徹底調査! 同一アーティスト、同時複数ヒット記録の全て

Oct. 2002-May 2003 窪田 弘
3. 1・2位独占の全て

 1章のNellyの話の中でも少しふれたが、同一アーティストの1・2位独占は、過去7アーティスト、8ケースしかない。これだけではつまんないので、ソングライターやプロデューサー、元同僚の競演等も含め、計28ケースかき集めたのが、表3-1である。ソングライターやプロデューサ絡みのは、まだ他にもあるかもしれないが、とりあえず、この28ケースについて、ディケード別にコメントしてみよう。

(1) 50’s
Elvisの両面ヒットによる1ケースのみ(表3-1中のNo.1)。Elvisは、前章でふれたばかりだし、今章での詳述は割愛。

(2) 60’s
計5ケース中、3ケースがBeatles絡み。うち、2ケースが同一アーティストとしての記録で、顔触れを変えて10週連続とか、ピーク時はTOP5独占とか、これも前章のおさらいばかり(表3-1中、背景が黄色の箇所)。もう1ケースは、Paulのプロデュース曲が、「Hey Jude」の下で並走という、ちょっと変わったケース(No. 26)。その他は、自分が他者に書いた曲が壁になり、自分自身が1位をとれなかったというGene Piteny(No. 25)と、単にソングライターが同じだけじゃなく、同じミュージカル「Hair」からのヒット(No. 9) というケース。Geneにとっては、何とも痛し痒しだが、自分の書いた曲が、Bacharachの曲を抑えて、1位になったわけだから、逆に自信もついたのでは。No.9のケースは、気合いれて探せば、ミュージカルの他、映画でも、まだ他にもあるかも。(「Foot Loose」、「Miami Vice」、「White Nights」あたりをざっと調べたところでは、あいにくどれも違ってたが ^_^; )

(3) 70’s
計7ケース中、4ケースがBee Gees絡み(表3-1中、背景が薄緑色の箇所)。即ち、同一アーティストとしての記録以外もかき集めれば、彼らは(正確にはBarry Gibbだけだが)、78/02/18〜78/05/06の12週連続1・2位独占となり、これはBeatlesの10週連続をも上回る。またこの間、Barry Gibbの書いた曲が、「Stayin’ Alive」「Love Is Thicker Than Water」「Night Fever」「If I Can’t Have You」と、15週連続、4曲連ねてのBack-to-back No.1だった。そもそも、どんな名目であれ、TOP3独占ってのは、Beatles以来の快挙だし、TOP5独占には逃したものの、78/03/18にはTOP3独占+5位も制覇。その週4位のEric Claptonは、さぞ居心地が悪かったろう(笑)。またその前後には、5曲TOP10(2/25、3/4、3/25〜4/8)、7曲TOP40(4/22、4/29)、9曲HOT100(4/29、5/6)も。この辺の詳細は、表3-2をご覧いただきたい。

その他では、プロデューサのみの1・2曲独占を初めて記録したMike Chapmanは(No.14)、Knack 「My Shalona」(79年1位)や、Blondieの一連のヒットを手がけたことでも有名。No.10の片割れのBob Creweは、60’sのトップ・プロデューサの一人とも評される人で、Frankie Valli率いる4 Seasonsの殆どのヒットを書き、プロデュースしている。また、元Beatles同士で、GeorgeがPaulを4週連続のNo1からひきずりおろすという、熾烈な争いもあった(No.27)。曲のタイトルが「Give Me Love」に「My Love」というのも、何か面白い。尚、Beatlesは、あとJohnとRingoも含めメンバー4人全員が、ソロでもNo1ヒットをもつってのが凄い。しかも全員2曲以上も!

(4) 80’s
各ディケードの中で、最も特徴的な80’s。同一アーティストの記録は、このディケードだけ皆無だが、その代わり、ソングライターやプロデューサによる記録だけで、計8ケースと最多、しかも83年以降、毎年1ケースくらいの頻度で、コンスタントに達成されてる。しかも、Beatles、Bee Gees等、一部のアーティストで大半のケースを占めるのではなく、全ケースばらばらの顔触れで、特に70’sのMike Chapmanのように、一世を風靡したプロデューサの名前が目立つ。参考までに、彼らの手がけた表3-1の曲以外の大ヒット曲を、いくつかリストアップした。(( ) 内は、発表年/最高位)

Phil Ramone: Paul Siimon 「50 Ways To Leave Your Lover」 (76/1)、Barbra Streisand 「Evergreen」 (77/1)
Jim Steinman:Meat Loaf 「I’d Do Anything For Love」 (93/1)、Celine Dion 「It’s All Coming Back To Me Now」 (96/2)
Nile Rogers: Diana Ross 「Upside Down」 (80/1)、David Bowie 「Let’s Dance」 (83/1)
Narada Michael Walden: W.hitney Houston 「How Will I Know」 (86/1)、Mariah Carey 「Vision Of Love」 (90/1)

ソングライターとしての達成者のうち、Princeは、自分のヒット曲も勿論多いが、Bangles(No.18)の他、Sinead O’Connor「Nothing Compares 2 U 」(90年1位)、Chaka Khan 「I Feel For You」(84年3位)も、彼の曲の他者による大ヒット。またDiane Warrenは、80年代後半から最近までの、コンスタントな大ヒットメーカーぶりを、多くの方がご存知と思うが、1・2位独占した89年11月頃は(No.21)、彼女の書いた曲がHOT100内に同時に7曲もチャートインする等、キャリアの一つのピークと言えそう。尚、彼女については、「はじめに」でも紹介した筆者の別の記事「Have You Ever..」にも詳述してあり、よろしければご参照いただきたい。

Genesisと、かつてGenesisの中核だったPeter Gabrielとのデッドヒートぶりも見物だった(No.28)。3週早くチャートインしたPeterが、TOP10入り前後でGenesisに抜かれつつも追走、表3のように、GenesisがNo.1の週にしっかり2位につけ、翌週Genesisを追い落としNo.1を奪うあたり、意地というか、たかが売上やエアプレイのデータの集計結果なのに、生身の人間のレースのような感じ。Genesisは、Peterの他、Phil 、Mike(Mike + The Mechanics名義)と、メンバー3人がソロでもNo1ヒットを記録しており、前述のBeatles(4人がNo.1)につぐ存在。

(5) 90’s
計3ケース中、2ケースがPuffy絡み(No.5、No.23)、残りがTOP3独占も含むBabyfaceら3人組(No.22)と、数こそ少ないが、まさに90’sを代表する顔触れによる達成。Babyfaceらによる6週連続の達成は、Beatlesの「I Want To Hold Your Hand」「She Loves You」と並び、1・2位独占の歴代最長記録。尚、Beatlesのは、途中で1・2位逆転があったが、こちらは順位も6週不変だった。即ちTLCは、13週連続No.1という当時の歴代最長記録を作ったBoyz II Menの下にすっぽり隠れ、6週連続2位と涙を飲んだわけ。しかし彼女らは、その悔しさをバネに(?)、その後、4曲ものNo.1ヒットを出している。

(6) 00’s
Puffyの達成から約4年のブランクを経て、いきなり今年だけで4ケース(No.6〜8、No.24)、しかも過去5ケースのみの同一アーティストでの記録が3ケースも出たってのは、やはり異常。1章でふれたばかりで詳述は割愛するが、一言だけ。Babyfaceら以来、約10年ぶりのTOP3独占プロデューサとなるIrv Gottiが、今後、90’sのBabyfaceに匹敵する存在となるか、注目したい。
なお、ベイビーフェイス関連のチャート記録については別記事「A Decade of Babyface」を参照されたい。



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