Jan-Jul, 1986

1986/1/18付 No.7 (5週目でTop10入り) 最高位1位、46週
Promise / Sade
いきなり大ヒットしたデビュー作からあまり間を置かずに出てきた2作目。基本的には前作の延長線上の作りだが、よりコンテンポラリーな音になり、もうこの時期になると彼らをジャズ系のグループだとは誰も認識してなかった。オシャレな存在感でありながら、ブルージーでソウルフルな非常に深い音楽性、精神性を表現したことで評価の高い作品。「The Sweetest Taboo」(5位)「Never As Good As The First Time」(20位)がヒット。

1986/1/25付 No.9 (22週目でTop10入り) 最高位1位、58週
Welcome To The Real World / Mr.Mister
典型的な“アルバム一発屋”のミスター・ミスターはロサンゼルス出身のロックバンド。これが2作目だが、前作は100位にも入っていない。「Broken Wings」「Kyrie」が連続No.1ヒットになったことでアルバムもチャートインから半年ほどかけてようやくトップ10入り。ハイトーンのリチャート・ペイジのボーカルがいかにもこの時代っぽい。このバンドとしては一発で消えるが、ペイジはソングライターとして業界で生き残る。他に「Is It Love」(8位)がヒット。

1986/2/22付 No.10 (15週目でTop10入り) 最高位10位、30週
Rocky IV / Soundtrack
“80年代的”な映画の代表作と言ってもいいロッキーの4作目。軍拡のまっただ中でソ連とアメリカの最強のボクサーが戦うという、非常に露骨なテーマに挑んだ意欲作。というか何も考えてなかったのだろうが。ロッキー3で「Eye Of The Tiger」というハマりすぎのテーマ曲を提供したサバイバーが今回も参加、「Burning Heart」(2位)を提供(「Eye Of〜」も本作に収録)。映画中でも派手派手なライヴを披露しているジェームス・ブラウンの「Living In America」(4位)が御大にとって17年ぶりのトップ10シングルとなった。他にロバート・テッパー「No Easy Way Out」(22位)がヒット。

1986/3/1付 No.10 (17週目でTop10入り) 最高位10位、42週
Once Upon A Time / Simple Minds
スコットランド、グラズゴー出身のロックバンド。スケールの大きい雄大なサウンドで、政治的な姿勢もはっきりしているという佇まいから、全盛期はU2と並ぶ存在感があった。85年はじめに「Don't You (Foreget About Me)」(1位、本作には未収録)がヒットしたことでアメリカでは知名度を上げた。結局アメリカで売れたのは本作だけだがイギリスではこの前後とも人気は非常に高い。「Alive & Kicking」(3位)「Sanctify Yourself」(14位)「All The Things She Said」(28位)がヒット。

1986/3/8付 No.9 (4週目でTop10入り) 最高位6位、39週
The Ultimate Sin / Ozzy Osbourne
オジーのソロ5作目(ライヴも数えて)で、実はこれが初のトップ10入り。とは言えこれまでもトップ20内が定位置で、各アルバムとも300〜400万枚を売ってきているだけに、本作で急に人気が出たわけでは全然ない。むしろ、どちらかと言えば本作はこれまでの彼のファンを失望させた作品で、曲が良くないだのプロダクションが良くないだのバンドが悪いだのと、悪評の多い作品。

1986/4/5付 No.8 (6週目でTop10入り) 最高位3位、27週
Falco 3 / Falco
モーツァルトに扮したカツラをかぶり、ドイツ語でラップしまくる「Rock Me Amadeus」(1位)があまりにも鮮烈だったファルコの3作目。オーストリア出身の彼はこれまでにもヨーロッパでは人気があったが、本作でアメリカ、日本で一気に大ブレイクした。ただし日本では次作も多少ウケたがアメリカでは完全に一発屋で終わった。色モノとしてのみ記憶されることが多いが、ラップ+サビで歌というスタイルをいち早く確立し、音的にはヨーロッパ的なダンス系の、ごくまっとうな音楽をやってきた人。98年に事故で亡くなっている。
左のジャケはオリジナルとは全然違うが、今再発されてるのはこんなのらしい。変。

1986/4/12付 No.8 (7週目でTop10入り) 最高位5位、27週
Pretty In Pink / Soundtrack
およそヒットとは縁がなさそうな人たちが参加したサントラだが、実は90年代以降のアメリカのロックシーンに(密かに)絶大な影響を与えていると思われ、例えば本作で初めてスミスに出会ったと告白するインタビューなんかをたまに見かける。他にニュー・オーダー、エコー&バニーメン、サイケデリック・ファーズ、OMD(「If You Leave」が4位)あたりが本作で知名度を上げたのは間違いないだろう。ある意味で、これもまた80年代を象徴する作品。

1986/4/19付 No.3 (2週目でTop10入り) 最高位1位、64週
5150 / Van Halen
前作「1984」の大ヒットでハードロック・リスナー以外にもファンを広げたヴァン・ヘイレンだが、デイヴ・リー・ロスが衝撃的に脱退。後任にソロで活動していたサミー・ヘイガーが加入しての最初のアルバムが本作。コミカルな持ち味が魅力だったデイヴに対し、サミーは一本調子の力任せなアホというイメージがあったため日本では物凄く不評な人事だったが、アメリカでは“マトモに歌える”サミーの加入は好意的に迎えられ、本作が彼らにとって初の1位になり、以後チャート上では黄金時代に入る。「When It's Love」(3位)「Love Walks In」(22位)「Dreams」(22位)がヒットしたがシンセを前面に出したシングル曲よりエディが弾きまくるタイトル曲(1分以上に及ぶイントロが超かっこいい)などのほうがファンには人気が高い。

1986/4/19付 No.9 (2週目でTop10入り) 最高位4位、25週
Dirty Work / Rolling Stones
彼らなりに流行のサウンドを色々取り入れながら生き残ってきたストーンズが、ルーツのストレートなロックンロールやR&Bに戻った、と評判だった本作。まあ実際は他とそれほど違うわけでもない。これで編集盤を除くと実に64年以来30作連続のトップ10入り。60年代R&Bヒットのカバー「Harlem Shuffle」(5位)、「One Hit (To Te Body)」(28位)がヒット。しかしこのオヤジどもがみんなで原色のカラフルな衣装に身を包むこのジャケは80年代半ばにしか生まれ得なかったセンスだ。

1986/4/26付 No.6 (2週目でTop10入り) 最高位3位、28週
Parade / Prince & The Revolution
「1999」「Purple Rain」でポピュラリティを極めたプリンスは「Around The World In A Day」でシュミの世界への転向を示唆し、本作以降「Sign 'O' The Times」「Lovexexy」でそれを極めた。アルバムのオープニングから、ドラムを録音したテープを逆回しする、今まで聴いたことのない音で幕を開け、密室ファンクの濃密な世界が展開される。細部まで実に緻密に築かれた箱庭のような作品。「Kiss」(1位)のような大ヒット曲さえも溶け込んでいる様はまったく見事。「Mountains」(23位)もヒット。なお一応本作はプリンス自身の主演映画「Under The Cherry Moon」のサントラという位置づけだが、映画のほうは例によって酷評されて早々に忘れ去られた代物。

1986/4/26付 No.9 (2週目でTop10入り) 最高位3位、62週
Like A Rock / Bob Seger & The Silver Bullet Band
前作から3年以上を置いての新作。いかにも彼ららしいアップテンポの「American Storm」(13位)で幕を開ける。タイトルのイメージ通りどっしりと力強いタイトル曲(12位)の人気が高いが、アメリカでは後にトラックのテレビCMで使われたせいで安っぽいイメージになってしまったとか。全体的に見て彼らのベスト作ではないが悪くはない、というぐらいの位置づけか。
本作の後また彼らは長い沈黙期間に入り、だんだん現役バンドらしさを失っていく。

1986/5/3付 No.9 (24週目でTop10入り) 最高位1位、40週
Riptide / Robert Palmer
たまに中ヒットを出す中堅シンガー、というぐらいの地味な存在だった彼がパワー・ステーションへの参加を経て知名度を上げ、同じプロデューサーを使って勝負を賭けてきた本作で見事にブレイク。同じメイクをさせた美形モデルたちにバックバンドを演じさせたビデオ(後に多くのパロディを生んだ)の力もあって「Addicted To Love」(1位)が大ヒット。シェレールのカバー「I Didn't Mean To Turn You On」(2位)もヒットさせてR&Bにルーツがあることもアピール。中年オヤジのイヤらしさ全開ながらもカッコ良さを失わなかったのは英国人にこそ成せた技か。「Hyperactive」(33位)もヒット。

1986/5/10付 No.10 (23週目でTop10入り) 最高位9位、66週
Play Deep / Outfield
突き抜けるようなハイトーンのさわやかなボーカルで、非常にポップで親しみやすい曲をちょっとハードな味付けで聴かせたアウトフィールド。雰囲気はアメリカの田舎か、オーストラリアあたりのバンドっぽいが、実はロンドン出身。この明るく開放的な空気は80年代中盤に特有のもので、フーターズ(残念ながらトップ10アルバムはない)やブライアン・アダムスあたりに通じるものがあるだろう。「Your Love」(6位)「All The Love In The World」(19位)がヒット。

1986/5/17付 No.7 (11週目でTop10入り) 最高位1位、106週
Control / Janet Jackson
新しい時代が始まった。ジミー・ジャム&テリー・ルイス全面製作作品として初めての大ヒット作であり、これまで歌手としてはまったく芽が出なかったジャネット・ジャクソンの3作目にして大ブレイク作。全体を硬質な打ち込みのファンク・サウンドが支配する。このサウンドが進化して80年代末以降のR&Bの大ブームへと発展する。アルバム9曲中6曲がヒットするというベスト盤のようなアルバム。「What Have You Done For Me Lately」(4位)「Nasty」(3位)「When I Think Of You」(1位)「Control」(5位)「Let's Wait Awhile」(2位)「The Pleasure Principle」(14位)がヒット。

1986/5/17付 No.9 (2週目でTop10入り) 最高位4位、67週
Raised On Radio / Journey
前作から3年以上のブランクを経て、これで5作連続のトップ10入り。これまでずっと使ってきた黄金虫シリーズのジャケをやめるなど明らかに“変化”を意識しているように伺える。ミディアムテンポで、コーラスを多用した曲が多く、マイルドな印象を与えるアルバム。曲の後半はずっとギターソロという異色の構成の「Be Good To Yourself」(9位)、「Suzanne」(17位)「Girl Can't Help It」(17位)「I'll Be Alright Without You」(14位)がヒット。あまり評判のいい作品ではないが、派手派手なシンセの装飾なんかは前作よりぐっと後退しているので、彼らの産業ロックっぽさが苦手な人にはいい作品か。

1986/5/24付 No.9 (6週目でTop10入り) 最高位7位、31週
Please / Pet Shop Boys
ブリティッシュ・インヴェイジョンの波にうまくのってアメリカ進出を果たしたペット・ショップ・ボーイズだが、その持ち味はきわめてヨーロッパ的。まあ、その異国情緒がウケたのかもしれないけど。アメリカでは「West End Girls」(1位)だけが突出して売れたが、イギリスや日本では以後15年に渡ってコンスタントにヒットを出し続けていくことになる。「Opportunities」(10位)もヒット。メロディラインから独特の憂いと暖かさという相反する要素が同時に感じられる「Suburbia」(イギリスではヒット)あたりが彼ららしいか。

1986/5/31付 No.8 (2週目でTop10入り) 最高位1位、30週
Winner In You / Patti LaBelle
このヒットは不可解だった。フィラデルフィア出身のパティ・ラベルは、ラベルというグループの一員として「Lady Marmalade」(1位)などのヒットを出した後ソロになり、これが8枚目のアルバム。チャート的にはこれまで84年作の40位が最高。それが、ここからのシングル「On My Own」(1位)が大ヒットし、このアルバムまで1位になってしまった。R&Bチャートではぽつぽつヒットを出していたが「Beverly Hills Cop」サントラに参加して知名度を高めたのが良かったのか。それとも単にこのアダルトなコンテンポラリー・サウンドがうまく時代にマッチしたのか。ボーカルの巧さは天下一品だが、作品の質としては80年代初頭の売れなかったアルバムのほうが高いだろう。「Oh People」(29位)は名曲。

1986/6/21付 No.8 (6週目でTop10入り) 最高位6位、48週
Love Zone / Billy Ocean
前作「Suddenly」で一躍スターダムにのし上がったビリー・オーシャンのフォローアップ作。ポップな色合いがぐっと強い「When The Going Gets Tough, The Tough Get Going」(2位)みたいな曲がある一方、ぐっと王道R&B寄りの「Love Zone」(10位)もあり、その両方にアピールする美メロバラードの名曲「There'll Be Sad Songs」(1位)もあり、と盛りだくさんな1枚。まあ、焦点が絞れていないとも言えるが、本作が彼の最大のヒット作というのが、いかにも“中庸”な彼らしい。

1986/6/28付 No.9 (7週目でTop10入り) 最高位9位、42週
The Other Side Of Life / The Moody Blues
なかなかピンク・フロイドやイエスのような“一流”としては扱ってもらえないが、同じ「プログレ」に分類される英バーミンガム出身のバンド。まあ、本当はELOとかと並べるのが正しい比較かもしれないが。2年半ぶりの新作、トップ10入りは5年ぶり、6枚目。ドリーミーで優しい「Your Wildest Dreams」(9位)は80年代ポップス屈指の名曲。ボーカルが非常にマイルドなのでAORっぽく聴こえてしまうが、それなりに凝った音作りも聴ける、いわば“ポップ・プログレ”。

1986/6/28付 No.10 (3週目でTop10入り) 最高位2位、93週
So / Peter Gabriel
ピーター・ガブリエルという孤高のカリスマは、一般人から見れば“何か凄そうだけどヘンな人”だった。確かに彼のこれまでの作品はそういう印象を与えてきた。しかしそんな彼がリラックスして楽しんで作った「Sledgehammer」(1位)がブレイクのきっかけとなった。非常に凝ったビデオクリップの力もあって今まで彼と接点のなかった人々を惹き付けた。初めてタイトルがつけられた(これまでの4作はいずれも「Peter Gabriel」)ロンドン出身、元ジェネシスのソロ5作目。オープニングの「Red Rain」から物凄いカリスマテッィクなパワーが炸裂し、ケイト・ブッシュとのえも言われぬ美しい「Don't Give Up」、いちばん地味だが味わい深い「Mercy Street」などタイプの違う曲が並びつつ、見事に調和を保った名作。「In Your Eyes」(26位)「Big Time」(8位)がヒット。

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