RUSSELL WATSON

ENCORE (2002, Decca)
ここでこのアルバムが買えます  '00年、彗星のごとくクラシカル・ポップ・ワールドに登場した若き新鋭ラッセル・ワトソンの2枚目。僅か1年のインターバルで発表されたこのアルバムは、文字通り鮮烈なデビュー・アルバムの流れを継いだ、まさに「アンコール」的な作りとなっている。UKクラシカル・チャートでは16週連続1位に輝いた前作を受け、、この作品は'94年の3大テノール以来となる初登場1位を獲得。その甘いマスクと対照的な力強い発声で人々を魅了している。クラシアカル&スタンダードでは、イタリアを代表するサンレモ音楽祭で'58年にドメニス・モドゥーニがグランプリを獲った「Volare」や南イタリア民謡「O Sole Mio」を始め、バッハの「Ave Maria」、プッチーニの歌劇「ラ・ボーエム」「トスカ」からの選曲。ポップ・ワールドでは、クラシカル・ポップ・ヴォーカルという事で比較される事が多いアンドレア・ボチェッリとセリーヌ・ディオンがデュエットした「The Prayer」を往年の大スター、ルルと共演(個人的にはボチェッリ&セリーヌの方が好み)、ジョー・コッカーの名曲「You Are So Beautiful」、ライオネル・リッチーの書き下ろしをデュエットするなど、相変わらずの多彩ぶりを発揮している。前作ほどインパクトのある曲はなく、全体的には前作の方が良いが、「アンコール」のタイトルにふさわしく、肩の力の抜けた感じがする。クラシカル・ヴォイスよりはポップ・ヴォイスを多用している。その中でミュージカル「ウェストサイド物語」から取り上げた「Somewhere」での名唱は見事。スケールの大きさ、ポテンシャルの高さを見せつけられる。国内盤同時発売のライヴ映像も本物の凄さを見せつけられるグッド・ヴィジュアル。合わせて堪能して欲しい。(小松)
THE VOICE (2000, Decca)
ここでこのアルバムが買えます ラッセル・ワトソン、イギリスはマンチェスター生まれの27歳。新たなスーパー・テノールの誕生である。このアルバムは、全英でポップ・チャートとクラシック・チャートに同時にエントリー。ポップ・チャートでは5位(11週連続20位以内)、クラシック・チャートでは堂々の1位を獲得している。16歳で地元のエンジニア会社に就職。趣味でクラブやホールなどで歌い、偶然彼の歌声を聴いたサッカーの名門チーム、マンチェスター・ユナイテッドの重役がその歌声に一目惚れ。以来、チームの試合で歌うようになる。その後、ラグビー・ワールド・カップ、サッカー・ユーロカップの決勝戦など錚々足る場面で彼は歌い、デビュー前の新人としては極めて異例な扱いとなった。そしてこのアルバムもズバリ「The Voice」。まさに彼の声の素晴らしさを十分堪能させてくれるアルバム。そして何より驚くべきは、彼は今だかつて一度も声楽のレッスンを受けた事がない、という事である。彼とクラシックの接点は父親が好きで聴いていた物を夢枕にした程度。それでどうしてここまで温かみのある、かつ透明感のある歌声ができるのだろう?選曲もクラシック面ではプッチーニやヴェルディを、またポップス面ではS&Gの「Bridge Over Troubled Water」を始めウルトラヴォックス、イタリアンポップスの重鎮ルチオ・ダッラ、ズッケロなどの作品を取り上げている。しかも、曲によってクラシカルな発声とポップス的な発声とを使い分けるという離れ業まで披露。早くもポスト・ボチェッリの出現か。今後に大きな期待ができる新鋭。(小松)


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