Jan-Jul, 1983

1983/1/8付 No.9 (3週目でTop10入り) 最高位1位、122週
Thriller / Michael Jackson
世界でもっとも売れた(と言われる)アルバム。アメリカでの出荷枚数は2600万を越える。37週1位は米チャート史上歴代2位の記録。81年に登場したMTVは、マイケルの「Beat It」「Billy Jean」「Thriller」と共に全世界に向かって急速に勢力を拡大した。誰もが一度は“ムーンウォーク”を真似し、マイケル・ジャクソンという名前は日本のお茶の間にまで浸透した。本作は単なる“大ヒット”ではなく、“現象”だった。シングルも「Billy Jean」(1位)「Beat It」(1位)「The Girl Is Mine」(2位)「Wanna Be Startin' Somethin'」(5位)「Human Nature」(7位)「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」(10位)そして「Thriller」(4位)と、アルバム収録全9曲のうち7曲がシングルカットされ、すべてがトップ10ヒットになるという驚異的な成績を残した。
このアルバムの凄いところは、単に“やたら売れた”だけでなく、内容も素晴らしい点だ。紛れもなくマイケル・ジャクソンがいちばんソウルフルで、ファンキーで、かっこよかった瞬間。「Wanna Be〜」や「P.Y.T.」でのフットワークの軽いしなやかさはどんなソウル・シンガーにも真似できない。“変人”としてのマイケルしか知らない人は、なぜ彼がかつてスーパースターだったのか、前作と本作を聴いて追体験して欲しい。(左のジャケはボーナストラック入りの再発版)

1983/1/15付 No.10 (9週目でTop10入り) 最高位9位、32週
Long After Dark / Tom Petty & The Heartbreakers
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、3作連続でのトップ10入り。但し初トップ10にして最大のヒット「Damn The Torpedoes」の余勢で売れている感は否めず、少しづつセールスは下り坂。もともとデビュー当初はニューウェーブの括りに入れられたこともあるバンドだが、泥臭いアメリカン・ロック路線でブレイクしただけに、本作で目立つシンセなどの厚めの音使いは不評だった。「You Got Lucky」(20位)「Change Of Heart」(21位)がヒット。

1983/1/22付 No.8 (2週目でTop10入り) 最高位5位、39週
The Distance / Bob Seger & The Silver Bullet Band
これで5作連続トップ10ヒットとなるボブ・シーガー。ただ、前作まではいずれも300万枚以上のセールスをあげる大ヒットだっただけに、100万に留まった本作でちょっと勢いが落ちた感がある。しかし、バンド名義では彼らの最大のヒット曲「Shame On The Moon」(2位)や、ベスト盤のオープニングも飾るドラマチックな「Roll Me Away」(27位)、それに「Even Now」(12位)を収録するなど、内容は決して悪くない。この不況の時期のアメリカを象徴する作品としてブルース・スプリングスティーンの「Nebraska」がよく挙げられるが、「Makin' Thunderbirds」などの象徴的な曲を含む本作も忘れてはいけない。

1983/1/22付 No.10 (9週目でTop10入り) 最高位8位、141週
Hello, I Must Be Going ! / Phil Collins
フィル・コリンズのソロ2作目で前作に続いてのトップ10入り。以後ヒット曲連発で超メインストリームのポップ親父としてのイメージを強めていくが、まだこの頃はプログレ・バンドであるジェネシスのメンバーらしさを残していた。「I Don't Care Anymore」(39位)なんかはそれっぽい作りの曲。一方でシュープリームスの「You Can't Hurry Love」(10位)を正統派で真正面からカバーし、以後のポップ全開路線の布石も打たれた 。実はこの時期に離婚した彼、そのことを歌ってると思しき曲がやたら入っている。

1983/2/12付 No.10 (8週目でTop10入り) 最高位10位、25週
Records / Foreigner
ここまでのオリジナルアルバム4枚をいずれも500万枚前後も売る大ヒットにさせた後に出た英米混成ロックバンドのベスト盤。10曲しか収録されてないので彼らのヒットを全部網羅してるわけでもないのだが、90年代になるまではこれが彼らの唯一のベスト盤だったのでずっと売れ続けた。

1983/2/26付 No.6 (2週目でTop10入り) 最高位2位、85週
Frontiers / Journey
これで4作連続のトップ10入りとなるジャーニー。初のNo.1ヒットアルバムであり、これまでになくヒット曲を連発した前作「Escape」の勢いを持続し、9週もの間2位につけた。コンパクトに巧くまとめ、適度にハードで疾走感があり、キャッチーな楽曲群は日本でも非常に人気が高かった。ただ本作はどちらかというとバラードが売りで、「Faithfully」(12位)「Send Her My Love」(23位)ともに人気が高い。「Separate Ways (Worlds Apart)」(8位)と「After The Fall」(23位)のアップ系もヒットしたが、シンセ厚塗りの「Separate〜」よりもギターばりばりの「Edge Of The Blade」やファンキーな「Back Talk」のほうがかっこいい。

1983/2/26付 No.7 (39週目でTop10入り) 最高位6位、129週
Rio / Duran Duran
デュラン・デュランのアメリカでのお披露目作。本国ではデビュー作となる「Duran Duran」は本作がヒットした後になってようやくアメリカ発売された。英バーミンガム出身のバンドで、当時カルチャー・クラブやスパンダー・バレエなどと共に“ニュー・ロマンティクス(ニューロマ)”“ブリティッシュ・インヴェイジョン”“MTVのお陰で売れたグループ”の代表格とされた。日本でも極めて人気が高く、田舎の中高生の間でもごく普通に聴かれていた。「Hungry Like The Wolf」(3位)「Rio」(14位)「Save A Prayer」(16位)がヒット。

1983/3/12付 No.10 (6週目でTop10入り) 最高位2位、116週
Pyromania / Def Leppard
ハードロック史に残る名作。3作目にして初のトップ10入り。英シェフィールドの出身で、当初はアイアン・メイデンなんかと一緒にNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)の括りに入れられるが、アメリカ寄りのアプローチを見せ、本作で大ブレイク。プロデュースはロバート・ジョン・マット・ランジで、ここで完成されたスタイルと各種手法は以後15年以上に渡ってブライアン・アダムスや奥方シャナイア・トゥエイン作品などに再利用を続けらた。「Photograph」(12位)「Rock Of Ages」(16位)「Foolin'」(28位)がヒット。駄曲のまったくない楽曲群はまったく見事。次作以降と比べると発声法がメタルっぽいのが、このバンドのスタンスの変化を垣間見せていて面白い。「Pyromania(放火魔)」をジャケのイメージで意訳して「炎のターゲット」と邦題をつけたセンスには好感。

1983/3/19付 No.10 (初登場) 最高位3位、34週
Kilroy Was Here / Styx
スティクスはこれで5作連続のトップ10入りだが、本作が全盛期の布陣では実質的ラストアルバムとなる(後に再結成している)。SF的コンセプトに大真面目に取り組んだ意欲作だが、ジャケのセンスといい、どこか外し気味なところが憎めない。「ドモアリガト、ミスターロボット、ヒミツヲシリタ〜イ」などと日本語でサビを歌われる「Mr.Roboto」(3位)は日本人ならば居心地の悪さを感じずにいられまい。他に「Don't Let It End」(6位)がヒット。

1983/4/23付 No.9(3週目でTop10入り) 最高位6位、23週
The Final Cut / Pink Floyd
ロジャー・ウォータースを擁するピンク・フロイドとしてはラスト・アルバム。前作「The Wall」が映画化にも至った2枚組の大作コンセプト・アルバムで、15週1位の大ヒットという、極めて存在感の大きい作品だっただけに、本作の“小粒感”は免れられない。「The Wall」以上にウォータースのソロ・プロジェクト化が顕著になり、それがバンド分裂のきっかけとなった。決して評判のいい作品ではないが、「The Wall」のディスク3だと思って聴くと案外イケる。

1983/4/30付 No.10(6週目でTop10入り) 最高位10位、70週
The Closer You Get... / Alabama
約20年に渡ってヒットを出し続けたカントリー・バンド、アラバマがまだ若手だった頃。この時期の彼らのアルバムはどれも超ロングセラーで、400〜500万枚ぐらい売れていたりするが、トップ10入りを果たせたのは本作だけ。HOT100チャートでは「The Closer You Get」(38位)がヒットしたのみだが、カントリーチャートでは同曲と「Dixieland Delight」「Lay Down On Love」の3曲がNo.1ヒット。

1983/5/14付 No.4 (2週目でTop10入り) 最高位3位、49週
Cargo / Men At Work
オーストラリアのバンド、メン・アット・ワークの2作目。デビュー作が15週1位という大ヒットとなり、超待望されていた本作と第1弾シングル「Overkill」(3位)は当時異例の勢いでチャートを駆け上がった。が、期待が大きすぎた分、落胆も大きかった、という感じか。彼らは本作で急速に勢いを失う。地味な作品ではあるが決して悪い内容ではない。彼ら独特の飄々としたクールネスが発揮された「Overkill」のほか「It's A Mistake」(6位)「Dr.Heckyll & Mr.Jive」(28位)がヒット。

1983/5/14付 No.9(3週目でTop10入り) 最高位4位、68週
Let's Dance / David Bowie
デイヴィッド・ボウイは本国イギリスでは常に売れ続けていたし、作品の質/評価の高さでは何と言っても70年代の一連の作品だが、全世界規模で見れば本作が彼の突出した大ヒットと言える。これまで常に作品毎に何かのキャラクターを演じてきた彼が、演技の世界を離れて売れ線を狙ってみたら、そのまんま素直に受け入れられてしまったのが本作。従って彼の一連の作品の中でも最も“評価”と“売上げ”に乖離がある。「Let's Dance」(1位)「Modern Love」(14位)「China Girl」(10位)がヒット。プロデューサーはこのあたりの時期が黄金期となるナイル・ロジャース。無名時代のスティーヴィー・レイ・ヴォーンは本作への参加を足掛かりにブレイクした。

1983/5/21付 No.4(4週目でTop10入り) 最高位1位、78週
Flashdance / Soundtrack
アイリーン・キャラの歌う主題歌「Flashdance... What A Feeling」(1位)は日本で普通に生活していても耳にしない日はなかった。と思えてしまうぐらい流行りまくった。ドナ・サマー、キム・カーンズらが参加したオムニバス形式のサントラだが、半分ぐらいは無名アーティスト。他にマイケル・センベロの「Maniac」(1位)がヒット。80年代に大ヒットしたサントラは、映画がダンス絡みのものが多い。

1983/5/28付 No.9 (28週目でTop10入り) 最高位9位、153週
1999 / Prince
これから一時代を築く男、プリンスが初めてトップ10に登場。通算5作目となる本作は当時はLP2枚組(CDでは1枚)。「Little Red Corvette」(6位)「1999」(12位)「Delirious」(8位)がヒット。これまでは一般には気持ち悪いエロシンガーぐらいにしか思われてなかった彼が初めてポップ市場へのクロスオーバーに成功したのが本作。「Purple Rain」以前の彼の集大成であり、彼のベスト作品のひとつに挙げる人は多い。

1983/6/11付 No.9 (17週目でTop10入り) 最高位8位、89週
Cuts Like A Knife / Bryan Adams
カナダ、オンタリオ州出身のブライアン・アダムスのソロ2作目で、初トップ10ヒット。ちょっと田舎くさい、イキのいい若者然としたところが数年前のジョン・(クーガー・)メレンキャンプあたりを思わせた。ハスキーな歌声にもまだちょっと青臭さが残る。素直でまっすぐなバラード「Straight From The Heart」(10位)、後にサビメロを「Let's Make A Night To Remember」で自ら使い回す「Cuts Like A Knife」(15位)、いい感じにロックしてる「This Time」(24位)がヒット。

1983/7/9付 No.4 (2週目でTop10入り) 最高位1位、75週
Synchronicity / The Police
ザ・ポリスの5作目にしてラスト・アルバム。17週1位となり、超有名曲「Every Breath You Take/見つめていたい」(1位)を含むが、意外にもセールスは84年時点で400万枚、01年末で800万枚とそれほど突出しているわけではない。A面にアップ系の実験的な曲、B面に成熟したスロー系の曲を固め、たしかにここまでやっちゃったらもう他にやることないよな、解散してもしょうがないか、と思わされる出来ではある。「Every〜」のほか「King Of Pain」(3位)「Wrapped Around Your Finger」(8位)「Synchronicity II」(16位)がヒット。A面の最初と最後を飾るタイトル曲のパート1、2の突っ走り具合が何とも言えずかっこいい。

1983/7/16付 No.7 (3週目でTop10入り) 最高位5位、52週
The Wild Heart / Stevie Nicks
フリートウッド・マックとしての活動と平行しながらのソロ2作目。75年のフリートウッド・マック加入当初から“小悪魔的”と形容され、正統派の美女ではないながらもファンが非常に多かった人。年を経るに従いハスキーな声もだんだんドスが効いてきて、また違った味を出すようになってきた。今聴いてもなかなかかっこいい「Stand Back」(5位)、「If Anyone Falls」(14位)「Nightbird」(33位)がヒット。「If〜」なんかはシンセの音のブ厚さが時代を感じさせる。

1983/7/16付 No.8 (3週目でTop10入り) 最高位7位、39週
Keep It Up / Loverboy
カナダのロックバンド、ラヴァーボーイの3作目。前作に続くトップ10入り。限り無くポップ寄りではあるが、当時は“ハードロック”の括りに入れられることもあった。疾走感のあるキャッチーな曲が得意で、ここからはそのタイプの曲の典型「Hot Girls In Love」(11位)がヒット。もう1曲のヒット「Queen Of The Broken Hearts」(34位)も地味な存在だが、隠れた佳曲。この後もサントラ絡みでヒットを出したりしてシングルチャートを賑わせるが、アルバムチャートのトップ10に戻ってくることはなかった。

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