Jul-Dec, 1986

1986/7/5付 No.8 (5週目でTop10入り) 最高位1位、93週
Top Gun / Soundtrack
日本では80年代半ばのサントラの大ヒットと言えば「Footloose」が定番で、このトップ・ガンはそれほど派手に売れたという印象もないが、アメリカでは同じ900万枚を売っている。映画のほうはトム・クルーズ主演の青春アクション物。で、80年代にサントラが大ヒット場合は必ずそこから何曲もの大ヒットが生まれているのだが、本作からはベルリン「Take My Breath Away」(1位)、ケニー・ロギンス「Danger Zone」(2位)、ラヴァーボーイ「Heaven In Your Eyes」(12位)の3曲だけというのが異色だ。映画のテーマがアメリカ人をそそるのか?なお今出ている再発版CDは、「火の玉ロック」など50年代のクラシックロックが何曲かボーナスで追加収録されている。

1986/7/5付 No.10 (2週目でTop10入り) 最高位3位、85週
Invisible Touch / Genesis
ちょうど元メンバーのピーター・ガブリエルが大ブレイクし始めたのと同じタイミングで登場した、本家ジェネシスの新作。こちらはフィル・コリンズ主導でポップ全開の作りで、彼らにとって最大のヒット作となった。「Invisible Touch」(1位)「Throwing It All Away」(4位)、全編に渡って変な人形が登場するビデオが印象的な「Land Of Confusion」(4位)、長尺のプログレ曲「Tonight, Tonight, Tonight」(3位)「In Too Deep」(3位)と、シングルはいずれも大ヒット。フィル・コリンズ色が強すぎてソロと変わらないやんけという批判はあったが、売れた者勝ち。

1986/7/26付 No.9 (2週目でTop10入り) 最高位1位、82週
True Blue / Madonna
マドンナの3作目。700万枚を売り、彼女にとっては前作、ベスト盤に次ぐ三番目のベストセラー。
先行シングル「Live To Tell」(1位)が地味なバラードで、ビデオも非常に控えめなおばさんのようなルックスだったことでちょっと心配されたが、以降、ティーンの女の子のファンを増やした「Papa Don't Preach」(1位)と「Open Your Heart」(1位)、ポップな「True Blue」(3位)、ラテンの哀愁漂う「La Isla Bonita」(4位)とバラエティに富む曲でヒットを連発。彼女のいちばんポップなアルバムだろう。

1986/8/9付 No.8 (3週目でTop10入り) 最高位4位、36週
Eat 'Em And Smile / David Lee Roth
ヴァン・ヘイレン脱退後のデイヴ・リー・ロスの初ソロ作(VH在籍中にミニアルバム「Crazy From The Heat」(15位)を出している)。彼らしい遊び心とショウマンシップに満ちた作品だが、一方ヴァン・ヘイレンへの対抗意識も強く、ギターにスティーブ・ヴァイ、ベースにビリー・シーンというハードロック界最強とも言えるメンバーを揃えた。ヴァイの“しゃべるギター”が炸裂する「Yankee Rose」(16位)や、フランク・シナトラのビッグバンド風正統派カバー「That's Life」などが楽しい。

1986/8/9付 No.9 (9週目でTop10入り) 最高位3位、71週
Raising Hell / Run-D.M.C.
きっかけはエアロスミスとの共演「Walk This Way」(4位)だった。本作で彼らは壁を乗り越え、「ラップ」をメインストリームに持ち込んだ。ニューヨーク、クイーンズ出身のラッパー2人+DJ。これが3作目。もともとロック的な音使いが得意だったことや、アディダスに身を包むキャラクターの分かりやすさなどもあって、普段はロックを聴く白人層にもウケた。但しヒップホップ的にはこれよりも初期作品のほうが一般に評価される。

1986/8/23付 No.8 (6週目でTop10入り) 最高位3位、86週
Back In The High Life / Steve Winwood
これまでにもヒット作は経験していたが、スペンサー・デイヴィス・グループのボーカリストとしてデビューしてから20年目にして本作から「Higher Love」が初の全米No.1ヒットとなった。ちょうどロバート・パーマー、ピーター・ガブリエルといったイギリス人のベテランがキャリア上最大のヒット作を出している時期、彼もそのオヤジ・ブームに乗った。「Freedom Overspill」(20位)「The Finer Things」(8位)「Back In The High Life Again」(13位)と、続くシングルもヒット。華やかなホーンセクションなど、音使いが80年代っぽいところもあるが、いい曲が集まった佳作。

1986/8/23付 No.10 (6週目でTop10入り) 最高位10位、28週
Music From The Edge Of Heaven / Wham !
ワム!の3作目にしてラスト・アルバム。とは言えこの時点でジョージ・マイケルがソロでバリバリ活動していくことは見えていたので、解散と言っても熱心なファン以外にはあまり悲壮感はなかった。ここからは「I'm Your Man」(3位)「A Different Corner」(7位、ジョージのソロ名義)「The Edge Of Heaven」(10位)がヒットした。他に日本では特に人気の高い「Last Christmas」も収録するが、全部で8曲しか収録されておらず、うち1曲はライヴ、1曲はリメイクという、いかにも最後の寄せ集めっぽいアルバム。

1986/9/6付 No.9 (4週目でTop10入り) 最高位7位、47週
The Bridge / Billy Joel
これでベスト盤を含めて8作連続のトップ10入りとなるビリー・ジョエル。今回も「Modern Woman」(10位)「A Matter Of Trust」(10位)「This Is The Time」(18位)とヒット曲を生んだ。が、ポップな佳曲を次々にヒットさせた前作に比べると地味で、実際にアルバムのセールスでは「The Nylon Curtain」と並んで彼のキャリア上の“谷”にあたる作品で、ビリー自身もあまり気に入ってないらしい。

1986/9/13付 No.7 (3週目でTop10入り) 最高位1位、58週
Dancing On The Ceiling / Lionel Richie
ライオネル・リッチーのソロ3作目。前2作がそれぞれ、ほぼまる3年チャートインする超ロングセラーとなり、大ヒットシングルを連発してきた彼。3年ぶりとなる本作も、やや勢いは落としたものの、見事に大ヒットとなった。「Say You, Say Me」(1位)「Dancing On The Ceiling」(2位)「Love Will Conquer All」(9位)「Ballerina Girl」(7位)までは順調にヒットしたが、続く「Se La」が最高位20位に終わり、デビュー以来続いた連続トップ10ヒット記録が(13曲で)途切れた。
彼はこの後ベスト盤を出したっきり長い沈黙期間に入り、次にアルバムを出したのはなんと10年後の96年。

1986/9/20付 No.10 (2週目でTop10入り) 最高位1位、61週
Fore ! / Huey Lewis & The News
前作で大ブレイクを果たしたヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの4作目。「Stuck With You」(1位)「Hip To Be Square」(3位)「Jacob's Ladder」(1位、ブルース・ホーンズビー作)「I Know What I Like」(9位)「Doing It All For My Baby」(6位)と、トップ10ヒットを5曲も生み、アルバムとしても1位となる大ヒットとなった。非常に80年代的な売れ線ポップ全開であるが故に前作などに比べると評判は良くない。「Power Of Love」(1位)は映画「Back To The Future」サントラからのヒットで、当時はこのアルバムには収録されていなかったが、再発されたCDには収録。

1986/10/4付 No.8 (4週目でTop10入り) 最高位1位、94週
Slippery When Wet / Bon Jovi
ボンジョヴィの3作目、本作で大ブレイク。デビュー当初は日本でアイドル的に人気が爆発し、Big In Japanな印象があったが、本作が本国アメリカをはじめ世界的に大ヒットしたことで彼らはこの時代のトップ・バンドへと一気に躍進した。8週1位になり、1200万枚以上を売っている本作からは「You Give Love A Bad Name」(1位)「Livin' On A Prayer」(1位)「Wanted Dead Or Alive」(7位)がヒットした他、当時としては珍しくシングルカットされていない「Never Say Goodbye」がエアプレイチャートで28位まで上がるヒットとなった。プロデューサーにブルース・フェアバーン、2曲のNo.1ヒットに関わったソングライター、デスモンド・チャイルドの参加が本作の大成功の要因と言われる。
日本では水着女性の胸元アップのジャケでお馴染みだが、当時左のジャケへの差し替えをレコード会社に命じられたものの、日本先行発売だったので日本盤だけは間に合わずに“水着ジャケ”で出てしまったのだとか。

1986/10/25付 No.3 (2週目でTop10入り) 最高位1位、50週
Third Stage / Boston
ボストンの“8年周期”の最初の来訪。デビュー作を1600万枚、2作目を700万枚売ったバンドの、8年ぶりの新作。“8年前”を知る世代が期待したのはもちろん、当時を知らない若い世代も“伝説のバンド”みたいな感じで否が応でも期待させられた。「Amanda」(1位)「We're Ready」(9位)「Can'tcha Say (You Believe In Me) / Still In Love」(20位)がヒットし、過去2作ほどではないがそこそこ評判もいい作品。アルバム・ロック・チャートではトム・ショルツのギターが堪能できる「Cool The Engines」(4位)も大ヒット。

1986/10/25付 No.6 (5週目でTop10入り) 最高位4位、52週
Break Every Rule / Tina Turner
前作が彼女のキャリア上最大のヒットとなったのに引き続き、本作もシングルヒットを連発しながら連続ヒット。但し前作の余勢、焼き直しで売れてる感は否めず、以後少しずつヒットから遠ざかった行くことになる。「Typical Male」(2位)「Two People」(30位)「What You Get Is What You See」(13位)がヒット。このアルバムの前に「Mad Max - Beyond Thunderdome」サントラから2曲がヒットしているが、本作には収録されていない。

1986/11/1付 No.8 (5週目でTop10入り) 最高位4位、44週
True Colors / Cyndi Lauper
シンディ・ローパーの2作目。衝撃的なデビュー作から3年近く経った為にインパクトはだいぶ薄れてしまったが、前作と同順位を維持。「True Colors」(1位)「Change Of Heart」(3位)「What's Going On」(12位、マーヴィン・ゲイのカバー)とヒットを出し、独特の健気路線を前面に打ち出した。日本ではこの後も一定の人気を維持するが、アメリカでぐっと人気が下り坂になってしまう。

1986/11/22付 No.7 (11週目でTop10入り) 最高位3位、97週
Graceland / Paul Simon
この頃のヒット・アルバムと言えば、ラジオでがんがんかかるようなヒット曲を量産するポップな作品が当然だったので、これは本当に異色のヒットだった。発売当初に一旦トップ10に入って落ちていった後、87年春のグラミー賞でアルバム・オブ・ジ・イヤーを受賞したことで本格的にセールスに火がついた。
もともと第三世界の音楽、特にそのリズムに興味を示していたサイモンが南アフリカのミュージシャンを迎えて製作した、言わばワールドミュージック色の強い作品。特に評論家やインテリ層に受けが良かったが、反面、これは音楽の世界での植民地主義ではないかとの批判もあった。「You Can Call Me Al」(23位)がヒット。

1986/11/22付 No.8 (3週目でTop10入り) 最高位6位、47週
Whiplash Smile / Billy Idol
決して“大物”ではなかったが、そのキャラが強烈なインパクトを残し、80年代文化の象徴的な存在として後にパロディなどで多用される存在のビリー・アイドル。前作に続いてのトップ10入りとなる本作のタイトルは彼のトレードマークである“ゆがんだ笑顔”。その割にはジャケで笑ってないけど。「To Be A Lover」(6位)でのクールなかっこよさが白眉。他に「Don't Need A Gun」(37位)「Sweet Sixteen」(20位)とシングル曲の質は非常に高いが、アルバム全体としては並の出来か。

1986/11/29付 No.1 (初登場) 最高位1位、26週
Live 1975-1985 / Bruce Springsteen & The E Street Band
5枚組ライヴ盤。いわゆる“ボックス・セット”というものも(ポピュラー音楽には)存在しなかった時代、想像もつかないボリュームだった。それが、初登場1位。当時のチャートでは初登場1位というのは“有り得ないほどの人気”を意味した。実際、1976年以来10年間一度もなかったことなのだ。それを、通常のアルバムの4倍ほどの値段のこのアルバムが達成してしまった。まだまだ前作「Born In The USA」の勢いが充分に持続していたこの頃、ブルース・スプリングスティーンの人気というのはそのぐらい破格のものだった。タイトル通り10年間のライヴ音源を集めたもので、彼の魅力が集約された素晴らしい作品。「War」(8位、エドウィン・スターのカバー)がシングルとしてもヒット。

1986/11/29付 No.10 (24週目でTop10入り) 最高位3位、73週
The Way It Is / Bruce Hornsby & The Range
ヴァージニア州出身のブルース・ホーンズビーを中心とするバンドのデビュー作。ブルースはこの時点で32歳と遅咲きの苦労人。流麗なピアノが非常に印象的だった「The Way It Is」(1位)が大ヒットし、「Mandolin Rain」(3位)「Every Little Kiss」(14位)が続いてヒット。ピアニストとして、ソングライターとして充実した作品。

1986/12/6付 No.10 (11週目でTop10入り) 最高位8位、54週
Word Up ! / Cameo
ブラック系のヒットがシングル、アルバムともに少なかったこの頃。特にこういう濃いめのファンクがヒットするのは珍しかった。ラリー・ブラックモン率いるファンク・バンドで、この当時はアトランタを拠点にしていた。70年代半ばのデビュー以来R&Bチャートではずっとヒットを出し続けてきたが、ポップ・チャートに初めてクロスオーバーしたシングル「Word Up」のヒット(6位)に牽引されてこのアルバムもヒットし、チャートイン12作目にして初のトップ10入りを果たした。他に「Candy」(21位)もヒット。ラリー・ブラックモンの股間のプロテクターも話題になった。

1986/12/13付 No.10 (4週目でTop10入り) 最高位7位、26週
Every Breath You Take - The Singles / The Police
解散状態にあったポリスのベスト盤。彼らの初のベスト盤ということでヒットし、90年代になるまで他に選択肢もなかったことから売れ続けた。一応「Don't Stand So Close To Me '86」という、過去のヒット曲のリメイクも収録されたが、却ってこの曲をめぐってメンバーが対立して、解散が決定的になるという皮肉な結果となった。「Don't Stand So Close To Me」のオリジナルバージョン(10位)が収録されていない他「Synchronicity II」(16位)も漏れている。

1986/12/27付 No.10 (24週目でTop10入り) 最高位3位、70週
Night Songs / Cinderella
フィラデルフィア出身のハードロックバンドのデビュー作。英語で言うところのいわゆる“Hair Metal”だが、次作以降はどんどんブルージーな“本格派路線”を進んで行く。ボーカルのトム・キーファーが物凄いハスキーボイスで、それだけで毛嫌いされてしまいがちだが、(見た目は似てても)LAメタルの連中とはひと味違うと、日頃メタルを聴かない人から評価される向きもあった。「Nobody's Fool」(13位)がヒット。

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