Nov-Dec, 1993

1993/11/20付 No.2 (初登場) 最高位2位、38週
Duets / Frank Sinatra
これは、衝撃的だった。20世紀を代表するエンターテイナーのフランク・シナトラ。最後にオリジナルアルバムを出したのは84年。トップ10入りは、黄金時代の末期1966年以来、なんと27年ぶりだ。そして、この時点で御年78。そんな彼が、ポップ/ロック界の面々とデュエットで自分の代表曲をセルフカバーという企画モノ。トリビュート盤が流行っていたこともあり、その一形態としての企画勝ちで大ヒットしたが、内容的には評判は悪く、真面目なシナトラ・ファンからは最悪のシナトラ作品とも言われている。参加したのはボノ、アレサ・フランクリン、バーブラ・ストライザンド、グロリア・エステファン、ルーサー・ヴァンドロス、トニー・ベネットなど。シナトラと各面々は直接スタジオでは一緒にならず別録りだった模様。

1993/11/20付 No.10 (17週目でTop10入り) 最高位1位、96週
Toni Braxton
当時商業的な絶頂に登り詰めようとしていたベイビーフェイスが送り出した秘蔵のシンガー、メリーランド州出身のトニ・ブラクストンのデビュー作。この頃はまだルックスも歌声も中性っぽく、なんとなく少年のようでもあった。既に「Boomerang」サントラからヒットしていた「Love Shoulda Brought You Home」(33位)に加え、「Another Sad Love Song」(7位)「Breathe Again」(3位)「You Mean The World To Me」(7位)「I Belong To You / How Many Ways」(28位、両面ヒット)と、長期間に渡ってヒットを量産した。94年春のグラミーで新人賞を受賞するとセールスにも勢いがつき、そのタイミングで1位になった。

1993/11/27付 No.8 (初登場) 最高位8位、29週
Midnight Marauders / A Tribe Called Quest
当時全盛のギャングスタ・ラップとは対極にある、洗練されたヒップホップ。NY、クイーンズ出身の3人組の3作目で、初のトップ10入り。ジャズ寄りの音作りの前2作、R&B寄りになるこれ以降の作品のちょうど真ん中に位置し、バランスの取れた音作りなので、一般リスナーの間では人気が高い。コアなATCQファンはだいたい初期2作を推すだろうから、本作は完成度は高いがスリリングな面白みに欠けると評するかもしれないけど。

1993/11/27付 No.9 (初登場) 最高位6位、66週
So Far So Good / Bryan Adams
ブライアン・アダムスの初めてのベスト盤。これで5作連続のトップ10入り。しかしこの10年でかなりのシングルヒットを出してきた人だけにヒット満載だが、逆に言うとちょっと洩れも多く、「One Night Love Affair」「There Will Never Be Another Tonight」あたりのいい曲が洩れているのは残念。このベスト盤がキャリアの区切りにもなってしまい、以後アメリカではヒットらしいヒットは出ていない。クラブ系の音にアプローチしたりして、むしろイギリスで人気を高めている。

1993/12/4付 No.3 (初登場) 最高位3位、45週
The One Thing / Michael Bolton
連続1位こそ逃したものの、これで4作連続のトップ3入り。シンガーとしてだけでなく、ソングライターとしても評価を確立していた時期で、デヴィッド・フォスター、ウォルター・アファナシエフ、ダイアン・ウォーレン、ロバート・ジョン・マット・ランジといったオールスター・キャストの製作陣を迎えて豪華コラボレーションを繰り広げる。しかし「Said I Love You... But I Lied」(6位)「Completely」(32位)と、ヒット曲はあまり生まれず、商業的な下り坂を予感させた。

1993/12/4付 No.8 (初登場) 最高位6位、52週
Greatest Hits / Tom Petty & The Heartbreakers
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの初のベスト盤。89年のトムのソロ以降、彼らは第二のピークと言ってもいいぐらい安定してヒットを量産している。アメリカで約1000万枚を売っているこのベスト盤、新曲として「Mary Jane's Last Dance」(14位)がヒット。「Change Of Heart」や「Jammin' Me」といった中ヒットが洩れているが、まあ、代表曲はだいたい網羅している。これで物足りない場合は2000年に出た2枚組ベストか、95年の6枚組ボックス(ボリュームの割には安い)を。

1993/12/11付 No.1 (初登場) 最高位1位、72週
Doggy Style / Snoop Doggy Dogg
新人のデビュー作が80万枚超のビッグセールスで初登場1位。しかも、当時彼には殺人(幇助)の嫌疑がかけられていた... という超話題作。ドクター・ドレ「The Chronic」に全面的にフィーチャーされたお陰で、ラップ・ファンの間ではデビュー前にしてよく知られていたロングビーチ出身のスヌープ。ドレの作品をよりしなやかにファンキーにしたような本作で天才ラッパーとして名を轟かせた。ライムからトラックまで全ての完成度が高い、西海岸ヒップホップの金字塔であり、米国黒人音楽史に残る最高傑作のひとつ。「What's My Name ?」(8位)「Gin & Juice」(8位)がヒット。

1993/12/11付 No.4 (初登場) 最高位4位、22週
The Spaghetti Incident ? / Guns N' Roses
デビュー作から2作目までの間を空け過ぎてしまった反省からか、とりあえず場つなぎっぽい感じで出された企画モノ。全曲カバー集で、一般的には無名なパンク・バンドの曲が多い。前作で大作主義に走ったため、その軌道修正で“ルーツに戻る”ことを試みたのだとも言われるが、王道ハードロックバンドとしての方向性を見せたところだったので、本作は戸惑いをもって迎えられた。
以後、バンドは何度も再始動の噂だけは浮上しながらも実質的に活動停止状態に陥る。2002年に大規模な全米ツアーをアナウンスし、再始動しかけるが、結局ツアーは中止となった。

1993/12/11付 No.5 (2週目でトップ10入り) 最高位5位、23週
The Beavis & Butt-Head Experience / Soundtrack
MTVで人気を博したアニメ番組から派生したアルバム。ビーヴァスとバットヘッドというアホな2人のガキが、ビデオクリップに好き勝手なコメント(いちゃもん)をつける(+通常のマンガ)という番組で、このアルバムでも曲と、彼らのコメントが交互に登場する。ニルヴァーナ、メガデス、ホワイト・ゾンビといったハードなロック系、ランDMC、サー・ミクサロットなどロックっぽいヒップホップが中心。

1993/12/25付 No.5 (初登場) 最高位5位、48週
Lethal Injection / Ice Cube
ほぼ年1枚のペースで、これが4作目となるアイス・キューブ、3作連続のトップ5入り。急進的な社会的主張の強かった初期作品に比べるとかなり丸くなり、淡々とストリートの日常を描いたりするようになっている。サウンド的にもこれまでの成功例を踏まえ、ヒットシングルを出す定石通りに「You Know How We Do It」(30位)「Bop Gun (One Nation)」(23位)のヒットを生んでいる。それ故に刺激のない、平凡なアルバムと評されてしまうのも仕方ないだろう。彼はこの後突然ラッパーとしての活動から遠ざかり、映画界で大成功を収める。

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