Jan-Jun, 1991

1991/1/5付 No.10 (3週目でTop10入り) 最高位3位、39週
The Simpsons Sing The Blues / The Simpsons
人気アニメ「シンプソンズ」から派生したアルバム。アニメ・キャラ絡みの作品としては最近ではビーバス&バットヘッドやサウス・パークの例があるが、最高位3位で200万枚のセールスというのは他の作品には辿り着けなかった境地だ。息子のバートマンがラップする「Do The Bartman」が人気を集め、エアプレイチャートでは11位まで上昇するが、当時はシングル発売がない曲はシングルチャートには登場できなかったため、この曲もビルボードのチャート上は“ヒットしなかった”ことになっている。

1991/2/16付 No.10 (2週目でTop10入り) 最高位2位、39週
The Soul Cages / Sting
スティングのソロ3作目。前作は彼が自分の母親に捧げたアルバムだったが、今度は父親に捧げた作品。別に好き好んでそんなことをやってるわけではなく、この時期に両親を相次いで亡くしたからこそなのだが。やや内省的な内容に加え、シングルも「All This Time」(5位)の1曲しかヒットしなかったため、彼にしてはセールスは低調だった。

1991/3/2付 No.7 (3週目でTop10入り) 最高位5位、68週
Into The Light / Gloria Estefan
グロリア・エステファンのソロ名義になってからは2作目。マイアミ・サウンド・マシーン名義時代から通算して3作連続のトップ10ヒット。最高位5位は彼女の全キャリアを通じてのベスト順位。「Coming Out Of The Dark」(1位)「Live For Loving You」(22位)がヒット。これまではシングルヒットを連発してきたが、この後ベスト盤を出して一息つき、以後は自らのルーツに立ち返ったスペイン語作品など、やや渋めの作品が目立つようになる。

1991/3/9付 No.8 (51週目でTop10入り) 最高位4位、165週
Shake Your Money Maker / The Black Crowes
チャートインからまる1年をかけてようやくトップ10にたどり着いたブラック・クロウズのデビュー作。この後2年以上、合計3年以上チャートインする超ロングセラーとなる。泥臭くブルージーでラウドなロックンロールは、単に70年代ロックを焼き直しただけだと批判する声もあったが、同時に70年代ロックと同様の、理屈抜きのかっこよさがあった。ひょろひょろでクネクネ踊るクリス・ロビンソンの佇まいも何だか現実離れしていて、いい意味でレトロ感を感じさせた。「She Talks To Angels」(30位)、オーティス・レディングのカバー「Hard To Handle」(26位)がヒット。

1991/3/16付 No.10 (10週目でTop10入り) 最高位2位、87週
Gonna Make You Sweat / C&C Music Factory
88年から91年ぐらいはアメリカでもクラブ系のヒットが多かったが、ヒットの規模でその頂点に立つのはこのC&Cミュージック・ファクトリーだろう。グループの実態はデヴィッド・コールとロバート・クライヴィスで、二人の苗字の頭文字を取ってC&C。7週間2位の座に就いたがあと一歩で1位には届かなかった。「Gonna Make You Sweat」(1位)「Here We Go」(3位)「Things That Make You Go Hmmm...」(4位)とシングルが連続大ヒット。「Gonna〜」の暑苦しい押し付けがましさは強烈で、スナップの「The Power」と共に間違いなくこの時代の流行りのサウンドを代表する作品の一つ。中古屋投げ売りアイテムの定番だが、あと10年ぐらい経てば再評価されるか?

1991/3/30付 No.8 (23週目でTop10入り) 最高位7位、74週
Heart Shaped World / Chris Isaak
独特の雰囲気を漂わせるシンガーソングライター、初のヒット。俳優業もこなす人。この後も30〜40位台ぐらいの安定した人気を維持するが、本作だけがやけに売れたのはシングル「Wicked Game」(6位)のヒットのおかげ。ジャジーで退廃的な曲からやや爽やか系のアコースティックな曲まで、アンニュイに歌うクリスはアメリカ版のブライアン・フェリーという感じ。アメリカ人には珍しいキャラではある。

1991/4/13付 No.5 (3週目でTop10入り) 最高位1位、109週
Out Of Time / R.E.M.
R.E.M.が“アメリカでいちばんビッグなバンド”に昇りつめた瞬間。80年代はカレッジ・ラジオ受けのバンドの代表格だった彼ら。ごにょごにょと何を歌ってるのかわからない、ちょっと暗めのバンドだったのが、「The One I Love」そして「Stand」で一気にメインストリームへ。そして本作からの「Losing My Religion」(4位)「Shiny Happy People」(10位)のヒットで、その人気は不動のものとなった。

1991/4/13付 No.8 (11週目でTop10入り) 最高位8位、20週
The Doors / Soundtrack (The Doors)
ドアーズ、というか実質は故ジム・モリスンの伝記映画のサントラ。内容的には少し偏ったドアーズのベスト盤といったところか。「Light My Fire」や「The End」といった代表曲は含むものの、「Hello, I Love You」や「Touch Me」といった大ヒット曲が収録されてなかったりもするので、ベスト版的用途には向かない。新録曲をまったく含まないアルバムのヒットは珍しい。

1991/4/20付 No.9 (8週目でTop10入り) 最高位6位、282週
MCMXC A.D. / Enigma
ルーマニア出身のエニグマことマイケル・クレトゥが世界に衝撃を与えた作品。グレゴリアン聖歌をグランド・ビートに乗せた「Sadeness Part 1」(5位)が世界的にヒット。同じような雰囲気で貫かれたアルバムも、半分は物珍しさから、半分は“癒し系”の走りとして超ロングセラーとなった。一方、いかにもネタ一発勝負的な雰囲気があったため、一発屋として消えて行くだろうと当時は思われていた(実際には次作もちゃんとヒットした)。

1991/5/4付 No.9 (7週目でTop10入り) 最高位2位、38週
New Jack City / Soundtrack
90年代前半のブラック・ムービー・ブームの走りと言えるウェズリー・スナイプス、アイスT主演映画のサントラ。旬のヒップホップ〜R&B系アーティストを寄せ集めたオムニバスという、以後10年以上に渡って繰り返し使われる定番パターンを定着させた作品でもあり、映画、サントラ共に記念碑的作品だ。カラー・ミー・バッドの「I Wanna Sex You Up」(2位)がヒット。

1991/5/11付 No.10 (5週目でTop10入り) 最高位10位、81週
Vagabond Heart / Rod Stewart
10位台のニアミスは何度かあったものの、ロッドのトップ10入りはなんと1978年以来13年ぶり。一時期少し落ち目になった感じはあったが80年代半ばからはまた安定してヒットを出し続け、本作からも「Rhythm Of My Heart」(5位)「The Motown Song」(10位)「Broken Arrow」(20位)がヒット。全体にはよくプロデュースされたポップ・ロック・ヴォーカル・アルバムという感じだが、自身のルーツであるスコットランド民謡をちょっと思わせるメロディラインが時折顔を覗かせるあたりは好感。

1991/5/18付 No.8 (2週目でTop10入り) 最高位1位、149週
Time, Love & Tenderness / Michael Bolton
マイケル・ボルトンとしてソロデビューしてからは4作目で、初のNo.1ヒットであり、800万枚のセールスを誇る彼の最大のヒット作。ダイアン・ウォーレン、デスモンド・チャイルド、そしてマイケル本人という王道バラード/産業ロックの総本山のような製作陣を抱え、「Love Is A Wonderful Thing」(4位)「When A Man Loves A Woman」(1位)「Time, Love And Tenderness」(7位)「Missing You Now」(12位)とヒットを連発。非常にソウルフルないい声の持ち主なので、売れ始めた頃は案外嫌われていなかったが、爆発的に売れるに従い“産業ロックの権化”として悪口を言われることが多くなった。

1991/5/18付 No.9 (11週目でTop10入り) 最高位7位、52週
Coolin' At The Playground... Ya Know ! / Another Bad Creation
いやあ勢いというのは本当に恐ろしいもので。最年少メンバーは8歳という子供グループのデビュー作。仕掛人はニュー・エディション〜ベル・ビヴ・デヴォーのマイケル・ビヴンスで、同じく当時彼が育てていたボーイズIIメンがコーラスで参加してたりする。「Iesha」(9位)「Playground」(10位)がヒット。それなりにキャッチーな作りだし、まあ子供にしては歌もラップも巧いが、流石にここまで子供だと普通の人は聴いてて辛いだろう。

1991/5/25付 No.4 (36週目でTop10入り) 最高位3位、224週
No Fences / Garth Brooks
以後、数百週に渡って居座ることになるトップ10に、オクラホマ出身のガース・ブルックスが初めて顔を見せたのがこの週。この2作目は結局1600万枚を売る、彼にとってのベストセラー作品となる。作品としての評価も高い。カントリーチャートでは「Friends In Low Places」「Unanswered Prayers」「Two Of A Kind, Workin' On A Full House」「The Thunder Rolls」の4曲が連続No.1ヒットとなったが、HOT100チャートには1曲もエントリーしなかった。
この人が90年代のアメリカ最大のスターとして売れまくっていくわけだが、もともとカントリーというジャンル自体が日本の洋楽ファンには馴染みが薄く、更にはカントリーチャート以外でのヒット曲もない(=日本人の耳に触れる機会がない)ことから、日米で人気格差の最も大きいアーティストの一人となってしまっている。

1991/5/25付 No.7 (2週目でTop10入り) 最高位7位、60週
Power Of Love / Luther Vandross
ルーサー・ヴァンドロスのソロ7作目で、2枚目のトップ10ヒット。これまでR&B市場では大ヒット曲を連発して圧倒的な支持を得てきたものの、ポップ市場にクロスオーバーするヒット曲を出せずにきたルーサーだが、前作(ベスト盤)からようやく「Here And Now」(6位)というヒットが生まれ、本作からも「Power Of Love/Love Power」(4位)「Don't Want To Be A Fool」(9位)とヒットが続いた。以後はベテランとして安定したセールスを維持するが、80年代のブラック・コンテンポラリーの最高峰に位置付けられる初期作品ほどの高い評価は得られていない。

1991/6/1付 No.5 (初登場) 最高位1位、70週
Spellbound / Paula Abdul
当時のチャートでは、トップ10内初登場というのは、物凄いことだった。88年10月にボンジョヴィの「New Jersey」が8位に初登場して以来、約3年ぶりのことだ。それだけ待望されていたポーラのオリジナルアルバム2作目。ファンもレコード会社も期待した通り「Rush, Rush」(1位)「The Promise Of A New Day」(1位)「Blowing Kisses In The Wind」(6位)「Will You Marry Me ?」(19位)「Vibeology」(16位)とヒット曲を連発したが、アルバムのセールスは300万枚と、デビュー作の1000万枚には遠く及ばなかった。決してデビュー作に比べて質が落ちているわけではないが、インパクトが薄れてしまったのは仕方ないか。「Vibeology」の邦題が「ヴァイブをちょうだい」なのは変に有名。プリンスを思わせるファンキーでかっこいい曲なんだけど。

1991/6/8付 No.10 (26週目でTop10入り) 最高位10位、75週
Pornograffitti / Extreme
ボストン出身のロックバンド、エクストリームの2作目、初トップ10ヒット。バンドの音楽性はプログレッシブ・ハード・ロックとか呼ばれたりするように、基本的にはハード・ロックながらかなり守備範囲の広い音。その器用さが幸か不幸か「More Than Words」(1位)というハーモニーの奇麗なアコースティックバラードの大ヒットを生み、彼らの代名詞として定着した。洋楽カラオケで歌われる頻度が極めて高いことでも知られる。他に「Hole Hearted」(4位)がヒット。

1991/6/15付 No.2 (初登場) 最高位1位、44週
EFIL 4 ZAGGIN / N.W.A.
この週からビルボードはアルバムチャートの集計方法を変え、サウンドスキャン社の提供する売り上げデータをチャートの根拠として採用した。これ以後、初登場でいきなり上位に登場するのが当たり前になる。
が、やはり当時としてはめちゃくちゃ驚きだった。N.W.A.という、当時はまだ一部の層にしか知られていなかったギャングスタ・ラップ軍団が、いきなり初登場2位。もちろんヒットシングルもないし、当時日本盤発売もしばらくなかったので、なかなか情報が入ってこなかっただけに“なんじゃこりゃ!”的衝撃度が非常に高かった。
既にアイス・キューブは脱退しており、フロントをイージーEが、バックをドクター・ドレが仕切っている。寒気のするほど下品なリリックも、変な言い方だが、新鮮だった。
グループ名は“Niggaz With Attitude”の意。タイトルは“Niggaz 4 (For) Life”を鏡に写したイメージ。

1991/6/29付 No.1 (初登場) 最高位1位、46週
Slave To The Grind / Skid Row
集計方法が変わったため以後「初登場1位」は全然珍しいことではなくなるのだが、当時はチャート史上前例が5枚しかなかったため、大騒ぎされた。そういう話題を抜きにしても、ハードロック系でシングルヒットが全然なくこれだけ売れるのはちょっと珍しかった。
スキッド・ロウの2作目で、前作に続くトップ10ヒット。これ以後グランジ〜ヘヴィロックの登場によって“ハードロック/ヘヴィメタル”というジャンルが急速に風化し、一部のマニア向きのものとしての色彩が強くなる。それに従い彼らも商業的な勢いは失っていった。フロントマンのセバスチャン・バックはミュージカルなどで多彩に活動。

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