Jun-Oct, 1992

1992/6/20付 No.4 (初登場) 最高位4位、33週
Shadows And Light / Wilson Phillips
著名ミュージシャンを親にもつサラブレッドたちとして登場し、デビュー作を大ヒットさせたウィルソン・フィリップスの2作目。しかし全米No.1ヒットを連発した前作と比べると「You Won't See Me Cry」(20位)「Give It Up」(30位)とシングルの成績が思わしくないように、楽曲の質は前作に及ばないか。洗練されたコーラス・ワークは見事なものだが、この後クリスマス・アルバムを出し、チャイナとウィルソン姉妹の不仲からグループ解散へと至る。チャイナはソロで、カーニーはTVで活躍。

1992/6/20付 No.8 (初登場) 最高位3位、57週
MTV Unplugged EP / Mariah Carey
一大ブームとなり、MTVの看板番組となる「Unplugged」からの、初の大ヒット作品。マライアにとっても“ナマでもこれだけ歌える”ことをアピールする、重要な作品となった。「Visions Of Love」「Emotions」などのこれまでの大ヒット曲がアコースティック・バージョンのライヴで歌われる。ジャクソン5のカバー「I'll Be There」(1位)がヒット。

1992/7/4付 No.10 (初登場) 最高位10位、19週
Angel Dust / Faith No More
サンフランシスコで80年代前半に結成された、ファンクやヒップホップから影響を受けたハードロック・バンド。これの前作「The Real Thing」(90年最高位11位)から「Epic」というヒット曲が生まれてブレイク、その勢いで本作も売れたが、本作からはシングルヒットも生まれず(「Midlife Crises」がモダンロック・チャートでは1位)、アルバムも短命ヒットに終わった。ボーカルのマイク・パットンは別バンド、ミスター・バングルでも活動。

1992/7/18付 No.8 (初登場) 最高位4位、54週
Boomerang / Soundtrack
ベイビーフェイスの全盛期を象徴するようなサントラ。ここで初お披露目となるトニ・ブラクストンをフィーチャーしたベイビーフェイスの「Give U My Heart」(29位)、トニの「Love Shoulda Brought You Home」(33位)、ボーイズIIメンの超特大ヒット「End Of The Road」(13週1位)、アルバム中浮いてるP.M.ドーン「I'd Die Without You」(3位)がヒット。アルバム中3分の1ぐらいはベイビーフェイスが関与してないので、やや中途半端な作りではあるが、非シングル曲も含めて充実した、この時期のベイビーフェイスのベスト盤とも言える内容。
映画はエディ・マーフィー主演。ハル・ベリーの初期の代表作でもある。

1992/8/1付 No.2 (初登場) 最高位2位、58週
Countdown To Extinction / Megadeth
初期メタリカのメンバーだったデイヴ・ムステインを中心とするLAのバンドの4作目で、初のトップ10入り。80年代に登場したメタル勢としては珍しく21世紀まで生き残ったバンドで、コアなファンが非常に多い。本作は商業的には彼らの最大のヒットで、内容的にもベスト作と言われることもあるが、一足先にブレイクしたメタリカ同様に、もともとの持ち味であるスラッシュメタルを捨ててアリーナロックに近付いたとして批判する声もある。

1992/8/1付 No.6 (初登場) 最高位6位、21週
Shorty Thr Pimp / Too $hort
LA生まれでオークランドを拠点に活動していたトゥ・ショート、初のトップ10入り。インディで3枚アルバムを出した後メジャーに移り、これがメジャー4作目。アイスTと並んで西海岸のラップ・シーン形成を担った最初期の、パイオニア的なラッパー。
Pファンク系の乾いた音に乗せて淡々とピンプ話、エロ話をする。サビにキャッチーな歌があったり、ゲストとの掛け合いがあったりとかいう変化球なしの、ひたすらまっすぐなファンク。題材がチャラいことから“二流”とみなされがちで、もともと西海岸軽視の傾向がある日本では長年無視され続けてきた。

1992/8/1付 No.10 (初登場) 最高位8位、41週
The Hard Way / Clint Black
テキサス州ヒューストン育ちのカントリーシンガーの3作目。トップ10入りを果たしたのは本作が唯一だが、これまでの2作はいずれも300万枚以上を売る大ヒット。ロック風味も取り入れつつカントリーの伝統のスタイルを継承した新世代のシンガーとして80年代末にブレイクしたものの、後からガース・ブルックスが登場してきたことで株を奪われてしまった感がある。カントリーチャートでは「We Tell Ourselves」(2位)がヒット。

1992/8/8付 No.10 (初登場) 最高位10位、14週
Way 2 Fonky / DJ Quik
コンプトン出身のDJクイックの2作目で、チャート上は彼の最大のヒット作。アッパー系のファンク・トラックにのせて早口ラップで煽る。音作りがファンク基調で、サウンド的にもあまり装飾が厚くないが、クイック自身のラップに流れるような抑揚があるのと、適宜コーラスなんかが入ってることで、案外メロディアスで非常に聴きやすい。大ブレイクは経験していないものの、西海岸ヒップホップ・サウンドクリエイターの最重要人物の一人として名高い。

No.6 (6週目でTop10入り) 最高位6位、19週
Mo' Money / Soundtrack
ちょうど同時期にベイビーフェイスが全面的に手掛けた「Boomerang」サントラがヒットしていたので、好対象としてよく比較された、ジャム&ルイス全面製作のサントラ。イントロから72分間、びっちりと隙なくジャム&ルイスが作り込んだ作品。ジャネット&ルーサーの「The Best Things In Life Are Free」(10位)、カラー・ミー ・バッドの「Forever Love」(15位)がヒット。装飾の多い、やや時代がかったダンス系から美メロバラードまで、この頃のジャム&ルイスの持ち駒が全部注ぎ込まれた好オムニバス。
映画は脚本・製作から出演までデーモン・ウェイアンズが手掛けた。

1992/8/29付 No.7 (10週目でTop10入り) 最高位5位、47週
Temple Of The Dog
パール・ジャムのメンバー2人も過去に在籍した、シアトルのマザー・ラヴ・ボーン。そのバンドのシンガーで、90年に亡くなったアンドリュー・ウッドへのトリビュートとして集まった一時的なプロジェクト。パール・ジャムのエディ・ヴェダー、ストーン・ゴッサードら4人と、サウンドガーデンのクリス・コーネルとマット・キャメロンというめちゃめちゃ豪華な布陣。静のエディ+動のクリスというツイン・ボーカルが強力。アルバムの趣旨が趣旨だけに抑えた曲調が多いが、「Hunger Strike」とかの曲名がイメージさせるほど暗い内容ではない。

1992/9/5付 No.8 (9週目でTop10入り) 最高位8位、53週
The One / Elton John
エルトン・ジョンのトップ10入りは、なんと1976年の「Blue Moves」以来16年ぶり、オリジナルアルバムで数えて12作ぶり。80年代の薬物依存、過食症といった悪癖を克服し、心身ともに健康になってきた時期の作品で、ポジティブな力強さが伝わってくる。とは言え彼の一連の作品の中で特に評価が高いわけでもなく、特に大きなヒット曲が出たわけでもない(トップ10入りは91年のチャート集計方法変更の影響だろう)。「The One」(9位)、佳曲「The Last Song」(23位)「Simple Life」(30位)がヒット。

1992/9/12付 No.2 (初登場) 最高位2位、43週
Bobby / Bobby Brown
ボビー・ブラウンの3作目。日本でも社会現象的大ヒットとなった前作から4年が経っており、さすがにあの頃の無敵の勢いは失われているが、ベイビーフェイスとテディ・ライリーという2大プロデューサーを贅沢に起用してるだけあって内容は充実、堅実にヒットした。が、ほぼ全曲が5分以上と長尺なのは流石に冗長。「Humpin' Around」(3位)、軽いポップスの新機軸「Good Enough」(7位)、モロPファンクな「Get Away」(14位)がヒット。
このアルバムが出る直前の92年7月にホイットニー・ヒューストンと結婚した。

1992/9/12付 No.4 (初登場) 最高位1位、137週
Unplugged / Eric Clapton
これは大事件だった。まずクラプトンが4位初登場という時点で驚きだったが(彼のトップ10入りは81年以来11年ぶり)、企画物のライヴ盤にも関わらず1位になってしまい、その後も売れまくって結局1000万枚に到達。彼の30年に及ぶ(この時点)キャリア中最大のヒットとなってしまったのだ。「Rush」サントラから「Tears In Heaven」(2位)が大ヒットした直後というタイミングも手伝い、AORとしてのクラプトンの市場価値が高まり、日本でも一般に広く聴かれるきっかけとなった。原型を留めない「Layla」(12位)がヒット。

1992/9/12付 No.5 (初登場) 最高位2位、24週
Beyond The Season / Garth Brooks
人気絶頂のガース・ブルックスのクリスマス・アルバム。まだ9月前半ということで明らかに時期尚早ながら、この時期のガースなら何でもヒットした。クリスマスアルバムのトップ10入りは60年代はまだしも、このところずっと例がなかった。これはあくまでも季節商品で、この1か月後にはオリジナルアルバムの新作が出るという割り切り方も大物っぽかった。

1992/9/19付 No.9 (6週目でTop10入り) 最高位6位、58週
What's The 411 ? / Mary J. Blige
“ヒップホップ・ソウルの女王”ことメアリーJのデビュー作。アトランタ生まれのNY育ち。デビュー曲「You Remind Me」(29位)はやや控えめな曲ながら、この曲で「なんかスゴい奴らしい」という噂が広まり、次の激キャッチーな90年代を代表するヒップホップ・チューン「Real Love」(7位)で世界制覇。ルーファスのカバー「Sweet Thing」(28位)がヒットしたほか、「Reminisce」、名曲「Love No Limit」がR&Bチャートではヒット。この頃はまだ表舞台に出ていなかったパフ・ダディことショーン・コムズが半分弱の曲に関与(“スタイリスト”としてもクレジットされている)。

1992/9/26付 No.10 (2週目でTop10入り) 最高位10位、100週
I Still Believe In You / Vince Gill
オクラホマ出身のヴィンス・ギルはブルーグラスのバンドを経てピュア・プレイリー・リーグに在籍してヒットを放ち、90年からはソロで活動。これはソロ3作目で、まる2年間チャートインして500万枚を売った彼の最大のヒット。柔らかく優しい声はミディアム〜スロー系によく似合い、「Don't Let Our Love Start Slippin' Away」「I Still Believe In You」がカントリーチャートで1位になった。音楽的にもあまりコテコテのカントリーではないので、AORとして普通に日本人にも聴ける音。この声や音楽性からはちょっと想像できない巨体なのが笑える。

1992/10/3付 No.7 (12週目でTop10入り) 最高位6位、69週
Singles / Soundtrack
グランジ全盛期を象徴するようなサントラ。サウンドガーデン、パール・ジャム、アリス・イン・チェインズ、スクリーミング・トゥリーズ、マッドハニー、スマッシング・パンプキンズ、ポール・ウェスターバーグ(リプレイスメンツ)といった重要バンドが大集結。特にパール・ジャムの2曲は「Ten」のセッションで録られた曲で、人気が高い。パール・ジャムの前身とも言えるマザー・ラヴ・ボーンの曲も収録する他、映画中には彼らがステージで演奏するシーンも登場する。

1992/10/10付 No.1 (初登場) 最高位1位、64週
The Chase / Garth Brooks
ガースのオリジナル4作目で、これの前のクリスマス・アルバムが出てから僅か1か月。1400万枚を売った前作「Ropin' The Wind」からもちょうど1年ほどで、1、2作目も含めて彼の5作品すべてが同時チャートインしていた。このアルバムも7週1位で800万枚を売っている。
LA暴動を招いたロドニー・キング事件にインスパイアされたという「We Shall Be Free」で幕を開けるところはシンガーソングライター物みたい。カントリーチャート1位の奇麗なバラード「Somewhere Other Than The Night」、ボブ・シーガーの曲みたいな「That Summer」(同1位)、リトル・フィートのカバー「Dixie Chicken」など、非カントリー・リスナーにもとっつきやすい作品。

1992/10/10付 No.7 (初登場) 最高位7位、30週
Broken / Nine Inch Nails
ナイン・インチ・ネイルズのデビュー作「Pretty Hate Macine」に続くEPで、初のトップ10入り。デビュー作はややポップな出来映えだっただけに、本作で初めてNINがその凶暴な姿を見せたと言っていい。92年夏に20位台のヒットとなった先輩格ミニストリーの「Psalm 69」と共に“インダストリアル・ロック”の登場を印象づけた作品。後に多用されるピアノの静かな曲などはなく、ひたすらアグレッシブなギター・サウンド。8曲入りだが、6曲めが終わった後は無音でCDプレイヤーの曲数だけがカタカタと上がっていき、98曲めにようやく実質7曲目が登場する。これのリミックスアルバムが青いジャケの「Fixed」。

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