GILLIAN WELCH

TIME (THE REVELATOR) (2001, Acony)
ここでこのアルバムが買えます  時々、渋い音楽がひょんなことからブームになる。が、たいていは底の浅いブームに終わる。ブエナ・ビスタはヒットしても、キューバの音楽がそれ以上注目を集めることはなかったし、2001年に「O Brother, Where Art Thou ?」という激渋のサントラがバカ売れしたからといって、そこに参加していたアーティスト達のソロ作品までが売れたわけではなかった。そんな、恩恵に与り損なったアーティストの一人が、ジリアン・ウェルチ。トラッド・カントリー〜ブルーグラス系の女性シンガー。96年のデビュー作「Revival」はT-ボーン・バーネットのプロデュースという話題性もあっては一部で静かなブームとなったが、その地味さ故か、その後はあまり話題にのぼらない人になってしまった。「O Brother〜」に参加していた他、グラム・パーソンズのトリビュート・アルバムや、ライアン・アダムス作品など、参加作品も地味ながらも押さえるべきツボを的確に押さえているのだが。今回もまあ、言ってしまえば、いつも通り。デヴィッド・ローリングスというギタリストを全編にフィーチャーし、ほぼ全曲が2人のギターと声だけの、アコースティックで極めてシンプルなサウンド。ただ、アルバムのラスト「I Dream A Highway」は、実に14分40秒にも及ぶ。で、後半だんだん盛り上がったりとか、曲がどんどん展開していったりとか、しない。始めから終わりまで、ゆったりと、淡々と、静かに、丁寧に歌われる。そして、そっと終わる。ぱっと見た目は何が凄いかわかんないんだけど実は職人が最高の材料で丁寧に作り上げた、一丁千円の豆腐、みたいな。豆腐に千円出すぐらいなら松屋で牛丼三杯食ってサラダもつけてその上お釣りまで返ってくるのを選ぶ、という人は、聴かなくていい。いや、まあ、そういう人のほうが多いでしょうけど。(しんかい)
REVIVAL (1996, Almo)
ここでこのアルバムが買えます  私は年末/年始に各音楽誌で発表される「年間ベストアルバム」の類をすごく楽しみにしている。そこにまだ自分が聴いたことのない素晴しい作品が紹介されているかもしれないから。そうやって前年の評判の良かった作品を聴き返してみているが、96年の大当たりは、これ。こんなのが96年に録音され、発売され、こうやって日本に渡ってきて、それをちゃんと評価している人が何人もいるというのが信じられないような地味な作品だ。カントリー、フォーク、曲によってはブルーズ、ジャズ。アメリカのルーツミュージックを、ごくオーソドックスに演じる。何百年もの間、形態こそ変わっても、人類によって営まれて続けてきた音楽というものが、本来持っている力。こういう音楽を聴かなくなってしまった我々には、一聴しただけでは単なる「地味な音」に聴こえるだろう。そこで終わらずに、何度も聴いて欲しい。音楽が好きな人なら、いつか、心の琴線に触れる瞬間がある筈だから。(真貝)


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