PAUL WELLER

MODERN CLASSICS (1998, Island)



 ジャム、スタイル・カウンシルのボックスの相次ぐ発表と、最近回顧モードにあるらしいポール・ウェラーの新譜は、ベスト・アルバムだった。ソロになってからのこの人の指向はナンカわかりにくくて、ナニをやりたいのかスタカン時代以上に戸惑うヒトも多いと思いますが、「トラフィック」というキーワードを与えると、そこはかとなく見えてくるモノがある。そう、『トラフィック』から『ジョン・バレイコーン・マスト・ダイ』ごろまでのトラフィックのサウンドに、いまの彼のヒントはあるといえる。さらに、トラフィックのメンバーのスティーヴ・ウィンウッドが在籍していたスペンサー・デイヴィス・グループのアルバムや、彼が参加したユニットの唯一のアルバム『ブラインド・フェイス』というラインアップを加えると、ポール・ウェラーがいまやりたいコトがはっきり見えてくる。彼がやりたいのは、60年代後半から70年ごろまでのR&B色強いロックを90年代にどうアダプトするか、ということではないだろうか。オアシスを聞くような音楽ファンに自分たちの好きな音楽をどうアピールするか、これがいまの彼の命題ではないかと思う。その結果は先を待たねばなるまい。(鎌田)
HEAVY SOUL (1997, Island)



 全英ナンバー・ワンにもなった前作「STANLEY ROAD」を私は全く評価していなかった。そもそもジャムにしろスタイル・カウンシルにしろいい意味での節操の無さが魅力であったはずなのに、あまりにもルーツに忠実な古臭いサウンド・プロダクションは息苦しくて仕方がなかった。それに第一、曲そのものに全然魅力がないのが致命的だった。というわけでサウンドの路線もプロデューサーも前作を継承している本作にも全く期待していなかったのだが...。たしかにその予想をくつがえすような作品にはなっていない。しかしいくぶん風通しがよくなったというか、タイトルにあるほど「重く」ないのは救いだ。前作は一度自分を見捨てたプレスやオーディエンスに対して自らを証明する必要があったせいか肩の力が入りすぎていたのだが、その必要がなくなった本作ではいくぶんリラックスしているようで、メロディーにも柔らかさが感じられる。曲のできも悪くない。でも「DOWN IN THE TUBE STATION AT MIDNIGHT」とか「LONG HOT SUMMER」を書いた人間がここらへんで落ち着いてもらっては困るのだ。まだ老け込む年でもないのだから、新たな展開を期待したいのだけど。(野坂)


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