Jan-Aug, 1984

1984/1/7付 No.9 (7週目でTop10入り) 最高位9位、26週
Yentl / Barbra Streisand/Soundtrack
バーブラ・ストライザンドの19枚目のトップ10ヒット。同名映画のサントラを兼ねる作品で、「スター誕生」や「The Main Event」など、シンガーとしても女優としても大物のバーブラにはこの手の作品が多い。シングルは「The Way He Makes Me Feel」(40位)がヒットしたのみで、だんだん彼女はシングルヒットとは縁のない人になっていく(デュエット以外ではこれが彼女の最後のトップ40ヒット)。

1984/1/21付 No.10 (7週目でTop10入り) 最高位8位、64週
Seven And The Ragged Tiger / Duran Duran
過去1年の間にデュラン・デュランがトップ10入りするのは実にこれで3作目。「New Moon On Monday」(10位)「The Reflex」(1位)「Union Of The Snake」(3位)がヒット。順位や売上げで突出しているわけではないが、本作が彼らの“勢い”の頂点だろう。もちろん日本でも大ヒットした。全盛期の5人のメンバーが揃ったオリジナルアルバムは本作が最後。

1984/1/28付 No.9 (13週目でTop10入り) 最高位9位、66週
Uh-Huh / John Cougar Mellencamp
前作で大ブレイクを果たした彼が“若造”から本格派アーティストへと成長し始めた作品。これまでのジョン・クーガーという名前に本名のメレンキャンプをつけたのも本作から。「Crumblin' Down」(9位)「Pink Houses」(8位)「Authority Song」(15位)がヒット。農場に囲まれて育った田舎者の彼が、「Pink Houses」あたりからそれを臆せずに表に出し、田舎の貧しい農民の代弁者的な存在感を高めていった。そのあたりの票を得ようとしたのだろう、レーガンは大統領選キャンペーンソングにこの曲を使った。

1984/2/4付 No.4 (2週目でTop10入り) 最高位2位、77週
1984 (MCMLXXXIV) / Van Halen
無邪気なヴァン・ヘイレンの最後の姿。エディの超絶ギター・テクに支えられたバンドではあるが、彼らの最大のヒット「Jump」はギターではなくシンセを前面に出した曲。単なるハードロックではなく全体がカラッと明るいエンターテイメントの空気に包まれており、まさにここまでのVHのキャリアを代表する傑作となった。しかしその明るさの源泉だったボーカルのデイヴ・リー・ロスは本作を最後に脱退する。「Jump」(1位)「Panama」(13位)「I'll Wait」(13位)がヒット。トップ40入りは逃したが「Hot For Teacher」はビデオクリップも名作として名高い。

1984/2/11付 No.10 (2週目でTop10入り) 最高位5位、42週
Learning To Crawl / The Pretenders
プリテンダーズの3作目で、3作連続トップ10入り。前作からの2年半の間にメンバー2人を相次いでドラッグで亡くすという事故を経て完成された。これだけの体験をしたバンドが爽やかで明るい先行シングル「Back On The Chain Gang」(5位)で帰ってきたのは逆に涙を誘う(この曲だけサントラに収録され、1年ほど前にシングルヒット済み)。姉御系ロックの「Middle Of The Road」(19位)、あまりにも切ない「Show Me」(28位)「2000 Miles」(UKでのみヒット)など名曲目白押しの、文句なしの傑作。

1984/3/3付 No.10 (22週目でTop10入り) 最高位1位、158週
Sports / Huey Lewis & The News
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの3作目にして大ブレイク作。ルイスのソウルフルながらも節度のある歌いっぷりが好感を持たれ、曲も粒が揃って「Heart And Soul」(8位)「I Want A New Drug」(6位)「The Heart Of Rock & Roll」(6位)「If This Is It/いつも夢見て」(6位)「Walking On A Thin Line」(18位)とヒットを連発。6位の壁を越えられないと揶揄されたがそれは次作で軽くクリアする。シングルは後になるほどいい曲が出てきたという声もあった。

1984/3/17付 No.9 (5週目でTop10入り) 最高位1位、61週
Footloose / Soundtrack
ケヴィン・ベーコン主演の映画も、サントラも、“80年代”を象徴する作品。10週1位で、累計セールスは900万枚に達する。説明不要のケニー・ロギンス「Footloose」(1位)「I'm Free (Heaven Helps The Man)」(22位)、デニース・ウィリアムス「Let's Hear It For The Boy」(1位)、マイク・レノ&アン・ウィルソンの「Almost Paradise」(7位)、シャラマー「Dancing In The Sheets」(17位)、ボニー・タイラー「Holding Out For A Hero」(34位)と、実に9曲中6曲がシングルヒット。どの曲にもあの頃の空気に満ちている。“ロック”が禁じられた田舎町で若者たちが蜂起するという荒唐無稽なストーリーがマジメに受け入れられてしまった、あの時代。

1984/3/24付 No.9 (8週目でTop10入り) 最高位7位、37週
Touch / Eurythmics
UKの男女デュオ、ユーリズミックスの3作目でトップ10入りはこれが初めて。前作から「Sweet Dreams」のヒットで無表情なテクノ・ポップ・バンドと思わせておいて、実はバンドのソウルフルな本性を少し見せ始めたのが本作。テクノ・ポップの名曲「Here Comes The Rain Again」(4位)、「Who's That Girl ?」(21位)、ラテン色を大胆に取り入れた冒険作「Right By Your Side」(29位)がヒット。

1984/3/31付 No.10 (15週目でTop10入り) 最高位4位、96週
She's So Unusual / Cyndi Lauper
1曲目「Money Changes Everything」のイントロが流れた瞬間に、原色派手派手ながら、どこか切なく寂し気だったシンディの世界に包まれる。シンディ・ローパーの鮮烈なデビュー作は、色んな意味で80年代を代表するアルバムのひとつだと言って誰にも文句はあるまい。「Girls Just Want To Have Fun/ハイスクールはダンステリア」(2位)「Time After Time」(1位)「She Bop」(3位)「All Through The Night」(5位)「Money〜」(27位)とヒットを連発。順位は低いが実は最後の2曲を愛するファンは多い。プリンス作品を筆頭にフーターズのロブ・ハイマン、ジュールズ・シアーなど、外部ソングライターの選び方も素晴らしい。

1984/4/14付 No.8 (5週目でTop10入り) 最高位6位、63週
Love At First Sting / The Scorpions
西ドイツ(当時)のハードロックバンド、スコーピオンズの2度目のトップ10入り。ドイツのバンドが英語圏でヒットするのは珍しかったし、ハードロック系バンドがシングルヒットを出すのも、まだ割と珍しかった(「Rock You Like A Hurricane」(25位))。メタル・ファンが好きそうな、メロディアスでテンポの早い「Coming Home」や泣きのバラード「Stilll Loving You」などハードロックの基本形を押さえた手堅い作品。
彼らのジャケの多くを手掛けるのはピンク・フロイドと同じヒプノシスだが、彼らにはいつもちょっとエロなのが提供された。

1984/4/21付 No.9 (3週目でTop10入り) 最高位3位、69週
Heartbeat City / The Cars
これまでも充分な成功を収めてきたカーズが最多のシングルヒットを生んだのが、通算5作目で4作連続トップ10入りとなる本作。これまで一貫してプロデュースを手掛けてきたロイ・トーマス・ベーカーを外し、デフ・レパードを大ブレイクさせたロバート・ジョン・マット・ランジを迎えた。音に厚みを持たせてポップな仕上がりにしたのが幸いしたか、「You Might Think」(7位)「Magic」(12位)、彼らの最大のヒット「Drive」(3位)、イントロがいかにもマット・ランジな「Hello Again」(20位)「Why Can't I Have You」(33位)とヒットを連発した。コミカルでいつも非常に凝ったビデオクリップの効果も大きかった。

1984/5/5付 No.10 (8週目でTop10入り) 最高位10位、53週
Into The Gap / Thompson Twins
UK出身、やや軟弱だけどいい男+ハゲ女+毛虫頭の黒人という非常にアクの強い組み合わせの3人組。これが3作目でアメリカでは唯一のトップ10ヒット。ブリティッシュ・インヴェイジョンに乗っかった典型的なバンド。のん気な中庸ポップスと言うと悪口みたいだけど、実際そういう音。「Hold Me Now」(3位)「Doctor! Doctor!」(11位)がヒット。この前後でもヒット曲は何曲も出しているが、当時から日本でも評論家からは凄く酷評されていたという印象が非常に強い。

1984/5/19付 No.10 (3週目でTop10入り) 最高位10位、27週
Grace Under Pressure / Rush
これで5作連続トップ10入りとなるカナダのプログレッシヴ・ロック・トリオ。最小限の編成で高度な演奏能力を活かした曲展開や、行間に含みを持たせて“解釈”する余地を与えた歌詞などで非常に熱心なファンが多いバンド。作品毎に作風を変えてくるのをファンは“進化”と好意的に受け止めるが、このアルバムは“歌詞は凄いが音が軽い”と比較的評判は良くない。

1984/6/23付 No.9 (初登場) 最高位1位、139週
Born In The U.S.A. / Bruce Springsteen
80年代という時代を代表する作品。どの作品もそれなりに売れたスプリングスティーンだが、本作は累計1500万枚を越える、桁違いの大ヒット。不況にあえぐアメリカに登場した元俳優の大統領が、強いアメリカをガンガン打ち出し始めた頃。ごく一般のアメリカ庶民の戸惑いや、笑いや、涙を封じ込めた作品。「Dancing In The Dark」(2位)「Cover Me」(7位)「Born In The U.S.A.」(9位)「I'm On Fire 」(6位)「Glory Days」(5位)「I'm Goin' Down」(9位)「My Hometown」(6位)と7曲のシングルがすべてトップ10入りを果たしたが、つまらない曲からシングルカットしていったとか、本当にいちばんいい曲はシングルカットさえされていないというファンは多い。

1984/7/7付 No.9 (32週目でTop10入り) 最高位6位、82週
Rebel Yell / Billy Idol
ビリー・アイドルの3作目で、初のトップ10入り。70年代ロンドン・パンクの残党として80年代以降もそれっぽい格好やキャラを開き直りつつ維持して、ダサかっこいい路線の独自キャラを築いた。ちょっと彼が売りにするキャラとは違う「Eyes Without A Face」(4位)が最大のヒットになったが、ハードロックっぽいアップテンポの曲のほうが彼らしい。他に「Flesh For Fantasy」(29位)がヒット。


Not
Available
1984/7/14付 No.9 (7週目でTop10入り) 最高位8位、89週
Breakin' / Soundtrack
ヒップホップの三大要素はラップ、ブレイクダンス、グラフィティ・アートだと言われるが、まだランDMCもブレイク前で“ラップの何たるか”もまともに知られていなかったこの時期の日本では“ブレイクダンス”という言葉だけが一人歩きしていた気がする。オリー&ジェリー(ジェリーはレイ・パーカーJr率いるレイディオの元メンバー)の「Breakin'... There's No Stopping Us」(9位)がヒット。どちらかというとヒップホップよりはエレクトリック・ファンクに近いような気もするが、80年代前半のヒップホップ文化を体験できる貴重な作品。但しサントラCDは現在廃盤の模様。

1984/7/21付 No.3 (2週目でTop10入り) 最高位1位、75週
Purple Rain / Prince & The Revolution
24週にも渡って1位に君臨し続けたメガヒット。商業的にはダントツで彼の最大のヒット作だが、実はこれを彼のベスト作品に挙げるファンはあまりいない。しかし1曲1曲のカラーがはっきりしていて、彼の作品の中でいちばん派手で、バラエティに富みつつ全体にはまとまりがあるというバランスのとれた作品ではあるだろう。「When Doves Cry」(1位)「Let's Go Crazy」(1位)「Purple Rain」(2位)「I Would Die 4 U」(8位)「Take Me With U」(25位)がヒット。forを4とか、youをUと表記したりするのは今でこそ普通になったが、この頃はプリンスのトレードマークのようなものだった。

1984/7/28付 No.7 (2週目でTop10入り) 最高位4位、30週
Victory / The Jacksons
この頃、2週目でトップ10入りできているのはヴァン・ヘイレンやプリンスなどの超大物ばかり。それだけ本作に対する期待は高かった。「Thriller」がまだ爆発的に売れ続けている中だったので、マイケルとその兄弟たちによるグループの4年ぶりの新作が注目されたのは当然ではある。が、落胆で迎えられ、非常に息の短いヒットに終わった。ジャクソン5時代から通算して6枚目のトップ10入り。ミック・ジャガーを迎えた異色の「State Of Shock」(3位)「Torture」(17位)がヒット。

1984/8/4付 No.7 (20週目でTop10入り) 最高位7位、56週
Out Of The Cellar / Ratt
装飾の多い派手なファッション、化粧、カラフルな頭、メタルとしては軽めの音、といった特徴をもつ“LAメタル”を代表するバンドのメジャーデビュー作。本人たちは自らの音楽を指して「Ratt & Roll」なる造語を作ったりしていた。ボーカルのスティーブン・パーシーらのルックス人気もあって当時は日本にもかなりファンが多かった。「Round & Round」(12位)がヒット。

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