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おそらくアポロ・シアターのアマチュア・ナイトで何度となく歌ってやんやの喝采を浴びたであろう、情感たっぷりに歌い上げるパティ・ラベルの「If Only You Knew」の見事なカバー。この一曲がこのNYはブロンクス出身の女性R&Bシンガーの立ち位置とキャラクターのすべてを象徴している。アヴァントをブレイクさせてすっかり最近この手の濃厚系R&B路線では代表的プロデューサーとなったスティーヴ・ハフがほぼ全曲ペンを取りプロデュースするという布陣で、しっかり門下の先輩アヴァントもシングルヒットした「Nothing In This World」を含む2曲で作曲と歌で参加してサポートするという家内制手工業的なアルバム作りが徹底していていい。そもそもこのキキ嬢、アヴァントのデビューヒットで例のルネ&アンジェラの濃厚なカバー「My First Love」でフィーチャーされていたキテラ・ワイアット嬢と同一人物なのだから、ハフ先生元からこの2人をうまくパッケージして売り出そうとしていたのは明白。しかしこの「If Only You Knew」といい、思わず日本のロマン演歌のシルヴィアをふっと思い起こさせる艶満点の秀作「Don't Take Your Love」といいこのキキ嬢の歌唱の技量と情感の入り方はただ者ではない。なにやら色街に咲く一輪の妖艶な花、といった感じですごく不健康な感じなんだけど色艶が凄い。一歩間違うとベタベタの世界に突入しかけないけどその寸前で品を保ってるあたりもすごく危うさを感じてヤバイ!という感じだ。と思ってたら何とキキ嬢、旦那を刺傷させた角でちょっと前にお縄になっていた。芸の世界と実生活両方ヤバイというもなかなか演歌チックで凄い。アメリカの芸能ソウルを支える層の厚さ(ほんまか)を改めて思い知らされたね。(阿多)
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