分でも仮説の例外がいくつか見つかり、それらは反映済である。 それでは、調査の順番とは逆だが、ケース数がより少ない3曲以上TOP40の方からいこう。早速、表4-1(3曲TOP40の37ケース)と、表4-2(4曲以上TOP40を伴う9ケース。既に1、2章で取り上げたケースばかり。)で、全46ケース(03年4月時点)をご覧いただきたい。但し、ケース数の定義の綾で、一連のケースと言えなくもないものを別ケースと数えた場合もいくつかあり、実質的な数はもっと少ないと見るべきかもしれない。(尚、ケース数の定義は、この章の最後の<補足>を参照いただきたい。)ともあれ、この46ケースをディケード別に数えると、50's/60's/70's/80's/90's/00'sが、各々18、10、2、3、5、8ケースと、かなり偏っていた。以下、ディケード別にコメントしてみよう。 (1) 50's 他のディケードと違い約4年だけなのに、18ケースと、その後の40年分にも匹敵する、圧倒的なケース数。それでいて達成者は、Elvis、Pat Boone、Gale Stormの3組のみ、かつElvis 10ケース、Pat 7ケースと著しく偏っている。でも、Elvisの表4-1のNo.3〜5や表4-2のNo.1、2のように、ほんの数週のブランクを経て、大半が同じような顔ぶれで、再度3曲以上TOP40を記録してるようなケースは、前述のように、全て一連のケースと考える方が自然だろう。 このディケードの最大の特徴は、表4-1のNo.6の Patのケース以外、全て両面ヒット絡みということだ。あと、Gale Storm(表4-1のNo.1)で、「Memories Are …」が一旦41位以下に落ちた翌週、TOP40内に再登場し、同じ組合せで再度3曲TOP40となった際の、この曲の27位→27位→43位→26位→29位という変則チャートアクションも、いかにも50'sらしい。表4-1のNo.10のPatのケースも同様で、「April Love」が24位→45位→58位→38位と推移している。 (多分、どちらも集計ミスだろう。) また、Patは複数TOP10を一度も達成しておらず、この時点で、前述の仮説の例外が、既に7ケースも登場してしまった ^ ^;; (2) 60's 10ケースのうち、Sonny & Cher絡み(表4-1のNo.19〜21と表4-2のNo.6)は、ソロヒットを含むため、必要以上に細分化されて、計4ケースとなっただけで、実質1ケースのようなもの。またHerman's Hermits(表4-1のNo.17、18)も、3曲中2曲がTOP40をキープし、もう1曲が4週ブランクを挟んで入れ替わったので、これも実質1ケースと見なせなくもない。とすると実態は、Beatles、Dave Clark Five、Herman's Hermits、Sonny & Cher、Supremesら、5組で計6ケースというところか。 これらは、いずれも50'sのような両面ヒットではなく、2〜3ヶ月で3曲以上という矢継ぎ早のシングルカットによるものばかり(Beatlesの記録は両面ヒットも含むが、両面ヒットなしでも、記録は十分達成されていたし)。 この”矢継ぎ早カット”にも、次の2種類が考えられる。1つが、無名アーティストや新人の大ブレーク直後の、今が稼ぎ時と言わんばかりのシングル乱発(音楽市場がシングル中心だった当時、多分常套手段だったのでは)。もう一つが、通常名義以外のソロや他グループとのデュオによる企画もの。これに各アーティストをあてはめると、Beatles、Dave Clark Five、Herman's Hermitsが前者、Supremesが後者、そしてSonny & Cherは両者の合せ技と分類される。尚、Beatlesによる2ケースのうち、後の方(表4-2のNo.5)は、やはり複数TOP10に無関与の曲ばかりでの達成、即ちこれも、前述の仮説の例外である。 (3) 70's & 80's ケースが少ないので、2ディケードまとめてコメントする。単純に合算すると、2+3=5ケースだが、John Lennon(表4-1のNo.23)の記録は、3曲中2曲がBeatlesであり、無理やりでっちあげというか、”参考記録”レベル。NKOTB(この略称は、当時はまだなかったが…)の記録も、前述のHerman's Hermitsパターンで実質1ケース。かくして、20年でたった3ケースと、極めて珍しい記録であるが、達成者のBee Gees、Diana Ross、NKOTBの当時の活躍ぶりは、実際、目を瞠るものであった。 <NKOTB> (表4-1のNo.26、27) アルバム「Hangin' Tough」からのシングルが、1曲め10位、2曲め3位、3曲めNo.1と徐々にブレークし、4曲めのタイトル曲も連続No.1とまさに絶頂期。余勢を駆って4曲めのB面「Didn't I」までが、以前のアルバムの既発表曲にも拘らず、5曲めの「Cover Girl」と同タイミングでチャートインし、これにて3曲同時TOP40。さらに、その2曲が40外に消える間に、クリスマス・アルバムからのシングルのチャートインで、再達成。当時は、Michael Jackson、Whitney Houston、George Michael、Bobby Brown、Bon Jovi、Paula Abdul、Milli Vanilli、Janet Jacksonと、同じアルバムから5曲もTOP10ヒットを出すアーティストは珍しくなかったが、両面ヒットやクリスマス・ヒットまで出したのは、NKOTBだけ。 (そもそも、80'sは両面ヒットの少なさでもダントツのディケードで、10年でたった10枚。その中で唯一、A面とは別に単独でTOP40入りしたB面曲が「Didn't I」。また、クリスマスシングルの、通常のシングルチャートでのTOP10入りは、これも何と30年ぶりという大記録。あのBand Aidだって、13位止りだったのに。) <Diana Ross> (表4-1のNo.25) 3曲TOP40達成当時の活躍だけでみると、NKOTBやBee Geesに、ちょっと見劣りするが、60'sはSupremesの看板娘として大成功をおさめ、70'sも76年までに4曲のNo.1を放った彼女が、約4年の低迷期を経て、大復活したという意味でのインパクトはあった。彼女の3曲は、Nile Rogers、Bernard Edwardsの手がけたアルバムからのシングルヒット2曲の後に、タイミングよく、映画のサントラからのヒットが続いたもの。 尚、Bee Geesは、2章、3章で触れたので割愛する。 (4) 90's 5ケースのうち、Boyz II Menが、やはり前述のHerman's Hermitsパターンで実質1ケースとしても、10年で4ケースと、70's〜80'sよりだいぶ持ち直した感じ。達成者はWhitney、Boyz II Men、Puffy、Master Pと、いずれも90'sを代表する個性的な顔触れだが、記録としても各者各様の特徴がある。 <Whitney Houston> (表4-1のNo.28) 映画共々特大ヒットとなったサントラ(「Bodyguard」)からの3曲のシングルが、やはりいずれも大ヒットし、約2ヶ月もTOP40に3曲をチャートインさせたというパターンは、70'sのBee Geesと同じ。Bee Geesの3曲同時TOP10に対し、こちらは2週続けて3曲が11位以内と、ほんとに惜しかった。チャートルール改変前のBillboardなら、手集計のドサクサで順位を操作してでも、3曲同時TOP10の記録を作っていたかも(笑)。尚、この”映画絡み”というのは、70's以降のこの種の記録の、1つの傾向と言えるかもしれない。80'sのDianaも、1曲は映画絡みだし。 <Boyz II Men> (表4-1のNo.29、30) 13週、14週、16週と、記録的な長期No.1ヒットを連発した彼ら、その中の1曲、14週No.1の「I'll Make Love To You」が、31週もTOP40に残っている間に、次の「On Bended Knee」は勿論、半年以上(28週)後にシングルカットされた「Thank You」までTOP40入りし、3曲同時TOP40に。これほど後のヒットとの組合せでのこの記録は、他に例がない。尚、その後、彼らが、「On Bended Knee」から「Water Runs Dry」で再度3曲同時TOP40になったのは、「On Bended Knee」のロングセラーもあるが、「Thank You」が最高位21位と低迷し、「Water Runs Dry」の発売が早まったことが主因と思われる。 <Puff Daddy、Master P> (表4-1のNo.31、32) 「はじめに」でもふれたが、ラッパーの客演でのfeaturingクレジットの一般化が、90年代後半以降のこの種の記録の大きな傾向になっており、その先駆けがこの二人。各々の全盛期だった97年と98年に、客演作品との合せ技で、2〜3ヶ月もの長期間、TOP40に3曲ランクイン(両者ともピーク時には、3曲TOP20も)。特にPuffyは、3曲中、2曲が客演ものという”他力本願”。もっとも当時の彼は、その他のリーダー作でも大ヒットを連発しており、実質的な活躍度については、”他力本願”という表現はあたらないが。また彼は、その後P.Diiddyと名前を変え、00'sにも3曲TOP40を、見事再達成している。 一方Master Pだが、彼の14週連続で3曲TOP40というのは、何と全盛期のBeatlesに次ぐ記録である。しかも例の仮説に反し、複数TOP10は未達成にも拘らず。この要因は、最高位が然程高くなくても、些細な上下動をダラダラ繰返しつつ、長期間TOP40内に留まるという、90年代(正確には、2回のチャートルール大変換時の合間 = 91年11月〜98年11月)特有のチャートアクションにある。でも、この記録、たまたまリアルタイムで聞いていたから、”例外”にも拘らず抽出できたが、さもなければ、とても気づかないだろうな。Master Pのような、大物感に乏しいアーティストの場合(笑)。 (5) 00's 8ケースのうち、Ja Rule、Ashantiが、やはり前述のHerman's Hermitsパターンで実質1ケースとすると、5アーティストで5ケースとなる。本ディケードはまだ約3年しかたってないのに、既に5ケースというのは、超ハイペースというか、例外的な50'sを除き過去最速だ。しかも、全て2002年度以降、実質ここ1年ちょっとでの記録というのが凄い。あと、AshantiとJa(表4-1のNo.33、34、表4-2のNo.7-9)、P. DiddyとUsher(表4-1のNo.35、36)が、お互いサポートしあって記録ができているのも、興味深い。”強者連合”というか、”勝ち組”同士の合併というか。勿論、2002年に関しては、彼らはまさに”勝ち組”だったわけだが、特にAshantiやJaあたり、本ディケードを通して”勝ち組”として君臨できるか、一過性のブームで終わるのか、今後の興味はつきない。今年(2003年)彗星の如く登場した、50 Centについても然り。 <補足:ケース数について> 便宜上、ケース数を、次のように定義した。 ?あるアーティストに関し、3曲以上TOP40が継続されている間は、曲の組合せが変わっても、1ケースと数える。 ?あるアーティストに関し、3曲以上TOP40が一旦途切れた後、再度3曲以上TOP40を記録した場合、 a. 曲の組合せが一部でも変わっていれば、新たに1ケースと数える。 b. 全く同じ曲の組合せであれば、新たに1ケースとはしない。(途切れる前と後は一連のケースとみなす。) |
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