Aug-Nov, 1993

1993/8/14付 No.10 (初登場) 最高位10位、89週
Siamese Dream / Smashing Pumpkins
スマッシング・パンプキンズの2作目、本作でブレイク。シカゴ出身のビリー・コーガン率いる4人組。ギターを前面に出したハードな音を出すため、この頃流行っていたグランジの括りに入れられることもあったが、本質はむしろ80年代のニューウェーブなどに近いバンド。HOT100ヒットはないが「Cherub Rock」「Today」「Disarm」(モダン・ロック・チャートで順に7、4、8位)などの代表曲を含み、彼らのベスト作だと推すファンも多い。メランコリックなヘヴィロック。

1993/8/21付 No.10 (5週目でTop10入り) 最高位3位、44週
Blind Melon
シャノン・フーンを中心とするロックバンドのデビュー作。各メンバーの出身はバラバラで、一旦はLAを拠点にするが、都会に馴染めずすぐにノースキャロライナに移っている。ガンズ&ローゼズのアクセル・ローズに気に入られたことで注目を集めた。基本はフィッシュなんかと同じ種類のジャム・バンドだが、ややサウンドやボーカルにハードロックっぽさがあ る。「No Rain」(20位)がヒット。フーンは次作「Soup」(28位)リリース直後の95年10月、ドラッグの過剰摂取で亡くなる。

1993/8/28付 No.1 (初登場) 最高位1位、56週
River Of Dreams / Billy Joel
ビリー・ジョエルの4年ぶりのアルバムは前作同様1位となり、人気の高さを見せつけた。これで1位は通算4作目、トップ10入りは10作目。前作がロック寄りだったのが、今回はポップス系が増えて音の幅が広がり、ドゥーワップ調の「River Of Dreams」(3位)が先行シングルとしてヒットした。他に「All About Soul」(29位)がヒット。これが、彼にとって最後の(ポピュラーミュージックの)オリジナルアルバムとなる。タイプの違う曲を10曲集めて簡潔にまとめたあたり、もしかすると彼自身がラスト作と意識していたのかもしれない。

1993/9/4付 No.7 (初登場) 最高位7位、16週
The World Is Yours / Scarface
ゲットー・ボーイズの一員、スカーフェイスの2作目のソロで、初のトップ10入り。ヒューストンのラップ界の重鎮として君臨する彼も、この頃は(一部メディアなどはこの頃から彼のリリシストとしてのセンスに着目していたが)南部以外ではまったく評価されず、有象無象の怪しげな田舎ラッパーの一人として片付けられてしまっていた。もちろん、それでこの順位ということは、南部では圧倒的な支持を得ていたことを意味する。ヒット曲はないが代表作のひとつ「Now I Feel Ya」を含む。

1993/9/18付 No.1 (初登場) 最高位1位、76週
In Pieces / Garth Brooks
絶好調のガース・ブルックス、前作から1年経たないうちに出てきた新作で、またも1位、800万枚の大ヒット。この時期のガースは、ハタから見ていると、いやになるぐらいの圧倒的な存在感と強さがあった。「American Honky-Tonk Bar Association」「Ain't Going Down (Til The Sun Comes Up)」がカントリーチャートで1位。しかし本作はポップ寄りになりすぎたとの評判で、作品の人気はあまり芳しくない。

1993/9/18付 No.2 (初登場) 最高位1位、128週
Music Box / Mariah Carey
マライアの3作目。アメリカでのセールスでは本作が1000万枚で、彼女の最大のヒット。「Hero」(1位)は、アメリカでは特に彼女のキャリアを代表する曲として人気が高い。バラード主体の作りで、マラキャ自身も作品を重ねて落ち着きが出てきたところだったので、名実共のアダルト・コンテンポラリーの王道作品となった。
他に「Dreamlover」(1位)「Without You / Never Forget You」(3位、両面ヒット、Without〜はニルソンの名曲のカバー)、「Anytime You Need A Friend」(12位)がヒット。

1993/9/25付 No.7 (初登場) 最高位7位、24週
Human Wheels / John Mellencamp
名前から“クーガー”を取ってジョン・メレンキャンプと本名に戻してからの2作目で、通算6枚目のトップ10入り。彼のアルバムとしては珍しく、本作からトップ40ヒットは生まれていない。アルバム・ロック・チャートでは「What If I Came Knocking」(1位)「Human Wheels」(2位)がヒット。非常にシンプルでストレートな曲の多い、素朴なアルバム。これでもトップ10ヒットになってしまうのは、安定した品質の作品を出し続けてきた彼のアーティストパワーによるものだろう。

1993/9/25付 No.9 (2週目でトップ10入り) 最高位9位、47週
Barney's Favorites - Volume 1 / Barney
日本から見てるとまったく謎だった本作は、実は子供向けテレビ番組「Barney & Friends」発の企画モノ。ジャケに写ってる紫の恐竜が“バーニー”君で、彼と一緒に歌おう!という子供向けの作品。CD屋よりもおもちゃ屋でよく売れたため、サウンドスキャンにカウントされていないセールスがかなり大きいと言われる。中身はいわゆる童謡。日本でもお馴染みの曲も多い。歌ってるのは子供たちがメインで、何かちょっと声の低い奴が混じってるぞ?というのがバーニー。

1993/10/2付 No.3 (初登場) 最高位5位、23週
Bat Out Of Hell II : Back Into Hell / Meat Loaf
ミートローフの「Bat Out Of Hell」は最高位こそ14位だが、ずっとロック・クラシックとして売れ続け、1500万近い累計セールスを誇る。アメリカではその「Bat〜」以外にまともなヒットのない一発屋という印象だったミートローフが、16年ぶりに挑んだ続編で再びソングライターのジム・スタインマンと組み、なんと初のNo.1ヒット(アルバム、シングルとも)を獲得。この年の音楽界の大事件として大いに騒がれた。「I'd Do Anything For Love (But I Won't Do That)」(1位)「Rock And Roll Dreams Come Through」(13位)「Objects In The Rear View Mirror May Appear Closer Than They Are」(39位)と、相変わらずタイトルがやけに長い。執筆時点でアメリカでは廃盤の模様。

1993/10/9付 No.1 (初登場) 最高位1位、87週
In Utero / Nirvana
前作で衝撃的にシーンに登場したニルヴァーナのメジャー2作目にして、ラストアルバム。このアルバムが出た半年後の94年4月にフロントマンのカート・コバーンが自殺し、バンドは永遠の伝説となる。かなり陰鬱な詞で、全体のトーンも暗いが、楽曲の出来の良さは高く評価される。「Heart-Shaped Box」、「All Apologies」がモダンロックチャートで1位。当初はこの詞の世界も評価されたが、結局その世界を突き進んで自殺してしまったのではシャレになってない、と、一歩距離を置いて評価されるようになっている。

1993/10/16付 No.5 (初登場) 最高位5位、53週
Easy Come, Easy Go / George Strait
前作で初めてトップ10入りを果たしたジョージ・ストレイトだが、この連続トップ10入りで早くも「出せば必ずトップ10」の余裕モードに突入。先行シングル「Easy Come, Easy Go」がカントリーチャートで1位になるのはいつものことだが、これで初のHOT100入りを果たした。前作は映画とセットでメインストリーム進出を計った作品だったが、ここではぐっと気を引き締めてルーツに戻っているのが好感され、非常に人気・評価の高い作品。かなりメロディのはっきりした、歌本位の曲が多い。

1993/10/16付 No.8 (初登場) 最高位5位、94週
Greatest Hits Volume 2 / Reba McEntire
この年1月の前作で初めてトップ10入りを果たしたばかりのリバ・マッケンタイア、ベスト盤第2集。最初のベスト盤は87年に出して、最高位は139位ながら長く売れ続けて累計300万を越えるセールス。本作も500万枚を売って彼女の最大のヒットとなっている。10 曲中5曲がカントリーチャート1位だが、このベスト盤が対象としている期間だけでも彼女は10曲の1位を出しているのでその半分しか収録されていないことになり、ボリューム的にかなり物足りない。

1993/10/16付 No.10 (初登場) 最高位10位、18週
187 He Wrote / Spice 1
スパイス1がトップ10ヒット。この感覚は、当時のウエストコースト・ラップを追いかけてないとわかりにくいだろう。ラップの歴史を繙いてもあまり名前が出てくることがないこの男はテキサス生まれ、オークランド育ちのラッパー。ベイエリア発のギャングスタ・ラップの勢いに乗って、この2作目でブレイク。以後本作ほどではないがそこそこのヒットをしばらく維持する。タイトルの「187」は殺人を意味するように、全体に殺伐としたギャングスタ物だが、西物に特有の哀愁も感じられる。

1993/10/23付 No.9 (初登場) 最高位9位、26週
Retro Active / Def Leppard
毎度毎度アルバムを出すのに4年かかるデフ・レパードだが、今回は前作から1年半で登場。と言ってもこれは新作ではなく、未発表曲や別バージョンを集めた、ファン向けのコンピレーション。これでもトップ10入りしてしまうのは流石。「Two Steps Behind」(12位:これは実際には「Last Action Hero」サントラが初出)「Miss You In A Heartbeat」(39位)と、しっかり2曲ヒットを出した。ファンの間ではわりといい曲が集まってると、ちゃんと評価されてる作品。

1993/10/30付 No.10 (初登場) 最高位3位、55週
Commonn Threads : The Songs Of The Eagles / Various Artists
色んなアーティストが集まって、みんなである偉大な先輩バンドのカバーを演奏し、1枚のアルバムにする。そんな、“トリビュート盤”がこの頃やたらと流行った。本作が大ヒットしたのが、ブームに弾みをつけたとも言えるだろう。カントリー系のアーティスト達によるイーグルスのトリビュート。参加メンバーは豪華だし、聴いていて心地いいが、特に凄いものでもない。この頃はまだこういう企画が珍しかったのと、“イーグルス”という圧倒的なブランド力の勝利だろう。

1993/11/6付 No.1 (初登場) 最高位1位、67週
Vs. / Pearl Jam
前作でニュー・アメリカン・ヒーローの座に就いたパール・ジャムの2作目。初登場週だけで95万枚を売り、この時点での初登場週の最多売上げ記録を作った。プロデューサーにブレンダン・オブライエンを迎え、前作の内に籠った音がぐっと整理された。内容的にも彼らのベスト作に挙げる人は多い。HOT100ではヒットはないがアルバム・ロック・チャートでは「Daughter」(8週1位)「Go」(3位)「Dissident」(3位)などがヒット。なおアルバムタイトルだが、ジャケやアートワークのどこにも「Vs」とは記載されていない。

1993/11/6付 No.2 (初登場) 最高位2位、26週
Counterparts / Rush
実際には彼らの商業的な全盛期は80年代前半だが、チャート上では最大のヒット作となるのが本作。通算8作目のトップ10入り。アルバム・ロック・チャートで「Stick It Out」(1位)「Cold Fire」(2位)などがヒット。オープニングの「Animate」はファンに人気の高い曲。ここ数作に比べるとギターを前面に出したハードなサウンドになったため、当時全盛のグランジを意識していると言われたりもした。何となくいまいちそそらないジャケではある。

1993/11/6付 No.5 (初登場) 最高位5位、38週
It's On (Dr.Dre) 187um Killa / Eazy-E
こんなデタラメなのがトップ5ヒットになるんだから、いかに当時NWAを筆頭とするギャングスタ・ラップの人気が高かったかということだ。7曲入りのミニアルバムで、タイトルは活字にしてしまうとわからないが実際のジャケでは(NWA解散後は激しく敵対した)Dr.Dreに大きくバツがつけられている。イージーEはチンピラ然とした佇まいがいかにもギャングスタっぽくてキャラ人気が高いが、ラッパーとしては全然ダメ。ここから「Real Muthaphuckkin' G's」が42位まで上昇。当時ビルボード誌のコラムで「綴りを変えているとは言え、マザーファッキンなんてタイトルにつけた曲がこんなに売れるとは実に嘆かわしい」などと書かれてしまっていた。

1993/11/13付 No.4(初登場) 最高位4位、33週
Get In Where You Fit In / Too $hort
オークランドのピンプ・ラッパー、トゥ・ショートが前作に続いてトップ10入り。臆面もなくP-ファンク系の大ネタを使ったファンクが全開。トゥ・ショートのラップはいつもと同じネタでいつもと同じ調子だが、サウンド・プロダクションが非常にタイトでグルーヴ感があり、彼のベスト作品との声もある。これはヒップホップと言うよりはファンクと呼んでいい作品だ。いかにもピンプ然としたジャケもいい。

<Previous ▲Index >Next