Oct-Dec, 1995

1995/10/14付 No.4 (初登場) 最高位4位、30週
Ballbreaker / AC/DC
5年ぶりの新作も前作に続いてトップ10入り。本作はAC/DCの大ファンだったというリック・ルービンのプロデュース。いつも“ワンパターン”としか言われないAC/DCの音楽性だが、このアルバムではかなりハードロック風味が抑えられて、ブルーズ〜ブギ風のシンプルなアレンジが目立つところが、いかにもリック・ルービン製作らしい。楽曲の粒も非常に揃っており、とてもいいアルバムなのだが、やっぱりちょっと抑えてしまった分不完全燃焼ではある。タイトル曲がメインストリーム・ロック・チャートで1位、「Cover You In Oil」が同チャート9位。

1995/10/14付 No.6 (初登場) 最高位6位、8週
The Gold Experience / Prince (The Artist Formerly Known As Prince)
前作を出してからの3年間、名前をシンボルマークに変え、レコード会社との対立をエスカレートさせ、オリジナルアルバムを出さずにベスト盤やアウトテイク集、そして「Black Album」を公式リリースしたり、キラキラの爽やかポップス「The Most Beautiful Girl In The World」をシングル(+ミニアルバム)のみでリリースしたり(ヒットから1年後に出た本作にも収録)、いかにも“ゴタゴタしてます”という感じだったこの頃のプリンス。ここから「I Hate U」(12位)がヒットしたがその後が続かず、アルバムとしては超短命ヒットに終わった。基本的には前作の路線とあまり変わらない。

1995/10/21付 No.1 (初登場) 最高位1位、81週
Daydream / Mariah Carey
いやになるぐらい売れまくっていた、マライア全盛期。「Fantasy」(8週1位)「One Sweet Day」(16週1位)「Always Be My Baby」(2週1位)の連続No.1ヒットの他、エアプレイチャートで「Forever」が9位まで上昇した。
全体的にアダルト・コンテンポラリー色の強い作品で、大半の曲がバラード。先行シングル「Fantasy」のイメージよりは、地味ぃなジャケのイメージに近い作品だ。しかしシングル以外も楽曲は充実しており、マライアのベストアルバムとされることが多い。

1995/10/21付 No.5 (初登場) 最高位5位、38週
Starting Over / Reba McEntire
すっかりセールス的に高度安定期に入ったリバ・マッキンタイア、前作に引き続いてこれで4作連続のトップ10入り。本作はカバー集。「On My Own」や「You Keep Me Hangin' On」といったポップス系の有名曲もあるが、多くは彼女のカントリー・シンガーとしてのルーツとなる曲。カントリーチャートでは「Ring On Her Finger, Time On Her Hands」(9位)がヒットしたぐらいで、あまりぱっとしなかったが、何と言っても恐るべきは「You Keep Me Hangin' On」をマキシ・シングルで発売し、クラブ・チャートで2位まで上昇する大ヒットになってしまったことだろう。

1995/10/28付 No.2 (初登場) 最高位2位、39週
Insomniac / Green Day
メジャーデビュー作である前作で大ブレイクしたグリーン・デイは、本作で自らブレーキをかけた。疾走感のある、いいメロディのポップな曲もあるのに、ラジオ向けに送り出す曲が尽くダウナーな歌詞の暗い曲ばかりで、これは売れすぎたことを“なかったこと”にしようと努力してるように見えた。モダンロックチャートでヒットした「Geek Stink Breath」(3位)「Brain Stew / Jaded」(3位)のイメージでこのアルバムを見てしまってはいけない。実態はもっとポップでスカッとしてる。大半の曲は1分か2分台で、15曲で34分しかない。

1995/10/28付 No.4 (初登場) 最高位3位、29週
Design Of A Decade 1986/1996 / Janet Jackson
ジャネットの初のベスト盤。売れなかった初期の2枚のアルバムは無視し、「Control」以降3作品からのチョイス。対象がたった3枚とは言え1枚のアルバムから5曲や6曲のヒットを量産していた人なので、流石にこのベスト盤もヒット曲満載。これほど大ヒット曲ばかり満載のベスト盤にもなかなかお目にかかれないだろう。ここからの新曲としては「Runaway」(3位)がヒット。
このジャケはアメリカ盤で、ヨーロッパ盤などは違うジャケが存在する。

1995/11/11付 No.1 (初登場) 最高位1位、93週
Mellon Collie And The Infinite Sadness / The Smashing Pumpkins
スマパンがすべてをやり尽くしてしまった2枚組大作。まだ彼らには“グランジ”のイメージもあったため、従来のギターばりばりの曲に代わってメランコリーでソフトな曲の比重が増した本作は戸惑いで迎えられたが、結果として彼らの代表作となり、最大のヒット作ともなった。しかしあまりに幅広く、かつ密度も濃い、質の高い作品だったため、これ以降の作品はすべて本作でやったことの焼き直しとなってしまい、それがバンド解散へとつながった。「Bullet With Butterfly Wings」(22位)「1979」(12位)「Tonight, Tonight」(36位)「Thirty-Three」(39位)がヒット、モダンロックチャートでは順に2、1、5、2位のほか、「Muzzle」(8位)「Zero」(9位)と、ヒット曲を連発した。

1995/11/11付 No.4 (初登場) 最高位4位、44週
Ozzmosis / Ozzy Osbourne
いったんは引退し、イギリスの田舎で家庭人として生活していたオジーが復活した、4年ぶりの作品。チャート順位上は彼の最大のヒット作。プロデューサーにマイケル・ベインホーンを迎えたため、それなりにヘヴィではあるが音がお行儀良すぎると、ファンの評判はあまり良くない。モダンロックチャートで「Perry Mason」(3位)「See You On The Other Side」(5位)がヒット。後者はこれ一体誰?と思うほどポップでキャッチーなさわやかロック。

1995/11/11付 No.5 (初登場) 最高位5位、104週
The Greatest Hits Collection / Alan Jackson
89年のデビューからヒット曲を量産したアラン、アルバム4枚分からのヒットを集めた豪華なベスト盤。なんと収録20曲中13曲がカントリーチャートで1位、残る7曲中5曲はトップ3ヒットという圧倒的なヒット率の高さだ。デビュー時に既に30を過ぎていたアランは癖のないオーソドックスなスタイルの正当派。どこか飄々とした“いいヤツ”っぽさを感じさせるキャラも人気の要因だろう。

1995/11/18付 No.1 (初登場) 最高位1位、32週
Dogg Food / Tha Dogg Pound
この数年で大ブレイクしたドクター・ドレ周辺から出てきた、ダット・ニガ・ダズ(ダズ・ディリンジャー)とコラプトのデュオ。何故か発売前にラップの歌詞の過激さを規制しようと働きかける団体に目を付けられ、発売中止を迫られた(そのお陰で注目されたことも、ヒットの大きな要因だろう)。ドクター・ドレはエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされるのみで、実際はダズの製作。本国のメディアでは“ドレの真似をしてるだけ”と切り捨てられることが多いが日本では『BMR』誌を筆頭に熱心なファンが多く、異様な高評価を得ている。あと一歩でトップ40入りだった(45位)「Let's Play House」は名作。

1995/11/18付 No.3 (初登場) 最高位3位、34週
Cypress Hill III (Temples Of Boom) / Cypress Hill
前作が全米No.1となったサイプレス・ヒル、続く本作は彼らの怪しげでダークな雰囲気をぐっと押し進めたシュミの世界的な作品。流石にここまでやると行き過ぎで、本作で引いてしまったファンは多いと見えて商業的には急速に下り坂となる。ぼんやりと霞がかかった向こうで鳴ってるような音は他ではなかなか聴けないという意味では面白いが、音楽的にはあまり出来の良い作品ではない。

1995/11/18付 No.8 (初登場) 最高位8位、21週
On Top Of The World / Eightball & MJG
テキサス、ヒューストンのラップ・デュオの3作目にして大ブレイク作。まだ南部発のヒットがきわめて散発的で、それをまとめて呼ぶ“南部ラップ”という言葉も存在しなかったぐらいの時期。明らかに西のG-ファンクの影響は受けているが、テンポの遅い曲ほど、後のヒューストンの定番スタイルの源流となるような独特の美学が感じられて興味深い。ゲットー・ボーイズと共に、もっとヒップホップの歴史の中で重要に扱われるべき存在。

1995/11/25付 No.1 (初登場) 最高位1位、46週
Alice In Chains
アリス・イン・チェインズの、フルアルバムとしては3作目。もう人気では文句なしにトップ・バンドに昇り詰めており、本作も初登場1位となったが、レイン・ステイリーの薬物依存が酷く、そのせいで丸3年もライヴを行わないという異常な状態の中でのリリースとなった。従来のヘヴィメタル路線と、EPで聴かせていたアコースティック路線がうまく融合した音楽的には質の高い作品だが、従来のギラギラしていたカリスマ性は感じられない。メインストリーム・ロック・チャートで「Grind」(7位)「Again」(8位)「Heaven Beside You」(3位)「Over Now」(4位)がヒット。

1995/11/25付 No.6 (初登場) 最高位6位、34週
Something To Remember / Madonna
マドンナのバラード曲ばかりを集めた、変則的なベスト盤。とは言え前に出たベスト「The Immaculate Collection」との重複は2曲しかないので、実質的にはベストVol.2とも言える。マッシヴ・アタックを迎えてマーヴィン・ゲイの難曲「I Want You」をカバーした新録曲などでとんがったところも見せるが、全体的には非常にマイルドで穏やかな、マドンナの“もう一つの顔”の集大成となっている。

1995/11/25付 No.9 (初登場) 最高位9位、24週
Liquid Swords / Genius/GZA
ウータン・クランから4人目のソロデビュー。Genius、GZAというのは共にこの人の別名で、同一人物を指す(GZAはジザと読む)。他にソロで活動しているメンバーと比べるとやや華のない地味キャラで、それ故かヒット曲は生まれていないが、このアルバムの評価は非常に高い。特にそのライムの巧みさが評価のポイントなので、日本人にはちょっと厳しいのだが。ほぼ全曲をRZAがプロデュースする他ウータンのメンバーたちも控えめにゲスト出演してサポートする。

1995/12/2付 No.1 (初登場) 最高位1位、68週
R.Kelly
R.ケリーの3作目。この頃はセリーヌ・ディオンやマイケル・ジャクソンにクリーンな美メロバラードを曲提供していたこともあり、ほとんどがスローな曲。アップテンポの曲も前作までのようなパーティ調は控えめで、彼にしてはかなり地味な印象の作品。しかし1曲目とラストが自己陶酔型のゴスペル風作品だったり、憧れのロナルド&アーニー・アイズレーと共演を果たしたりと、彼らしさは随所に伺える。「You Remind Me Of Something」「Down Low (Nobody Has To Know)」「I Can't Sleep Baby (If I)」と3曲連続でR&Bチャート首位を獲得。ポップチャートでは順に4、4、5位。

1995/12/2付 No.3 (初登場) 最高位1位、49週
Waiting To Exhale / Soundtrack
ベイビーフェイスが全体の指揮をとり、全曲新曲で曲毎に異なる女性シンガーを迎えた豪華なサントラ。その中で、アレサやパティ・ラベルといった大先輩を差し置いて一人で複数曲を歌っているのが、この頃いちばん大物として風格があったホイットニー。彼女の「Exhale (Shoop Shoop)」(1位)「Why Does It Hurt So Bad」(26位)「Count On Me」(8位、シーシー・ワイナンスとのデュエット)がいずれもシングルヒットしたほか、ブランディの「Sittin' Up In My Room」(2位)、メアリーJブライジの「Not Gon' Cry」(2位)、トニ・ブラクストンの「Let It Flow」(「You're Makin' Me High」との両面ヒットとして1位)がヒットした。

1995/12/2付 No.6 (初登場) 最高位6位、41週
Your Little Secret / Melissa Etheridge
モダンロックには女性もたくさんいるが、メインストリーム・ロックの女性ミュージシャンは少ない。あまりスター性のないこの人がこれだけ売れたのは、その貴重なポジションにすっぽりはまることができたからだろう。アメリカを感じさせる、ラフな、時に過剰なほどドラマチックなアレンジを施された分かりやすくも愛すべき楽曲群。しかし皮肉ながらチャート的に最大のヒットである本作は彼女にとってもっとも評価の低い作品のひとつでもある。「I Want To Come Over」(22位)「Nowhere To Go」(40位)がヒット。ジャケは二重になってて、銀色の鍵穴のページをめくると、それを覗いてたメリサの姿が現れる。

1995/12/2付 No.9 (初登場) 最高位9位、19週
Stripped / The Rolling Stones
ここでいう“ストリップド”は、余計な装飾をしない裸の状態。発想としては、この数年流行っているMTVのアンプラグドと同じだ。スタジアムライヴが当たり前の彼らが原点に帰って小さなクラブでライヴ録りしたもの。割と誰もが選びそうな代表曲を外したちょっとファン向けの選曲で、『Beggar's Banquet』『Let It Bleed』『Sticky Fingers』の頃の曲が多いのは嬉しい。ディランの「Like A Rolling Stone」のオリジナルに忠実なカバーが一応目玉か。

1995/12/2付 No.10 (10週目でTop10入り) 最高位3位、18週
Christmas In The Aire / Mannheim Steamroller
日本から見てるとまったく正体がわからないけど、毎年クリスマスシーズンになるとやけにアルバムが売れまくる人たちの、新作クリスマスアルバムで初のトップ10入り。その実態はオハイオ州出身のチップ・デイヴィスのワンマン・プロジェクトで、70年代にアメリカン・グラモフォンという自分のレーベルを立ち上げて活動してきたニューエイジの草分け。このアルバムはお馴染みの定番クリスマスソングとオリジナル曲が半々ぐらいの作品。季節限定商品なので長期チャートインは難しいが、発売以来毎年シーズンにはクリスマスチャートにリエントリーしている。

1995/12/9付 No.1 (初登場) 最高位1位、29週
The Anthology 1 / The Beatles
以後第3週まで続くアンソロジーシリーズの第1弾。デビュー前からデビュー直後ぐらいまでのレア音源、未発表音源などを集めたもので、一般に言う“アンソロジー”とはちょっと違う代物。インタビューでの発言なども含めて60曲も収録されたコレクションは、熱心なファンにとってはかけがえのない“資料”だろうが、一般人が聴いて楽しむようなものではない。未発表曲だった「Free As A Bird」がシングルカットされ、ヒットした(6位)。

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