Oct-Dec, 1992

1992/10/10付 No.10 (初登場) 最高位10位、23週
III Sides To Every Story / Extreme
ハードロックバンドのエクストリームが前作に続いてトップ10入り。ただこれは前作の余勢であり、前作のようにヒット曲が生まれたわけでもなく、ロングセラーになったわけでもない(アルバム・ロック・チャートでは「Rest In Peace」が1位)。タイトル通りの“三面性”をテーマにしたコンセプトアルバムで、全体も三部構成になっている。
この後95年に出したアルバムが最後となり、ボーカルのゲイリー・シャローンがヴァン・ヘイレンに引き抜かれてバンドは空中分解する(が、ゲイリーもヴァン・ヘイレンをアルバム1枚だけで速攻で脱退)。

1992/10/17付 No.2 (初登場) 最高位2位、53週
Us / Peter Gabriel
通受けアーティストの代表格のような、仙人みたいな人だったのが前作「So」の大ヒットで一気にメインストリームへ。以後実に6年という長い沈黙があったものの、まだみんなちゃんと覚えてて、特に大きなシングルヒットも伴わずに(「Steam」(32位)のみ)アルバムは大ヒット。ただ、“衝撃”で迎えられた前作に比べるとインパクトは小さく、従来路線の焼き直しと捉えられてしまった感が強い。

1992/10/17付 No.5 (初登場) 最高位1位、47週
Timeless (The Classics) / Michael Bolton
これまでもアルバムに1曲は古いソウル・ナンバーのカバーを入れてきたマイケル・ボルトンが取り組むべくして取り組んだ全曲カバー集。流石に選曲の多くは60年代ソウルだけど、ビートルズやビージーズも。更にはアルバム発売時期を見越して最後は「White Christmas」で締める。“評論家に何を言われても気にしない。何が流行ってるかも気にしない”と、ある意味達観した彼が好きなように歌いまくり、ごく一般の主婦が目をハートにして熱く彼を見守る。確かにここに“批評”の入り込む隙はない。「To Love Somebody」(11位)がヒット。

1992/10/17付 No.6 (初登場) 最高位6位、102週
Dirt / Alice In Chains
ハードロック〜ヘヴィメタルが急激に求心力を失い、グランジの登場を経て、ヘヴィロック時代の幕が開けたことを告げた歴史的名作。シアトルのアリス・イン・チェインズの2作目。重く沈んだ、うねりをもった激しいサウンド、レイン・ステイリーの呪術的なボーカル、病的に暗い詞の世界、どれもが革新的だった。ブラック・サバスが現役時代は“コケ脅し”と批評家から過小評価されていたのと同様、彼らも評論家受けは良くない。ヒット曲は生まれていないが「Them Bones」「Rooster」「Dirt」などの代表曲を含む。

1992/10/24付 No.2 (初登場) 最高位2位、75週
Automatic For The People / R.E.M.
初のNo.1ヒットとなった前作並のセールス(400万枚)を維持した絶頂期の作品。しかし先行シングル「Drive」(28位)をはじめ、ぐっとテンポを落とした渋い曲が増えて、地味な印象を与える内省的な作品。歌詞も政治的なテーマや“死”を題材にした曲なんかが遠慮なく出てくる。まあ、これこそがR.E.M.らしい作品だとも言える。他のシングル曲「Everybody Hurts」(29位)「Man On The Moon」(30位)はいずれもファンに人気の高い曲。

1992/10/31付 No.5 (初登場) 最高位5位、34週
Symbol / Prince & The New Power Generation
後に自分の名前にしてしまう読み方不明のシンボルマークをタイトルにした作品。「My Name Is Prince」(36位)「7」(7位)がヒット。ジャジーな先行シングル「Sexy MF」は流石に歌詞でモロに“Mother Fucker”と言ってるのでラジオでかからず、トップ40入りしていない。ファンクからポップな曲、美メロバラード(「Damn U」は絶品)までバラエティに富んだ作りだが、前作の延長線上という印象がある。
「Lovesexy」を除くとこれまで9作連続でトップ10入りしてきた彼だが、本作を最後に3年ほどトップ10から遠ざかる。

1992/11/7付 No.2 (初登場) 最高位2位、53週
Erotica / Madonna
マドンナ最大の問題作。ビジュアル面でもどんどん露出度が高くなり、ヌード写真集を出したり、エロ映画やSMっぽいビデオクリップを作ったり、表現上もどんどん露骨なエロに走っていった時期。「Erotica」(3位)を筆頭に、無機質なクラブ・サウンドに乗せてマドンナがささやくように軽く歌う曲が多いが、従来の彼女のイメージに近いベタなクラブ・チューン「Deeper And Deeper」(7位)、新機軸のオシャレで爽やかな「Rain」(14位)、「Bad Girl」(36位)といったシングル曲は流石の出来。

1992/11/7付 No.9 (6週目でトップ10入り) 最高位6位、129週
Pure Country / George Strait/Soundtrack
80年代初頭からカントリーチャートではヒットを連発してきた“スト様”ことジョージ・ストレイトが初のトップ10入り。500万枚を売って彼の最大のヒットとなっている。80年代にもベスト盤を300万枚売るなど、充分に売れてきた人ではあるが、その黄金時代は90年代で、以後出すアルバムを尽くトップ10に入れるようになる。
これは彼自身が主演する映画のサントラで、スーパースターの彼が派手な演出や大げさなサウンドに次第に辟易し、故郷に帰って音楽的にもルーツに戻る、といういかにもカントリーなお話。

1992/11/21付 No.3 (初登場) 最高位3位、103週
Love Deluxe / Sade
シャーデーの4年半ぶりとなる4作目。ここまで4作すべてがトップ10入りし、各々300万枚以上を売っている。これまでの作品よりもぐっと音が整理されてボーカルや各楽器の音がむき出しになった分、サウンドは控えめながらもナマの妙な迫力が生まれた。ブロンズ像のようなシンプルで美しいジャケも含め、彼らのベスト作との声もある。アメリカでの唯一のヒット「No Ordinary Love」(28位)はかなり地味だが、きらめくように美しい「Kiss Of Life」が日本のFMなどで大ヒットした。

1992/11/21付 No.5 (初登場) 最高位5位、46週
Keep The Faith / Bon Jovi
ボンジョヴィの5作目は、間にジョンのソロ作があったとは言え前作「New Jersey」から4年ぶり。「Keep The Faith」(29位)「Bed Of Roses」(10位)、名曲「In These Arms」(27位)と、シングルの成績がこれまでより格段に落ちていることからアメリカではやや“落ち目感”が漂い始めたが、楽曲の質は決して落ちておらず、実はこのあたりから逆にイギリスでの人気・評価が高まり、ヒット曲を連発するようになる。「Dry County」は10分近くに及ぶ大作。

1992/12/5付 No.1 (初登場) 最高位1位、52週
The Predator / Ice Cube
アイス・キューブ、ソロ3作目にして初のNo.1。相変わらずのぴしゃっとハネるようなファンク・ビート主体の攻撃的な音で、歌詞も(91年3月の)“LA暴動後”の完全な戦闘体制。しかし彼にとって初めてのシングルヒットとなるメロウな「It Was A Good Day」(15位)でこれまでと違う和らいだ表情を見せ、これが後に“役者・アイス・キューブ”のイメージとなる。他に時代の徒花ダス・エフェックスをフィーチャーした「Check Yo Self」(20位)がヒット。

1992/12/5付 No.2 (初登場) 最高位1位、141週
The Bodyguard / Soundtrack
ホイットニー・ヒューストン&ケヴィン・コスナー主演映画のサントラ。20週1位、年末のピーク時には1週間で100万枚以上を売り、累計セールス1600万枚に達する特大ヒット。実はサントラは12曲中ホイットニーの曲は半分の6曲だけなのだが、実質的には彼女の4枚目のソロアルバムと見なされている。何と言っても「I Will Always Love You」(13週1位)の超大ヒットが鮮烈だったが、「I'm Every Woman」(4位)「I Have Nothing」(4位)「Run To You」(31位)、更にはソウル・システムの「It's Gonna Be A Lovely Day」(34位)と5曲もヒットが生まれたのはこの時期のアルバムとしては珍しい。これまでも充分に売れていたが、本作が決定打となり、ホイットニーは他のR&Bシンガー達とは別次元の大物に登り詰めた。

1992/12/5付 No.9 (初登場) 最高位2位、214週
Breathless / Kenny G
アルト・サックス奏者ケニーGにとって3作目のトップ10入り。「Bodyguard」の強さに阻まれて11週間もの間2位に泣いたが、1200万枚のセールスという、彼にとって最大のヒット作。名曲・名演「Forever In Love」(18位)、ピーボ・ブライソンを迎えた「By The Time This Night Is Over」(25位)をはじめ、AOR風のアーバンな楽曲群は確かに充実しているが、これほど売れてしまったのはマイケル・ボルトンやホイットニーといった人達が爆発的に売れていた時代の空気の成せる技だろう。

1992/12/12付 No.6 (8週目でTop10入り) 最高位2位、14週
Home For Christmas / Amy Grant
コンテンポラリー・クリスチャンのトップ・アーティストとなったエイミー・グラントの2枚目のクリスマスアルバムで、2位というチャート順位は彼女にとってのベスト成績。毎年シーズンになると売れ続ける名作として評判の作品。半分強はスタンダード、残りがオリジナル曲で特に「Breath Of Heaven」は評判が高い。各曲のアレンジはオーケストラを使ったものからアコースティックな曲まで多彩。

1992/12/12付 No.9 (5週目でTop10入り) 最高位7位、11週
A Very Special Christmas 2 / Various Artists
87年の発売以来ベストセラーになっていた「A Very Special Christmas」(20位)の続編で、シリーズ中唯一のトップ10入り。トム・ペティ、ルーサー・ヴァンドロス、ボーイズIIメン、ボンジョヴィ、マイケル・ボルトン、ウィルソン・フィリップスといった人たちがこのアルバムでしか聴けないクリスマスソングを提供したオムニバス(チャリティ目的)。ジャジーなヴァネッサ・ウィリアムスの「What Child Is This ?」が評判がいい。

1992/12/19付 No.8 (9週目でTop10入り) 最高位8位、15週
The Christmas Album / Neil Diamond
ニール・ダイアモンドの10年ぶりのトップ10入りがスタンダード・ソング主体のクリスマスアルバムとは、本人もびっくりだったろう。スタンダードソングをありふれたアレンジでやるのではなく、ドゥーワップやロック風、カントリー風などに味付けしているが、逆にそれがファンの間では評判があまり良くないようだ。しかし、25年を越える彼のキャリア中で初めてのクリスマスアルバムが売れたことに気を良くした彼は2年後には本作の「Vol.2」をリリースしている(売れていないが、むしろこちらのほうが評判はいい)。

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